扶養内でバイトしたい人必見!
学生でバイトをしている方にとって、扶養内でバイトするのかそれとも扶養を外れるまでバイトをするのか悩むことでしょう。そこで今回は、学生のバイトの方に分かりやすくバイトでの扶養についてお話していきましょう。
扶養の範囲内でバイトできる金額や、もしも扶養から外れてしまった場合しないといけない対処法についてもご説明していくので、最後までしっかりと読んでみてください。バイトをしているのであれば、ここはしっかりと頭に入れておきましょう。
扶養内でバイトするための基礎知識①扶養とは
学生であれば、バイトをしている人も多く大学生の頃では8割以上の人がバイトをしています。中には、しっかりとバイトしてたくさんの収入を得ている学生のいますが、ここで注意してもらいたいのが税金や健康保険の「扶養条件」を満たせなくなる可能性があることです。
何も考えないでバイトで稼ぎすぎて金額が多くなると、働いているのに手取りが減ってしまうことや親の税金負担を増やすことにもなってしまいます。バイトでの扶養についてはしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
簡単にいえば「養う」という意味
扶養というのは、自分の力で生活できない者を「養う」という意味の言葉でもあります。歯足りていない親や小さい子供を養っている親族が一定の条件を満たせば住民税や所得税などの一部が控除されることをいいます。
扶養控除とは
扶養している家族がいるなら課税所得を下げることができるので、税金の金額の負担を軽くすることができる「扶養控除」を使うことができます。学生である子供を扶養に入れることで、扶養控除を受けるためには条件が全て満たされる必要があります。
1つ目の条件として、納税者と生計を一にしている必要があります。扶養する人とされる人がおなじお財布から、使った金額で生活をしているということになります。一緒に住んでいなくても、遠い場所で一人暮らしをしている子供に、仕送りをしている場合はこれにあたります。
2つ目の条件として、青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一回も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないという条件があります。つもり家業の手伝いをしている人ではないということを意味しています。
3つ目の条件として、年間の合計所得の金額が38万円以下で給与のみの場合は、給与収入が103万円以下というものがあります。バイトをして収入をえている学生であれば、この103万円という基準の金額を超えてしまうと扶養控除を受けることができなくなってしまいます。
これは1ヶ月あたりにするとだいたい8万5,000円の収入になります。最近雇われた仕事ではなくて、You Tubeやフリマアプリを使って、給与以外の収入が稼ぐ人もいるでしょう。その場合は、収入から経費をひいた金額が、38万円を超えるのか超えないのかで判断することになります。
扶養に入るメリット
扶養に入るとどんなメリットがあるのでしょうか。ここではバイトで扶養に入るとどれくらいお得なのかについて解説していきましょう。例えば、その年の12月31日時点で16歳から18歳か、23歳以上であれば、所得税の金額38万円プラス住民税33万円の扶養控除を受けることができます。
19歳から22歳であれば、所得税の金額63万円プラス住民税45万円の扶養控除を受けることができます。大学生を扶養している世帯の負担が、特に軽くなるように設定されているということになるのです。扶養控除は、その金額がそっくりそのまま税金から引かれることではありません。
支払いが必要な税金額を算出する時に、基準の所得金額から扶養控除の金額を引いて、そこに税率を掛けて所得税や住民税を計算することになります。
いくら税金が安くなるのかについては、親である世帯主の所得によっても違っていて、扶養のあるかないかで年間にして10万円以上の差がでることも少なくないのです。
そして、親の勤め先から「扶養手当」を出している場合は、子供の収入が高くなりすぎると扶養手当を受け取る事ができなくなってしまう場合もあります。ですので、自分がどれくらいバイトで稼いでいれば扶養手当を受け取る条件に当てはまるのか基準を確かめておく必要があります。
扶養内でバイトするための基礎知識②条件
学生で扶養内でバイトをする場合、世帯収入の面でメリットがあります。学生が扶養控除内でバイトするための条件にはいくつかポイントを押さえておく必要があるので詳しく解説していきましょう。まずは、税金面と社会保険面との2つについて考える必要があります。
103万円がひとつの基準
学生で扶養される場合は、配偶者の所得から配偶者控除の38万円を差し引いた金額になるので、その分だけ納めるべき税金が少ない金額になります。また、学生で親に扶養されているのであれば、親の所得から扶養控除が差し引かれることになります。
16歳以上70歳未満で特定扶養に入らない場合は38万円で、19歳以上で23歳未満で特定扶養親族の場合は、63万円になります。年収が103万円を超えたとしても「配偶者特別控除」を受けることができますが、収入の額に応じて段階的に配偶者控除額が少なくなっていくのでご注意ください。
106万円は社会保険の基準
学生が扶養内でバイトする条件として、年収が106万円未満であれば社会保険に入る必要がありません。バイトの収入が年間でだいたい106万円以上になって、一定の条件を満たすのであれば勤めている企業の健康保険と厚生年金に加入する必要があります。
1ヶ月の賃金が8.8万円となります。これは、平成28年10月から施行された社会保険に関する比較的新しいルールになっているので、知らなかった人はチェックしておきましょう。
学生でバイトで扶養内で社会保険の適用条件は、まず週の所定労働時間が20時間以上ある場合、雇用期間が1年以上見込むことができる場合、賃金が月額8.8万円以上である場合、学生でない場合、常に501人以上の企業(特定適用事業所)に勤務している場合です。
この全てに該当している必要があります。健康保険と厚生年金に加入しておけば、保険料はパート収入から天引きされます。
手取り収入が減るのでデメリットに感じますが、将来もらえる年金が増えたり、病気や怪我でバイトができなくなった時に手当がもらえるといったメリットを受けることができます。
130万円の基準もある
学生でバイトを扶養内でしたいのであれば、年収を130万円未満のすることで、親の社会保険被扶養者になることができます。
先ほどご説明した年収がだいたい106万円で1ヶ月の賃金の金額が8.8万円以上であれば、バイト先の社会保険に加入しないといけない人を除くと、年収130万円未満であれば社会保険での扶養親族に該当することになります。
学生でバイトしているのであれば、親が加入している健康保険の被扶養者になることができるので健康保険料を支払う必要があります。
さらに、国民年金は、20歳以上で60歳未満の国内に居住する方であれば、全員加入しないといけませんが、厚生年金に加入している人に扶養されているのなら、自分で保険料を納める必要がありません。
ただ、将来の年金を受け取ることができるということもあります。また、厚生年金に加入している人に扶養される人以外は、国民年金保険料を支払う必要があります。
パートもアルバイトも違いはない
パートとアルバイトでは何か違いがあるのか気になる部分でもありますが、パートでもアルバイトでも法律上の違いは全くありません。
ですので、適用される法律と制度も違いがないのです。また、扶養控除を考える場合は、収入の額がポイントになるのは103万円、106万円、130万円という年収額になります。
扶養内でバイトするための基礎知識③外れるとどうなるか
学生で収入を増やすためにバイトのシフトを詰め込んだとしましょう。働いた時間に比例して手元に残る金額が増えるということではないのです。ここでは、扶養内でバイトしたい人が外れるとどうなるのかについて解説していきましょう。
親への税金の金額が上がる
学生が親の扶養から外れると、親が扶養控除を受けられなくなってしまいます。そうなると、なくなった扶養控除額の分が課税対象となって、金額が増えてしまい結果として親の納税額が増えてしまうことになるのです。
例え、報酬が高いバイトを見つけたとしても年間所得が103万円を超えてしまったら、扶養から外れる可能性があるので前もって親に相談しておく必要があるでしょう。
扶養控除の制度があるので、親から仕送りを減らしてもらおうと思って頑張ったとしても、返って親に負担を増やすことになるかもしれないというジレンマになってしまうのです。
社会保険料がかかる
学生が扶養から外れると、自分自身の所得にも税金の負担がかかってくることになります。また、場合によっては社会保険も自分で加入することになってしまいます。税金や社会保険料の負担は、バイトの収入が上がっていくと段階的に負担が大きくなっていきます。
せっかく稼いだバイト代を無駄にしないために、扶養控除の仕組みをよく理解しておく必要があるでしょう。税金と同じように学生のバイトで扶養から外れると社会保険もかかってきます。バイトで130万円を超えてしまうと扶養から外れるので注意しましょう。
所得税と住民税とは違って、社会保険の気をつける金額は130万円です。バイトで稼いだ金額が年間130万円未満なら学生は親の扶養から外れることがありません。
しかし、130万円を超えて、社会保険の扶養から外れると自分で社会保険や年金といった社会保険料を支払う必要があります。バイト先の社会保険に入るか、国民健康保険、国民年金に加入する必要があります。
親と別居している学生でも、生計が同一であれば扶養から外れることはありません。けれども、学生のバイトの収入が130万円を超えると同居しているかいないか関係なく、社会保険の扶養から外れることになります。
住民税がかかる
学生バイトで103万円以上稼いだ時に自分自身で所得税を納める必要があります。サラリーマンやバイト、パートではたらくとその人の給与所得として扱われることになります。所得税というのは、その人の年間所得に課せられる税金のことです。
給与所得者は収入によって金額は違うのですが、最低65万円の給与所得控除を付けることができ、日本国内で所得を得るのであれば、全ての人に38万円の基礎控除が適用されます。
所得税がかかるかの境目が103万円であるのは、給与所得控除の65万円と基礎控除の38万円を足した金額が103万円となるからです。所得税と合わせて、バイトで稼いだ金額がだいたい100万円を超えると、住民税の負担も気をつける必要があります。
住民税というのは、道府県民税と市町村民税を合わせたものをいいます。その年の1月1日に住民登録をしていた自治体に納付します。住民税は、どこの市区町村でもお同じで課税されるのではなくて、前の年の1月1日から12月31日までの所得に応じて税額が設定されます。
フルタイムで働く人は、お馴染みの住民税ではありますが、学生で扶養を外れることなくバイトをしてきた人にとっては、あまり知らなかったという方もいるでしょう。
勤務時間が少ないのであれば、問題はないのですが、バイトで稼いだ金額がだいたい100万円を超えると住民税を払う必要があります。住民税の給与所得控除は65万円です。さらに自治体によって違うので、基礎控除はだいたい35万円とされています。
2つの控除をあわせるとだいたい100万円ということになります。住民税を支払いたくないのであれば、バイト代がこの控除額の合計を超えないようにする必要がでてきます。また、住んでいる市区町村によっては住民税にかかる基準額が違うので注意してください。
ケースによっては100万円以下でも住民税の課税の対象になる場合があることも。バイトの年間所得が100万円前後になりそうな場合は、事前に市区町村の基準を確認しておくようにしましょう。
扶養内でバイトするための基礎知識④学生向け制度
バイトを頑張る学生には、税金や社会保険料は負担となってしまいます。その負担はかなり大きくなって学生にはかなりきついものがあります。そこで「勤労学生控除」を申請すれば非課税対象額を増やすことができるのでご紹介していきましょう。
勤労学生控除という制度
バイトをしている学生の負担を減らすべき設定されたのが「勤労学生控除」の仕組みとなります。バイトの収入が100万円を少し超えてしまいそうな人にとって、非課税対象額が増えるのでありがたい制度でもあります。
非課税対象額を増やすことができる
「勤労学生控除」が適用されると、所得税は27万円、住民税が26万円の控除を上乗せに。所得税の課税対象になる基準が103万円なので、27万円を足すと130万円ということになります。
住民税に関していうと、自治体によって金額は違いますが、基準のだいたい100万円に26万円を足して、だいたい126万円までが非課税対象になります。
「勤労学生控除」を受けるためには、必要な条件を全て満たす必要があります。まず、条件として小学校、中学校、高校、大学、高等専門学校、国や地方公共団体に設置された専修学校などの特定の学校の学生であることが必要です。
自分の通っている学校がこの条件にあてはまるか分からないのであれば、通っている学校の事務窓口で調べるようにしてください。学校の条件のほかに、給与所得がから給与所得控除を引いた金額が65万円以下でないといけません。
そして、給与所得以外の所得が10万円以下でないといけないのです。これらの条件をクリアすれば勤労学生控除を受けられるということになります。
申請方法
バイト先が1つであるのであれば、年末調整で勤労学生控除を申請することができます。まずは、「勤労学生控除を受けたい」ということをバイト先に伝えておきましょう。そして、年末調整の時に会社へ書類を出しましょう。
必要な書類は「給与所得者扶養控除等(異動)申告書」に「障害、寡婦、寡夫又は勤労学生」という部分がありますので、「勤労学生」の項目に丸を付けてください。バイト先が1つであれば、比較的手続きも簡単です。
バイト先からもらった必要書類をきちんと記入して提出することで「勤労学生控除」の手続きは完了になります。
もしも何個か複数のバイトをしているのであれば少し複雑になります。まずは、バイト先から源泉徴収票をもらいましょう。そして、決められた期日の内に確定申告をする必要があります。確定申告書に、勤労学生控除について書かれているので記載して税務署に出しましょう。
確定申告の時期は、毎年2月の中旬から3月中旬になります。もしも確定申告のやり方が分からないのであれば、税務署や市役所に相談会場があるので利用してみましょう。
扶養内でバイトするための基礎知識⑤外れる場合の対処法
バイトで働きすぎて、親の扶養から外れる金額を稼いだのであれば、どうしたらいいのかについてご説明していきましょう。まずは、親の税金が高くなるので、すぐに知らせる必要があります。それでは具体的な対処法をまとめていきましょう。
年末調整で申告する
100万円を超えた場合は勤労学生控除を使えば住民税と所得税を申請することができます。もしも、バイトをしている先が1つであるのであれば、年末調整で所得の申告ができます。ただ、バイト先が何個かあって複数になってくると自分で確定申告をする必要があるのでご注意ください。
確定申告を行う
もしもバイト先は複数で勤労学生控除を使いたいのであれば、確定申告を行いましょう。勤労学生控除の項目があるので記載して税務署に提出していきます。確定申告が始めてで不安な方は、相談会に行ってみるのもおすすめです。
被扶養者届を提出する
親の社会保険の扶養から外れるのであれば、外れるための手続きをする必要があります。扶養から外れることを親に伝えて、会社に「被扶養者(異動)届」と提出してもらってください。
その後、親の会社から健康保険資格喪失証明書がもらえるので、それをもってそれぞれの市区町村の役所で国民健康保険を手続きを行います。または、バイト先の社会保険に加入するという選択肢もあります。
労働時間や賃金などの条件がクリアすると、バイトやパートでも社会保険に加入できるので、バイト先に確認しておきましょう。ただ、短期バイトの場合は、社会保険に入ることはできません。
役所に相談する
バイトでいっぱい稼いでしまって、国民年金保険料の負担が辛いという場合は、一旦支払い猶予申請をするのも方法です。日本国内の20歳以上の人であれば、国民年金保険料を支払うことが義務になっています。しかし、20歳になるとまだ学生で収入があまりないという人も少なくありません。
そうした人に向けて学生納付特例制度が設けられています。本人の前の年の所得が118万円プラス扶養親族等の数掛ける38万円プラス社会保険料控除額よりも少ないのであれば、国民年金保険料の支払いを猶予してもらうことができます。
手続きは市区町村の国民年金の窓口、年金事務所、学校のどこかで申請するか、郵送でも可能です。生活費のためにバイト代をたくさん稼ぎたいと悩んでいるのであれば近くの国民年金の窓口で相談してみるのもいいでしょう。
バイトをするときは扶養について知っておこう
学生でバイトをするのであれば、扶養を外れることなく働くのか、それとも扶養を外れるまで働くのかしっかりと考える必要があります。特に、一人暮らしの学生であれば、親元を離れて生活しているので、自分のバイト代が親の税金に関係するとはあまり思わないことでしょう。
ですので、意識してみることが大切です。扶養の範囲内でバイトするのであれば、自分の希望にあった勤務日数で雇ってくれるバイト先を探すことが大切です。自分の働き方にあったバイト先を見つけて、損をしないように稼いでいきましょう。