「名残惜しい」の意味とは?使い方の例文・類義語・語源などを紹介!

「名残惜しい」の意味とは?使い方の例文・類義語・語源などを紹介!

『名残惜しい』の語源はある夏の風物詩が関わっていることをご存知ですか?意外な語源を持っていたり、想像よりもネガティブな意味を持つ『名残惜しい』という言葉について、使い方や例文を用いながら類義語や対義語などの意味もご紹介もします。

記事の目次

  1. 1.「名残惜しい」の意味
  2. 2.「名残惜しい」の語源
  3. 3.「名残惜しい」の類義語と意味
  4. 4.「名残惜しい」の対義語と意味
  5. 5.「名残惜しい」の使い方と例文
  6. 6.「余波」は「なみのこり」の音変化
  7. 7.「名残惜しい」は別れることが辛いことを意味する

「名残惜しい」の意味

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『名残惜しい』とは、誰もが感じる寂しさや辛さを表現する一つの言葉です。人と離れることの寂しさだけでなく、物事に対しての別れでも使われます。時には後悔という言葉にも繋がる『名残惜しい』という言葉の意味や、使い方をご紹介していきます。類義語や対義語なども順にご紹介しますので、ぜひこの機会に覚えてみてください。

意味①別れることが辛い

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『名残惜しい』と言われたり、『名残惜しい』と思ったりすることで真っ先に浮かぶ意味は寂しいです。家族や恋人、友達と出かけていて時間が来ると別れなければいけない時があります。まだこの時間を過ごしていたいと思うことこそが、辛い、寂しい、名残惜しいという意味です。

人だけでなく、物事に対する場合や、場所に関することでも使うことができます。「もう少しここにいたい」という気持ちにも『名残惜しい』と言えます。

意味②未練がある

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寂しいと思うことは、未練があるということにつながります。まだ一緒にいたかった、もう少しで仕事が終わったのに、と思うことは未練を意味しています。名残惜しいという言葉は、未練があることを意味しているのでポジティブな印象を持たせません。未練は後悔にもつながるので、寂しさを意味する場合に使うよりもネガティブな印象を持ってしまいます。

『名残惜しい』と感じると吹っ切るまでに時間がかかります。未練は簡単に断てないのと同様に、『名残惜しい』もまた、簡単に吹っ切ることができません。

「名残惜しい」の語源

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名残惜しいとは寂しさや未練がある意味を持っています。そんな『名残惜しい』という言葉ですが、実はある言葉が語源になっています。『なごり』を漢字に変換した時に、二つの漢字が候補として出てきます。そのうちの一つは『名残』です。そしてもう一つが『余波』という漢字です。この『余波』という漢字が、名残惜しいの語源につながります。

余波が変化してできた言葉

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余波と書いて『なごり』もしくは『よは』と読みます。余波は、波が打ち寄せた後に残る海藻などを表していて、砂浜や渚に残るものを意味しています。強い風が収まっても、まだ波が収まらないような状態にも使われる言葉です。何らかの影響で状態が悪化して、その原因が収まってもなお、荒れてしまった反動で波はすぐに収まらないという意味です。

もともと余波は『なみのこり』と読まれていて、それが『波残り』と変化し、なごりと読む『名残』や『余波』になったと言われています。言葉の使い方で意味と漢字を区別して『名残』と『余波』を使い分けることがあります。

余波は主に強風が収まっても波が収まらないような状況で使われます。名残も同じように使われますが、この名残には心残りを意味する使い方もあります。名残惜しいは心残りでもあるので、場合によって『名残』を心残りと同じ意味で使うことができます。

「名残惜しい」の類義語と意味

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『名残惜しい』という言葉にも対義語、類義語が存在します。まず初めに類義語からご紹介します。類義語なので、意味は似ていますが使い方が大きく異なることがあります。『名残惜しい』にはどのような類義語があり、どのような意味を持っているのかを、使い方や例文を用いながらご紹介します。

①心残り

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名残惜しいの類義語の一つ目は先ほども少し触れました『心残り』です。誰もが一度は感じたことがある身近な言葉であり、聞いただけで切ない気持ちを持ってしまいます。名残惜しいと共通する意味は『未練』という言葉です。『心残り』は未練がある時に使われる言葉なので、意味のほとんどを『未練』が占めています。

心残りという言葉の使い方ですが、「大切な友達と喧嘩したまま引っ越したのが心残り」という例文ができます。「友達と仲直りができなかった」などの気持ちで、悲しい意味を持ち、未練があることを表現する時に使う言葉です。

②断ち切れない

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二つ目の類義語は『断ち切れない』です。「断ち切れない想い」などの使い方をする人は多くいます。恋愛面で使われることが多い言葉ですが、実はこれも『未練』という言葉の意味が関係しているからなのです。断ちたくても断てない気持ち、忘れることができない想い人への『未練』の意味で使われます。

忘れられない気持ちを、『名残惜しい』という使い方をすることはありません。使い方の例文ですが「別れた恋人への気持ちが断ち切れない」という風に未練がましい時に使います。類義語で同じ意味を持っていても、使い方が全く異なることがわかります。

③後ろ髪を引かれる

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心残りと似た印象を持つ『後ろ髪を引かれる』という言葉ですが、実は『名残惜しい』と使い方が似ています。例文でご紹介しますと「後ろ髪を引かれるけれど、欲しい本を買うのを我慢した」というように渋々その場を離れ、未練を感じながらも諦めるという判断をしたことになります。

こちらも『名残惜しい』の類義語なので、未練が意味の大半を占めています。これまでにご紹介した類義語よりも、後悔に繋がるのが目に見えます。現在進行形で『諦めきれない』という気持ちが表立つ言葉です。ですが名残惜しい同様に、現在の未練を多く残しています。

先ほどの『断ち切れない』という言葉の意味と違い、その場で諦めてしまえば長時間の未練はありません。「あの時こうすればよかった」という意味よりは、「今こうしたかった」の意味を持つ言葉です。

④尾を引く

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『名残惜しい』の類義語について最後のご紹介です。これまで共通してきた意味は『未練』でした。これから紹介する『尾を引く』は少し意味合いや言葉の雰囲気が変わります。類義語なので意味は同じですが、例文にしてみると違いがはっきりと出てきます。

最初に『尾を引く』の言葉の意味ですが、これまでと同様に『未練』の意味を持っています。ですが物事から時間がたった後も残る依存的な意味です。これまでの類義語は現在進行形が多いですが、『尾を引く』は『断ち切れない』と同じようにその後に使う言葉です。例文を使って『尾を引く』の使い方をご紹介します。

「三年前の出来事が今でも尾を引いている」というような使い方があります。いまだに忘れることも、許すこともできない。という意味をもつ、名残惜しいよりも未練がある言葉です。執念深く未練が長く残る時に使う類義語です。

「名残惜しい」の対義語と意味

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続いて『名残惜しい』の対義語についてです。ネガティブな意味を持つ『名残惜しい』とは変わって、ポジティブな意味を持つ対義語の意味や使い方を例文を用いてご紹介していきます。

①清々しい

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名残惜しいの対義語である『清々しい』についてのご紹介です。字面を見てわかりますが、晴ればれとしていて対義語であることがすぐにわかります。この言葉には未練などのネガティブな意味を持っていません。もちろん対義語なので明るくスッキリとしたポジティブな意味を持っています。

未練がない、さっぱりとしている。などの後悔が全くないときに使う言葉です。例文ですが「雲一つない清々しい朝だ」のようにスッキリ、サッパリした使い方ができます。清々しい朝、清々しい表情、清々しい気持ち。などというように『気分がいい』ことを表します。

未練がないくらいにスッキリとしていたり、気持ちがよく爽やかだという意味を持っているので、後悔や未練とは対照的で無縁の言葉です。

②晴ればれ

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『晴ればれ』という言葉も名残惜しいの対義語になります。『晴れ』がついているのでポジティブな意味を予測することができます。晴ればれとは、空が澄み切っている状態を表し、意味も気持ちがさっぱりしている、などという天気の晴れを連想させる意味合いを持つ言葉です。

例文で『心が晴ればれしい』と使った場合、『一点の曇りもないスッキリとした気持ち』を表す意味になります。反対に『晴ればれとしない気分だ』と、『晴ればれ』を使った例文をネガティブな意味で作ることもできます。

名残惜しいの対義語でポジティブな意味を持っていますが、対義語でも使い方次第では意味も真逆になり、言葉そのものの良さが覆ってしまいます。意味が明るいだけに、反対の意味にすると暗さが際立ちます。

「名残惜しい」の使い方と例文

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続いて、名残惜しいの使い方と例文です。人生の中で『名残惜しい』という言葉を使う機会、感じる機会は多くあります。できるだけ感じたくない気持ちではありますが、残念なことに良い事ばかりではないので、その場面に沿って『名残惜しい』の使い方や例文をご紹介します。

①大切なものを手放す時

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大切なものを手放す時、一度は必ず躊躇います。大切なものだからこそ手放せないのは当然のことです。ですがどうしても手放さなくてはならない時があります。その葛藤こそが『名残惜しい』なのです。

『大切なものを手放すのは名残惜しい』『名残惜しいけれど手放すしかない』という風に例文ができます。名残惜しいとは未練があり躊躇っている時に使う言葉です。

②土地を離れる時

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住み慣れた土地を離れる時は惜しむものです。旅先で訪れた土地を離れる時でも惜しむことがあります。寂しさを感じ、とどまりたい気持ちを表す時に使う言葉が『名残惜しい』です。名残惜しいという一言で、寂しさや切なさが伝わります。

『育った町を離れるのは名残惜しい』という例文からは、故郷を離れる寂しさや愛しさが伝わります。故郷が好きだったというように伝えることができるので、名残惜しいという言葉は様々な気持ちを一言に乗せることができる使い方があります。ただ『離れたくない』や『寂しい』と伝えるよりも『名残惜しい』という言葉を使うだけで言葉の重みも増します。

③会合を切上げる時

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ものや土地、人との別れだけでなく、物事に対しても『名残惜しい』を使うことができます。会議や集会で話し合うことは多々あります。時間が迫っていて全てを話し合えずにやむを得ず会合が終わってしまうと、どうしても未練が残ってしまいます。その状況に使うことができるのが『名残惜しい』です。

『あのことを話し合えなかったことが名残惜しい』という例文のように、話し合えなかったことに対して未練がある状態で使うことができます。寂しさだけでなく、できなかったことへの未練を表現できます。

④人と別れる時

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『名残惜しい』と感じるのは人と別れる場合がほとんどです。下校時間になって友達と別れなきゃいけなくなった時、久しぶりに会った友人と別れなきゃいけなくなった時など、思う機会は多々あります。もう少し、と思っても時間は必ず訪れるものです。

「名残惜しいけれど今日はもう時間だから別れよう」と友人に伝えると、お互いに嫌な気分にならずに別れを切り出しやすいです。「寂しいけれど…」と伝えるよりも別れやすく、気分も悪くなりません。心の中で思うことがほとんどですが、口にだして伝えることができるのは『名残惜しい』の利点になります。

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「余波」は「なみのこり」の音変化

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ここで名残惜しいの語源である『余波』についてご紹介します。余波の読み方は二通りあり『よは』と『なごり』と読むことができます。ですが『なごり』は音を変化させた読み方です。余波とは波が押し寄せたあとの浜辺の様子を語源にしています。音変化、つまり言語変化される前は余波を『なみのこり』と発音していました。

しかし発音がしにくいために言語変化されて、今の『なごり』という読み方に変わったのです。時代によって発音がしにくいか、しやすいかは、人にも地域にもよるので一定の規律はありませんが、『なみのこり』は『なごり』へと変化しました。

音変化する前のなみのこりは、余波の語源である、波が打ち去った後の浜辺の様子をそのまま発音したものです。波の様子を語源にしたので『波の余り(なみののこり)』から『なみのこり』、発音しにくいので『なごり』と言い方が変わっていったことがわかります。

「名残惜しい」は別れることが辛いことを意味する

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これまで名残惜しいの意味や語源、類義語から対義語までご紹介してきました。名残惜しいとは未練があり、寂しい気持ちを感じ、スッキリしない気持ちを意味する言葉です。なので対義語ではスッキリとした意味を持つ言葉がたくさんでした。類義語は同じようにスッキリしない意味です。

真逆の意味でも使い方次第では似たような意味になったり、同じような意味でも使い方は全く違います。『名残惜しい』の意味は別れに対して主に使いますが、使い方によってはどの言葉よりも相手に気持ちを伝えることができます。

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『本当は別れたくないんだよ』という気持ちを伝えることが気恥ずかしい人もいます。その時は『名残惜しい』と会話に混ぜるだけで相手に正直な気持ちを伝えてくれるのです。別れることが辛いという気持ちは誰もが持っています。

その気持ちを一言で伝えてくれる『名残惜しい』という言葉は、語源である波打ちのように優しい印象を同時に与えてくれる繊細で綺麗な言葉です。

稀木瑞
ライター

稀木瑞

『好きなことを好きなだけ』をモットーに一日一日を過ごしてます。病弱のため人との交流や外に出かけることは多くありませんが、家の中でできる趣味や学びを楽しんでいます。楽器演奏や創作小説、外国語を覚えたりタロット占いを趣味としています。

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