「殿」の正しい使い方と意味を解説!ビジネスでの使い分けや「様」との違いも紹介

「殿」の正しい使い方と意味を解説!ビジネスでの使い分けや「様」との違いも紹介

ビジネスシーンで用いる敬称の一つに「殿」があります。「殿」の正しい使い方や意味はご存知でしょうか。敬称は、間違った使い方をすると信頼を失いかねません。ビジネスマナーの一つとして、改めて「殿」の意味を確認し、正しい使い方を見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.メールや文書での「殿」の正しい使い方を覚えよう!
  2. 2.「殿」の意味とは
  3. 3.「殿」の使い方
  4. 4.「殿」と「様」の使い分け方
  5. 5.メールで「殿」「様」の使い方を間違えた時はどうする?
  6. 6.「殿」の使い方を覚えて先方に失礼のないようにしよう

メールや文書での「殿」の正しい使い方を覚えよう!

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ビジネスシーンにおいて、文書やメールに用いる敬称の使い方は常識を問われる大事な部分です。特に、目上の方へのメールで使われる敬称には上下関係の意味を含んでいます。目下の人に対して敬称の使い方を誤って用いると失礼にあたるばかりか、信用も失いかねません。

よく使われる敬称では「様」が挙げられますが、「殿」も同様によく使われています。〇〇様、〇〇殿など敬称を選ぶ時、「様」と「殿」の使い分けや使い方の違い、正しい意味を知らぬままメールなどに用いてることはないでしょうか。

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敬称を用いた使い方によっては、ビジネス上で良い結果を得られないことがあります。「様」と「殿」の選択に迷い余計な時間をとってしまったり、無意識に敬称を選んで間違えてしまったりと無駄やミスを生じてしまうからです。

「殿」や「様」の使い方を正しく理解し、敬称を使い分けることで、ビジネスパーソンとして信頼を得ることもできます。一個人としても社会人としても、メールや文書での「殿」の正しい使い方を身につけて、常識ある対応ができるようにしておきましょう。

「殿」の意味とは

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メールや文書に敬称として用いる「殿(どの)」は、目上の人が目下の人に使う敬称を意味しています。使い方は、「〇〇殿」「〇〇部 〇〇部長殿」などです。名前や役職の後につけるのが正しい使い方です。

その他、「殿」を「しんがり」と読めば「一番後ろ」や「最後」を意味し、「でん」または「てん」と読む時は「宮殿(きゅうでん)」や「殿上(てんじょう)」など「大きな建物」を意味します。また、「との」の意味は女性から男性に対して使う敬称です。

目上の人が目下の人に使う敬称

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「殿」を敬称として使うのは、目上の人から目下の人へのメールや文書です。つまり、自分よりも下の身分の人に対して用いるのが正しい使い方になります。目上の人や同僚に対して使うと失礼にあたりますので、注意してください。

また、「〇〇殿」「〇〇部 〇〇課長殿」など敬称として「殿」を使うことができるのは、社内のみです。取引先や個人宛に対しては、「殿」以外を用いるのが正しい使い方です。「様」や「御中」などの敬称を使いましょう。

「殿」の語源

「殿」の語源は邸宅を示す言葉であり、住んでいる貴人を指す言葉です。人にはそれぞれ名前があり、現代では名前で呼び合うのが常ですが、名前で呼ぶことが失礼にあたる時代がありました。官職名や邸宅がある土地の名称に「殿」をつけて呼んでいた時代です。

この、邸宅がある土地の名称に「殿」つけて呼ぶことが定着し、高貴な身分の方に対して使われていたのが敬称としての「殿」の始まりです。平安時代にはかなり高い身分の方に対して使う敬称でしたが、室町時代と時が流れるに従いさらに高い地位がうまれました。

「様」が「殿」よりも高い敬意をもって使われるようになると、江戸時代の頃には「殿」は一般的にも使われるようになり、使い方も変化をとげていきます。その後、陸軍などで身分が高い人が目下の人に対して「殿」と使うようになり、現代の使い方へと至りました。

「殿」の使い方

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「殿」の使い方を見てみましょう。基本的な使い方は、「名前+殿」または「組織名 役職名+殿」です。「役職名」と「名前」を併記する場合の使い方は、「組織名 役職名 名前+様」のように「様」を用いたほうが良いでしょう。

また、会社名や団体名、組織名「殿」を用いるのは、間違った使い方です。「〇〇会社殿」「営業部殿」のような使い方はしません。

文書などの宛名に使うのが一般的

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「殿」は文書やメールで使用することはありますが、口頭では用いませんので注意してください。「宛名」に敬称として「殿」を用いるのが、正しい使い方です。宛名には、「名前+殿」の組み合わせで使いましょう。

役職名の後ろにつける

宛名に役職名を用いる際には、「殿」は役職名の後ろにつけます。「〇〇営業部長殿」のような使い方です。役職名だけでなく、名前も組み合わせて記載する場合は使い方に注意が必要です。この場合は「殿」ではなく「様」を用いるのが正しい使い方です。

役職名には敬称の意味が含まれています。「〇〇課長殿」のように、役職に敬称をつける使い方は二重敬語になってしまうので、使わないようにしましょう。役職名をつける場合の使い方は、「〇〇部長 〇〇様」のように「役職名」+「名前」+「様」を用いるようにしてください。

ただし、「名前+役職名」で呼ぶことも多くなっているため、昨今では「名前+役職名+殿」という使い方も見受けられるようになりました。目上の方から送られてきた文書やメールに「〇〇営業部長殿」と記載されていても、間違いにあたらないケースがあることを覚えておきましょう。

宛名の前に◯◯御中がある場合は注意

宛名に会社名を記載する場合、敬称の使い方は「御中」を用います。その際、役職名に「殿」を用いるのは間違った使い方です。「〇〇会社御中 営業部長殿」とすると「御中」と「殿」の敬称が重なり二重敬語になってしまいます。

また、「〇〇会社御中」と社外宛になっている時点で、「殿」は使えません。「殿」を宛名に用いる使い方ができるのは、社内でのメールや文書のみだからです。社外の方へ出すものであれば、「〇〇会社御中」または「〇〇会社御中 〇〇様」のように使いましょう。

「殿」と「様」の使い分け方

文書やメールに記載する宛名に対して敬称を選ぶ場合、社内のやり取りであれば「殿」を使うことができます。取引先など、社外とのやり取りにおいて「殿」は使えません。「様」または「御中」を用いるのが正しい使い方です。

会社宛てであれば「株式会社〇〇御中」、取引先の個人宛ての場合は「株式会社〇〇 〇〇様」となります。もしも、敬称に「殿」を使うか「様」を使うか迷った場合は、「様」を用いるのが無難です。社内、社外を問わず「様」は敬称として使えます。

「様」は目上・目下の区別なく使える敬称

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「殿」の使い方は、目上の人が目下の人に対してのみ用いることができるという決まりがあります。対して、「様」は目上や目下、同僚など区別なく使うことができるので便利です。プライベートでもビジネスシーンでも、「様」はよく使われています。

また、「殿」を使うシーンは、社内での文書やメールの宛名のみに限られ、会話で使うことができません。「様」は文書だけでなく会話でも使えることから、接客などでも「様」は使われています。日常的に耳にする代表的な敬称です。

「様」を使うときにも、注意する点があります。二重敬語にならないようにすることです。ビジネスシーンにおいて、「〇〇課長様のように「名前+役職名+様」と使っていることがありますが、これは二重敬語になります。間違った使い方にならないよう、注意しましょう。

「様」の使い方

「様」を使うときの注意事項を把握したところで、使い方を見てみましょう。取引先の〇〇部長宛てに送る文書の宛名は、「株式会社〇〇 営業部長 〇〇様」です。

「株式会社〇〇 〇〇営業部長様」のように役職に「様」をつけるのは間違った使い方になります。会社宛ての場合は、「株式会社〇〇御中」です。「株式会社〇〇様」のように会社名に「様」をつけるのも間違った使い方となりますので、注意してください。

連名で送る場合は、それぞれに敬称をつけます。使い方は、「株式会社〇〇 〇〇様 □□様」のようになります。名前を横に並べてどちらか一方だけに「様」をつけると失礼にあたりますので、注意しましょう。

メールで「殿」「様」の使い方を間違えた時はどうする?

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ビジネスシーンでは、メールのやり取りが頻繁に行われます。メールは送信してしまったら、やり直しや修正、差し替えができません。敬称の使い方を間違えてし
まったらどうしたらいいのでしょうか。

しっかり見直したつもりでも、間違えは起こり得ます。「殿」や「様」の敬称を間違えてメールを送ってしまった場合の、対処方法を把握しておきましょう。

追ってお詫びメールを送る

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メールを送った後、送信済みのボックスや同報をして手元に送信されてきたメールを確認した際に、間違いに気付くことがあります。それが「殿」や「様」など、敬称の使い方や名前だった場合、失礼にあたるだけでなく、怒りをかうこともあります。

即座に無礼を詫びる内容のメールを送り、対応しましょう。メールを送るだけでなく、電話でも謝罪を入れるほうが無難です。その際、先に言い訳を並べるのは得策ではありません。申し訳ない思いを伝えてお詫びをするようにしてください。

お詫びメール例文

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「殿」や「様」など敬称の使い方を間違えた場合や、相手の名前を間違えた場合に送るメールはどのように書くのが良いでしょうか。ポイントは、言い訳をしないことです。今回は、敬称をつけ忘れた場合のお詫びを伝えるメールを見てみましょう。

宛名は間違いの無いように細心の注意を払ってください。「株式会社〇〇 営業部 部長 〇〇 □□ 様」から始まり、通常の挨拶文を記載します。「いつもたいへんお世話になっております。」

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次に、敬称の使い方を間違えたことを素直に記載してください。「先程お送りしましたメールにて、宛名に敬称の表記がないまま送信をしてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。」
お詫びの後は、同じ間違いを繰り返さないことを誓います。

「今後は同様の不手際を繰り返すことのないよう重々注意をし、送信前には確認を徹底して参ります。」最後にメールで謝罪することをお詫びして、署名で締めます。「メールにて恐れ入りますが、宛名表記のお詫びを申し上げます。」

例文のように、丁寧な言い回しで謝罪と今後の対策について明記することで、相手の方に気持ちが伝わります。失念による言い訳などは一切せず、お詫びをするようにしましょう。

「殿」の使い方を覚えて先方に失礼のないようにしよう

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敬称は、ビジネスシーンにおいてもプライベートにおいても、日常的に使われています。「殿」は「様」と違い、使う相手と使うシーンが限られています。目上の人が目下の人に対してのみ使えること、社内の文書やメールの宛名としてだけ使える点が、使い方のポイントです。

間違っても社外の取引先や、社内の目上の方や同僚に対して使わないように注意しましょう。間違った使い方をすれば、失礼にあたるだけでなく信用を失いかねません。大切に築き上げてきた人間関係やキャリアにも影響を及ぼす可能性もあります。

「殿」の正しい使い方を覚えることはスキルアップの一つです。「様」など他の敬称と使い分けることができれば、社内、社外を問わずやり取りもスムーズになり効率も良くなります。社会人としてのマナーを守り、気持ちよくビジネスを進めましょう。

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ライター

kana_emoto

副業としてライターを始めたのは、2018年9月です。 webサイトの制作や更新をする中でコンテンツの重要性を感じ、始めました。 この先、webライティングを本業にできるよう、修行中です。 足りないスキルは随時補いながら頑張ります。

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