尚(なお)の意味
尚(なお)という言葉はよく文と文の間を繋ぐのに使われる言葉です。主に論文やメール、本等の文字数の多い活字の読み物や演説やスピーチで使われることが多いです。普段何気なく使われる尚という言葉ですが、その言葉には様々な意味や使い方が存在します。この記事では尚(なお)という言葉について詳しく掘り下げていきます。
尚(なお)という言葉はよくニュースでアナウンサーが読み上げている文章や、新聞の記事でよく見かけます。読み手や聞き手に何かを伝えたい時に使われることが多い言葉です。
意味①副詞として用いる場合
尚(なお)という言葉には副詞としての使い方と接続詞としての使い方の二通りがあります。副詞としての尚(なお)には「以前より進行している」「更に付け加える余地がある」「強調する」「やはり」「あたかも」等、大きく分けると6つの意味があります。一般的に一番多い使い方は「依然として」「引き続き」としての使い方です。
尚(なお)という言葉を使う時は、前後の言葉に関連性があることが前提となっているので、全く関係のない内容が続くと文章がおかしくなってしまいます。
意味②接続詞として用いる場合
尚(なお)という言葉を接続詞として使う時は、主に前の文と後の文を繋ぐ時に使われます。より詳しく説明すると「あることについて述べた後に他のことを言い添える」時に使います。ちなみに尚(なお)を使わず別の表現をするのであれば「更に申しますと」「付け加えると」と表現します。
尚(なお)という言葉は接続詞の中で一番簡単に表現が出来る言葉なので様々な場面で使うことが出来る便利な言葉です。
尚(なお)の類語と意味
先ほど説明した通り、尚(なお)という言葉には様々な意味や使い方があります。しかし尚(なお)という言葉と使う場面が似ているが少し意味合いが違う類語もたくさんあります。尚(なお)とは少しニュアンスが異なり、使い方を間違えると違った伝わり方になったり、ちぐはぐな日本語になってしまいます。ここでは尚(なお)の類語をご紹介します。
接続詞は混同されやすい言葉なので間違って使われることも多いです。それぞれの意味をしっかりと理解して使い分けることで言葉による誤解を防ぐことも出来ます。
さらに
「尚(なお)」と「更に」は全く同じ意味を持つ類語です。どちらにも「付け加えて」という意味があり、接続詞として使われます。新しい情報を次々と話す時によく使われ、良い情報悪い情報どちらを話す時でも使うことが出来ます。尚(なお)の類語の中で一番意味が似ている言葉です。
ただし
尚(なお)と意味が似ている類語の1つに「ただし」という言葉があります。この言葉が尚(なお)と違う点は、使う目的による違いです。尚(なお)には「前の言葉に続いて」という接続詞としての意味がありますが、「ただし」には「前の言葉を打ち消して」という意味があり、使い方が異なります。
尚(なお)を使う場合は前の言葉に続いて次の言葉入りますが、「ただし」を使う場合は前の言葉を一旦否定して、その後次の言葉が続きます。
しかも
尚(なお)の類語の1つに「しかも」という言葉があります。「しかも」には前の文で説明したことを更に強調する意味があり、何かを強くアピールしたい時に使われる類語です。尚(なお)の接続詞としての意味ととても似ていますが、「しかも」の方がより相手に強くアピールしたい時に有効な言葉です。
いっそう
「いっそう」には「物事の状態が一段とすすんでいく様子」という意味があります。尚(なお)は状態が変わらない様子を表現する時に使う言葉なのに対して、「いっそう」は状態が進んでいる様子を表現する時に使う言葉なので、両者の意味は似ていますが少しニュアンスが異なっています。
また、「なおいっそう」という言葉もあり、この言葉を使う時は物事の進行や程度の具合が激しい時によく使われます。
ちなみに
「ちなみに」という言葉は前の文で述べた内容の本筋とは外れたことを付け加える時に使われる言葉です。「付け加える」という点で尚(なお)の接続詞としての使い方と意味が似ていますが、前後の内容に関連性がある無しに関わらず使う言葉が尚(なお)なのに対し、「ちなみに」は前後の内容に関連性が無い場合にのみ使われる言葉です。
後の文で追加する情報の関連性の有無という点で尚(なお)と「ちなみに」には大きな違いがあります。
尚(なお)の使い方
ここでは尚(なお)という言葉の使い方をご紹介します。尚(なお)という言葉を使う時は副詞としての使い方と接続詞としての使い方で方法が異なります。口頭でも文章でも使うことが出来るので使いこなせればとても便利な言葉になります。尚(なお)という言葉は便利な反面間違った使い方をすると意味の伝わり方が変わるので注意が必要です。
付け加えという意味で使用
尚(なお)を使う時は主に前の文にプラスして何かを補足したり新しい情報を続ける場合に使われます。なのでそれまで説明してた内容と全く関係のない事や、関連性の薄い内容の話を続ける時には使うことが出来ません。あくまで前の文に関係のある内容に限ったことのみに使うことが出来る接続詞です。
尚(なお)の例文
ここでは尚(なお)という言葉を使った例文とその意味をご紹介します。尚(なお)という言葉はそれ自体にたくさんの意味を持っており、その意味毎で使い方が変わります。副詞としての意味で使うのか接続詞としての意味で使うのかで使用する場面が異なるので使う際は正しい意味を理解して使わなければなりません。
尚(なお)の意味はしっかりと理解していないと使い方を間違いやすく、相手に誤解を招いたり文章がおかしくなったりしてしまいます。
尚(なお)の副詞としての例文と接続詞としての例文それぞれをご紹介します。日常でもよく使う言葉が故に使い過ぎると肝心の伝えたい内容が伝わりにくくなってしまうので注意するようにしましょう。
前の状態に追加する場合
尚(なお)の使い方の1つに、前の状態に追加する場合があります。例文としては「今回は無料です。尚、会員登録をすれば次回も無料です。」等、基本の情報にプラスして新しい情報を付け加える時に使います。また、あえて尚(なお)を使うことで伝えたい内容を相手に強く印象付けることも出来ます。
前の状態に追加する場合の他の例文もご紹介します。「尚、この案件に関しては他言無用でお願い致します。」「商品の詳細については箱の裏に記載しております。尚、同梱の説明書には使い方も記載しております。」
状態が変わらないこと
尚(なお)の使い方には状態が変わらないことを伝える場合もあります。例文の1つとしては「犯人は現在尚、捕まっておりません。」というように前の内容が依然として続いていることを指す時に尚(なお)という言葉が使われます。ここでの尚(なお)には「引き続き」「依然として」という意味があります。
継続しているという意味で使う尚(なお)の他の例文をご紹介します。「お部屋は今も尚、満室です」「現状は尚、変わらない状態です」。
また、文章に尚(なお)が多くなりそうな場合は他の類語を使うと違和感のない文章になります。あまりに尚(なお)の頻度が高すぎると伝えたい意味が分かりにくくなっていまいます。「依然として」「やはり」等の類語も上手く活用しましょう。
尚(なお)と「また」の違い
尚(なお)と似た意味を持つ言葉に「また」があります。「また」という言葉は尚(なお)の類語として代用することが出来るので文章のマンネリ化防止にも役立ちます。使い方も尚(なお)と同じで、尚(なお)そのまま「また」に差し替えるだけでも意味は伝わります。ここでは尚(なお)と「また」の違いをご紹介します。
同義語として使用可能
尚(なお)と「また」は同じ意味を持つ類語同士です。両者共に「前の状態に追加して」という意味を持っており、文章で使うタイミングも同じです。しかしこれは尚(なお)という言葉の副詞として意味でのみ使うことが出来ます。接続詞としての意味では「また」を使うことは出来ません。
話の内容によって勘違いされる事も
「また」には他の意味があり、「他と比べて」「もしくは」という意味もあります。なので使い方によっては相手に違う意味で捉われる場合があります。特に会話で「また」を使う場合は「または」と聞き取られることもあります。尚(なお)の類語として便利な「また」ですが使いどころには注意が必要です。
「また」という言葉は、前の文に続けて他のことを加える時に使われる言葉です。一方、尚(なお)は前の文に補足を付け加える時に使われる言葉なので、後に続ける言葉と前の言葉に関連性があるかないか、という点で両者は意味合いが異なります。
尚(なお)の英語表現
尚(なお)を英語で表す時にはどのように表現したらいいのでしょうか。尚(なお)には様々な意味があり、それを英語で表現する場合、表現する単語はその意味や使い方によってたくさん存在します。ここでは尚(なお)という言葉を英語で表現する時の単語とその類語、例文をご紹介します。
still
「still」には尚(なお)の副詞としての「依然として」の意味での英語表現です。英語の比較級を強める時や物事の状態が続いている様を伝える時に使います。例文をいくつかご紹介します。「I've practiced a lot,but I still miss the ball」(かなり練習しても尚、ボールを取り損なってしまう。)。「That's still better」(そのほうが尚良い)。
furthermore
「furthermore」には「さらに」「尚」「そのうえ」という意味が込められています。この単語では尚(なお)の接続詞としての意味を英語表現したものになります。前の文に補足する場合に使われる言葉です。「furthermore」の類語には「in addition」「besides」等があります。
「furthermore」を使った例文をいくつかご紹介します。「Furthermore,this is free」(尚、これは無料です)、「Furthermore,we had a barbecue」(さらに私達はバーベキューをしました)。
yet
「yet」には「まだ」「尚」「今なお」という意味があります。「yet」も尚(なお)と同じ意味を持つ英語表現ですが、他の単語と違いこの単語は否定文や疑問詞でよく使われる言葉だということです。否定的な内容を説明する時や相手に疑問を投げかける時の接続詞や副詞として「yet」が使われます。
「yet」を使った例文をいくつかご紹介します。「She's talking yet」(彼女は今尚、しゃべり続けている)、「Much yet remains to be done」(今尚やるべきことがある)。
似ているが違う、尚(なお)が入った言葉
尚(なお)が入った言葉は他にもありますが、それはまた違う意味の言葉です。「尚且つ」「尚更」等があり、とても似ている言葉ですが意味は異なります。混同して使わないようにしましょう。ここでは尚(なお)に似た「尚且つ」「尚更」という言葉の意味と尚(なお)との違いをご紹介します。
尚且つ
「尚且つ」の意味は「その上」「それでもまた」「さらに」です。「尚」と「且つ」が合わさった言葉で、「且つ」には「前後の言葉をつばぎ合わせてどちらも尊重する」という意味があります。なので「尚且つ」を使う時は「現在の状態が続いていながら更に」と、現状の説明をしながらそのことについて尊重する時に使う言葉です。
尚(なお)と「尚且つ」の違いは、前後の文を繋げる時に、そのことについて敬う姿勢があるかないかの違いがある点です。
尚更
「尚更」には「今までに増して」という意味があります。尚(なお)の「付け加えて」という意味とは少しニュアンスが異なります。「尚更」は前の文を受けて、余計に物事の程度が以前より進行することを伝える時に使う言葉です。「尚更」の類語には「ますます」「一層」等があります。
例文としては「それなら尚更早く行くべきだ」「薄着のままだと尚更風邪がひどくなってしまうよ」等、相手に忠告や注意をする時によく使われます。
尚(なお)は強調の意味で使用される言葉
尚(なお)という言葉は、副詞と接続詞の使い方があり、それぞれで意味合いに違いがある言葉です。上手く活用すれば相手に何かを強くアピールしたい時や、大事なことを伝える時に有効な言葉となります。しかし、文章によっては違う表現でないといまいち意図が伝わらなくなる場合もあるのでその場に合った言葉遣いをする必要があります。
正しい意味と使い方、他の類語との違いを踏まえた上で、尚(なお)を上手く活用して相手とのコミュニケーションを円滑にしましょう。