「発足」の意味とは?正しい使い方や読み方・例文・類語などを一挙紹介!

「発足」の意味とは?正しい使い方や読み方・例文・類語などを一挙紹介!

職場等のビジネスの場で使用される用語として、「発足」があります。この「発足」という用語は、ビジネス環境での使用が多いだけに、正しい意味や使い方を知らないと評価を下げることもあります。そこで「発足」の意味や、正しい使い方や読み方・例文・類語などを紹介します。

記事の目次

  1. 1.発足の読み方
  2. 2.発足の意味
  3. 3.発足の類語
  4. 4.発足・使い方例文
  5. 5.発足・対義語
  6. 6.現実にあった発足と設立の具体例
  7. 7.発足の意味は新しく事業等を立ち上げること

発足の読み方

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「発足」という用語は、様々な職場等のビジネスの場や、フォーマルな集まりやパーティーでのスピーチでも使用されます。特に、企業の管理職以上の方は、企業内外の会議やスピーチ等で使用しなければならないような機会があるかもしれません。そのような場面で、「発足」の意味や使い方や読み方を誤っては、評価を落としてしまうかもしれません。

「発足」に使用されている「発」の漢字は、例えば、「発行」(はっこう)、「発達」(はったつ)、「発電」(はつでん)等のように、「はっ」や「はつ」のように読む場合が多いです。したがって、「発足」を「はっそく」と読んだり、発音する方もいるようです。

そこで、「発足」の意味を紹介する前に、先ずは「発足」の読み方を、「字音」(漢字音)まで掘り下げて紹介します。

読み方の違いで意味も変わる

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日本における漢字の読み方として「字音」(漢字音)というものがあります。「字音」(じおん)は、古来、日本に伝来して国語化した漢字の発音です。その音の伝来した時代の新古や、その音のもとになる中国語の方言の違い等により、同一の漢字に複数の音が存在する場合が生じます。具体的には、古音、呉音、漢音、唐音のような種類があります。

「発足」という漢字表記に対して、一般的には、二通りの読み方があります。第一の読み方は「ほっそく」であり、第二の読み方は「はっそく」です。

実は、このような読み方の違いに応じて意味も変わります。言い換えれば、「ほっそく」と読む場合の意味と、「はっそく」と読む場合の意味は、相違します。

先ずは「ほっそく」と読む場合と「はっそく」と読む場合とについて、それそれ、より詳細に説明します。

①ほっそく

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「発足」の第一の読み方は、「ほっそく」です。「発足」の「発」は、日本の漢字音(音読み)の一つである呉音により「ほっ」と読んでいます。「ほっ」と読む言葉としては、他に「発起」(ほっき)、「発句」(ほっく)、「発端」(ほったん)等があります。

なお、呉音は、古く中国の南方系の音の伝来したものであり、仏教用語等として後世まで用いられています。呉音の例としては、「行」(ぎょう)、「男」(なん)、「女」(にょ)、「若」(にゃく)等があります。

②はっそく

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「発足」の第二の読み方は、「はっそく」です。「発足」の「発」は、日本の漢字音(音読み)の一つである漢音により「はっ」と読んでいます。「はっ」と読む言葉としては、他に「発行」(はっこう)、「発見」(はっけん)、「発進」(はっしん)等があります。

なお、漢音は、平安時代の初め頃までに、遣唐使や留学僧等により伝えられた、唐の都の長安の北方標準音に基づくものです。漢音の例としては、「行」(かう)、「男」(だん)、「女」(ぢょ)、「若」(じゃく)等があります。

発足の意味

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以上のとおり、「発足」という文字表記に対して、「ほっそく」と「はっそく」の二通りの読み方があります。そして、読み方に応じて意味が異なり、「ほっそく」と読まれる場合の意味と「はっそく」と読まれる場合の意味は、相違します。

テレビやラジオのニュース等の報道番組では、「ほっそく」と読まれる場合のほうが、「はっそく」と読まれる場合よりも多いのではないでしょうか。このことは、テレビやラジオのニュース等の報道番組では、「ほっそく」と読まれる場合の意味で使用される場合が多い、ということを意味しています。

以下、「ほっそく」と読まれる場合の意味と、「はっそく」と読まれる場合の意味をそれぞれ説明します。

意味①ほっそくの場合

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「発足」を「ほっそく」と読む場合、「発足」の意味は、「組織や機関や機構等が設けられ、その活動を始めること」というような意味です。例えば、「社内に新規事業推進本部が発足する」、「有識者による諮問機関が発足する」、「本日、社内に不良製品発生の原因を調査する緊急プロジェクトチームが発足した」というように使用することができます。

意味②はっそくの場合

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「発足」を「はっそく」と読む場合、「発足」の意味は、「出発すること」というような意味です。例えば、「京都に向かって発足する」というように使用することができます。

実際の使用例としては、明治時代から昭和時代の頃の小説中で使用されている場合があります。例えば、「午食して発足す」(大町桂月の「十和田湖」)、「力無く故土に向けて発足する」(太宰治の「竹青」)等があります。これらの使用例における「発足」の意味は、出発するという意味です。

発足の類語

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「発足」を「はっそく」と読む場合、「発足」の意味は、「出発すること」というような意味ですので、このような意味に基づく類語としては、例えば「出発」や「出立」が挙げられます。

これに対して、「発足」を「ほっそく」と読む場合、「発足」の意味は、「組織や機関や機構等が設けられ、その活動を始めること」というような意味です。したがって、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」は、ビジネスの場で使用される可能性が極めて高い、ということを意味しています。

したがって、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の類語と、それらの意味について知ることは、ビジネスマンにとって極めて重要なことです。​​

ほっそくと読む場合の似た言葉

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「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の類語(特に、初めて何かを始める行為というような点に着目した類語)としては、複数の類語を挙げることができます。例えば、 創始 、開元 、設立 、創立 、設置 、 草創 、開設 、創設、創業等を挙げることができます。これらの類語は、何かを始めるという共通の意味を有しています。

以下に、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の類語の中において、ビジネスの面で特に関係の深い「設立」、「創立」、「創業」の各用語の意味について説明し、「発足」との相違点を明瞭にしてみます。

①設立

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「設立」の意味は、法人等の組織を新たに作り設けること、という意味です。例えば、「会社を設立する」というように使用されます。法人等の組織を設立するためには、設立行為が必要です。「設立行為」とは、法人の設立を目的とする法律行為であり、民法その他の法律に定める方式に従って行うものです。

これに対して、「発足」の場合、対象となる組織や機関等は、法的な設立行為を必要としないものを対象とすることができます。

対象が会社内の「新規事業推進本部」である場合、「新規事業推進本部」は、会社とは異なり、法人ではなく法的な設立行為は不要ですから、「新規事業推進本部を設立する」というよりも、「新規事業推進本部を発足させる」というほうが妥当です。

②創立

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「創立」の意味は、会社・学校等を初めてつくること、という意味です。例えば、「大学を創立する」、「創立記念日」等というように使用されます。会社や学校が対象となりますので、これらの場合には、「設立」の場合と同様に法的な条件を満たすことが必要です。

これに対して、「発足」の場合、対象となる組織や機関等は、会社や学校以外の「法的な設立行為を必要としないもの」を対象とすることができます。

また、「創立」は、「初めてつくる」という点に重要な意味があります。例えば、現在も存在する学校の中には、明治時代に創設された学校があり、学校の名称が時代と共に変更されたものもあります。そのような学校の創立は、学校が初めてつくられた明治時代当時になります。

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具体的には、現在の早稲田大学は、1882年(明治15年)に「東京専門学校」として創設され、1902年(明治35年)に「早稲田大学」へ改称されました。このような早稲田大学の創立は、「東京専門学校」として創設された1882年(明治15年)とされています。

そして、1902年(明治35年)に改称された「早稲田大学」は、1982年(昭和57年)に創立100周年を迎えました。この「創立100周年」の基準となる年は、「東京専門学校」として創設された1882年(明治15年)であり、「早稲田大学」へ改称された1902年(明治35年)ではありません。

③創業

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「創業」の意味は、事業を新しく始めること、会社や店を新しく興すこと、という意味です。例えば、「今年で創業して五十年になる」、「創業百周年」等というように使用されます。

これに対して、「発足」の場合、始める対象は、会社、店等のような事業以外の「法的な設立行為を必要としないもの」を対象とすることができます。

また、「創業」は、「新しく始める」という点に重要な意味があります。例えば、現存する会社の中には、昭和時代に創設された会社があり、会社の名称が時代と共に変更されたものもあります。そのような会社の創業は、会社が最初に新しく始められた(現在を基準とすると最も古い時の)昭和時代当時になります。

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具体的には、現在のパナソニック株式会社は、1918年3月7日に「松下電気器具製作所」として創設され、その後、2008年10月1日に「パナソニック株式会社」と変更されました。

そして、2008年10月1日に社名が変更された「パナソニック株式会社」は、2018年に創業100周年を迎えました。この「創業100周年」の基準日は、「松下電気器具製作所」として創設された1918年3月7日であり、「パナソニック株式会社」と変更された2008年10月1日ではありません。

発足・使い方例文

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以上のように、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の意味、「発足」の類語である「設立」、「創立」、「創業」の意味を紹介してきました。これらの用語の意味を理解して、「発足」の使い方をイメージすることができるようになったでしょうか。

次は、「発足」の意味についてさらに理解を深めることができるように、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の具体的な使い方例文を紹介します。以下の使い方例文を参考にして、独自の使い方例文を作り出すことによって、「発足」という用語の使い方を習得しましょう。

①企業内で事業部署を立ち上げる時

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企業内で事業部署を立ち上げる時は、「設立」、「創立」、「創業」ではなく、「発足」を使用することが妥当です。企業内の事業部署は、法的な設立行為を必要としないからです。

例えば、「当社は、従来、社外の販売代理業者に製品の販売を委託してまいりましたが、この度、社内に販売部門を発足させて、当社自らが製品の販売を行うことになりました」という使い方例文を挙げることができます。

また、「当社は、社内に、新製品開発部を発足させて、新製品の開発を強力に推進することになりました」という使い方例文を挙げることができます。

②新しい集まりを立ち上げる時

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企業とは無関係な領域において、同じ団地の住民によるサークル活動のような新しい集まりを立ち上げる時にも、「発足」を使うことができます。同じ団地の住民によるサークル活動のような新しい集まりは、法的な設立行為を必要としないからです。

例えば、「今般、当団地の敷地内の花壇を良好な状態で維持管理するべく、有志による園芸クラブを発足する運びとなりました」という使い方例文を挙げることができます。

また、「住民の健康を増進するため、早朝にラジオ体操を行うラジオ体操クラブを発足する」という使い方例文を挙げることができます。

③新規店舗や支店を出した時

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新規店舗や支店の出店は、通常は、会社を設立するものではありません。新規店舗や支店の出店については、「発足」を使用することができます。

例えば、「若者の需要を取り込み、売り上げを伸ばすことを目的として、原宿に新店舗を発足させる」という使い方例文を挙げることができます。

また、「この度は、御社のニューヨーク支店のご発足、まことにおめでとうございます」という使い方例文を挙げることができます。

発足・対義語

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以上のように、「発足」についてさらに理解を深めることができるように、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の類語とその意味や、「発足」の具体的な使い方例文を紹介しましたが、今度は類語とは逆の「発足」の対義語とその意味を紹介します。

「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の対義語とその意味も知っておけば、「発足」についての理解もより一層進むでしょう。次は、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の対義語とその意味について紹介します。

対義語の意味も知っておく

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「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の意味は、「組織や機関や機構等が設けられ、その活動を始めること」というような意味です。そうすると、「発足」の対義語は、「組織や機関や機構等が、その活動を終わること」というような意味を有する用語になります。

そうすると、「発足」を「ほっそく」と読む場合の「発足」の対義語としては、「解散」、「解団」、「解党」を挙げることができますので、これらの用語とその意味についても紹介いたします。

解散・解団・解党

活動を終わる対象が団体等の組織である場合、「発足」の対義語として「解散」を挙げることができます。「解散」の意味は、一般的には、団体等の組織を解き、なくすこと、という意味です。なお、活動を終わる対象が法人の場合の「解散」の意味は、法人が本来の活動をやめ、その財産関係を清算すべき状態に至ること、という意味です。

活動を終わる対象が団体である場合、「発足」の対義語として「解団」を挙げることができます。「解団」の意味は、団体を解散すること、という意味です。

活動を終わる対象が政党である場合、「発足」の対義語として「解党」を挙げることができます。「解党」の意味は、政党等が解散すること、という意味です。

現実にあった発足と設立の具体例

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パナソニック株式会社における、「発足」と「設立」の具体例を説明します。1933年5月、松下所主は、松下電器製作所の工場群を、ラジオ部門を第1事業部、ランプ・乾電池部門を第2事業部、配線器具・合成樹脂・電熱部門を第3事業部とする3つの「事業部」に分けました。このことは、事業部の「発足」に該当します。

そして、これらの事業部は、会社になりました。詳細に説明すると、1935年12月、松下氏は、松下電器製作所を改組し、「松下電器産業株式会社」を設立すると同時にこれまでの事業部制を発展させた「分社制」を採用し、事業部門別に9社の子会社を「設立」しました。

発足の意味は新しく事業等を立ち上げること

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「発足」の意味や、正しい使い方や読み方・例文・類語等を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。企業等のビジネス環境における「発足」(ほっそく)の意味は、典型的には、企業における新規事業部署の立ち上げのように、新しく事業等を立ち上げることです。企業に勤務されている方は、「発足」の正しい意味や使い方を忘れないようにしましょう。

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ライター

ta160922

主として、科学技術系(特に、化学系の分野)の文章の作成、リライト等の業務を長年にわたり担当してまいりました。「読み手が理解しやすいような文章を作成する」ということを心がけております。どうぞよろしくお願いいたします。

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