医療費控除の対象交通費とは?書き方や領収書のまとめ方などを解説!

医療費控除の対象交通費とは?書き方や領収書のまとめ方などを解説!

医療費控除を申請をする際、わかりにくいのが交通費です。公共交通を利用した場合とタクシーを利用した場合の差など、判断に迷うケースも少なくありません。医療費控除を受ける際に注意したい点について、とくに交通費に的をしぼって解説します。

記事の目次

  1. 1.医療費控除とは?
  2. 2.医療費控除の交通費はどの手段でも良い?
  3. 3.付き添いの交通費は医療費控除の対象?
  4. 4.医療費控除の確定申告の書き方とは?
  5. 5.領収書は年毎にまとめておこう
  6. 6.セルフメディケーション税制による医療費控除を受ける場合の交通費
  7. 7.対象となる交通費の医療費控除は忘れずに申告しよう!

医療費控除とは?

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医療費控除とは、一年で支払った医療費が定額を超えた場合に、所得から該当金額が差し引かれる仕組みのことです。医療費には病院や薬局などの施設に直接支払った費用だけでなく、通院にかかる交通費や医療器具の購入費なども含めることができます。次章から、医療費控除のシステムについて概略を解説します。

納めた税金の一部が戻ってくる?

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所得から医療にかかった金額を差し引き、所得額を減らすことで税金の負担を軽くするのが医療費控除の目的です。申請することで所得税など支払う税金の額が減りますが、高額療養費の申請などと違い現金が戻ってくるシステムではないので注意が必要です。

また、医療費控除とは別にセルフメディケーション税制による医療費控除もあります。こちらは、特定の医薬品の購入額が12000円を超えた場合に適用されます。医療費が控除額に届かない場合や、市販の薬を使う機会が多い方には嬉しい制度です。

なお医療費控除とセルフメディケーション税制による医療費控除は、どちらか1つのみの選択式になっており、両方同時に申請することはできません。申請書の書き方や添付する書類も違うので、よく確認して得するほうを選択しましょう。

定額以上の医療費の支払い

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医療費控除は、1年間に医療費として支出した金額が定額を超えた場合に限り受けられます。それでは「定額を超えた」というときの定額とはいくらなのでしょうか。これには2つの基準があります。

1つは、10万円以上というシンプルなもの。そしてもう1つは、所得の5パーセントという基準です。この2つのうちのどちらか少ない方が「定額」にあたる金額になります。

つまり、自分および生計を共にする家族が一年間で支払った医療費のうち、保険で補てんされた金額を差し引いた金額と比べて、定額(所得の5パーセントか10万円のどちらか安いほう)以上の医療費を支払った場合は医療費控除の対象になります。ちなみにどちらに該当しても、申請書の書き方は変わりません。

医療費控除の交通費はどの手段でも良い?

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ここからは、医療費の中でもとくに交通費について解説します。通院するための交通費は医療費控除の対象になりますが、交通費ならなんでも認められるわけではありません。同じ交通費でも、医療に必要なものかそうでないかの判断は場合によって異なります。何が交通費として申請できて、何がダメなのか、具体的にみていきましょう。

基本的には通常の公共交通機関のみ

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通院のための交通費と考えられるのは、自宅から目的地に達するまでの必要最低限の交通機関です。通院するのにどうしても必要と認められる費用が、医療費として控除の対象となるのです。

交通費といっても、その種類はさまざま。たとえば電車、バス、タクシー、自家用車など通院のための手段は環境によって変わってきます。それらはすべて交通費として計算してよいのでしょうか?

答は「いいえ」です。残念ながら、すべての交通手段が交通費として認められるわけではありません。基本的には、交通費に含めてよいのは公共交通機関を利用した場合のみです。

電車やバスなどの交通費は可能

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公共交通機関として認められるのは、まず電車とバスです。電車かバスであれば、問題なく交通費として申請できると考えてさしつかえありません。

ただし、公共交通機関は電車・バスどちらも領収書が出ないので使った金額がわからなくなりがちです。金額を忘れないように、メモをつけるなど日頃から気を付けておきましょう。申告の際には領収書を添えずに自分で計算した数字のみの申告になります。

車やタクシーは交通費で控除されない?

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タクシーを利用した場合の費用は、通院費用として交通費に計上することはできません。自家用車で通う場合のガソリン代や駐車場の料金も医療費控除の対象外となっています。

医療費控除の対象になるのは、あくまでも公共交通機関を利用した場合のみです。個人所有の車の使用については、必要性があるとは認められません。タクシーも同様です。たとえばバス路線があるにもかかわらずタクシーを利用した場合、そのタクシー代は必要のない支出ととらえられます。

交通費を医療費として計上する場合、基本はあくまでも公共交通の使用です。その原則から逸れた自家用車やタクシーの使用は、必要な出費とは認められません。

公共交通機関が利用出来ない場合のみ

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といっても、中には電車もバスも通っていない施設もあります。そういったタクシー・自家用車のほかに交通手段がないというケースでは、タクシー代も通院費として認められます。控除となる交通費は、公共交通が原則ですが、この場合はやむを得ない例外として特別に認められています。

また、病院に救急搬送された場合の費用も例外です。救急車のほか、タクシーで病院に担ぎ込まれた場合の費用も控除の対象になります。

ただ残念なことに、こういった例外的なケースでもマイカーのガソリン代などは医療費控除の対象にはなりません。この場合の交通費は、第三者に輸送を依頼した場合に発生する費用のことを指します。本人あるいは家族が通院を担っている場合は、これにはあたりません。

付き添いの交通費は医療費控除の対象?

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家族の付き添いで病院に通うことはよくあります。でも、その際の交通費はどうなるのでしょうか。治療を受ける当人のぶんの交通費はもちろん医療費として認められますが、本来健康で通院の必要はない家族が付き添ってきた場合、付き添いのぶんの交通費も必要経費として計上できるのでしょうか?

原則的に付き添いの交通費は対象外

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付き添いとして通院している場合、付き添いの方の交通費は原則として控除の対象にはなりません。本来医療費控除は、患者本人を対象にしたものであるからです。付き添いの方は、医療行為を受ける当人ではないので医療費控除の対象にはなりません。

同じ場所に同じように通い、交通費も同じように出しているのになぜ付き添いのぶんは出ないのか疑問に思う方もいるかもしれません。そういった実際の感覚にかかわらず、税制上は、付き添いは自家用車やタクシーと同じく必要最低限度を超えたものとみなされてしまうのです。

1人で通院が困難な場合には対象

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とはいえ、このルールにも例外はあります。たとえば、小さな子どもの通院にお母さんが付き添いとして一緒に来る場合、子どもだけでなく母親のぶんの交通費も医療費控除の対象として認められます。

また大人であっても、自分だけで目的地に到着することが困難な状況にある場合は、付き添いの家族のぶんの交通費を通院費として申告することができます。たとえば高齢で車椅子の使用が必要な場合や手足のケガで歩行困難な場合、あるいは認知症の方もその一例です。

基本的には、1人で行動することが難しい人の場合には、付き添いのぶんの交通費も控除の対象になるといえます。

医療費控除の確定申告の書き方とは?

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医療費控除の申請の書き方はそれほど難しくはありません。大切なのは間違いがないよう丁寧に書くことです。申告の際に必要になるのは、確定申告用の申告書と医療費控除の明細書です。そのほか実際に支払った費用ぶんの領収書も用意しておきましょう。ここでは、面倒な計算の作業が少し楽になるちょっとしたコツをご紹介します。

医療費の合計金額を医療費控除欄枠に記入

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書き方の順序としては、まず先に医療費控除の明細書から記入していき、総額が出たら申告書にそれを転記するのがよいでしょう。医療費控除の明細書は記入していくうちに計算が完了するようになっているので、効率よく進めることができます。

まず、領収書など支払った額がわかるものを用意します。金額がわかるものなら、メモなどで構いません。提出義務はないので、正式な書き方はとくにありません。メモで十分です。

医療費控除の明細に項目ごとに書き込んでいきます。それをすべて足した数字が実際に支払った金額の合計です。総額が算出できたら、そこから保険金や高額医療費の還付など収入に入るぶんを差し引きます。この数字が申告する医療費の総額になります。

総額が10万円以上あるいは所得の5パーセント以上であれば控除を受けることができますので、その金額を申告書の医療費控除の欄に記載します。

領収書は捨てずに取っておく

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平成29年から領収書提示の義務が撤廃され、医療費控除の明細書だけで申請ができるようになりました。でも、提出の必要がなくなったからといって、領収書を捨てたりはしないでください。

「医療費の領収書は自宅で5年間保存しなければならない」という原則は法改正後も変わりません。医療費の控除は、基本的には明細書だけで行われますが、後になって明細の内容に疑義が生じることもあります。そうした際に担当者が閲覧できるように、領収書は必ず保管しておかなければなりません。

また、領収書は自分にとっても大切な記録です。提出するしないにかかわらず、必ず取っておきましょう。

領収書は年毎にまとめておこう

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確定申告で控除の対象となるのは、1年間に支払った医療費の総額です。申請の前に、自分が1年間でいくら医療費を支出したのか、きちんと把握しておく必要があります。

すでに申請した去年のぶんの領収書が今年のぶんに紛れ込んだりしないように、領収書は年毎にきっちり区分けしてファイリングしましょう。オススメは、年毎に1つずつ書類ケースなどを用意し、その中でクリアファイルなどを使って細目を小分けにする方法です。

医療費には交通費をはじめ、様々な支出が含まれます。医療費控除の明細書の書き方は医療費が発生した人毎、支払先毎にまとめて記載する形になっているので、あらかじめ家族1人1人毎や支払先毎にまとめておくと便利です。

また、領収書とあわせて申請が終わった後の申請書もとっておくことをオススメします。書き方を忘れたときに、前回のものを参照できて重宝します。

確定申告日は2月中旬から1ヶ月!

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確定申告には期限があります。うっかり気づかずに、期限ぎりぎりで駆け込み申請なんてことにならないように、きちんと予定を立てておきましょう。

その年によって変動しますが、確定申告の期間は毎年おおむね2月中旬から3月中旬までです。約1か月の期間でかなりの人数が申告に来るため、混雑は避けられません。じゅうぶんに余裕をもって予定を立てるようにしましょう。

郵送やネットでの申告を利用するのもよい手です。事前の準備が必要なのがネックですが、いつでも申告できるのは魅力的。ただ提出してしまうと簡単に訂正することはできませんので、窓口申請以上に書き方には注意してください。

前年の1月1日から12月31日までの申告

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確定申告で申告できるのは、該当年1年ぶん(該当年の1月1日から12月31日まで)の支出です。年内に請求があっても、実際に支払っていない料金は含めません。

たとえば12月に入院費の請求があり、それを年を持ちこして1月に支払った場合は、入院費は翌年の会計になり、今年ぶんの医療費に含めることはできません。

最近は、医療費を銀行振り込みで支払うことも多くなりました。ATMなどでいつでも支払いができて便利ですが、それでは年末の12月31日に入金した医療費が翌年1月5日付けで先方に振り込まれた場合はどうなるのでしょうか。

この場合、支払った金額は年内の支出と認められます。医療費控除に限らず、税務関連では支出は実際に支払った日で計算します。つまり治療を受けた日ではなく、お金を支払った日を基本に考えるのです。医療費控除の明細書を書く際には書き方に気を付けましょう。

セルフメディケーション税制による医療費控除を受ける場合の交通費

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医療費とは別に、特定の薬を購入した場合に受けられるのがセルフメディケーション税制による医療費控除です。これは医療費控除の特例で、健康診断を受けているなどの一定の条件のもとで市販の売薬を購入した費用が控除の対象になるというものです。ところで、この制度でも医療費控除と同じように交通費も計上できるのでしょうか?

薬を買いに行く交通費は計上できない

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残念ながら、交通費は入りません。セルフメディケーション税制による医療費控除は、あくまでも購入した薬に対してかかる控除。薬を買いに行くまでの費用は、計算に入りません。家族に買ってきてもらった場合や、その手間賃を渡した場合でも、それを費用とはできないのです。

セルフメディケーションで控除を受ける場合、必要になる数字は薬の購入代金だけです。この控除を受けられる基準として、健康診断や予防接種をきちんと受けていることが条件になっていますが、この健診の際にかかった交通費ももちろん計算に入れることはできません。
 

対象となる交通費の医療費控除は忘れずに申告しよう!

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正しい金額を受け取るためには、出費をきちんと管理し間違いなく申請することが大事です。とくに判断が難しい交通費は、事前の確認が必須です。書き方などわからないことは事前に問い合わせるなど、申告までに明確にしておきます。申告する段階になって慌てないように、日頃から自分がいくら医療費を支払っているのか意識しておきましょう。

kinokoya
ライター

kinokoya

読書と猫と手作りをこよなく愛する40代です。楽しくて役に立つ情報を発信していきたいと思っています。よろしくお願いします!

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