子供が嘘をつくのには理由がある!
子供が、嘘をついていることがわかると、ほとんどの親はあわててしまうものですが、子供が、嘘をつくときには、必ず何らかの理由や原因があるといわれています。そのため親は、子どもが嘘をついてしまった理由や原因を、冷静に見分ける必要があるといえます。
子供が嘘をついたときの親の対応は、これから成長していく子供に大きな影響を与える可能性があります。そこで、親は子供が嘘をついたときに、冷静に対応できるようにしておくことが大切です。
子供が嘘をついたときに、親が適切な対策をとることができるように、子供がつく嘘の例や理由、原因について詳しく紹介します。
子供が嘘をつく例
子供がつく嘘には、様々な嘘があります。親から見ても許容範囲と思える嘘と見逃すことができない嘘です。子供がつく嘘の中には、空想の嘘、願望の嘘、誤魔化す嘘、親のまねをする嘘があります。ここでは、子供がつくこれらの嘘について詳しく解説します。
空想の嘘
2歳半ごろまでの子供は、現実と空想の境界線があいまいなので、現実ではありえないことをあったかのように嘘をつくことがあります。たとえば、犬が話しかけてきた、空を飛んだことがあるなどです。この時期は、子供自身、嘘をついているという認識がないことがほとんどです。
子供は、成長とともに現実と空想の境界線を、はっきり認識することができるようになります。そのため、空想のような嘘は、自然につかなくなります。
願望の嘘
子供がつく嘘の中には、子供の願望が含まれていることがあります。たとえば、遊園地や動物園に行きたいと思っているとします。その時、両親が「遊園地に行きたいね」という話をしているのを聞いたとします。子供は、友達に「遊園地に行く」という嘘をついてしまうことがあります。
このような嘘は、子供自身には全く悪気はないことがほとんどです。子供がこのような嘘をつくときは、子供の素直な願望であり、成長過程のひとつであると考えることが大切です。
誤魔化す嘘
子供は、自分の失敗や親に知られると怒られるようなことをしたとき、自分自身を守るために嘘をつくことがあります。
よくあるのは、「宿題をしてから遊びに行く」と親に約束していたのに、宿題をしないまま遊びに行こうとする子供の場合です。親には「宿題をした」といって嘘をついてしまうことがよくあります。この場合、正直に言うと遊びに行くことができなくなるので、嘘をついてしまうのです。
親のまねの嘘
子供は、親の言動をよく見ています。親が、いつも何気なく嘘をついていることで、子供は、「嘘をついても大丈夫なんだ」と思ってしまうことがあります。子供は、親の言動で、嘘をつくことは悪いことだという罪の意識を持つことなく、平然と嘘をついてしまうようになる場合があります。
子供が嘘をつく理由や原因
子供は、理由や原因がなく嘘をつくことはないといわれています。子供が親やほかの人に嘘をつくときには、必ず何かの理由や原因があるはずです。ここでは、子供が嘘として考えられる4つのポイントについて詳しく解説します。
本当だと信じているから
子供は、自分の言っていることが本当だと信じてしまっているときがあります。このときは、子供自身は、嘘をついているという自覚は、ほとんどないといえます。そのためこういった嘘は、子供自身に、人をだましたり自分を守ろうとする意識は、ほとんどないといえます。
叱られたくないから
子供は、自分がやりたくないことを避けたいという気持ちや叱られたくないという気持ちから、嘘をついてしまうことがあります。
例えば、塾に行きたくないので、親には塾に行くといって、公園やゲームセンターなどで遊んでいる場合やテストの点数が悪かったことを親には言えず、100点とったけど答案用紙がどこかに行ってしまったというような嘘です。
困らせたくないから
子供は、親に心配をかけたり困らせたりしないように嘘をつくことがあります。自分が友達関係などで困っていていても、親に言うと心配することがわかっていると、親に心配をかけたくないという考えから、嘘をつく傾向があるといえます。
とくに自分が、友達にいじめられている、嫌なことをされている場合、親が心配するからと「友達とは仲良くしているよ」と嘘をつくことがあります。
注目されたいから
子供は、時には自分だけを見てほしいと思うことがあります。とくに、弟や妹ができたときに、今までついたことがない嘘をつくことがあります。
この場合、子供は、今まで自分ひとりが独占していた両親の愛情を、弟や妹に取られてしまったような気持ちになってしまうことが多いのです。そのため、自分へ注目が集まるように、嘘をついてしまうことがあります。
子供が嘘をつく原因の探り方
子供は、成長の過程で、嘘をつくようになります。そして、子供の嘘には、そのまま見過ごすことができる嘘と見過ごすことができない嘘のふたつがあります。
見過ごしても大丈夫といえる嘘は、「犬がしゃべった」とか「空を飛んだことがある」など空想のなかから出る嘘です。見逃すことができない嘘とは、親をだまそうとしている嘘や自分にとって都合の良い嘘です。ここでは、見過ごすことができない嘘の探り方を紹介します。
だまそうとしているかどうか
子供が、嘘をついていると感じたとき、まずはその嘘が親やほかの人をだまそうとしてしている嘘なのかどうなのかを考えてみることが大切です。親やほかの人をだまそうとする嘘は、見過ごすことができない嘘といえます。
例えば、学校で友達と喧嘩をしたとき、自分が悪いということがわかっていても、嘘をついて相手が本当は悪いといったりする嘘です。この嘘は、自分が怒られたりすることがないように、自分を守るためにつく嘘です。子供も、嘘をついているということがわかっています。
利益を求めた嘘かどうか
子供がつく嘘の中には、子供自身にとって利益になる場合があります。子供は、誰かに認められたい、褒められたいという気持ちをいつも持っています。子供が、褒められたり、認められるためにつく嘘は、一度成功してしまうと、同じような嘘を繰り返す傾向にあります。
このように、子供自身にとって、何らかの利益が生じるような嘘は、見逃すことができない嘘といえます。
子供が嘘をつくときの親の対応・対策
子供が嘘をついたときに、とても大切なのが親の対応です。さらに、子供がこれから嘘をつかなくなるように、親が適切な対策を行うこともとても重要になります。ここでは、子供が嘘をついたときの親の適切な対応と対策について、詳しく解説します。
冷静になる
子供が嘘をついたとき、親としては驚き、ついつい感情的になってしまうことがあります。親が感情的に、嘘をついた子供を叱ってしまうと、子供は、本当のことをいう勇気を失ってしまいます。まずは、子供の話をしっかり聞くために、親は冷静になることが大切です。
子供が嘘をついたとき、親の適切な対応は、まず親自身が落ち着くこと、さらに、子供が話しやすい環境を作ってあげることです。
さらに「どうして嘘をついたの」などと子供を質問攻めにし、「嘘つき」などの言葉で叱らないようにすることです。また、子供が納得していないのに、無理に謝らせることも逆効果といえます。
原因を探る
冷静に話ができる環境をつくったら、親は、子供が嘘をついた原因や理由について、子供の話をじっくりと聞くことが大切です。この時、親の対応として大切なことは、決して子どもを問い詰めて、追い込んでしまわないことです。
親は、ついつい「どうして嘘をついたの?」「嘘をつくのは悪いことでしょう」という感じに子どもを追い詰めがちです。この対応では、子供が本当のことを話すと「怒られてしまうのではないか」と、本当のことを話しにくくなってしまいます。
子供が本当のことを話すまで、ゆっくりと子供の話に耳を傾けることが大切です。子供の話の中に、子供が嘘をついた理由や原因が隠れていることがあります。子供が嘘をつく原因や理由がわかれば、嘘をつかないように適切な対策をとることができます。
接し方を振り返る
子供が嘘をついたとき、子供がまた嘘をつかないようにするための対策のひとつとして、子供への接し方を見直してみることが大切になります。親の接し方が、厳しすぎたり、子供にとって納得のいかないものであれば、子供は、嘘を繰り返す可能性があります。
また、親は、子供との約束を破ったり、子供の前で嘘をついてしまったことがあるかを、振り返ってみることも大切です。子供は、親の行動をよく観察しています。子供が、頻繁に嘘をつくとき、親自身が子供に嘘をついたことがないかを考えてみることも大切です。
嘘はいけないと説明する
子供が嘘をついたときの対策として大切なことは、「嘘はよくないこと」ということを子供自身に理解させることです。
嘘をつき続けると、嘘をつくことは悪いことだという罪悪感が、次第にうすれていってしまいます。とくに、嘘をつくことで子供自身の目的を達成することができれば、また、次も同じように嘘をついて誤魔化そうとします。
嘘をつき続けることで、「自分のいうことを誰も信じてくれなくなる」ということをしっかりと子供自身に理解させることが大切です。子供に、信じてもらえなくなることがどんなに辛いことなのかを理解させることが重要です。
正直に話したら褒める
子供が嘘をついたとき、親に正直に本当のことを話した場合は、叱らないようにします。本当のことを言っても叱られるのであれば、子供は、次に嘘をついたとき、本当のことを話さなくなります。
さらに、子供は、叱られないため、または、自分の立場をよくするためにさらに嘘を重ねてしまう結果になる可能性があります。
子供が正直に自分の気持ちや嘘をついた理由を話してくれたときは、叱るのではなく、「よく話してくれたね」と褒めてあげることが大切です。子供は褒めてもらうことで、正直に話せば、叱られないし、きちんと話を聞いてもらえると理解します。
子供の成長過程の違いによる親の対応・対策
子供は、本来、嘘をつきながら成長していきます。子供が嘘をつくようになるのは、ある意味、子供が順調に成長しているという証でもあります。しかし、親としては、子供が嘘をつくようになってしまうと、とても心配になります。
実際、子供の嘘は、成長に伴って少しずつ変化していきます。ここでは、子供の成長に合わせた子供の嘘への親の対応・対策について解説します。
幼児期の嘘
多くの子供は、2歳半ごろになると嘘をつくようになります。この時期の嘘は、子供自身が、嘘をついている認識がないことがほとんどです。
この時期の対策は、嘘を否定するのではなく、「そうなのね」と聞いてあげることがとても大切といえます。
3歳になるころから、子供は、現実の世界を理解するようになります。そのため3歳を過ぎたころからの嘘は、子供自身も嘘をついているということを自覚している場合がほとんどです。軽い嘘なら、成長過程であるので容認することもできます。
他人に迷惑をかけるような見過ごせない嘘の場合は、対策が必要です。まず親は、子どもの話をしっかり聞くことが大切です。この時期の子供の嘘は、保身のための嘘が多いので、叱ったり、無理に謝罪させないで、じっくりと子供の話を聞くことが重要です。
学童期の嘘
7歳から10歳くらいの子供の嘘は、自分が嘘をついていることをはっきりと認識している場合がほとんどです。すぐにばれてしまうような嘘を、頻繁につくようなら、まず、子供の置かれている状況を考えてみることが大切です。
この時期の子供は、自分の置かれている状況をうまく説明することができないことがほとんどです。誰かにいじめられている、理由がわからないのに叱られたなどをうまく説明できず、嘘をついて逃げようとすることがあります。よく子どもの話を行くことが大切です。
また、下に弟や妹がいる場合、親がついつい「お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから」と我慢させることが多くなってしまうと、かまってほしいという気持ちから嘘をついてしまうことが多くなります。親は、子供の気持ちを考え、できるだけ兄や姉を優先することが大切です。
思春期の嘘
思春期になると、親に隠し事をする場合が多くなってきます。当然、子供が嘘をついてしまうことがあります。その嘘は、保身のため、プライドから、親に心配をかけたくないなど様々な理由が考えられます。ただ、共通するのは、人間関係に関する嘘が多くなってくるということです。
親は、子供が嘘をつくと子供を問い詰めたり、叱ったりしてしまいます。そうすると思春期の子供は、ますます話さなくなることがあります。親だけでは、十分に子どもの気持ちを聞くことが難しいときは、スクールカウンセラーなどの専門家に相談することも大切です。
子供が嘘をつくときは親が落ち着いて対応しよう
子供が嘘をつくときは、まず、親が落ち着いて冷静になることがとても大切です。そして、ゆっくりと時間をかけて、子供の話に耳を傾けることが、子供の嘘を防ぐための重要な対策となります。また、見逃していい嘘かそうでない嘘かを見極め、ケースごとに対応することが大切です。