桜につく毛虫の種類や対策・予防方法を紹介!
学校や公園、街路樹など、桜の木はあちらこちらに植えられていて私たちに身近な存在です。4月に美しい花を咲かせる桜も、花が終わると毛虫がたくさんつきます。桜の木の下を歩かないようにしている方も多いのではないでしょうか。
桜の木につく毛虫には種類があるのでしょうか。毒性があり触れると危ないのでしょうか。また、いつどんな時期に大量発生するのでしょうか。ここでは、そんな疑問についてみてみましょう。
桜に毛虫がつく時期とは
桜の木を個人所有している人は少ないかもしれませんが、公園や街路樹など、桜の木はあちらこちらにあります。毛虫が多いと、桜の木の下を歩くのを躊躇してしまう人がいるかもしれません。
桜の木にはどんな時期に毛虫が住みつくのでしょうか。花見の時期には毛虫はいないのでしょうか。ここではまず、桜の木に毛虫が住みつく時期についてみてみましょう。
桜の花が散った頃から
毛虫は、桜の花が咲く3月から4月にはほとんど見ることがありません。この時期には桜の木に住みつく種類の毛虫はほとんどいないのですが、まれに幼虫の毛が風に乗って飛んでくることもあります。念のため、花見の際には長袖の着用がおすすめです。
桜の花が終わると、桜の木に葉が出てきます。毛虫はこの葉を食べて成長するため、葉桜の時期に大量に毛虫が発生します。葉桜の時期には桜の木の下を歩かないようにするのがおすすめです。
春から秋まで繁殖は繰り返される
実は毛虫が大量発生するのは葉桜の時期だけではありません。毛虫は約1カ月で蝶や蛾になり、卵を産んで繁殖します。春から秋までこのサイクルを繰り返すので、半年に5~6回は繁殖時期を迎えると言われています。
したがって桜の木には冬の寒い時期を除き常に毛虫が暮らしていることになります。時々、桜の木を見上げ、毛虫を探してみるのもおすすめです。
桜につく毒のある毛虫の種類
桜の木には様々な毛虫が生息しています。ここではその中から、毒針を持ち、触れると鋭い痛みを感じたり、炎症を起こしたりする種類の毛虫を紹介します。強い毒性を持つ種類の毛虫もあるので、むやみに触れないようにしましょう。
ドクガ
ドクガの幼虫は、桜や梅、柿、リンゴなど全国の広葉樹に見られます。有毒の毛虫として有名な種類で、体長は20mm〜40mmくらいになります。
ドクガの毛虫は冬越しをし、桜の木には5月~6月頃に幼虫が現われます。幼虫の時は集団で過ごし、成長すると単独で過ごします。
毛虫は全体的に黒い色をしていて、全身に0.1mmほどの小さな毒毛針が無数にあります。毒毛針が皮膚につくと、強いかゆみや炎症を起こします。直接触らなくても、毒毛針が風に吹かれて皮膚に着くことがあります。
アオイラガ
アオイラガという蛾の幼虫は、桜や梨、柿、楓などの木に生息します。全体的に緑色で、背面に青いラインがあるのが特徴です。大きさは約25mmで、胴体には毒棘と毒針毛を持っています。
毒針毛が皮膚に付着すると、痺れたように痛みます。後で強いかゆみが起こる場合もあります。毛虫は6月〜7月と9月〜10月の年に2回発生します。毛虫は集団で過ごすことはなく、桜の葉の裏などに生息しています。
マイマイガ
マイマイガという種類の蛾は、メスは白い色、オスは黒い色をしていて、全国に生息しています。毛虫は、桜やリンゴ、庭木などに生息します。幼虫の時は黒色で、成長するに従い、赤や黄色、青などの斑紋が現われます。大きさは約60mmです。
毛虫は3月〜5月に孵化し、風に乗って樹木に付着します。洗濯物にも着くことがあるので注意が必要です。孵化したばかりの毛虫には毒針毛があり、触れると炎症を起こします。マイマイガは10年に1度大量発生し、桜や農作物を荒らすため、大きな問題になることがあります。
クロシタアオイラガ
クロシタアオイラガという蛾の幼虫は、全国の桜や梅、柿の木、栗の木、庭木などに生息します。全体的に薄緑色で、背中に縞模様があります。大きさは約20mmと小さめです。
桜の木につく有毒の毛虫で、全身に毒棘と毒針毛を持ちます。刺されると痺れたように痛みます。葉の裏にいることが多く、気が付かないで刺されることがあります。毛虫は6月〜7月と8月〜9月の年2回、発生します。単独で生息しますが、大量発生することもあります。
ヒロヘリアオイラガ
ヒロヘリアオイラガという蛾の幼虫は、主に関東以南の桜や紅葉、楠、庭木などに生息します。南方系の外来種で、全体的に黄緑色をしていて、中央に濃い緑色のラインがあります。体長は22mm~24mmくらいです。
毛虫は数の毒棘と毒針毛を持ち、刺されると強い炎症を起こすので注意が必要です。毛虫は6月〜7月と8月〜9月の年2回発生します。桜の街路樹に大量発生して、問題にあることがあります。
ウスムラサキイラガ
ウスムラサキイラガという蛾の幼虫は、全国の桜や梅、クリ、コヌギなど幅広い樹木に生息します。毛虫の大きさは約11mm〜16mmと小さく、全体的に若草色をしています。丸みを帯びた形をしていて、全身に毒棘と呼ばれる黒い小さな毛が生えています。
ウスムラサキイラガの毛虫に触れると、痺れたような痛みを感じます。桜の葉の裏に隠れていることが多く、気が付かずに触れてしまうことがあります。毛虫は5~7月と9~10月の年2回、発生します。
桜につく毒のない毛虫の種類
桜の木には毒性のない種類の毛虫も生息しています。毒性がないので、触れても大丈夫ですが、肌の弱い人はかぶれることがあるので注意が必要です。
また毒性にある毛虫に似ている場合もあるので、気を付けてください。毛虫自体には毒性がなくても、大量発生すると桜の葉を食い荒らすため、駆除されることもあります。
リンゴケンモン
リンゴケンモンという蛾の幼虫は、主に本州以西の桜やリンゴ、梨、柳などの樹木に生息します。幼虫の大きさは35mm~45mmで、成虫になると50mmくらいになります。毛虫の色は全体的に黒色で、明るいオレンジ色のラインが入っています。
5~6月、8~10月の年2回、発生します。リンゴケンモンは毒性がないのですが、有毒なキドクガとよく似ているので、注意が必要です。
アメリカシロヒトリ
アメリカシロヒトリの幼虫は、全国の桜やプラタナスなど街路樹や柳、柿、桑などに多く見られます。アメリカ原産の外来種で、毛虫の大きさは約30mmです。体全体が白い毛で覆われています。
5月~7月と8月~9月の年2回、発生します。繁殖力が強く、1匹につき700から1000個の卵を産みます。1週間で孵化し、集団で葉を食い荒らすため、毎年大きな被害が報告されています。毛虫には毒性がありませんが、広く食害するため害虫に指定されています。
オビカレハ
オビカレハという蛾の幼虫は、全国の桜や梅の木などに生息します。幼虫は35mm~40mm、成虫になると60mmくらいになります。毛虫は成長するにつれ、黒から青色に変わります。
発生は4月~7月の年1回です。卵は桜の幹に糸を巻きつけたような形で産み付けられます。孵化すると天幕状の巣に数10匹から数100匹、群生します。毛虫には毒性はありませんが、桜の葉を食べ尽くすため駆除の対象になっています。
モンクロシャチホコ
モンクロシャチホコという蛾の幼虫は、全国の桜やボケ、アンズ、カイドウなどの木に生息します。毛虫の大きさは約50mmで、紫黒色の体の体に黄白色の長い毛が生えています。
シャチホコのように独特なポーズを取るため、モンクロシャチホコという名前が付いています。7月〜9月の年1回発生します。毛虫には毒性がなく人間には無害です。そのため、農薬などを使って駆除することが少ないようです。
実はこのモンクロシャチホコ、昆虫食としても人気があり、食べると美味しいと話題になっています。桜の葉を食べる毛虫なので、桜の香りがするそうです。
桜につく毛虫の駆除対策
自分の家の庭に桜の木がある人は少ないかもしれませんが、広い庭がある家では桜の木を植えているかもしれません。毛虫がついたままにしておくと、桜の木の成長に影響を及ぼしたり、近隣の迷惑になったりします。しっかりとした害虫対策や予防が必要です。
また上で紹介した毛虫は、桜の木だけではなく、様々な庭木に発生するので、駆除の方法を覚えておくと役に立つでしょう。ここでは毒性のある毛虫と、毒性のない毛虫の2つに分けて、それぞれの駆除の方法を紹介します。
毒のある毛虫の駆除対策
桜の木に着く毒性の毛虫の駆除について説明しましょう。毒性の毛虫を駆除するときは、まず最初に肌を露出させないようしっかりとした対策が必要です。殺虫剤を使う時は、ゴーグルや手袋、帽子などを装着し、殺虫剤が体にかからないようにします。
毒性のある毛虫を駆除する最も簡単な方法は、スプレー式の殺虫剤を散布することです。そのとき、毛虫に殺虫効果がある殺虫剤を選ぶようにしてください。毛虫にめがけて殺虫剤をスプレーすると、毛虫が動けなくなるので、枝葉ごと切除します。
葉の裏や樹木全体に毛虫が発生している場合は、液体殺虫剤を散布する駆除がいいでしょう。スプレー式よりも費用がかかりますが、一度に広範囲を駆除できるので便利です。
毒のない毛虫の駆除対策
毒性のない毛虫は、人間に害を与えないのでそのままにしておいても大丈夫ですが、大量に発生すると桜の葉を食い荒らし、桜の木の成長に影響します。また毛虫の死骸などが地上に散らばっているのも、あまり気持ちのいいものではありません。
そんな時は毒性のない毛虫でも駆除するのがおすすめです。毒性のない毛虫の場合も、殺虫剤を使って駆除する方法が簡単です。駆除したい毛虫に合わせて、殺虫剤を選ぶといいでしょう。
殺虫剤をあまり使いたくないという場合は、毛虫対策に酢や木酢液を使うことができます。また殺虫成分が少ない天然成分の殺虫剤もあります。
毛虫に刺された場合の処置方法
もしも毒性を持つ毛虫に触ると、赤く腫れたり、強いかゆみが起こったりします。毛虫は葉の裏に潜んでいることが多く、気が付かないうちに触っていることもあります。
もし毛虫に触れてしまったら、慌てずに慎重に行動しましょう。針が残っている場合は押し込まないようにし、ガムテープやピンセットなどで針を取り除きます。
そして触れた部分を水でよく洗い流します。触ったり掻いたりすると症状が悪化するので、できるだけ触らないようにします。市販のかゆみ止めなどで炎症を抑えることができますが、かゆみが続いたり、腫れがひどくなるようでしたら、皮膚科に相談するのがおすすめです。
毛虫の種類によっては、刺された直後ではなく、数時間経ってからかゆみや腫れが起こる場合もあるので注意してください
桜につく毛虫の発生を予防する方法
桜の木は毛虫がつく前に予防をすると、万が一毛虫が発生しても簡単に駆除することができます。ここでは毛虫対策として、予防方法を紹介しましょう。桜の木の周囲をきれいにするなど、できるところから始めるといいでしょう。
冬の間に卵のついた葉を切り取る
毛虫は、秋口に卵が産み付けられ、春になって発生します。そのため、冬の時期に卵を駆除しておく予防対策が必要です。卵は葉の裏や枝の間に産み付けられていることが多くあります。
桜の木は冬になると落ち葉になってしまいますが、その他の樹木では余分な葉を切り取るなどして、卵を駆除し予防しておきましょう。卵にも毒針毛が付いている種類の害虫もあるので、葉や枝を切り取る際は服装を整えるなどの対策をしてください。
天敵が毛虫を見つけやすいように剪定
毛虫対策のもう一つの予防方法は、木を剪定することです。剪定することによって毛虫の天敵であるスズメバチや鳥などが毛虫を見つけやすくなります。また日当たりをよくし、風が通りやすくすることによって、蛾が卵を産み付けにくくなります。
木の根の周りにある雑草や落ち葉は、虫が住みついたり卵が産み付けられたりします。毛虫予防には桜の木の回りはきれいにしておくことが必要です。
根元に殺虫剤を撒いておく
毛虫の予防対策として、桜の木の根元に殺虫剤を撒いておくのもおすすめです。桜の木の葉が茂る前に、根元にオルトラン液剤や粒剤を桜の木の根元に撒いておきます。
オルトランは根元から吸い上げられ幹や枝に伝わり、汁を吸う毛虫を駆除することができます。高い浸透移行性があり、手軽に利用できます。オルトランはそしゃく性のある毛虫に効くので、全ての毛虫を駆除できるわけではないので注意してください。
桜につく毛虫は冬の間の手入れで防げる
桜は春になると美しい花を咲かせます。花が散り葉が出はじめた時期から葉が散る秋まで様々な毛虫が発生します。毒性のない毛虫もありますが、触れるとかゆみや腫れなどを引き起こす強い毒性のある毛虫もあります。
毛虫を見たらむやみに触ることがないようにしましょう。桜の木の毛虫の予防対策としては、剪定など手入れをすることによって防ぐことができます。きちんと予防対策をして、春の桜を楽しみましょう。