出産手当金とは何?条件や申請方法・支給される期間など正しく理解!

出産手当金とは何?条件や申請方法・支給される期間など正しく理解!

働く女性必見!出産手当金とは?申請できる条件・期間・健康保険への申請方法など詳しく紹介しています。また、健康保険から出産手当金以外に受け取ることができる手当金とは?その種類・条件なども紹介しています。安心して出産・育児ができるよう、正しく理解しましょう。

記事の目次

  1. 1.出産手当金とは?
  2. 2.出産手当金を受け取れる条件や計算方法
  3. 3.退職者の受け取り条件とは?
  4. 4.出産手当金の対象期間は?
  5. 5.出産手当金のメリットとは?
  6. 6.出産手当金の申請手続き
  7. 7.出産手当金がもらえるまでの家計のやりくりは?
  8. 8.出産手当金の条件や申請方法・支給される期間など理解しておく!

出産手当金とは?

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働く女性の出産に関わる手当がいくつかある中に出産手当金があります。出産手当金とは出産のために会社を休み、事業主から給与の支払が受けられない場合に支給される手当金のことをいいます。

健康保険以外の公的医療制度においてもほぼ同様の手当てを受けられます。なお、出産育児一時金とは出産費用を手助けするために健康保険から支給されるお金で、別の手当てです。

妊娠~出産は妊婦健診や入院に分娩と何かと費用がかかります。少しでもお金がもらえると家計の助けになります。ここでは出産前後の収入に不安を抱える方に出産手当金をもらうために必要な条件や支給対象者、申請方法、支給される期間、注意点などについてご紹介します。

健康保険から支給される手当金

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健康保険から支給される手当金には、高額療養費などが支給される医療保障、傷病手当金が支給される生活保障、埋葬費が支給される葬祭費用、出産育児一時金が支給される出産育児費用、出産手当金が支給される出産した人の生活保障、家族療養費が支給される被扶養者への給付があります。

高額療養費とは医療機関等への支払いが高額となった場合、自己負担限度額を超えた額が払い戻される制度です。傷病手当金とは病気休業中に報酬が受けられない場合支給される制度です。

埋葬費とは業務外の事由により亡くなった場合5万円が支給される制度です。家族療養費とは被扶養者が治療の装具が必要になった場合に一部払い戻しが受けられる制度です。

健康保険の給付は業務外の「病気」「ケガ」「出産」「死亡」を対象にしており、申請してはじめて支給されるものであり、申請をしなければ支給されません。

出産一時金とは何が違う?目的と条件と対象枠

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出産手当金とは出産のために仕事を休み、無給になる方に対する休業補償で、出産前後の生活を支援することが目的です。出産手当金を受給するためには出産する本人自身が被保険者として加入していることが条件になります。

対して出産一時金とは妊娠4ヶ月以上で出産するすべての健康保険加入者が支給対象になり、出産にかかる費用など家計への負担を減らすのが目的です。高額になる出産費用を会計時に準備する必要がないよう直接支払い制度や受取代理制度などがあります。また、夫の会社の保険の扶養として入っている場合も受給することができます。

出産手当金と出産一時金の支給額とは?

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出産手当金の支給額は出産する方の給与の金額に応じて支給額が決定するため、受給額は決まっていません。出産一時金の支給額は1人出産につき42万円が支給されます。双子の場合は42万円×2=84万円受け取ることが可能です。ただし、妊娠22週未満での出産や産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産は40万4000円に減額されます。

出産手当金を受け取れる条件や計算方法

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では、出産手当金を受け取るための条件や計算方法を紹介していきます。自分に当てはめて確認・把握して、産休取得前に準備をしておきましょう。なお、出産手当金は健康保険組合から支給されるお金であり、会社から支給されるものではありません。遠慮せず申請しましょう。

出産手当金の計算方法

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出産手当金は対象期間と1日当たりの支給額を明らかにしてから計算します。対象期間は出産予定日以前42日(双子の場合は98日)~出産の翌日以降56日目までが会社を休んだ期間になります。出産予定日より遅れて出産した場合は遅れた日数も足して計算され、その分支給額が増えます。

出産手当金の1日当たりの支給額は、「支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2」で計算されます。標準報酬月額とは、基本給や賞与、残業手当などすべてを含んだ月給、つまり控除や税金などが引かれていない総支給額で計算されます。

支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額が25万円だった場合、1日当たりの支給額は25万円÷30日×3分の2=5,555円となります。よって、出産した日にちが予定日より4日後だった場合、(42日+4日+56日)×5,555円=56万6610円となります。

出産手当金を受け取れる条件とは?

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出産手当金を受け取れる条件は3つあります。1つめの条件は勤務先で加入している健康保険への加入期間が1年以上であること。国民健康保険に加入している場合は支給されません。共済組合や船員保険など公的医療制度を利用している場合においては出産手当金を利用できます。また、フリーランスの方は利用している公的医療制度によっては受給できます。

勤務先の健康保険に加入していれば、パートや契約社員でも対象になります。派遣社員も対象ですが、健康保険が派遣元か派遣先かで申請先が違います。確認しておきましょう。

2つめの条件は産休中に給与の支払いがないか、もしくは出産手当金より給与が少ない場合です。この場合、出産手当金から給与を差し引いた金額が実際に受け取れる出産手当金となります。3つめの条件は妊娠4ヶ月以上の出産した場合です。妊娠4ヶ月を過ぎて、早産・流産・死産・人工中絶となったケースでも出産手当金は受け取ることができます。

退職者の受け取り条件とは?

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妊娠・出産を機に退職した場合、出産手当金を受け取ることができるのか不安な方が多いようです。退職した場合でも3つの条件を満たせば受け取ることが可能です。ここではどのような条件があるのか確認していきましょう。社会保険の仕組みは複雑なところがあり、任意継続被保険者であった場合など支給されないケースがあるので注意しましょう。

3つの条件を満たす

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1つめは退職日まで健康保険に1年以上継続加入していること。2つめは退職日が出産日もしくは出産予定日の42日前、多胎児の場合は98日前であること。3つめは退職日に出勤していないことです。それぞれの注意点や条件を詳しく見ていきましょう。

任意継続被保険者であった場合は出産手当金を受け取ることができないので、注意が必要です。任意継続被保険者とは、会社を退職した後でも希望者は社会保険の加入を継続できる制度です。

退職日まで健康保険に1年以上継続加入していること

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転職や派遣などで同じ会社に勤務をしていない場合は注意するようにしましょう。継続加入とは1日の空白期間もなく加入しているということが条件です。社会保険の喪失手続を取った場合は対象になりません。なお、有給休暇・休職・欠勤は継続加入の期間に含まれるので問題ありません。

退職日が出産日もしくは出産予定日の42日前であること

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42日以降(多胎児の場合は98日以降)は対象外となってしまうので注意が必要です。出産前に体調が悪くなってしまった場合の有給消化は期間に含めることができます。体調や勤務環境など会社と相談しながら決めていくと良いでしょう。

妊娠初期につわりがひどかったり、切迫早産や切迫流産など入院や自宅安静などの理由で長期に渡って会社を休まなければならなくなった場合は傷病手当金の申請をすることができます。また帝王切開の場合にも傷病手当金の対象となります。こちらは有給消化期間中は対象外となるので、有給消化が終わった後に申請しましょう。

退職日に出勤していないこと

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有給休暇や欠勤で休みになっている場合は問題ありません。退職日に出勤していないことの条件を満たしていないために受け取れない方が多いので注意してください。これら3つの条件を全てクリアしていた場合に支給対象となります。

ここまでいくつかの条件を解説してきましたが、有給休暇の消化や出勤日の取扱いなどは会社の業務にも影響してきます。前もって会社側に出産手当金の申請を考えていることを伝えておくことでトラブルを避けることができるでしょう。

出産手当金の対象期間は?

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では、出産手当金の支給対象期間と受け取れない場合について確認していきましょう。出産手当金は産休後に申請するのが一般的ですが、振り込まれるのは産後休業の終了後1~2ヶ月掛かります。産休中の生活費には充てられないことを覚えておきましょう。また、多胎児の場合や予定日より遅れた場合には対象期間が変わりますので、詳しく見ていきましょう。

出産手当金の支給対象期間

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出産手当金の支給対象となる期間は、出産予定日の42日前~出産後56日目までの98日間です。多胎児の場合、産前は98日前~対象期間となります。

出産予定日より出産が早くなった場合は、対象期間が短くなることはなく、産前産後の合計98日間分が出産手当金として支給されるので安心して下さい。予定日より遅れて出産した場合は、予定日~出産までの日数を加えた期間が支給の対象となります。

出産手当金を受け取れない場合

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出産手当金を受け取ることができない場合はあるのか調べてみました。まず、夫の会社の健康保険の扶養になっている方、国民健康保険に加入している方は受け取ることができません。また、出産手当金以上の報酬を休養期間中に受け取っている場合は、出産手当金を受け取れないので注意が必要です。

出産手当金のメリットとは?

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出産手当金が支給されることで、経済面での心配は軽減され、産休中や育児休暇中に収入のことを考えず安心して出産を迎え、育児に専念することができるでしょう。それでは出産手当金を受け取るメリットはどんなものがあるのか確認していきましょう。また、企業側のメリットも同時にご紹介します。

健康保険などの支払いが免除されるメリット

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育児休業中を利用することは、身体面での負担を考えると助かりますが、経済面では心配を抱える方も少なくありません。

産前産後休業保険料免除制度といって、出産手当金の支給期間は健康保険料などが免除される制度があります。また、免除期間中も保障はそのまま受けることができるので、働く女性にとって大きなメリットと言えます。

様々な保険料が免除されるメリット

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産前産後休業保険料免除制度は健康保険料だけでなく、年金保険料・雇用保険料なども免除されるので休業中の経済的な負担を軽減でき、大きなメリットになると言えます。社会保険の資格を喪失するわけではないので、将来、年金額を計算する際は保険料を納めた期間で計算されます。

企業にとってのメリット

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出産手当金は社員のメリットだけでなく、企業側にもメリットがあります。休業中の間は健康保険の支払いが免除になります。この期間は会社が一部負担している健康保険料や年金保険料などの支払いが発生しないため、企業にとってメリットになります。また、産休中に社員が退職することなく、出産や育児からの職場復帰を視野に入れておくことができるのもメリットと言えます。

出産手当金の申請手続き

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出産手当金は自動的にもらえるものではありません。会社で加入している各健康保険組合に申請手続きをしなければ受け取ることはできません。ここでは出産手当金の申請手続きに必要な書類・申請方法・注意点を解説していきます。申請期間や申請期限が定められているので、手遅れにならないよう注意してください。

申請に必要な書類

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まず、担当医師の証明書が必要です。多胎妊娠の場合は、その旨の証明書も必要になります。診察を受ける際などにあらかじめ出産手当金の申請をする予定である旨を伝えておくとスムーズでしょう。

つぎに、事業主の証明が必要です。一般的に出産前に事業主に支給申請書の発行を依頼し、出産後に必要事項を記入したものを事業主経由で申請を行うケースが多いです。また金額を計算するため出勤簿やタイムカードなどの提出が必要です。

つぎに、出産手当金申請書が必要です。出産前に会社から書類をもらうか、またはパソコンにて書式をダウンロードをすることも可能です。

また、書類以外に健康保険証・母子手帳・印鑑も必要になります。あらかじめ加入している健康保険会社に確認しておくと良いでしょう。

申請方法

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出産手当金の申請は自分自身で行う方が多いようですが、会社が代わりに申請してくれる場合もあるようです。事前に相談しておくと良いでしょう。

申請の流れですが、まず支給申請書を入手します。全国健康保険協会に加入している場合は申請書をダウンロードできます。つぎに支給申請書に記入をします。その後、支給申請書を会社を管轄する保険会社へ郵送します。

申請は2回に分けて行う

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通常は産前と産後分をまとめて申請をするのですが、少しでも早く出産手当金を支給してもらうため、産前と産後で2回に申請することができます。申請書を2枚用意しておき、出産後すぐに病院へ申請書を渡して産前の期間分を申請しておけば産前産後まとめて申請するよりも1~2ヶ月早く支給されます。

申請時の注意点

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出産手当金は産前産後休業開始日から2年以内に申請をすれば全額支給されるメリットがあります。もし、2年を過ぎてしまった場合でも、2年と98日までは受け取る日によって減額はされますが受け取ることができます。また、傷病手当金と同時申請はできません。基本的には出産手当金が優先して支給されます。

出産手当金がもらえるまでの家計のやりくりは?

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ストレスなく妊娠期間を過ごすため、妊娠を機に家族で家計管理の見直しをしておきましょう。出産手当金が支給される2ヶ月半~4ヶ月後まで基本的に無給になるため、ある程度の生活費を用意しておく必要があります。ここでは様々なやりくり方法を紹介していきましょう。

夫婦での話し合い

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妊娠したときから家計は大きく変わり、赤ちゃんが生まれると、おむつ・ミルク・ベビーグッズなど何かと支出が増えます。また、光熱費も上がります。里帰りする場合は交通費、自宅に戻ってからは家事代行費用などの支出も想定されます。「生活費をどこから出すのか」という点を夫婦でよく話し合っておくと良いでしょう。

出産手当金を申請する頃は、赤ちゃんが生まれる時期と重なるので、書類を書いたり郵送したりするのが負担になることが想定されます。そのあたりも事前に夫婦で役割分担をしておくとスムーズに進むでしょう。

お金の心配を最小限にとどめ、産後の体を休めるためにも、会社の担当者や先輩ママに相談することをおすすめします。

利用できる制度を活用しましょう

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「こんな支給があってお得。」「こんな支給がもらえないから損。」と考えるのではなく、お金の「出」「入り」をしっかり把握し、上手にやりくりしていきましょう。国や自治体などでは育児休業給付金などさまざまな援助や手当の制度があります。利用できる制度はなるべく利用するようにしましょう。

出産手当金の条件や申請方法・支給される期間など理解しておく!

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出産に関するサポートは公的なものをはじめ、さまざまなものがあります。今回確認した出産手当金は、収入のことを気にせず安心して出産を迎え、育児ができるように設けられた制度で、働く女性にはとても大きなメリットと言えます。出産手当金についてしっかりと確認しておき、うまく活用していきましょう。

misa.mitsu
ライター

misa.mitsu

小5・小3・2ヶ月のママをしています。ライターのお仕事は初心者ですが、一生懸命覚えて早く基本を身に付けられたらと思います。よろしくお願い致します。

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