贈与税の計算方法を徹底解説!不動産や現金など場合や申告方法は?

贈与税の計算方法を徹底解説!不動産や現金など場合や申告方法は?

贈与税とは、家族などに自分の資産を譲り渡した際に発生する税金です。贈与した内容によってはかなり高い税金が計算される結果となることがあります。今回は、贈与税の計算方法に加え、不動産や現金など贈与内容による違いと申告方法などについても解説します。

記事の目次

  1. 1.贈与税とはどんな税金か
  2. 2.贈与税の計算方法
  3. 3.贈与財産額①不動産の贈与を受けた場合
  4. 4.贈与財産額②現金の贈与を受けた場合
  5. 5.贈与税の計算例①基本的な贈与の場合
  6. 6.贈与税の計算例②マンションの場合
  7. 7.生前贈与をする際の注意点
  8. 8.贈与税は受け取る品物によって計算方法が違う

贈与税とはどんな税金か

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今回は、贈与税について解説していきます。贈与税とはそもそもどんな税金でしょうか。「贈与」とは、自分が所有する資産を無償で相手に譲り渡す行為のことですが、これを一年間の中で一定額以上行った場合に発生する税金が贈与税です。

贈与税はとても複雑で難しいと敬遠されがちですが、贈与税の計算の仕組みを理解しておけば、生きている間に効率よく資産を次の世代に譲り渡していくことができます。贈与税がかからない範囲や、贈与をしても税負担の対象にならない方法など、具体的に紹介していきます。

贈与税の申告をするのは「もらった人」

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そもぞも贈与税は誰が負担しなければならない税金でしょうか。贈与税は資産を譲り受けた側が申告をしないといけないことになっています。ここで注意するべきは、受け取った側が「贈与」だと理解することが重要です。受け取る側が受け取ったと自覚していない限りは、資産を譲り渡したことにはなりません。

例えば子供名義で銀行口座を開設し、少しずつ口座にお金を貯蓄していき、子供が大人になってから通帳を渡すというやり方は、渡したときに一括で贈与をしたとみなされ、累計で一定額以上に達していると贈与税の対象になります。

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贈与税の計算方法

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ここでは、贈与税の計算方法について解説します。贈与税の計算は複雑だと思われがちですが、計算自体はとても単純です。贈与した金額から基礎控除額を引いた金額が課税対象になり、金額によって一定の税率をかけるだけで計算できます。

ここで気を付けるべきことは、贈与する当事者間の関係によって税率が変動する点です。直系卑属間で贈与する場合は特例贈与とされ、それ以外を一般贈与として区別しており、贈与税の税率が異なる点に注意しましょう。

一般贈与財産の場合

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贈与税の計算において、まず一般贈与財産の場合の計算方法について紹介します。基礎控除110万円を贈与額から差し引いた課税対象額が200万円以下なら10%、300万円以下なら15%を乗じた後10万円を差し引く、など累進課税の要領で、贈与額が大きくなればなるほど贈与税率も高くなっていきます。

特例贈与財産の場合

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特例贈与とは、受け取る側が20歳以上で、父から子供など直系卑属間で行なわれる贈与のことです。一般贈与の場合と比較して、税率が低く設定されていて、負担が軽減されます。例えば、一般贈与の場合は300万円で15%の税率だったところ、特例贈与の場合は400万円というように税負担が軽減されています。

家族間の贈与を特例贈与と考え、一般的な贈与税と分類して計算される仕組みで、家族間の資産移動を優遇することを意図した取り決めです。ただ、基礎控除額110万円は、一般・特例に関係なく一律で贈与税計算がされることに注意しましょう。

贈与財産額①不動産の贈与を受けた場合

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ここでは、不動産の贈与を受けた場合の申告について説明します。贈与税は、贈与を行なった金額をベースに計算することになりますが、不動産の贈与の場合は、その金額をどのように設定すればいいのでしょうか。

不動産の場合は、路線価あるいは固定資産税評価額に一定倍数を乗じた金額とされるのが一般的で、これは相続税を計算する際にも同様の方法がとられます。不動産の一部の贈与を行なった場合は、贈与を受けた額で持ち分割合を算出することもあります。

配偶者からの現物・資金贈与について

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配偶者への贈与を行なったケースで、不動産購入目的の資金の贈与の場合、特定の条件を満たすことで、「配偶者控除の特例」として基礎控除の110万円に加え、2000万円の追加控除が適用されます。

結婚してから20年が経過していること、国内の不動産を購入する目的であること、贈与を受けた翌年3月末までに不動産を購入予定であること、これまでに「配偶者控除の特例」を利用したことがないことなど、すべての要件に該当する場合のみ、申告をすることで2000万円の控除が受けられます。

直系尊属からの住宅取得のための資金贈与があった場合

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直系尊属からの不動産取得目的での資金贈与のケースにおいても、贈与税における追加控除を受けることができます。これは、例えば父親が息子に対して現金贈与をして不動産購入に用いるケースが考えられます。このケースは実際の生活の中でも結構多く発生する可能性が高いので、知っておいて損はありません。

このケースで得られる追加控除金額は、取得する住宅の性能や時期によって異なってきます。省エネルギー住宅や耐震性が高い住宅の場合は控除額が多くなったりと細かい規定が定められています。詳しくは国税庁に確認する必要があります。

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贈与財産額②現金の贈与を受けた場合

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ここでは、現金の贈与について説明をします。土地やマンションなど不動産の場合にはその金額を確認することが必要になりましたが、現金の場合は贈与の金額がそのまま贈与税計算の対象になるので、分かりやすいです。

現金贈与の場合にもいろんな特例制度が用意されていて、一定の目的と要件をクリアしていれば、通常の基礎控除金額に加えて追加控除を受けることができるので、十分に内容を理解しておきましょう。

教育資金一括贈与

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現金贈与の場合の特例として、教育資金一括贈与が挙げられます。これは、父母からその子供に対してなど、直系尊属に対して行なわれる贈与のうち、教育費を目的としたものの場合は、基礎控除110万円に加えて、追加で1500万円の追加控除を受けることができるという制度です。贈与を受ける人の年齢が30歳未満という要件があります。

2019年3月31日までの期間限定の制度でしたが、2年間の延長が発表されています。ただ、対象要件に変更が見られ、かなり細かい要件が設けられているので、この特例の適用を受ける際には十分に内容をチェックしておく必要があります。

結婚・子育て資金一括贈与

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現金贈与の場合の特例としては、結婚・子育て資金一括贈与もあります。これも教育資金の場合と同様、直系尊属に対する現金贈与で、その目的が結婚や子育てにかかる費用の資金とする場合に適用される特例制度です。

基礎控除110万円に加えて、追加で1000万円の追加控除を受けることができます。こちらも2019年3月31日までの制度でしたが、教育資金同様2年間の延長が発表されています。贈与を受ける人の年齢が50歳未満という要件もあるので注意してください。

贈与税の計算例①基本的な贈与の場合

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ここでは、贈与税の計算について、具体例を交えながら説明をしていきます。土地やマンションなど不動産の贈与の場合は特例制度などが多く金額の算定も複雑ですが、現金贈与の場合は受け取った金額が贈与税課税対象となるので、分かりやすいといえます。

贈与税の計算をする際に気を付けるべきことは、一般贈与の対象なのか、特例財産の対象なのかを判別することから始める必要があります。贈与税計算の基礎となる税率が異なってくるので注意しましょう。

全額一般贈与としての計算

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一般贈与と特例財産贈与での贈与税計算結果の差を明瞭にするため、今回は贈与額が600万円のケースを例にして贈与税を計算してみます。まず全額一般贈与に該当する場合の贈与税の金額は次の通りです。(600万円-110万円)×20%-25万円=73万円となり、73万円が贈与税となり、納付をする必要が生じます。

600万円受け取ったうち、73万円を納税しないといけないことになります。これは、贈与を受けた金額の一割以上の負担となりますので、相当大きな負担となってしまうのが贈与税の特徴です。特に一般贈与は負担の割合がとても大きいので注意しないといけません。

全額特例財産としての計算

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上記と同様の条件で、全額特例財産に該当する場合の贈与税の計算をしてみます。贈与税計算式は次のようになります。(600万円-110万円)×15%-10万円=63.5万円となり、63万5千円の贈与税が課されることになります。

一般贈与で計算した贈与税額と比較すると、9万5千円の贈与税額の差があります。いかに一般での贈与税額の負担が大きいかがわかります。親族以外から贈与を受けるケースというのは通常はそれほど多くないですが、贈与税の面で負担が大きくなるので、利用する際には注意しましょう。

贈与税の計算例②マンションの場合

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ここでは、マンションの贈与を行なった場合の贈与税について解説していきます。マンションの贈与の場合の贈与税を考える際には、いろんな特例に配慮して、該当するかどうかを判断することが重要です。また、マンション自体だけではなく土地の評価についても配慮する必要がありますので、現金にかかる贈与税に比べて複雑な内容になります。

一般税率と特例税率

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土地やマンションなどの不動産の贈与税を考える際にも、一般贈与か特例財産贈与の分類を最初に考える必要があります。税率は現金の贈与の場合と同様に適用され、贈与税が計算されます。贈与税計算自体は現金の場合と同様ですが、土地やマンションなど不動産の場合の贈与税を考える際にネックとなるのが、他の特例制度との兼ね合いです。

相続時精算課税制度と配偶者控除

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土地やマンションなどの不動産の贈与税を考える際に、まずは相続時精算課税制度を適用するかどうか検討する必要があります。これは、60歳以上の父母から20歳以上の子か孫に土地やマンションなどの不動産を贈与する場合に適用されるものです。父母が無くなったときに申告する相続税計算の際にまとめて累計することができる制度です。

相続税の基礎控除や税率の低さは、贈与税と比較すると相当優遇されているといえます。贈与税として計算すると相当大きな税額負担となるところ、この制度を利用することで大きなメリットを享受できます。かならず確定申告をする必要があります。

また、配偶者に土地やマンションなどの不動産を贈与する場合は、贈与税計算上配偶者控除が適用されます。婚姻期間が20年以上の配偶者から土地やマンションなどの不動産を贈与された場合、追加で2000万円の控除が受けられます。

マンションの建つ土地の評価額

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土地やマンションなどの不動産にかかる贈与税を考える際に考慮するべきポイントとして、マンション自体の価値に加え、土地の評価額も考慮する必要があります。路線価が定められている場合は、路線価にマンション全体の敷地面積を乗じ、さらに自分が保有する土地の持分を乗じることで、土地の評価額が算出されます。これを申告の際に利用します。

建物の評価額と土地の評価額を加える

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マンションの贈与税を考える際には、建物と土地を分けて計算する必要があります。建物の方の金額は、固定資産税評価額と同様となります。土地の価値も上記のように持ち分比率で評価額を計算して贈与税申告の際に加算する必要があります。

ただ、マンションの場合は固定資産税納税通知書と同封して受領することになる固定資産税・都市計画税課税明細書を見ると一目瞭然です。これに記載されている固定課税標準額が各戸ごとの評価額となります。これをベースに贈与税を計算し申告すれば問題ありません。

生前贈与をする際の注意点

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ここでは、贈与税の申告における注意点について説明をします。贈与税及び相続税の対象とならないと思っていても、実は課税対象の事項だったと勘違いしやすい事例について解説します。申告漏れと認定されると、予想外に大きな負担を強いられてしまうので、十分に内容を理解し、正しい贈与税申告をするようにしましょう。

1.連年贈与

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贈与税で注意するべき事項の第一として、連年贈与があります。これは、一年間で贈与税の基礎控除額が110万円あるということを利用し、毎年100万円以上110万円未満の金額を贈与し、これを10年間継続した場合です。開始当初から計画的に贈与をしたとみなされてしまい、贈与税を納付する義務が課されることになってしまいます。

2.名義預金

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贈与税で注意するべき事項の第二として、名義預金という項目があります。これは、例えば父母がその子本人の意思なしで、つまり父母の独断で子の名義の口座を開設し、現金を貯蓄していき、ある時通帳と印鑑を子に渡すというのは、贈与税の対象となります。名義が子の分だから問題ないという判断は誤りです。

3.亡くなる前3年以内の生前贈与は相続税の課税対象

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贈与税で注意するべき事項の第三として、贈与した方が亡くなった場合、亡くなる年度から3年前までに贈与をした金額は相続税の対象となる規定があります。贈与税を納付している場合は、相続税から税額控除できますが、110万の非課税枠の範囲で贈与していた場合、全額相続税の対象となってしまうので、注意が必要です。

贈与税は受け取る品物によって計算方法が違う

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ここまで、贈与税の計算方法や、贈与税を申告する際の注意点などについて解説をしてきましたがいかがでしたでしょうか。現金だと明らかに受取金額が算出できるのでわかりやすいですが、不動産の場合は判断が難しい面があります。また、同じ現金の贈与でも目的によって特例制度があるので、十分に活用して効率よく資産譲渡を進めましょう。

yokatayama
ライター

yokatayama

サラリーマンとして得た知識と経験でわかりやすい記事を提供していきたいです。インターネット上にあふれる情報は信ぴょう性を確認することが難しいですが、可能な限り正確で時節に応じた内容の文章を提供します。

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