バイトの所得税について知りたい!
今回は、アルバイトで獲得した収入に対する所得税について解説をします。アルバイトだと所得税はかからないと思っている方も多いかもしれませんが、収入金額によっては所得税が課せられて税金の負担を余儀なくされる可能性があります。
もしアルバイトをしている中で所得税がかかり源泉徴収を受けたとしても、その税金を還付してもらえる可能性もあります。確定申告をすることで納めた所得税が戻ってくることがあるので、アルバイトで生計を立てている方は理解しておくべきです。
学生でも、あるいは給料を手渡しでもらっていても所得税がかかることがあります。アルバイトの立場で所得税がかかるケースや、還付を受ける対応方法について分かりやすく解説していきます。
バイトの所得税の基本
まず、アルバイトをしている中で気を付けるべき所得税について解説します。所得税という言葉はなんとなく知っていたとしても、詳しく理解できていない方も多くいます。
学生の方などは特に所得税は関係ないと思っている方も多いですが、学生といえども所得税が課せられる可能性があることを理解しておくべきです。収入金額によって雇用主側の義務として源泉徴収をしないといけなくなる可能性があるからです。
そもそも所得税とはどんな税金なのか、どのように納税をするのか、源泉徴収とは何か、などについて解説します。アルバイトの身分の方でもしっかりと理解しておきましょう。
所得税とは
そもそも所得税とはどんな税金でしょうか。所得税は、国に納める税金で、税金を負担する本人が納税をする、直接税に分類されます。一般的に、会社やアルバイト先で働くと給料を得ることができます。給料をはじめとした収入に対し課税されるのが所得税です。
現在、税法上では様々な収入の分類があります。自分で事業を立ち上げて収入を得る事業所得、不動産売買や賃貸などで得られる不動産所得、年金やFXによる投資によって得られる雑所得など、分類がなされています。
アルバイトで得られる収入は、給与所得に分類され、所得税納税の対象になります。これは、身分が学生であれ一時的な労働であれ一律に該当する条件となります。
基本的に天引きされている
基本的に、所得税は税金を負担する人が納税者になる、直接税に分類されると説明しましたが、会社に勤めるサラリーマンやアルバイトやパートをして収入を得る方は、雇用主が給料から一定のルールで計算された金額を天引きします。
そのため、会社に勤めるサラリーマンの方は自分が納税をしているという感覚を持っていない方も多いです。特別なことがない限り、自分で確定申告をする必要がないためです。
アルバイトの身分でも同様に、通常は給料から所得税が天引きされ、残りの金額を手取り収入として獲得することができます。これはアルバイト先によって異なることもありますが、通常の職場ならたいていが給料天引きを行ないます。
天引き制度を源泉徴収という
給料から天引きされて所得税を雇用主側が代わりに納税をする仕組みのことを、源泉徴収といいます。給料を支給する源泉側で手続きをするためにこのような名称になっています。
このため、アルバイトの身分といっても一定の条件を満たした場合は本人の希望云々にかかわりなく所得税を負担しなければならなくなります。源泉徴収は、労働者を雇う側の義務となっているので、源泉徴収を避けることは一般的にはできません。
手渡しでも発生する
誤解している方が多いことに、アルバイト先からの給料を手渡しで受け取った場合は所得税がかからないという考え方があげられます。通常、アルバイトといえども最近は給料の支払い方法は手渡しではなく銀行振り込みが主流になっています。
給料を手渡しで受け取るなら、なんとなく所得税の負担をする必要がないと思っている方も多いですが、受け取り方に関係なく、手渡しで給料を受け取っていても給料は所得税の対象になります。
もし手渡しで給料を支給するアルバイト先が源泉徴収をしていなかったとしてもアルバイトで得た収入は確定申告をして所得税を納税する必要があります。手渡しのアルバイト先を探しても税金の負担有無には関係がありません。
バイトにかかる税金の種類
続いて、アルバイトを行なって収入を得ることで負担することになる税金の種類について紹介します。税金の種類は、アルバイトか正社員かに関わらず同様に発生する税金です。就労形態にかかわらず給与所得を得る方に同様に課せられる税金です。
アルバイトの身分にしても正社員にしても、ほとんどの勤務先で源泉徴収を実施してくれるため、自分で確定申告をして納税をする必要はありませんが、知っておいて損はありません。
給与所得を得る際に負担することになる税金について3種類を紹介します。自分が働く中でどんな種類の税金が賦課されるのか、いくらくらいの金額になるのかを把握しておくことは家計を考えるうえで重要なことです。
所得税
アルバイトをしている課せられることがある税金の一つ目は、所得税です。所得税とは、前述のように様々な収入を得ることに対して課せられる税金で、収入を得て生計を立てている方のほとんどが負担する税金になります。
所得税は、累進課税といって収入金額が増えれば増えるほど負担税額が大きくなる計算がされます。例えば物品の購入やサービス代金の支払いの際に負担している消費税のような、収入の大小にかかわらず全国民に一律で課せられる税金と大きな違いがあります。
銀行振り込み、手渡しなど受け取り方如何で課せられる税金に違いはありません。あくまで受け取った収入金額に対して課せられる税金であることを理解しておく必要があります。
復興特別所得税
アルバイトをしている課せられることがある税金の二つ目は、復興特別所得税です。復興特別所得税とは、2011年9月に発生した東日本大震災の復興の財源として徴収されることになった所得税です。2037年まで徴収される予定になっています。
徴収税率は、通常の所得税に対して2.1パーセントになります。ただ、所得税と同様通常は源泉徴収されて雇用主側で納税することになるので、個人で納税するなどの手続きは必要ありません。
所得税の税額に対して2.1パーセントという、比較的負担税額は大きくありませんが、税額負担を計算するうえで必ず省くことができない項目になり、確定申告などの際にも必ず考慮するべき項目となります。
住民税
アルバイトをしている課せられることがある税金の三つ目は、住民税です。住民税は、地方自治体に納付する直接税です。税率は自治体によって差があることがありますが、ほぼ一律で設定されています。
住民税の特徴として、所得割と均等割の二つの部分から構成される点があげられます。所得割は所得金額に応じて増減がある部分、均等割は全員一律で課せられる部分になります。
また、住民税の特徴のもう一つ大きなものとして、納税のタイミングが所得税と異なる点があげられます。住民税は、前年度の収入から計算された税額を当年度に納税することになります。サラリーマンの場合は、6月から一年間均等に毎月納税することになります。
バイトの所得税の控除
続いて、アルバイトの収入にかかる所得税を計算する際に考慮されることになる控除について解説します。アルバイトに限らず、正社員として働く会社員の方なども同様の控除の種類があります。また、個人事業主の方などそれぞれ控除項目が定められています。
所得税を計算する際の基本的な考え方は、獲得した収入から、一定の規則で計算された金額を控除した残りの金額を所得とします。所得税は、この所得に対して一定の税率を乗じて算出されます。
年末調整を受ければ、雇用主側で控除を正しく計算したうえでの所得税額を算出してもらうことができますが、自分で確定申告をする際には、自分で適用される控除内容を判断し、計算も自分で行う必要があるので、理解しておきましょう。
扶養控除
控除項目のうち、「扶養控除」について解説します。扶養控除とは、自分の収入で扶養する家族がいる場合に受けられる控除になります。親や子供など、扶養する家族の年齢によって控除額が変動します。
扶養控除は、38万円から63万円の間で定められています。収入額から大きな金額を控除できるので、確定申告の際や年末調整の際に忘れず申告するようにしましょう。
子供の扶養控除は、子供がアルバイトなどで収入を得始めた時には適用の可否を判断する必要があります。年間103万円以上の収入を得ている場合は扶養控除が適用されなくなるので注意しましょう。
勤労学生控除
学生の身分の方がアルバイトなどで収入を売る場合は、所得税の計算をする際に「勤労学生控除」が受けられます。勤労学生控除は、27万円の控除額になります。こちらも扶養控除やそれ以外の控除と同様大きな控除となるため、忘れずに申告しましょう。
学生にとって、アルバイトは生計を立てるうえで重要な収入源となります。逆に働くことで税額負担が増えていては、効率が悪いです。
所得税が発生しない範囲でアルバイトができるように、雇用主側にあらかじめお願いしておくこともおすすめです。雇用主側は、きちんと給与を計算して所得税及び住民税が発生しないように調整してくれることが多いです。
その他の控除
アルバイトで所得税を計算する際に適用される控除はほかにもあります。誰にでも適用される基礎控除は、アルバイトでも会社員でも個人事業主でもすべての方に一律38万円の控除が適用されます。また、アルバイトの場合は給与控除が適用されます。
給与控除は65万円ということになるので、収入源が一つのアルバイト先の場合は年間103万円を超えないと所得税がかからない計算になります。学生のアルバイトの場合はさらに勤労学生控除が受けられ、合計130万円の収入までは税金がかかりません。
さらに、年間の医療費自己負担額が10万円を超えると受けられる医療費控除など他にもいくつかの控除項目があります。確定申告を行う際に確実にすべての控除項目を参入して税額負担を減らしましょう。
バイトの所得税で返金される方法
最後に、アルバイトの収入に対し源泉徴収で所得税を負担した後、返金が受けられる可能性とその手続き方法について紹介します。アルバイトの収入でも、たとえ手渡しで給料を受け取ったとしても、所得税の対象として考えられます。
雇用側から給料を受け取るときに源泉徴収されて負担をすることになりますが、一定の条件をクリアしていると負担した所得税の還付を受けられることがあります。
所得税だけでなく住民税の負担にも影響してくるので、所得税を源泉徴収された場合は一度検討してみましょう。
年末調整を受ける
アルバイトで発生した所得税の返金を受ける方法の一つ目は、年末調整を行ってもらうことが挙げられます。年末調整は、雇用側で行なうことで、アルバイトの身分の従業員に対しても任意で実施してもらうことができます。
毎月の給料で源泉徴収された所得税は控除項目を考慮せずに負担しているので、一年間の収入と適用される控除項目を考慮して年末調整を実施すると、支払った所得税が返金されることがあります。アルバイトで所得税を徴収された場合は年末調整を依頼しましょう。
確定申告をする
アルバイトで発生した所得税の返金を受ける方法の二つ目は、自分で確定申告を実施することです。アルバイトの収入にも所得税が賦課されることがありますが、自分で一年間の収入と控除項目を考慮した確定申告を行うと、所得税の還付が受けられることがあります。
年末調整では適用されない医療費控除や寄付金控除など、全ての控除項目を算入して年間の収入から所得金額を算出することで、還付を受けられる可能性があるので、アルバイトといえども確定申告をするメリットはあります。
アルバイトを複数の場所で行なっている場合は、全てのアルバイト先の収入を合算する必要があります。一方が手渡しで給料を受け取っている場合でも、忘れずに合算しましょう。
不明点は税務署に相談
アルバイトの方でこれまで確定申告をしたことがない方にとって、手続方法や確定申告書の書き方は難しい面が多いです。不明な点がある場合は、最寄りの税務署に相談をしましょう。確定申告の時期は、相談コーナーが設置されているので、親身に対応してくれます。
バイトの所得税について正しく理解して働こう
以上、アルバイトの収入に対して賦課される所得税について解説しましたがいかがでしたでしょうか。アルバイトの収入でも、たとえ手渡しで給料をもらっていたとしても、所得税が賦課される可能性があります。
アルバイトの収入から所得税が源泉徴収された場合は、年末調整や確定申告の適用を検討して、少しでも税負担を軽減できるようにしましょう。税負担をしたくない場合は、アルバイト先にその旨を伝えておき、労働時間を調整しましょう。