「生きざま」の意味・使い方とは?類語・例文や死にざまとの違いも紹介!

「生きざま」の意味・使い方とは?類語・例文や死にざまとの違いも紹介!

人を讃える言葉として使われる「生きざま」。それとなくイメージは付くものの、本来持つ意味や使い方はどのようなものでしょうか。「死にざま」と比較しつつ、類語や例文、歴史上の人物の人生観を通じて様々な角度から「生きざま」について着目します。

記事の目次

  1. 1.「生きざま」の意味とは
  2. 2.「生きざま」の類語
  3. 3.「生きざま」と「死にざま」の違い
  4. 4.生きざまが格好いい歴史上の人物
  5. 5.生きざまを題材にした本
  6. 6.「生きざま」とは自分らしい生き方のことを言う

「生きざま」の意味とは

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ニュース番組や書籍などでよく目や耳にする「生きざま」という言葉。響きから理解したつもりで使ってしまうと相手を不愉快な思いにさせてしまう可能性があります。

ではTPOをわきまえた正しい使い方とはどのようなものでしょうか。これより「生きざま」の本来持つ意味や言葉の成り立ちを例文や類語と併せてご紹介します。

「生きざま」は「死にざま」の派生

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「生きざま」を辞書で開くと「その人が生きていく態度・ありさま。生き方。」と書かれています。実のところ、「生きざま」という言葉は従来存在しておらず、「死にざま」から連想して出来た言葉と言われています。

「生きざま」の「ざま」とは連濁表現によるもので「ざまあみろ」などの否定的な意味合いの表現とは異なります。しかし中には「人の過ごしてきた無様な生き方。」という相手を侮辱するような表現に聞こえる場合もあるため使用するには十分注意が必要です。

ニュース番組などで歴史上名を残した偉大な人物や大きな功績を挙げた人々を称える意味合いでこの言葉を聞く機会が増えました。その一方で「死にざま」の転用で使われる正しくない表現であると違和感を覚える人がいることも現実です。

「生きざま」の類語

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以上のことからも「生きざま」は肯定的な表現として使用されているのに対し、受け手には好ましくない意味合いとして捉われることもあり、使い方には細心の注意が必要ということが分かります。

正しい知識を持って言葉を用いることはもちろんのこと、時と場合により言葉を置き換えることが重要です。ここからは「生きざま」の相応しくない使い方や置き換えられる類語について説明します。

「生きざま」は失礼な言葉?

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目上の人に対して「生きざま」の言葉を使うことは適切ではありません。一見尊敬している人の生き方を賞讃する意味合いでも使用できそうですが、不適切である理由としてすでに上記で述べたような内容が挙げられます。

「生きざま」の「ざま」はもともと濁点のない「さま」であり、「在り方、姿、様子」という意味の言葉です。濁らずとも成り立つ言葉が濁点を帯びることで、語感の悪さから否定的な意味合いを連想させることもあります。そのため敬意を表す使い方としては不適切であると言えます。

生き方

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「生きざま」の類語として「生き方」が挙げられます。「生き方」とは「生活の方法や人生に対する態度」という意味で、使い方によって日常から人生観まで幅広く表現できるのが特長です。

例文を挙げるとすれば、「~さんの言葉にこそ、そのストイックな生き方が表れている。」というような使い方があります。

他にも「生きよう」が類語として置き換えが可能です。どちらの類語にも否定的な意味合いは含まれないため、誤解を招く心配がありません。

壮絶な・波乱万丈の

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シンプルに人生に対して向き合う姿勢を表現するには「生き方」が適しますが、身を削る思いで苦難を乗り越えた人生を形容するのには「壮絶な」や「波乱万丈の」といった類語を用いるのが良いでしょう。

ここでも例文を挙げると「~さんの波乱万丈の人生から多くのことを学ばせて頂きたい。」のような表現に用いることができます。このような類語を用いることでその方の人生に対するひたむきさがより伝わりやすくなります。

以上で挙げた類語はほんの一部ですが、TPOによってこれらの言葉を使い分けることでスムーズなコミュニケーションを図ることができます。

「生きざま」と「死にざま」の違い

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冒頭で「生きざま」は「死にざま」より派生した言葉である点をお伝えしましたが、この二つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの適切な使い方と例文を紹介します。

「生きざま」は「その人の生きていく有り様や生活態度」を表す言葉であるのに対し、「死にざま」は「その人の亡くなる時の様子やまさに亡くなる時のこと」を表す言葉です。

これらを踏まえた上で、「生きざま」と「死にざま」それぞれの具体的な使い方や例文はどのようなものか見ていきましょう。

「生きざま」と「死にざま」の使い方

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「死にざま」は生きている人に対して使用することはできません。誤ってこの言葉を使ってしまった場合、その人の最期を連想させるような言葉となってしまいます。

「死にざま」の例文を挙げると「彼の名前が歴史に刻印されたのは、その死にざまが立派だったからだろう。」というような表現があります。

それに対して「生きざま」は生死に関わらず使用することができます。また自身の生き方について用いることはなく、他者に向けて使用するのが正しい方法と言えます。

「生きざま」を使った例文

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ここでは「生きざま」という言葉の具体的な例文をいくつかご紹介します。「生き方」や「壮絶な、波乱万丈な」といった類語で挙げられている例文と比較することでもその言葉の使い方や違いへの理解が深まります。

「曾祖父が今も尚忘れられない存在であり続けるのは、どんなことにも真摯に向き合うその彼の生きざまが多くの人々の心を捉えるからだ。」「力強い筆使いや彩り豊かな色使いは、まるで彼自身の生きざまがこの作品に描かれているようだ。」

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これらの例文を見ても分かるように基本的に他者の人生や考え方や信念を表現するときに使用され、自身に用いられることはありません。

「生きざま」の言葉を用いるときは他者から見た人生観であり、自身の人生は背中で見せることで体現するのが相応しいと言えるのではないでしょうか。

生きざまが格好いい歴史上の人物

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これまで「生きざま」の具体的な使用場面や使用方法についてお伝えしてきました。ここからはかつて日本を切り開いてきた3名の人生観に触れることを通じて、語るに足る格好いい「生きざま」とはどのようなものかご紹介します。

土方歳三

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土方歳三(ひじかた としぞう)は江戸時代、京都警備のために作られた集団である「新選組」の副長を務めた人物として知られています。農民生まれで幼くして両親を結核により失い、次兄の喜六とその妻のなかによって養育されました。

行商販売などの仕事に就きながら武術に励み、武士になることを夢見ていました。しかし当時身分制度が厳しく階級を超えた身分や職業に就くことは不可能と言われる時代でした。

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そんなさなか、幕末期になると「八月十八日の政変」での浪士組の活躍が評価され、土方は新選組の仲間入りを果たしました。これは紆余曲折しながらも、幼いころから決して諦めずに情熱を持ち続けたからこその実現ではないでしょうか。

土方は新選組の副長として時には「鬼」と呼ばれるほど自身と組織を厳しく規律し、忠実であり続けたその姿勢はまさに「生きざま」を語るに足る人生であったと言えるでしょう。

弁慶

武蔵坊弁慶(むさしぼう べんけい)は平安時代末期、源義経に仕えた人物として知られています。弁慶の生涯は「義経記」を中心とした書物に記されており、生年や生い立ちなどの詳細は定かではありません。気の荒い性格で乱暴ばかり働いていた弁慶は、千本の太刀を奪おうと京で悲願を立てます。

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道行く人を手当たり次第に襲っては太刀を奪い、千本まで残り一本のところまできたとき、源義経と出逢います。弁慶は最後の一本を懸けて義経に挑みかかりますが、軽々とした身のこなしで返り討ちにされてしまいます。

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弁慶はこれ以降、義経の家来として生涯を捧げることを誓い、忠臣としての使命を全うしますが、その最期は押し寄せる敵から無数の矢を受けて仁王立ちのまま息絶えたと伝えられています。自らの身を盾にしてまで主君を守らんとするその「死にざま」は彼の忠誠心溢れる姿が体現されています。

野口英雄

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野口英世(のぐち ひでよ)は明治時代の医師、細菌学者です。幼いころの不慮の事故で左手に障害がありました。その障害により家業である農業が継げないと考えた野口の母は、学問で身を立てさせてやるべく、勉学に集中できるよう全面的にサポートしました。

幸いにも恩師や友人たちの援助により左手の手術が実現し、不自由ながらも両手が使えるようになりました。この手術で医学の素晴らしさに感動し、自らも医師の道に進むことを決意したのでした。

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野口は記憶力や集中力に長けており、医師開業試験をわずか1年で取得するという偉業を成し遂げました。その後世界中で研究に励み、ノーベル賞の候補に上がるまでの功績を残しました。

西アフリカで黄熱病の研究中に感染し、51歳という若さで亡くなりました。彼の人生は挫折も多くあったものの、大事な節目ごとに手を差し伸べてくれる恩師・友人・家族のサポートがあったからこそ成し遂げられた人生であったと言えます。

生きざまを題材にした本

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あらゆる「生きざま」に触れる身近な手段の1つとして読書が効果的です。歴史書や小説などの書籍はや歴史上の人物から世界的な偉人まで様々な「生きざま」に触れることができ、自身の引き出しを増やすことが叶います。ここでは「生きざま」を題材にしている書籍をご紹介します。

生きざま 私と相撲 激闘四十年のすべて

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横綱として数多くの記録を残し、引退した現在も相撲部屋の師匠や財団法人日本相撲協会理事を務める貴乃花光司(たかのはな こうじ)氏が著した自伝です。一見華々しく見える彼の相撲人生の光と影。角界入りしても心の中に生き続ける父の言葉。

貴乃花氏の横綱になるまでの経緯やあらん限りの時間と身を相撲に捧げてきたその生涯がありありと明かされています。相撲に馴染みのない方でも普段明るみに出ることのない相撲界の神聖さや厳しさを知る良いきっかけとなる一冊です。

龍馬の生きざま

Photo by shinji_w

安部龍太郎氏(あべ りゅうたろう)や隆慶一郎氏(りゅう けいいちろう)など複数の著者により著わされた坂本龍馬没後150年の特別企画です。今は亡き存在になってもなお、日本中でその名が知られている彼の生涯を改めて見つめなおす作品となっています。

坂本龍馬は江戸時代、尊皇攘夷の風潮が吹き荒れる中、幕府を倒すために成立した薩長同盟に深く関与した人物として知られています。また誰よりも早く海外貿易の重要性に気づき、海援隊を組織することにも貢献しました。

その先見性と行動力の高さこそ彼が時代を超えて人気を誇っている所以ではないでしょうか。本書では彼の妻や姉、暗殺犯の今井信郎、人斬り以蔵らなど龍馬と深く関わりのあった人々の視点から書かれており、従来とは異なった角度で彼の「生きざま」が著わされている点が特徴的です。

燃えよ剣 上・下巻セット

Photo by sayo-ts

司馬遼太郎著作の土方歳三の生涯が描かれた長編歴史小説です。これは数多くある司馬文学の中でも代表作と言えます。

今では多くの人々が魅了される土方歳三や彼の所属する「新選組」の生きざまも、かつては貶められることも多かったと言われています。己の役割や使命を果たすべく、多数の志士を斬り、「逆賊」と見なされていたからです。

しかし、この作品をはじめ数多くの著作や映画を通じて再評価される機会が生まれ、現代の人々の心を掴んだといった背景があります。本書は歴史書ではなく小説として書かれているため、時代背景に精通していない方でも楽しむことができる作品です。

生きざま死にざま(男のVシリーズ)

Photo by sayo-ts

この本は三國連太郎氏の生涯が書き著された一冊です。三國連太郎は個性派俳優として180本余りの映画出演を果たし、日本映画を牽引してきた人物として知られています。また、役作りのために上下の歯を10本麻酔をすることなく抜いたエピソードは有名であり、彼の役者魂を体現しています。

本書では部落出身による差別、戦争体験、「虚」の自分を演じ続けなければならない役者としての人生の歩みなど、様々な角度から自ら生きてきた軌跡を赤裸々に伝えています。「他力を生きるということは自律して生きること。」これは本書の中の彼の生きざまを表す一文です。

「生きざま」とは自分らしい生き方のことを言う

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私たちは年齢を重ねていくにつれて社会の常識に囚われ、無意識のうちに狭い世界の中で生きようとします。はたしてそのような生き方が人生を全うしていると言えるのでしょうか。

これまでご紹介した偉人の生きざまから見えてくることは、自分の置かれている環境や常識に囚われず成し遂げたいことや信念に一貫しているという点です。逆境の中でも障壁に対して乗り越えようとするのか、早々と諦めてしまうのか、その境界線はどれだけ情熱を持っているかで決まります。

情熱とは一心不乱に取り組む熱意のことで、自分の心の底から好きだ思えることやワクワクすることでなければ情熱は生まれません。他者からの評価や常識に囚われず、自らの心の赴くものに打ち込むことは「自分らしく在る」ということです。

今一度心の底に眠っている本当は成し遂げたいと思っている目標や夢を思い描き、自分らしい「生きざま」を問い直してみてはいかがでしょうか。

kayaka89
ライター

kayaka89

毎日の習慣や気付きが人生を形作っていると感じています。何事にも好奇心を持って、失敗を恐れずにまずは挑戦してみる。そこには常識や固定観念を超えた新しい価値や概念が開かれるかもしれません。人々が人生をより良くするために何かしら行動するきっかけとなるような記事を届けたいと切に思いながら執筆を行なっています。

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