調理師免許の受験資格・取得方法とは?実務経験や試験内容など詳しく紹介

調理師免許の受験資格・取得方法とは?実務経験や試験内容など詳しく紹介

調理師免許を取得するための受験資格は、何か特別なことが必要なのでしょうか。また、試験の難易度や受験のための費用はどれくらいかかるのでしょうか。調理師免許取得のための勉強方法から受験資格、試験実施の時期など、必要な情報をまとめて紹介します。

記事の目次

  1. 1.調理師免許の受験資格【取得方法】
  2. 2.調理師免許の受験資格【試験概要】
  3. 3.調理師免許の受験資格【必勝法】
  4. 4.調理師免許の受験資格【調理師向きの人材】
  5. 5.調理師免許の受験資格【受験申込方法】
  6. 6.調理師免許は受験資格があれば独学でも取得できる

調理師免許の受験資格【取得方法】

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もともと料理に興味がある方、調理師のご両親にあこがれて、またはテレビ番組でみる調理師が作ったおいしそうな料理を見たり、調理師が主役のテレビドラマを見たり。理由は様々かもしれませんが、毎年多くの方が調理師試験を受験し調理師になっています。

では、調理師になるための調理師免許取得のための試験は、誰にでも受験資格があるのでしょうか。答えは、誰にでも調理師免許取得の受験資格があるわけではありません。一定の条件を満たした方のみが受験資格を有しているのです。

今回は、調理師免許取得試験における、そもそもの受験資格、調理師免許取得試験の難易度、勉強法を紹介します。これから調理師を目指し、調理免許取得に挑む方は勉強の参考にしてください。

各都道府県が指定している調理師学校(養成施設)を卒業

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調理師免許の取得方法には、『調理師免許試験を受けずに取得』する方法と『調理師免許取得試験を受験する』方法の2種類があります。まずは、調理師免許試験を受けない取得方法を紹介ます。

調理師免許試験を受けない取得方法は、『各都道府県指定の調理師学校(養成施設)を卒業する』ことです。調理師学校に入学した場合は、一定のカリキュラムに沿って料理の事を専門に学ぶことが可能です。基礎から時間をかけて着実な成長が望めます。

ただし学校に入学するという事ですので、常に学校で学ぶための時間的余裕が必要(1~2年)なこと、加えて学費を支払って学ぶ必要がある為、費用的にもそれなりの費用が掛かってしまいます。なお現在、指定調理師学校は全国に約270施設あります。

余裕のある方は、各都道府県指定の調理師学校(養成施設)で学んでみてはいかがでしょうか。指定調理師学校を卒業することが、調理師免許試験を受験しない、調理師免許取得方法です。

飲食店などで2年以上の調理の実務経験+調理師試験に合格

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次に、調理師免許取得方法で、調理師免許試験を受けるケースを紹介します。調理免許試験を受けない取得方法の条件は、飲食店などで2年以上の実務経験をし、調理師免許試験に合格することです。

調理師学校に通うことが時間や費用的に厳しい方は、飲食店などで2年以上の調理実務を経験することで受験資格を得たのち、調理師免許試験に合格することが調理師免許の取得方法となります。

この調理実務経験とは『原則週4日以上、1日6時間以上で2年以上の勤務経験』が必要となりますが、複数店舗での経験を合算して計算可能です。この場合、各店舗オーナーに、勤務実績の証明を提示してもらう必要があります。

2年以上の実務経験の対象になる施設

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試験を受けての調理師免許取得方法においては、調理実務経験を積む店舗にも規定があります。この規定に合った店舗で2年以上の実務経験を積む必要がありますので、注意してください。

対象店舗は、調理師法施行規則第4条に『飲食営業(旅館や簡易宿泊所も可)している』『魚介類販売業(販売のみの経験は不可)』『そうざい製造業(煮物、炒め物・焼物・揚げ物・蒸し物・酢の物または和え物)』『学校や病院、寮等の給食施設』と明記されています。

勤務はアルバイトでも認められますが、基準を満たしていなければ社員であっても調理業務経験に加算できませんので注意してください。

調理師免許の受験資格【試験概要】

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調理師免許試験を受験しての免許取得方法において、2年以上の実務経験が必要なことを紹介しました。それ以外に必要な要件(受験資格)はないのでしょうか。

受験資格を正確にお伝えすると、『原則として、義務教育終了(中学校卒業)以上であることに加え、先ほど紹介した、2年以上の調理実務経験を証明できること』となります。

調理師免許取得方法として、まずは中学校は卒業していること、そして2年以上、要件を満たした店舗で実務経験を積むこと、これらを満たしていることが受験資格となります。

試験科目は6種類

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実際の調理師免許試験において出題される試験科目はどの様なものなのでしょうか。出題される試験科目は6科目で構成されていますので、それぞれの出題率とともに確認しましょう。

1.食文化概論(5%)、2.食品学(10%)、3.栄養学(15%)、4.公衆衛生学(15%)、5.食品衛生学(25%)、6.調理理論(30%)という構成になっています。

勉強法や難易度は後ほど紹介しますが、2年以上の実務経験に加え、試験に合格する必要があります。実務経験を積みながらの勉強は時間的、体力的に厳しい側面もあるかもしれませんが、調理師免許取得に向け頑張りましょう。

試験は4択1のマークシート形式

調理師免許試験というと実技が伴いそうな印象ですが、調理師免許試験はすべて、4つの選択肢から1つの回答を選択するマークシート形式の筆記試験です。4択なので、これまでの勉強の記憶で正解を導き出すことが可能です。その為の事前対策と暗記は必須です。

記述式と比べて難易度は下がるものの、先ほど紹介したように試験範囲は6科目ありますので、しっかり勉強しないといけません。勉強せずに合格できるほど低い難易度では決してありませんので、チャレンジする方は参考書等に必要な費用を投資し、学習に取り組んでください。

難易度と合格率について

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調理師免許試験は4択のマークシート試験のみなので、回答に対する難易度はやや低そうなことはわかりました。しかし、試験全体を通しての合格率はどの程度なのでしょうか。また、どの程度の点数が取れれば調理師免許試験に合格できるのでしょうか。

正式な合格率や必要点数が公表されているわけではありませんが、一般論として、調理師免許試験は全問のうちの60%以上の正答率で合格すると言われています。

また、調理師免許試験は「何人合格」という受験の様な試験ではなく、調理師免許を取得するにふさわしい人を判断するための試験です。そのため、仮に受験生全員が一定以上の点を取った場合は、全員が合格することになる試験です。

調理師免許の受験資格【必勝法】

続いて、調理師免許試験を受けるにあたり、どの程度の期間、どの様な勉強を行うと自身の合格難易度を下げることが出来るのでしょうか。先ほど紹介したように試験はマークシート方式で60%の正答率でOKなので難易度は早め。早めの対策で乗り切れます。

難易度は低めとはいえ、確実に合格して調理師免許を取得したいので、調理師免許試験の半年前を目安に勉強を開始しましょう。自分で無理のないスケジュールを立て、計画的に勉強を進めるようにしましょう。

ここからは、効率的な勉強で難易度を下げるための勉強方法を具体的に紹介します。様々な勉強方法がありますので、紹介した方法がご自身に適していないと感じれば、他の方法を試せばよいですが、費用的にも効率的にもおすすめの勉強法です。

教科書を購入し暗記

調理師免許試験合格に向け、まずは教科書を購入しましょう。費用的にも値が張るものでもなく、覚えなければいけないことの全てが記載されていますので勉強開始時の必需品です。記載があれば細かい部分からも出題される可能性があるため、一度は全てを読んでおきましょう。

なお教科書は先輩や口コミで評価の高いもので構いませんが、法律等によるルールが変更になっている可能性がありますので、いずれも最新版を購入してください。同様に、教科書に合わせた問題集の最新版を購入して勉強するのがおすすめです。

勉強に必要なのは、教科書と問題集、後ほど紹介する過去問の3つだけです。費用的にも負担は少ないですし、これをやっておけば試験本番で難易度が高い、と感じることは減り、安定した状態で試験に臨むことができます。

過去問の入手方法

まずは教科書を読んでおくことが大事ですが、1回読んでも全てを暗記することはできません。覚えるまで読み返し続けるのは功利的ではありませんので、1回読み終えたら『とにかく問題集を解き続ける』ことに切り替えましょう。解いて、間違えたところを教科書で読み返すことです。

問題を解き、解答を読むだけでも知識は記憶に残ります。教科書を読むだけよりも自身の満足感も高く、記憶への定着難易度は低く、良いことだらけ。また、調理師免許試験は地域によって出題傾向に違いがある為、自分の地域の過去問を解くことが対策の一つになります。

過去問はエリアによってダウンロード方法が異なりますが、例えば『公益社団法人調理技術技能センター』のホームページからは東京都(青森県共通)の過去3年分の試験問題と解答がダウンロードできます。また、受験地の役所で過去問をコピーできる場合もあるようなので問合せてみてください。

問題数が少ない科目を重視する

調理師免許試験の勉強に必要な物は教科書と問題集、過去問だけです。費用的に出費は微々たるもの。あとは、どの科目をどの様に勉強するかです。科目別の出題率を先に紹介しましたが、出題可能性の高い科目を集中して覚えた方が、効率よく得点を稼げます。

最も出題率の高い『調理理論(30%)』に対し、『食文化概論 』はたったの5%。教科書のページ数は大量なのに、出題数は4問程度。ここからもわかるように、出題可能性の高い部分に集中して暗記するのが効率的です。

なお、問題集や過去問を解いていると「言葉違いの同じ問題」に出会います。このような問題が高頻度で出題されている問題なので、その問題を教科書でピンポイントに勉強するのも効率的。

調理師免許試験は合格率60%を超える試験です。勉強が苦手な方は、半年よりも少し時間的な余裕を持って勉強を始めてください。費用面の負担は少ないので、あとはご自身の努力で合格できます。

苦手科目をなくす

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何度か問題集や過去問を解いていると、自分が苦手としている科目や問題があることに気づくことがあります。このような自分の苦手なポイントを都度、リストアップするようにしましょう。

苦手なポイントを把握したら、問題集の解説と教科書の該当ページをじっくり読み返します。何度目になろうとも、改めて熟読することをお薦めします。不思議な事に、何度も読んでいるうちに今まで曖昧な理解しかできていなかったことが理解できるようになってきます。

なお、問題集も何回も解いているうちに問題と解答を覚えてしまうことになります。しかし、それで良いのです。この問題の時の解答が何なのかを記憶できていれば、違う出題のされ方をしても正当を回答できるようになっています。

マークシート形式であることを意識する

何度も紹介していますが、調理師免許試験の解答方法はマークシートです。マークシートという事は、問題文に合わせ、正解が含まれた選択肢が並んでいるという出題形式になります。これは、選択肢にあるワードの意味を完全に理解していなくても正解を選ぶことが出来るという事です。

教科書を読み、問題種を何度か解いていると、ワードの意味を完全に理解していない状態でも、見たことのあるワードで、どの様なページに出てきていたワードなのかを推察することができるようになっています。つまり、間違っている解答を削除していくことができるようになっているのです。

教科書の内容を完全に暗記できればベストですが、そうはいかないもの。完全に覚えることが出来なくても、何となく合ってる/合ってない、の判断が出来るくらいまでは勉強を頑張りましょう。

なお、毎年1問、試験前までに発生した「食にまつわる事件/事故」の問題が出ます。全国的に話題となったニュースが取り上げられることが多いのでニュースを意識して見る癖をつけておきましょう。

調理師免許の受験資格【調理師向きの人材】

調理師を目指そうと思うきっかけは人それぞれあることでしょう。しかし、実際に調理師免許を取得したいと調理師学校に申し込みを行う前に、ご自分の調理師適性をチェックしてみてください。調理師学校に入るにはかなりの費用が必要になります。

調理師に必要なことをいくつか紹介しますので、自分にできそうか、ご自身の覚悟も含め、改めてチェックしてみてはいかがでしょうか。

味覚に自信がある人

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調理師として料理を作るために、素材の味や香りによって良し悪しや違いを見分けられることが重要です。調理中も火加減などの微妙な違いを見極める能力が求められます。

一般的に、幼いころにどの様な食事をしてきたのかが味覚に影響すると言われています。しかし今からでも味覚を伸ばすことは不可能ではありません。旬の食材を中心に、食材の香りや味の違いを意識しながら料理の知識を学ぶことで、次第に味覚が研ぎ澄まされていくと言われています。

研究熱心な人

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料理はアートに置き換えられることもあります。奥が深く、同じ料理でも材料や調味料を変えるだけ、下ごしらえの方法を変えただけでも味に変化が生まれます。自身が調理するお店の客層、提供する季節、時間帯等の様々な条件でも変化が求められます。

料理が好きだからこそ調理師を目指す方が多数いらっしゃいますが、提供した料理に喜んでもらうということに加え、更に喜んでもらえる様に、また、自身が更なる高みに到達すべく研究・改良を継続できる人が料理人に向いていると言えます。

想像力がある人

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調理師には、高い再現性が求められることがあります。通常使用しているレシピを常に完全再現することは、ほとんどの店舗で求められることではないでしょうか。

一方、飲食店では変化が求められる場合も多々あります。例えば新メニューを考案すること、仕入の関係で予定していた食材が使えなくなることでのメニュー変更の判断を行うこともあります。

そのようなとき、柔軟な発想と日ごろから温めていたアイデアを駆使し、新しい料理を生み出すことのできる人材は活躍の場が広がるでしょう。失敗から生まれた定番料理もたくさんあります。失敗を恐れず創造しましょう。

調理師免許の受験資格【受験申込方法】

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ここまで、調理師免許試験の概要や勉強方法、心構え、調理師向きの人の特長を紹介してきました。最後に、実際に調理師免許試験を受験するにあたっての必要書類や、費用、試験が開催される時期を整理しておきましょう。しっかり確認し、調理師免許獲得の目標を達成してください。

必要書類

調理師免許取得試験の受験にあたり、下記の必要書類を各自準備します。受験する都道府県により違いがある場合があるので、それぞれの受験場所に必要な書類は再確認してください。

どの都道府県でも大よそ必要になる書類は、1.願書、2.写真、3.受験料領収済証明書(約6000円)、4.卒業証明書、5.戸籍謄本、6.調理業務従事証明書(飲食店等での2年以上の勤務経験の証明/店舗等の最高責任者の書面と押印)

特に調理業務従事証明書は、書く側にも時間が必要になります。個人店舗の場合は頼んですぐに書いてもらえることもあるでしょうが、大きな企業に勤めていたような場合は、本社での手続きが必要になり、数週間以上を要することもある為、早めの動き出しが肝心です。

必要な費用

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調理師免許試験受験にあたっての受験料は、先にも紹介したように6000円前後です。この試験に合格した後、調理師免許取得までには、もう1回別の手続きを行う必要があります。それが都道府県の保健所での免許申請です。各自治体の認可後、初めて調理師を名乗ることができるようになります。

保健所への申請にもいくつかの必要書類があり、この中に『調理師免許申請書』『調理師免許取得の資格証明書』が必要です。資格証明書が「合格通知書(原本)」です。この申請費用が大よそ5~6000円です。受験料と含めて12000円程度が必要になるという事です。

費用の話題として参考に、調理師専門学校の学費は1年で100万円を超えてきます。3年間学んだ場合は200円を超えることも珍しくありません。比較してしまうと、独学では参考書代と受験料6000円程度しか費用が発生しません。なお、保健所への申請費用は共に発生します。

実施時期

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最後に、調理師試験の実施時期について紹介します。試験は都道府県別に6月~11月に行われており、エリア別に開催時期が違うため、かけもち受験もすることも可能です。例えば関西で調理師試験を受験後、関東で再受験することもできます。

受験生は調理師免許を早く取得したいと考える方がほとんどですので、いくつかのエリアで願書を提出し、初回試験に失敗した際の保険をかけるのも一つの方法。受験料は都度発生してしまいますが、調理師免許取得という目標達成のための出費としては許容範囲かもしれません。

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調理師免許は受験資格があれば独学でも取得できる

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調理師免許は国家資格ですので、就職時に仕事選択の幅が広がったり、食の専門知識が深まることが多方面に役立ったりすることもあります。

どんな仕事もそうですが、仕事に慣れるまではつらさを感じることもあるでしょう。厳しい下積みに耐え、知識や技術が向上するにしたがい、自身が創造した新しいメニューを開発出来たり、やりがいと喜びを感じることも増えてくるでしょう。

調理師免許取得に至る過程で身に付けた知識や経験は、仮に調理師にならなかったとしても必ず役に立つ時が来る能力です。これを機会に学び、調理技術向上を目指してみてはいかがでしょうか。

Randkin
ライター

Randkin

世の中の様々な事に興味を持ち、自分から積極的に情報収集を行っています。読者の皆さんが、知っているようで知らない言葉や知識。今の生活がもっと便利になるアイデアをたくさん紹介していきます。

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