アンティークの意味とは?
私たちが普段から使用している言葉の中には、歴史の趣を感じさせる言葉がたくさんあります。そのような言葉たちの中で、よく使用されているのが「アンティーク」です。
この言葉はフランス語で、「古風」や「古代」という意味を持っています。一方この言葉は、日本語で「骨董品」を表しているのです。
アンティークの語源
その語源はラテン語の「アンティクウス」だと言われている「アンティーク」。実は「アンティクウス」にもこの言葉と同様に、「古風」や「古代」という意味があるのです。
またこの言葉は、古代ギリシャやローマ時代の遺跡を表す言葉でもあります。つまり「歴史のある芸術品」が、その言葉の語源となっているのです。
アンティークの特徴
インテリアアイテムなどによく使われているこの言葉。この言葉は、現在どのような意味で使用されているのでしょう。またそこには、しっかりとした定義は存在するのでしょうか。次は、「アンティーク」の現在の意味や、定義についてご紹介します。
アンティークの現在の意味とは?
この言葉の一番の特徴は、「歴史的価値のあるアイテム」を指している言葉であるということです。フランス語が元になっているこの言葉は、ヨーロッパ各国で「現在では製造不可能な価値のある工芸品や美術品」に用いられています。
一方、アメリカの通商関税法では、「製造から100年を経過している工芸品や美術品」を「アンティーク」と定義しています。しかし、これはあくまでも通説であり、全てのアイテムにこのルールが当てはまるわけではありません。
意味の違いや定義は?
定義があるようでありながら、とても曖昧な使い方になっている「アンティーク」。実際にその定義は、国やアイテムによって様々な違いがあります。
通商関税法の通り、製造からの年数をそのまま定義として用いる場合もあれば、人の手によって製造された価値の高いものに用いる場合もあります。また、どんなに優れた作品であっても、価値がなければ「アンティーク」とは扱われない場合もあるのです。
このようにそれが指すアイテムや扱う人によって、定義に違いがあるこの言葉。そのシチュエーションによって、様々な意味を持つのが現在の「アンティーク」の使い方といえるでしょう。
アンティークとヴィンテージ
類似したニュアンスで用いられる言葉として「ヴィンテージ」があります。この言葉によく用いられるのが、ジーンズや皮製品などの古着と呼ばれるファッションアイテムです。
この言葉は英語であり、その語源はフランス語の「ヴァンタンジュ」だと言われています。更に、この「ヴァンタンジュ」には、日本語で「ブドウを収穫する」という意味があるのです。
この言葉は元々ワイン用語で、高品質なワインの代名詞という使い方がされています。ワインには当たり年というものがあり、良質なブドウが獲れた年を表現する際に「ヴィンテージ」を用いているのです。
どちらもその語源にはフランス語が深く関わっていますが、各々の言葉は意味やニュアンスが異なります。そのため使い方には注意しなけらばならないのです。
ヴィンテージの現在の意味とは?
海外製品だけにとどまらず、服飾やオーディオ類などのアイテムに多用されている「ヴィンテージ」。この言葉の特徴は、「歴史による味わいや風情を持つアイテム」を指している言葉であるということです。
この言葉もフランス語が元になっていますが、歴史ある中古品の全てに用いられるかというとそうではありません。この言葉は、「価値のある年代品」に用いられている言葉なのです。
現在は、1950年代から1970年代に製造されたアイテムに使われているこの言葉。しかし、こちらもあくまでも通説であり、全てのアイテムにこのルールが当てはまるわけではありません。
意味の違いや定義は?
フランス語が語源になっている「ヴィンテージ」ですが、現在は日本の製品にも多く使用されている言葉です。また「アンティーク」と同様に、とてもに曖昧な使い方がされている言葉でもあります。
もちろんこの言葉も、製造からの年数をそのまま定義として用いる場合もあります。しかし、やはりポイントなるのは、アイテムとしての価値です。
特に楽器や車には、「ヴィンテージ」と呼ばれるに相応しい年代が存在しているケースもあります。そのため、この言葉も使われるアイテムやシチュエーションによって、異なる意味を持つ言葉なのです。
アンティークの使い方
歴史があるアイテムを表現する際に用いられる「アンティーク」。しかし、この言葉には、明確な定義がないため、アイテムによって異なる意味を持つことがあります。
またラテン語が語源であるフランス語の「アンティーク」ですが、日本で作られた様々なジャンルの製品にも、この言葉は使用されています。
次は例文を用いながら、各々のアイテムによって異なる「アンティーク」の大まかな年代や定義についてご紹介します。
例文①
1つ目の例文は、「アンティークの腕時計を探し求めている」です。このように「アンティークの腕時計」と表現したものは、どのような時代に製造された腕時計を指すのでしょう。
「アンティークの腕時計」と表現した場合には、製造から30年から40年以上経過しているアイテムを指します。なぜなら、現在、腕時計として流通しているものの中には、製造から100年以上経過しているものはほぼありません。
一方、それよりも歴史が浅いものは、「ヴィンテージの腕時計」という使い方が適しているといえるでしょう。
例文②
2つ目の例文は、「アンティークの着物を探し求めている」です。このように「アンティークの着物」と表現したものは、どの年代に製造された着物を指すのでしょう。
「アンティークの着物」と表現した場合には、江戸時代・明治時代・大正時代に製造されたアイテムを指します。また、最近では第二次世界大戦前に製造されたものも「アンティークの着物」として、扱われている場合もあるのです。
一方、それよりも歴史が浅いものは、「ヴィンテージの着物」という使い方が適しているといえるでしょう。また総称して「リサイクル着物」という使い方をされることもあります。
例文③
3つ目の例文は、「アンティークの家具を探し求めている」です。このように「アンティークの家具」と表現したものは、どのような家具を指すのでしょう。
「アンティークの家具」と表現した場合には、1900年代から1940年代に製造されたアイテムを指します。しかし、ここにも明確な違いはなく、日本では表現がとても曖昧になっているのも事実です。フランス語が元となっているこの言葉ですが、ヨーロッパ諸国でも定義やルールはありません。
また「家具」に関しては「モダンアンティーク」という言葉も存在しています。これらを時系列順に並べると、「アンティーク」・「モダンアンティーク」・「ヴィンテージ」となります。
大まかな基準として、第二次世界大戦前後に製造されたものを「モダンアンティークの家具」。また、それ以降に製造されたものには、「ヴィンテージの家具」という表現がされています。
例文④
4つ目の例文は、「アンティークのピアノを探し求めている」です。このように「アンティークのピアノ」と表現したものは、どの年代に製造されたピアノを指すのでしょう。
「アンティークのピアノ」と表現した場合には、1800年代後半から1900年代前半に製造されたアイテムを指します。しかし、ピアノに関してもその意味の違いはとても曖昧です。
もちろん、製造から100年に満たないものは「ヴィンテージのピアノ」というようにも表現されています。一方で音楽愛好家によっては、歴史による味わいを感じられるピアノに関して「ヴィンテージのピアノ」という表現を用いる方もいるのです。
価値があるものを「ヴィンテージのピアノ」、その他の古いピアノを「アンティークのピアノ」という使い方もするピアノ。もちろん本来の意味で使用されているケースもありますが、製造された年代などは関係なく、価値がそのものが呼び方の基準になっている場合もあるのです。
アンティークの注意点
この言葉を使用する際には、どのアイテムに使用するかを意識することが大切です。様々な言葉に用いられる「アンティーク」ですが、その意味はアイテムによって様々であり、素人には判断が付かないような使い分けをされている場合もあります。
またこの言葉が意味する価値とは、機能的な価値ではなく、芸術的な価値を表現しています。それが、この言葉の定義を複雑にしている要因でもあるのです。
この言葉を使用する際には、通説なども意識しつつ、そのアイテムにマッチする意味合いで使用するように注意しましょう。
アンティークは芸術的な価値のある古いアイテムという意味
ファッション用語やインテリア用語としても多用されている「アンティーク」。もちろん通説とされている「100年」という経過年数を、定義として用いている場合もあるでしょう。しかし、実際にはこの定義はとても曖昧です。
またこの言葉は、「芸術的な価値があるアイテム」にしか用いられないというのも重要なポイントです。つまり、古い趣のあるもの全てにこの言葉が当てはまるわけではありません。
「アンティーク」という表現を用いる際には、どのアイテムに使用する言葉なのかを意識し、正しい使い方をするように心がけましょう。