「虚心坦懐」ってどういう意味?由来・使い方・例文・類語をまとめて紹介

「虚心坦懐」ってどういう意味?由来・使い方・例文・類語をまとめて紹介

ビジネスシーンなどで使われる言葉に「虚心坦懐」がありますが、どのような意味なのか、由来・例文・類語・英語表現はどうなっているかなどを解説します。また、「虚心坦懐」の意味や由来だけでなく、どう使えばいいのか、実際の使い方も紹介します。

記事の目次

  1. 1.「虚心坦懐」の意味とは?
  2. 2.「虚心坦懐」の対義語・類語
  3. 3.「虚心坦懐」の使い方・例文
  4. 4.「虚心坦懐」の由来・歴史
  5. 5.「虚心坦懐」の英語表現
  6. 6.「虚心坦懐」はわだかまりのない心という意味

「虚心坦懐」の意味とは?

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「虚心坦懐」という言葉をビジネスシーンで使ったことがある人もいるでしょうが、改めてどういう意味かと聞かれると、少し難しい言葉です。普段使う機会のない言葉だけに、正確に意味をご存じない人もいるでしょうから、分かりやすく解説しましょう。

意味を理解するために分解する

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まず「虚心坦懐」という四字熟語を分解して、意味を考えてみましょう。「虚心坦懐」を2つに分けると、「虚心」と「坦懐」になります。最初の「虚心」を訓読みすると、「心を虚しくする(むなしくする)」ということで、心が空っぽという意味です。

心が空っぽではよく分からないでしょうが、「心にわだかまりがない」「先入観がない」「私心がない」という意味です。次に「坦懐」の意味ですが、「虚心」と似ていて、「わだかまりがない」「物事にこだわらない」ということです。

分解した意味を合わせるとどうなる?

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したがって、両方の意味を合わせても、「わだかまりがなく、さっぱりした心」「曇りのない素直な心」という意味になります。かなり心の状態がきれいであることを意味している言葉で、そのような気持ちの時に使います。

悪い意味では使わない

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「虚心坦懐」の意味を見れば分かるように悪い意味では使わない言葉です。かなり前向きでポジティブな表現であり、そのような場面にふさわしい言葉です。したがって、自分から積極的に使って、雰囲気を良くしてください。

「虚心坦懐」の対義語・類語

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「虚心坦懐」という言葉は少し難しいので、対義語や類語を学んで、よりその意味を明確にしてみましょう。難しい言葉は、対義語や類語を並べてみると、意味が分かりやすくなり、イメージがつかみやすくなります。

対義語①疑心暗鬼

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「疑心暗鬼」とは、「疑う心を持っていると、なんでもないことまで疑いたくなる」という意味の四字熟語です。「虚心坦懐」が「疑う心を持たず、素直に対する」という意味だと理解すると、ちょうど反対の意味になるので、対義語と言えます。

ビジネスシーンでは、「疑心暗鬼」にはならず、「虚心坦懐」に人や物と対した方がうまく行くケースが多いですから、常にそのような気持ちで臨んでください。

対義語②焦心苦慮

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「焦心苦慮」とは、「あれこれ思いを巡らして悩む」ということです。かなり苦しい心の状態ですが、「わだかまりのないさっぱりした心」という意味の「虚心坦懐」とは対極に位置する言葉です。したがって、対義語としても問題はないでしょう。

類語①虚心平気

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「虚心坦懐」という言葉は聞いたことがあるけれど、「虚心平気」は知らないという人が多いでしょう。「虚心」という部分は同じですが、後ろの部分が違います。しかし、これは「虚心坦懐」の類語です。類語というよりも、同じ意味です。

「虚心平気」の「平気」とは、「心が乱されない」「心が平穏である」という意味です。つまり、全体では「さっぱりした心で、落ち着いて物や人にあたる」という意味になりますから、「虚心坦懐」の類語の中の類語というわけです。

類語②明鏡止水

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「明鏡止水」と書いて、「めいきょうしすい」と読みます。その意味は、「心に邪念がなく、落ち着き払っている」ということです。「明鏡止水」の「明鏡」とは「明るい鏡」、つまり「曇りのない鏡」を意味します。

一方、「止水」は「水が止まっている」という意味ですから、「心の落ち着いた様」を表します。全体の意味を見てみると、完全に「虚心坦懐」と一致するわけではありませんが、「心がさっぱりしている」と「心が澄んでいる」という点が似ているので、類語としました。

類語③あるがまま

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「あるがまま」という言葉は、漢字で「在るが儘」と書く場合もありますが、その意味は「今ある形のまま」「ありのまま」ということです。「ありのままの自分」という使い方が良くされますが、特に気負わずに素直に自分の姿をさらけ出す時に使われる表現です。

この「あるがまま」と「虚心坦懐」には相通じる部分があります。「虚心坦懐」は「わだかまりを持たず、さっぱりした心」という意味ですが、「あるがまま」も「素直で、さっぱりした心で臨む」というニュアンスがあるので、類語にしてもいいでしょう。

類語④胸襟を開く

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「胸襟を開いて話し合おう」のような使い方が良くされますが、これは「胸中を包み隠さずすべてを打ち明けよう」という意味です。つまり、「わだかまりなく話し合おう」ということですから、「虚心坦懐」の類語です。

類語⑤誠心誠意

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「誠心誠意」とは、「真心を尽くす」「心を込めて、まじめに対する」という意味です。この意味は見方を変えると、「わだかまりのない心で、真剣に相手に尽くす」という風にも理解できるので、「虚心坦懐」の類語に組み込むことができます。

「虚心坦懐」の使い方・例文

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「虚心坦懐」の意味・対義語・類語を学んだところで、今度は実際の使い方や例文を見てみましょう。いくら意味が分かっても、実際に使えなければその言葉も生きてきませんから、例文を通して「虚心坦懐」の使い方を示します。

例文①

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「虚心坦懐」という言葉は、「わだかまりがない素直な心」という意味ですから、これまでに何らかのわだかまりがあった後に、気持ちを切り替えようという時に使えます。そのような場合の例文を載せます。

「これまでいろいろあったが、今日は虚心坦懐に話し合おう」という例文があります。この例文の意味をそのまま解釈すると、過去にお互いに気に障ることがあったかもしれないが、それを忘れてさっぱりした気持ちで話し合おうということでしょう。

このような「虚心坦懐」の使い方は、ビジネスシーンでは良く行われます。上司が部下に話しかける時や、同僚同士での会話時などに耳にする表現です。状況が合うようなら、実際にこのような使い方をしてみてください。

例文②

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「虚心坦懐」は心の状態を意味する言葉ですが、態度のありようも形容できます。その場合の例文は、「虚心坦懐の態度で接したので、相手と心が通じた」です。「さっぱりとしたわだかまりのない態度」という意味になります。

このように「虚心坦懐の態度」で人と接すると、相手も心を開いてくれるので、自然と仲良くなることができます。誰に対してもこのような態度で臨めれば、友達も多くなるでしょう。

例文③

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「虚心坦懐」を仮定の意味で使う例文も紹介しましょう。「虚心坦懐に話ができれば、仲良くなれるかもしれない」。この場合の例文では、これから「虚心坦懐」に話をすればという前提を設けています。

このような使い方では、自分が「虚心坦懐」になれば、うまく行くのではという期待感をにじませています。たいていの場合は、「虚心坦懐」の気持ちで臨めば、道は開かれるでしょう。

例文④

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一時だけでも「虚心坦懐」になってみようという例文もあります。次のような例文です。「A君はあまり好きなタイプではないが、今日だけでも虚心坦懐に話に耳を傾けてみよう」。人の好き嫌いがあるのはいいことではありませんが、やむを得ない場合もあるでしょう。

ただ、この人の場合は、今日だけと断ったうえで、「虚心坦懐」になろうと努力しています。今日だけではなく、いつもそのような態度になるのが理想ですが、仮に一時でもならないよりはなる方がいいでしょう。

例文⑤

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「虚心坦懐」とは、「わだかまりのないさっぱりした心」という意味ですが、そのような心で接してもうまく行かない場合があります。その場合の例文は、「Bさんと虚心坦懐に話し合ってみるつもりだったが、不愛想にされただけだった」です。

たいていの場合は、「虚心坦懐」に相手に対すれば、気持ちが通じ合い、仲も良くなるものですが、いつもいつもそうだとは限りません。したがって、このような「虚心坦懐」の使い方となるケースもあります。

例文⑥

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「虚心坦懐」に話を聞いた結果、納得ができたという例文もあります。「今回はCさんの意見を虚心坦懐に聞いた結果、十分に納得ができた」という例文です。人の話を聞く場合は、いつでもこの意味通りにできれば、納得できる機会も多くなるでしょう。

例文⑦

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リーダーがメンバー全員にわだかまりのないさっぱりとして気持ちで話し合ってほしいという時にも「虚心坦懐」を使えます。「今日はメンバー全員で虚心坦懐に話し合ってもらって、いい結論を出してほしい」という例文があります。

この例文のような「虚心坦懐」の使い方をすれば、みんなにその意味は十分伝わり、素直な気持ちで話し合ってもらえるでしょう。

例文⑧

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人にアドバイスをする時にも「虚心坦懐」という表現を使えます。「明日プレゼンをすることになっているけれども、どのような気持ちでやればいいでしょうか」と聞かれた場合に、「虚心坦懐の気持ちで臨めば、うまく行くよ」とアドバイスできます。

この場合も、「虚心坦懐」の「わだかまりのないさっぱりした心で」という意味が活かされています。このような心でプレゼンに臨めば、多くの聴衆を説得できるでしょう。

例文⑨

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「虚心坦懐」で自分の意気込みを示すこともできます。「御社との話し合いでは、虚心坦懐の気持ちで臨む所存です」。こう言われた相手側は、この人がさっぱりとした素直な気持ちで話し合いに来てくれるのだなと思うでしょう。

「虚心坦懐」という意気込みで相手側と交渉ができれば、契約がうまくまとまる場合があります。絶対にというわけではありませんが、まずは自分の態度を正しくするのが話し合いの基本でしょう。

例文⑩

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「虚心坦懐」という言葉の意味の重要性を説く例文もあります。「いろいろな意見があって答えが出ていないようだが、虚心坦懐に議論を尽くすことが大事だ」という例文です。ビジネスシーンでも意見が多く表明されて、まとまらないことがあります。

そのような時でも、お互いにわだかまりを持たずにさっぱりとした気持ちで議論を尽くすようにという意味で、このような例文が使われています。

「虚心坦懐」の由来・歴史

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「虚心坦懐」という言葉の由来や歴史を見てみましょう。難しい四字熟語で、意味も聞いてみなければわからない場合がある「虚心坦懐」ですが、明確な由来はあるのでしょうか。たとえば、中国の古典に由来があるのか調査してみましょう。

由来

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「虚心坦懐」と聞くと、中国の古典に由来があるようにも思えますが、実際にはそのような由来はありません。中国で使われている言葉ではなく、日本独自のものです。したがって、あえて由来はどこにあると聞かれれば、日本にあると答えるしかありません。

歴史

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「虚心坦懐」の由来が日本にあるとはいっても、具体的な由来となった古典があるわけではありません。したがって、いつどのように「わだかまりのないさっぱりした心」という意味の四字熟語が生まれたのかは不明です。

ただ、最初の方で説明したように、もともとは「虚心」と「坦懐」という2つの言葉がありました。それぞれの意味は似たようなものですが、これがいつの日か合わさって、現在の「虚心坦懐」の由来となったようです。

同じような意味のある熟語を組み合わせて、その意味を強調するという使い方は良くされます。これは日本語独自の特徴ですが、「虚心坦懐」も似た言葉を合わせて、「わだかまりのないさっぱりした心」という意味を強めています。

「虚心坦懐」の英語表現

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「虚心坦懐」が「わだかまりのないさっぱりした心」「曇りのない素直な心」という意味であることは何度も解説した通りですが、この意味に当てはまる英語表現はあるでしょうか。もし適切な英語表現があれば、ぜひ使ってみてください。

open mindなら意味が似ている

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「虚心坦懐」の意味を英語に訳したければ、簡単な表現があります。「open mind」という言い方で、「開いた心」という意味です。「わだかまりのないさっぱりした心」という意味が見事に簡潔な英語表現となっています。

「open mind」の例文を載せておきましょう。「I listened to his opinion with open mind.」という例文です。この英語表現を日本語の意味にすると、「彼の意見を開いた心(偏見のない心)で聞いた」ということですが、それは「虚心坦懐にい聞いた」という意味になります。

この「open mind」という英語表現に「calm」を付け加えて、「with a open and calm mind」とすると、さらに「虚心坦懐」の意味に近づく感じです。難しい英語表現ではありませんから、折に触れて使ってみるといいでしょう。

candorも適した英語表現

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「candor」は「率直さ」や「誠実さ」を意味する英語表現です。したがって、「in candor」または「with candor」で、「率直に」「誠実に」という意味になります。この英語表現も「虚心坦懐」の訳語として使えます。

例文を示しましょう。「Let's talk in candor.」。簡単な例文ですが、「率直に話し合おう」つまり「虚心坦懐に話し合おう」という意味です。英語でわだかまりなく話し合いたい時に使える表現です。

「虚心坦懐」はわだかまりのない心という意味

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ここまで、「虚心坦懐」の意味や対義語・類語、例文などを紹介しました。ビジネスシーンで時折使われる「虚心坦懐」という言葉ですが、意味を理解して使えば、相手と素直な心で話し合えるようになりますから、ぜひうまく使ってよい関係を築いてください。

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ライター

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WEBライターを長年続けています。書くことと調べることはなによりも好きで、1日中パソコンにかじりついている私です。これからも皆さんのお役に立てる記事を書くべく、最大限の努力をします。パソコン以外では、コーヒーを淹れたり飲んだりするのが大好きです。好きなコーヒーを飲みながら楽しくWEBライティングをしています。

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