「言質」の意味や読み方・使い方の例文をご紹介!
普段あまり使うことのない「言質」という言葉。読者の中に、正しい意味を知っている方や、読み方、使い方をご存知の方は、一体どれぐらいいるでしょうか?
ビジネスシーンでもプライベートでも、誰かと約束をする場面で使われる「言質」という言葉、類語も多く、様々な言い換えができる知っておくと大変便利な言葉です。
今回は、意外と使えそうでうまく使えない「言質」の意味を大解剖!明日から使える言質を使った例文や、英語表現、さらに同義で使える類語のバリエーションも合わせて詳しくご紹介致します。
言質の意味
言質という言葉を使いたかったら、まずは、その意味を知ることが第一歩。意味がしっかり分かっていれば、類語でも英語になっても、使い方や読み方を間違うことはありません。
意味を知らないで使っていると、例文に使用する際も誤った使い方になって恥ずかしい思いをしてしまいます。では、言質という言葉には、一体どんな意味があるのでしょうか?
言質という言葉には、ざっくりと「約束」という意味があります。その意味は、使う文脈によって多少度合いが異なってきますので、詳しく見ていきましょう。
意味・後に証拠となる約束の言葉
「言質」という言葉の意味は、「後に証拠となる言葉」という意味です。類義語に同じ意味で使用される「言葉質」という言葉もあります。余談ですが、言葉質の読み方は「ことばじち」です。
このような意味となったのには、使われている漢字一文字ずつの意味を知ることが、ポイントとなります。言質は、発言を意味する「言」と人質と言った単語に使われる「質」という二つの漢字が使われています。
それぞれの意味を以下に詳しくご紹介しますので、言質の意味を深く知りたい方は、しっかりと学習してください。
「言」の漢字の意味
言質の「言」という漢字には、「言う」または「言葉」という意味があります。また、言という漢字には、「誓い」(宣誓)と言った意味も含まれるため、言という漢字が付くと、口で発した言葉全体を表す意味となります。
この意味から転じて、「言」には「言葉でした約束」「言葉で交わした誓い」と言った意味が含まれています。ここで初めて、言質の一つ目の意味である「約束」が出てきます。
「質」の漢字の意味
次に質という漢字の意味ですが、「質」は、「質屋」「人質」などの類語や派生語からも分かる通り、 「質」は「もの」「中身」「事実」といった意味合いがあります。また、「物事の根本」や「正す」と言った意味もあるので、様々な文脈で使うことができます。
元々、質には、「金銭に相当する品物」といった意味があり、質やの質や人質の質は、この意味で使用されています。この意味から、「約束を守る保証として他人に預ける物」=「質」という意味合いを持つようになったと考えられています。
質の読み方は、「しつ」「しち」「じち」などと読みます。この2つの漢字の意味を合わせると、「証拠となる言葉」という意味になります。言質の意味は、これでばっちりです!
言質の読み方
漢字の「言」が表す「言葉」という意味と、「質」が表す「証拠となるもの」を合わせて、言質の意味は「証拠となる言葉」であることが分かりました。
続いては、ビジネスシーンや日常生活でも使える「言質」の読み方についてご紹介致します。言質の読み方は一種類しかありません。
読み方は「げんち」
言質の読み方は「ことじち」ではなく「げんち」です。インターネットで調べると、言質の読み方として、「げんしつ」「げんしち」などを掲載しているページもあるようですが、「げんち」と読むのが正しい読み方です。
親しい間柄でしたら、読み方を間違ってもおかしくありませんが、取引先やビジネスで使う場合は、読み方を間違うとその人の能力や技量を疑われてしまいます。読み方を間違えないよう、きちんと覚えておきましょう。
言質の類語と意味
言質の意味と読み方もしっかり分かったところで続いては言質の類語について見ていきたいと思います。言質と意味が近く、使い方も似ている類語は、大きく分けて3つほどあります。
言質の代わりに使うシーンや文脈によって、若干意味合いが異なる場合もありますが、基本的にこの3つの類語は、言質と同じ意味として使用することができます。少し例文も交えてご紹介していきます。
①証言
言質の類語として、一つ目に使い方を覚えたいのが「証言」という言葉。文字通り、何かを証明する時に、発言する言葉のことを指します。証言は、裁判で使用される専門用語の一つで、言質にも近い意味があります。
この類語の例文を少しあげると「証言を取る」「証言する」などのように使います。私たちにとっては、言質よりも身近で、よく耳にする単語と言えるでしょう。
言葉で約束する、証拠を出すという意味になりますので、重い意味合いとなります。言質より、読み方も簡単ですので、普段使うのにちょうど良い類語です。
②供述
言質の類義語、続いてご紹介するのは「供述」です。読み方は「きょうじゅつ」となります。供述も、裁判や警察の事情聴取といったシーンによく出てくる単語です。意味は、「証拠」や「事実」を述べるという意味です。
「証言」が第三者による発言であるのに対し、供述は、事件の当事者や犯人など、第一人者に使用されることが多いのが特徴です。
例文としては「犯人が供述した」「被害者の供述によると」などのように使います。こちらも、ドラマやニュースでよく耳にするので、言質より使い方が簡単な単語かもしれません。
③確言
言質の類語として、最後にご紹介するのは「確言」という言葉です。確言は、「確かに」「言葉にする」という漢字の意味から転じて「言葉で確実に約束する」「確約する」と言った意味になります。
「確言」の使い方は「確言をとる」と言う言い方がもっとも一般的です。相手から「お墨付きをもらう」という意味にも取れます。言質と類語ですが、確言もややかしこまったシーンで使われる単語と言えます。
「証言」「確言」「供述」の3つの類語も、言質と合わせてしっかり意味と使い方を覚えておきましょう。
言質の使い方
言質の類語とその例文を見ていきました。類語の方が言質より読み方も簡単で、私たちが日常的によく見かける単語が多かったようです。
言質の意味、読み方もしっかり抑えたところで、続いては、言質の意味を踏まえた上で、実際の使い方の例を見ていきましょう。
言質という言葉の意味と使い方を知っておけば、後ほどご紹介する例文を使うシーンも間違う心配はいりません。ここが重要なポイントですので、きちんと覚えておきましょう。
①証拠を引き出す
言質の使い方としては「証拠を引き出す」という意味の使い方があります。相手に約束をきちんと守らせることがこの使い方の本来の意味です。
後で「あの約束はなかったことにしてくれ」と相手に言わせないようにするために、後で証拠として突き出せるような言葉を相手に言わせるという使い方が言質の主な使い方となります。
嘘をよく付く彼氏には、必ず言質をとる!これが正しい使い方です。結婚の約束など、人生の重要な決断を迫られるシーンでもこういった意味の言葉がよく登場します。
②証拠を与える
言質の使い方には、「言質を与える」という言い方もあります。この意味は「相手に証拠となる言葉を与えてしまう」という意味です。政治家などは、よく自分に都合のいいように話をしますが、うっかり余計な言葉を使ってしまった場合は、言質を与えたということになります。
言質を与えるというのは、ビジネスシーンでも、よく使用されます。商談や交渉事で、後で相手に証拠として突き出されてしまうような発言をするという意味合いです。
ボイスレコーダーで「言質」を取られたり、本来ならば言うべきことではないのに、口が滑って「言質」を与えてしまったり、こういった意味合いで使う表現です。
言質の例文
言質には、相手から誘導されて「言質」となるような発言をするという意味合いもあるということが分かりました。ここからは、実際に、どんな形で「言質」という言葉を使うのか?例文を交えてご紹介していきます。
言質は、先ほど使い方の場面でもご紹介した通り、発言者自信が自ら能動的に「言質」を漏らす場合と、相手から「言質」を誘発される場合の2通りの意味があります。
例文では、他動と自動の両方から使える「言質」の使い方をご紹介します。商談の際に使うときは、相手を誘導する形、自分が言質を取られる側になるときは、自動的な表現を使用することになりますので、ご注意ください。
①言質をとる
まず、もっともよく使われる「言質」を使った例文は「言質をとる」という表現です。意味は、先ほどご紹介した通り、相手に後々証拠として使えるような言葉を言わせるという意味になります。
「農林水産大臣は、言質を取られた」など、新聞のヘッドラインなどにも利用される他、商談では「取引先に言質を取られないよう、注意して取り組む」などのように使います。
逆に相手に確約させるという意味で使いたければ「言質を取りつける」と言った例文を使います。上司などに報告する時に「取引先の言質を取りました」と異って、誓約書やボイスレコーダーなどを提出するシーンなどが利用する場面です。
②言質を与える
続いての例文は、「言質を与える」という表現です。相手に確約するような言質を取られないようにするという意味合いで使用します。例文をあげると「先方に言質を与えるような発言に留意するように」のように使用します。
あるいは、「あの政治家は、相手に言質を与えるようなことを異ってしまった」などのようにも使用します。ルポや、エッセイなど、少しドキュメンタリータッチの文章などにもよく使用されている例文です。
自分が受け手側になるか、相手側になるかで、「取る」「与える」が入れ替わります。意味を取り違えないようにご注意ください。
言質の英語表現
ここまで日本語で言質の意味や類語、そして使い方の例文などをご紹介してきました。続いて、英語で「言質」と言う表現を使う場合には、一体どんな単語や使い方があるのかをご紹介していきます。
英語には、そもそも「言質」という意味合いで使用できる固定された単語がありません。概念をざっくりと表すなら、commitment(読み方=コミットメント)意味は確約、promise(読み方=プロミス)意味は約束などが一般的です。
英語では、相手に言葉を守らせる=誓約させる、約束させると言った意味合いのイディオムが多いようです。例文を交えながら、以下に英語で「言質」のコンセプトを表す表現をご紹介致します。
①相手に約束をさせる
言質の意味の中でも「相手に約束させる」という意味の英語表現では、make one promiseという使役法で「約束させる」と言う風に使います。
例文を挙げるとI made him promise(私は彼に約束させた)のように使用します。「結婚を約束させた」「責任を取ると約束させた」と言うように、相手に何かをさせますので、makeという使役法の他にも、forceといった単語も使えます。
例文を挙げてみましょう。I forced him to promise.(私は彼に約束するよう仕向けた)となります。forceは強制力が強い類語になりますので、言質の意味合いがより強固になります。
②自分が~する事を約束する
英語で言質を表す表現、続いては「自分が約束する」と言う場合について見ていきましょう。英語で「自分が約束する」と言う場合は、give one's word、commit oneselfのように表現します。commit(コミット)するというのはライザップのCMでもお馴染みです。
英語の例文を見てみましょう。I gave my words. (約束するよ)というように使用します。逆に言質をとられたくない場合は、どんな風に英語で言うのでしょうか?
その場合は、I avoided commiting myself.(私はコミットすることを避けた)のように表現し、意味は「私は言質を取られないようにした」と訳すことができます。
言質の意味は後に証拠となる約束の言葉
言質という言葉の意味や、使い方、読み方、そして英語での例文も含めて詳しくご紹介してきました。言質という言葉の意味は「後に証拠となる約束の言葉」という意味でした。
自動的に使うことも他動的に使うこともできる言質。意味が使用する文脈の主語によって入れ替わりますので、使い方には十分注意が必要です。
本記事を読まれた方は、言質の意味もしっかり理解されたことでしょう。取引先や恋人には、くれぐれも言質を取られないように注意しましょう。