生前贈与で土地を受け取る場合は?税金・節税方法やメリットを調査!

生前贈与で土地を受け取る場合は?税金・節税方法やメリットを調査!

生前贈与では金銭以外に土地を受け取ることができます。ここでは生前贈与で土地を受け取る場合の手続きの流れや贈与税などの税金と諸経費について詳しく解説します。さらに生前贈与で土地を贈与ずるメリットと税金の節税方法も合わせて紹介します。

記事の目次

  1. 1.生前贈与・土地を贈与する手続きの流れ
  2. 2.生前贈与・税金と諸経費
  3. 3.生前贈与・土地を贈与するメリット
  4. 4.生前贈与・土地の贈与の際の節税方法
  5. 5.生前贈与・申告が必要な場合の申告漏れ
  6. 6.生前贈与・土地を贈与する場合のデメリット
  7. 7.生前贈与として土地を贈与する場合には贈与税に注意

生前贈与・土地を贈与する手続きの流れ

Photo byClker-Free-Vector-Images

生前贈与は金銭だけではなく土地などの不動産を贈与することができます。土地での生前贈与をスムーズに行うためには、贈与契約書を作成する、土地の登記の名義変更をする、贈与税を申告するの3つのステップを知っておく必要があります。

このステップをちゃんと踏んでいないと、後々トラブルに発展してしまうこともあるので注意しましょう。ここでは生前贈与を行うための基本的な流れについて解説します。

①贈与契約書の作成

Photo byFree-Photos

贈与契約とは、贈与者が贈与を受け取る人に行う贈与の約束のことです。この約束は、法律上ではいわゆる口約束だけでも契約として認められています。

ただ最終的に生前贈与として認めるかを判断するのは税務署になりますので、法律で認められているとしても手続き時にトラブルが起こるケースもあります。そのため贈与の意思をはっきりとした文書として作成しておくとトラブルのリスクが少なくなり、税務署の判断がスムーズに行えます。

Photo byPexels

贈与契約書には、いつ、誰が、誰に、何を、どのようにして贈与するのかという5つのポイントが記載されていなければ税務署に認められないケースがあります。書類の作成はパソコンで行ってもいいのですが、自契約の日時、氏名、住所は自書で記入することが望ましいとされています。

贈与契約書は2通作成します。1通は贈与者、もう1通は贈与される人がそれぞれ保管することをおすすめします。

②土地の名義変更登記

Photo byreenablack

生前贈与で土地を贈与された場合、契約は当事者間で成立しているので受け取った土地は贈与された受贈者へ所有権が移ったと考えられます。ただ法律上土地の登記の名義変更が行われていないため土地の売却や担保設定をすることができない状態です。

生前贈与された土地の所有権が受贈者に移転したことを第三者に主張するためには、土地の登記の名義変更が必要になります。贈与された土地の登記の名義を法務局で受贈者に名義変更をすることで受贈者が土地の売却や担保設定ができるようになります。

土地の登記の名義変更の際、法務局に登記されている住所と住民票に記載されている住所とは異なります。そのため土地の登記の名義変更する前に登記されている住所を確認する必要があります。費用は掛かりますが煩雑な手続きを司法書士などの専門家に依頼することもできます。

③贈与税の申告

Photo byFree-Photos

贈与税とは、個人から土地などの不動産や金銭の財産をもらったときにかかる税金のことです。生前贈与の場合、親族などからの個人的な贈与になることがほとんどなので財産を受け取ったときに贈与税という税金がかかります。

贈与税は、土地などの不動産や金銭などの財産を受け取った年の次の年の2月1日から3月15日までに税務署に申告と納税を行います。贈与税は財産を受け取った人が申告し、支払うことになります。

生前贈与・税金と諸経費

Photo byCapri23auto

生前贈与で土地を受け取った場合、贈与税のほかに土地の登記の名義変更をするための登録免許税や不動産取得税という税金かかります。また、これらの手続きを司法書士などに依頼すると司法書士などに支払う費用が必要になります。生前贈与に関する諸費用は贈与者ではなく土地を受け取った受贈者が支払うことになっています。

土地の名義変更で税金・諸経費がかかる

Photo byRobinHiggins

贈与された土地は基本的には当事者間での合意があれば受贈者へ所有権が移行します。そのため土地の名義変更をしなくてもよいと考えがちですが、登記上は土地の所有権が移転していないことになります。土地の売却や担保設定などを考えると費用が掛かっても土地の名義変更が必要になります。土地の名義変更では登録免許税と不動産取得税がかかります。

①登録免許税

Photo bygeralt

登録免許税とは一般に土地や建物などの不動産を取得した場合に法務局に登記する際に支払う税金のことです。法務局に登記することで「この土地は誰のもか」が公示されます。生前贈与で土地を贈与された場合、法務局へ新しい所有者が登記の移転手続きを行うことで正式に所有権が移転したことになります。

生前贈与で土地を贈与した場合は土地の所有権移転登記になるので贈与時の土地の評価額に0.2%をかけた金額が登録免許税になります。

②不動産取得税

Photo byBru-nO

不動産取得税は不動産を取得したときに1回だけ収める税金です。イメージ的には土地などの不動産を購入すると支払う税金と勘違いされやすいのですが、実際はどのような形であれ不動産の所有権を有した場合に課税される税金です。もちろん生前贈与のように無償で土地を取得した場合にも課税されるので注意が必要です。

不動産取得税は不動産の価格に税率をかけることで計算できます。この場合の不動産の価格は、固定資産税課税台帳に記載されている課税標準額になります。

生前贈与にかかる税金まとめ!相続税の対策や計算方法・注意点は? | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
生前贈与を行う際にかかる税金や、その税金の支払い方法について調査しました。こちらの記事では、生前贈与の税金の計算方法や、現金や不動産を贈与する際に注意しておくべき点などについてご紹介します。また、税金の節約や、非課税とする方法もお伝えします。

生前贈与・土地を贈与するメリット

Photo byLadyBB

贈与税や不動産取得税、登録免許税などの費用は掛かりますが、土地を生前贈与するメリットがあります。土地を生前贈与するときのメリットは、相続税の節税効果、土地を贈与する相手をあらかじめ決めておくことができる、贈与当時の評価額で土地を譲渡することができるということになります。ここでは土地の生前贈与のメリットを詳しく解説します。

①相続税の節税効果を得られる

Photo byBru-nO

親族などから遺産を相続する際には相続税がかかります。相続税には基礎控除額という非課税枠があります。この非課税枠より遺産が多くなった場合、基礎控除額を引いた遺産に対して相続税がかけられることになります。

生前贈与することで贈与者が死亡した場合の遺産から生前贈与した分を差し引くことができます。相続税は、遺産から生前贈与をした分を差し引いたものに課税されることになるので相続税の節約になることがあります。

ただ相続税対策として生前贈与を考える場合注意しなければならないことは、3年以内の生前贈与は相続税の対象になるということです。そのため生前贈与をする際には、贈与後3年以上経過する必要があるということを考えておく必要があります。生前贈与をすると決めた場合は、早めに生前贈与することをおすすめします。

②贈与する相手を選べる

Photo byqimono

生前贈与をする最大のメリットは、贈与する相手を選ぶことができるということです。遺産相続の場合法定相続人以外に遺産を残したいと考えても遺産の遺留分があり相続時に法定相続人の遺留分の権利の放棄などを依頼するなど様々な手続きが必要になります。

土地を譲りたい相手にあらかじめ生前贈与しておくことで親族間のトラブルを回避することができます。また贈与者の希望を優先することができます。

③現在の評価額で譲渡できる

Photo byPublicDomainPictures

土地の相続税や贈与税を計算するための価格は路線価が使用されます。路線価は、私道を除く道路につけられた道路の価格のことで、土地の価格はどの道路に面しているかで決められます。この路線価は、毎年7月ごろ国税庁が更新しています。生前贈与する土地の贈与税は、贈与する年の路線価を基準に算出されます。

路線価には相続税評価額と固定資産評価額があり、贈与税の計算には相続評価額が使用されます。相続税評価額は固定資産税評価額の約1.14倍で設定されているといわれています。

生前贈与とは?手続きの仕方やメリット・デメリット・注意点を徹底解説! | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
生前贈与とはどのような仕組みなのでしょうか。生前贈与にはメリットも多くありますが、その反面デメリットや注意点もあります。今回は生前贈与とはどのようなものなのか、仕組みや手続き、メリット、デメリット、注意点なども詳しく解説していきます。

生前贈与・土地の贈与の際の節税方法

Photo byijmaki

生前贈与で土地を贈与する場合、贈与税がかなりの高額になり相続税の方が低くなることがあります。そのため実際に生前贈与を検討しても高額な贈与税のためにあきらめている人もいます。生前贈与による贈与税は3つの方法で非課税になるなど節税することができます。ここでは贈与税を節税するための3つの対策について詳しく解説します。

①婚姻20年以上の夫婦間贈与

Photo byErikaWittlieb

婚姻20年以上の夫婦の場合、居住のための不動産や不動産取得のための金銭の生前贈与では最大で2000万円まで非課税になる贈与税の配偶者控除という制度があります。このほか基礎控除の年間110万円を合わせると贈与税が最大2110万円まで非課税となり節税になる可能性があります。

ただ相続税は夫婦間の場合最大1億6000万円まで非課税になるので、相続税の節税のために生前贈与を考えているときは注意が必要です。

②相続時精算課税制度の特例

Photo byAlexas_Fotos

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母もしくは祖父母から満20歳以上の子や孫に生前贈与する場合に選択することができる制度です。この制度は、生前贈与する贈与者が金銭・不動産にかかわらず選択することができます。

生前贈与をする際に相続時精算課税制度を選択すると最大2500万円までの贈与分が非課税となります。また2500万円を超えた場合の贈与税は一律20%の課税になります。

この制度を利用するときに注意することは、一度相続時精算課税制度を選択すると暦年贈与制度の非課税枠を利用できないということです。また実際に財産を相続するときに贈与分と相続分を合計した遺産に相続税がかかることになるので相続税が節税できない可能性があります。この制度を利用するときは、専門家とよく相談することが大切です。

③年間110万円以内の贈与は非課税

Photo bygeralt

暦年贈与とは毎年1月1日から12月31日までの間に行う生前贈与の金額が110万円以下であれば税務署への申告の手続きなしに贈与分が非課税となる制度です。

暦年贈与の特徴は、贈与相手の制限がないことです。配偶者控除や相続時精算課税制度では夫婦間の贈与や子や孫への贈与が対象になります。暦年贈与では、贈与相手に制限がないため贈与する相手が親族以外にも適用されます。

また土地を生前贈与する場合、贈与する土地の価格が非課税になる基礎控除の110万円以上になる可能性が高いと考えられます。この時暦年贈与を利用して生前贈与を行うには、毎年110万円以下になるように少しずつ土地の生前贈与を繰り返すことが必要になります。

生前贈与・申告が必要な場合の申告漏れ

Photo byOpenClipart-Vectors

生前贈与では贈与税の申告を税務署に行う必要があります。贈与税の申告が必要なのは暦年贈与で贈与額が年間110万円以上になった場合と相続時精算課税制度を選択した場合になります。贈与税の申告漏れがある場合は税務署からの指摘を受けることがあります。また状況によっては刑事罰の対象になる可能性があります。

①税務署からの指摘を受ける可能性が高い

Photo by Tina.Ivano

生前贈与で土地を贈与する場合、登記の名義変更手続きをすることで確実に所有権が受贈者に移転したことになります。そのため法務局で登記の名義変更手続きが行われたことは、税務署の調査で確認することができます。

贈与税の申告漏れは登記の名義変更の確認のほかに贈与者や受贈者の納税状況などの調査により税務署から指摘されることがあります。受贈者が贈与税の申告や納税を忘れてしまっていた場合も申告漏れとされます。

②発覚した場合刑事罰を受ける可能性もある

Photo by3839153

申告漏れが発覚した場合、加算税と延滞税のふたつが課税されます。加算税は、申告漏れをした人を対象に罰金的な要素が強い税金です。加算税には4つあり、それぞれに課税率が異なります。延滞税は、納付が遅れた人に課税されるものです。

贈与税の申告を忘れてしまった場合、故意ではないとしても1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則があります。さらに故意に申告せず脱税しようとするなど悪質な場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科せられます。いずれにせよ贈与税の申告は定められた期間内に受贈者が行うことが大切です。

生前贈与・土地を贈与する場合のデメリット

Photo byijmaki

生前贈与には多くのメリットがあります。ただ生前贈与にはメリットだけではなくデメリットもあります。生前贈与の最大のデメリットは、贈与税のほかに登録免許税と不動産取得税がかかるということです。また登記の名義変更など煩雑な手続きが必要になります。ここでは生前贈与のデメリットについて詳しく解説します。

諸経費が掛かる

Photo byjarmoluk

生前贈与で最大のデメリットは諸費用が掛かるということです。とくに贈与税は、いろいろな節税方法を検討してもかなりの金額になる可能性があります。また贈与税が節税できたとしても登録免許税と不動産取得税のふたつは必ず課税されます。

贈与税や登録免許税と不動産取得税のほかに、煩雑な手続きを適正に行うために司法書士などに依頼することが多くなります。この司法書士などへの報酬も必要な経費になります。

手続きが煩雑

Photo bygeralt

土地の生前贈与では、贈与される土地の贈与税の計算など贈与される前に知っておきたいことがあります。また法務局への土地の所有権の移転などの手続きありとても煩雑になります。これを個人で行うこともできますが、実際にはかなり難しいといえます。この手続きの煩雑さも生前贈与のデメリットといえます。

生前贈与として土地を贈与する場合には贈与税に注意

Photo bygeralt

生前贈与では、必ず贈与税がかかります。贈与税は配偶者控除や相続時精算課税制度、暦年贈与の特例を使ってできるだけ節税することが大切です。ただ贈与税は非課税になる枠を超えた場合など相続税と比較すると生前贈与の贈与税の方が多く課税されることがあります。そのため生前贈与では贈与税と相続税を総合的に検討することが大切といえます。

小梅
ライター

小梅

子育てが終了し、自然に囲まれたところで、家族や犬と一緒にまったりとした日々を過ごしています。ゆったりとした時間の中で、裁縫したり、編み物をしたりしています。生活に役立つ情報など興味がわいた事柄は、インターネットや本で調べたり、書いたりすることがとても好きです。

関連するまとめ

人気の記事