支離滅裂の意味とは
「支離滅裂」とは、四字熟語の一つです。会話でもときどき出てくることがあります。よく使われる四字熟語でも「支離滅裂」の本当の意味や特徴を、きちんと理解して使えているでしょうか。
「支離滅裂」は、割とナイーブな言葉なので、意味や特徴、使い方を理解した上で使っていかないと人を傷付けてしまう可能性もあります。そうならないためにも、「支離滅裂」についてを学んでいきましょう。
人の行動・発言に対して使う
「支離滅裂」の特徴は、大抵人の行動や発言に対して使うことが多いことです。それも褒める意味ではなく、否定したり小ばかにする意味で使う場合がほとんどです。ですので、まさか上司や目上の人に使うことはまずないでしょう。
だからこそ「支離滅裂」を使うときには、十分に気を付けて発言しなければなりません。もちろん親しい仲で冗談で言うときはいいですが、それでも気を付ける必要はあります。
支離滅裂の意味と例文
「支離滅裂」の意味は「矛盾している」「脈絡がない」「まとまりがなくバラバラである」です。他にも「一貫性がない、めちゃくちゃ、わけがわからない」などの意味もありますが、今回は前者の3つの言葉にしぼって「支離滅裂」についての意味や特徴を更に詳しく見ていき、例文も紹介していきます。
意味①矛盾している
「矛盾している」の言葉の意味は「つじつまが合わないこと、物事の道理が一貫していないこと」です。
「矛盾」という熟語の由来は「楚の国の商人が、矛(ほこ)と盾(たて)を売るときに、この矛はどんな盾も貫く、この盾はどんな矛を持っても貫けないと言って売っていると、それを聞いていた者からその矛で盾を突いてみるように言われ、商人が困った」とのことからきているそうです。
使い方・例文
それでは「矛盾している」を使った例文を紹介します。「あなたの話は矛盾しています」「矛盾したことばかり言う」「犯人の供述は矛盾している」「彼の説明は矛盾している」「あなたがやっていることは矛盾しています」などがあります。
使い方としては、どの例文にしても、言っていることややっていること、説明や物事の内容のつじつまが合わず、道理が通っていない状態を指摘しています。これは、いわゆる否定文です。
しかし「矛盾していない」という使い方をすると、対義語になり否定を打ち消しているので肯定文になるのが特徴です。例文としては「あなたの言っていることは、矛盾していないよ」となります。
意味②脈略がない
「脈絡が(の)ない」という言葉の意味は「話に一貫した筋道がないさま、ちゃんとした筋道がなく散漫していること」です。熟語の「脈絡」は「みゃくらく」と読みます。この言葉は「脈絡(物事の一貫しているつながり、筋道)」という意味の熟語に「ない」という存在を否定する形容詞が、一緒になってできている言葉です。
使い方・例文
例文は「脈絡がない言葉」「脈絡がないことを平気で言いはじめた」「脈絡がなく突立っている」「脈絡のない人物や事件」などです。また、脈絡があるとすれば反対の意味になります。例文としては「一定の脈絡をつける」「理論的な脈絡がある」「話に脈略をつける」などの使い方があります。
意味③まとまりがなくバラバラである
「まとまりが(の)ない」という言葉の意味は「まとまっていない、規則性がない、均一ではない、統一性がない」です。
会話の趣旨の意味では「焦点が定まらない、言いたいことがわからない、道筋がわからない、話があちこちに飛ぶ」と記されています。
「バラバラである」という言葉の意味は「まとまっていたものが離れ離れになること、秩序や機能がすっかり失われること」とあります。また「意見や物事が互いに一致しない様子、食い違い」との意味もあります。良い意味では「バラエティーに富んでいる」という意味も含まれます。
使い方・例文
例文としては「あなたの話はまとまりがなくてバラバラである」「そんなまとまりのないバラバラな話をしないで」「この組織はまとまりがなくバラバラになっている」などの使い方がありますが「まとまりがない」と「バラバラである」を単独で用いる使い方もあります。
「まとまりがない」と「バラバラである」をそれぞれ単独で使う場合「君の話は、まとまりのない話しだなあ」「君の話は、バラバラだなあ」となります。どちらの意味もほぼ同じです。
支離滅裂な人の特徴
支離滅裂な人の特徴は、会話をしていて何を言っているのか意味がよくわからない人や、こちらが聴いていることに対して全く違う内容で返答を返してきたりと、お互いの会話が上手くかみ合わないことが多いです。
会話がかみ合わないと楽しく感じることはできないですし「もうこの人と話すのはやめよう。」となってその人から距離を置くようになり、コミュニケーションも取らなくなります。ここでは、支離滅裂な人の特徴も捉えながらどうやって付き合っていけばいいかを紹介していきます。
支離滅裂な人の会話
支離滅裂な会話をしてしまう人の特徴としては、基本コミュニケーションを上手く図れない人が多いです。自分に自身がないのはもちろんですが、言葉の知識が乏しい、語彙力がない、文章をまとめることができない人は支離滅裂な会話になりやすい傾向があります。そして、会話文が長くなるのが特徴です。
また、主語と述語が合っていない、かみ合っていない文章になります。「今日はいい天気だね、いい天気といえば私の誕生日なんだけど、あなたは肉が好き?」
この例文は、3つの文から成り立っていますが、どの文も独立しており、どの文章にもかかっていないため、何を言いたいのか意味がわかりません。
または、接続詞の使い方が間違っている場合があります。例文としては「今日は家でゆっくりしたい。だけど、出かけよう。」これは、家でゆっくりしたいと言っているのに、出かけるという反対の意味のことを話しています。例文の接続詞を正しい使い方にすると「今日はゆっくりしたい。だから、家で過ごそう。」となります。
支離滅裂で意味のわからない会話になってしまう人の原因としては、ただ単にコミュニケーションを図るのが苦手な場合だけでなく、根本に発達障害や知的障害などの病気が隠れていることがあります。その場合は本人の努力で解決することは難しいでしょう。
会社や身近な人に支離滅裂な人がいた場合、特に家族に支離滅裂な話をする人がいると、本当にどうしたらいいか困惑してしまいます。支離滅裂な話をする人はどんな心理状態になっているのでしょうか。
支離滅裂な人の考え方
では、支離滅裂な人の考え方や思考の特徴を探っていきましょう。マイペースであまり周りの話を聞いていない人で、自分で思ったり感じたりしたことを、頭で整理する前に発言してしまうと、文章がまとまらないので言葉を表現するときに、支離滅裂になります。
基本あまり言葉を表現するときに、考えていない場合があります。「天然な人」と言われる人も割と自分のペースで突然話をしてくる特徴を持っている人も多いです。
普段はきちんと会話ができている人でも、極度に緊張していたり、パニックに陥っていると自分で何を言っているかわからなくなるときがあります。ということは、頭で何も考えられなくなっている状態、思考能力が低下したときには支離滅裂な会話になるわけです。
共通している特徴としては「考えていない、考えられない状態、話を聞いていない、話を聞ける状態でなはい」ということです。
支離滅裂な人の付き合い方
支離滅裂な話をする人の特徴や考え方についてを紹介してきました。支離滅裂な行動や話をする人に、どう対応していけばいいのか、どう付き合っていけばいいのか困ってしまうことがあります。支離滅裂な、意味がわからない話の内容を、ただ黙って聞いてるだけではくみ取ることはできません。それではどうやって話の意味をくみ取っていけばいいでしょうか。
上司の場合
上司の話が支離滅裂の場合は、非常に気を遣わなければなりません。どんなに会話の意味がわからなくても部下が何とか意味をくみ取る努力が必要です。会社の人間関係を築くためには、上司の機嫌を損ねるのは得策ではありません。馬鹿にするような発言は絶対にダメです。
では、どんな方法を使えば上司の支離滅裂な話の意味をくみ取れるでしょうか。それは、上司の言葉をとにかくメモすることが重要です。意味がわからない言葉は頭に記憶としてインプットされにくいので、まずは書いて忘れないようにしましょう。
そして、意味がわからないことは上司に復唱して確認をすることも必要です。上司が伝えたい話の内容や意味を言葉を推測しながら、こちらが誘導して引き出していきましょう。上司が早口でメモを取るのが大変な場合は、ボイスレコーダーの使用も必要かもしれません。
家族の場合
親の場合は、生れたときから一緒に生活しているので、癖やタイミングなど、どんなときに支離滅裂な会話になるかある程度の推測ができるのではないでしょうか。
子供としては、意味のわからない親の支離滅裂な話を聞くのは、楽しいことではありません。どちらかというと苦痛なことです。疲れているときや、精神的にきついときには、まともに話を聞かないことをお勧めします。何か作業をしながら聞くのもいいでしょう。
それでも親ですので、面と向かって話をしなければならないことも多いです。そのときは感情的にならず、冷静に親のペースに合わせて会話をするように努めてみましょう。
こちらが感情的になって親を見下した言い方などをすると、親のプライドが傷つけられ逆上してしまい、余計に会話がこじれて、更に意味がわからなくなってしまいます。
恋人の場合
恋人が女性の場合は、頭の中で多くのことを考えているため、話の内容があっちいったりこっちいったりと、いろんなところに飛んでしまい、話が支離滅裂になり、はじめとは全く違う話をしていることが多いです。
彼女の話がいろんな飛んでしまう場合には、彼女の話の途中で、質問してみたりして時々話を止めてあげるのもよいでしょう。すると、彼女の話すペースも少し落ち着いて、話の飛び方も少しはましになり、こちらも話がしやすくなります。
恋人が男性の場合には、女性とは違って頭の中でいろんなことを考えるのは得意ではありません。男性は二つのことを同時にすることが苦手なのと同様で、考えるときも同じです。しかし反対に一つのことに対して集中して考え過ぎてしまうところがあります。すると、考えが広がりすぎて話が支離滅裂になってしまいます。
支離滅裂な会話をしている彼氏の対応としては、広がりすぎて考えがまとまらなくなってしまった内容や考えを、まとめられるように手伝ってあげてください。
話の途中で復唱して彼の話の意味を聞き直したり、自分の考えを伝えて「こういう意味で合ってる?」と確認すると、彼も考えをまとめることができ、話も共有できるので絆を強めることができるでしょう。
発達障害がある人への対応
発達障害とは、脳の機能発達に何かしらの問題があり、心と身体の成長発達のバランスがうまくとれないことです。発達障害は誰が悪いわけでもなく、遺伝的、器質的、先天的、環境的な要因それぞれが、相互的に影響して起こるものです。幼い頃から発達障害の症状が発症する場合もありますし、大人になってから症状が出てくる場合もあります。
発達障害とは
発達障害には「自閉症・自閉スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、知的障害、学習障害(LD)」があります。
発達障害の中でも自閉スペクトラム障害(ASD)は特に、コミュニケーション障害や社会適応障害を起こす特徴があります。脳の機能に問題があるため、自分ではどうすることもできません。相手に自分の考えや思いを伝えることが非常に困難で、物事や話に対して柔軟に対応ができず、孤立してしまいます。
軽度の自閉スペクトラム障害の場合は、学生時代には発症しない場合もよくあります。特に女性は成人してから発達障害と診断されることが多いです。
発達障害のある人は、他にも些細なことに対して非常に敏感でこだわりがあります。また、とても傷付きやすい心を持っていることも特徴です。
発達障害への理解と対応
発達障害については、最近だいぶ理解を深めようとする動きが出てきています。それでもまだ、発達障害の人を理解してどう対応すればいいのかわからないのは当たり前です。発達障害の人に、一番寄り添ってほしいのは家族なのですが、家族もなかなか受け入れることができていないのが現状です。
発達障害を持っている人たちは、とても純粋です。ゆえに傷付きやすい心になってしまいます。意味のわからない話をしたからと言って、罵声を浴びせたり、怒鳴ったり、馬鹿にすることはせず、話を傾聴してあげてください。傍にいてあげるだけで、彼らは安心します。
もしも、会話が支離滅裂で悩んでいる友人がいるときは、それとなく自閉スペクトラム障害のことを気づかせてあげるのも、一つの手段かもしれません。しかし、とてもデリケートなことなので無理はしないようにしましょう。
支離滅裂な行動・会話の改善方法
「話をまとめるのが下手で、自分でも何を言ってるのか意味がわからなくなって、人に話を伝えることもコミュニケーションも上手く取れない」と悩んでいる人は、割と多いのではないでしょうか。どうやったら意味のわかるまとまった会話ができるようになり、コミュニケーションも上手く取れるようになるのか、改善方法を紹介します。
伝えたい要件をリストアップ
仕事で会社の上司や同僚に話をしなければならないときは特に、伝えたいことを事前にメモでリストアップし確認をしておくことが大事です。リストに書くことによって、予め話の順序を確認できます。それだけで会話が支離滅裂になることを防ぐことができます。途中で自分が、何を言っているのか意味がわからなくなったときはリストを確認すればわかります。
リストに書くことを何度も繰り返しているうちに、実際には書かなくても頭の中で話したいことや伝えたいことをまとめたり、整理できるようになります。
論旨の意識
「論旨」とは、「議論の道筋、議論の主旨」という意味です。もう少しかみ砕いた言い方をすると、「考えや文章、話の中心となる事柄」という意味になります。
相手に自分の考えを伝えたいのに、その意味を理解してもらえないのはとてもつらいことです。自分の話しの意味をわかってもらえないと、コミュニケーションを取ることを控えて人との会話もどんどん苦手になっていきます。
自分の考えや文章、話の意味を伝えるときにやはり一番大事にしなければならないのは、自分が伝えたい主旨です。主旨がずれてくると話の意味が通じなくなり、相手には支離滅裂に伝わってしまいます。話すときに伝えたい自分の論旨や主旨を意識するようにしましょう。
支離滅裂の対義語
支離滅裂の人の特徴や対応、改善方法について紹介してきました。今度は支離滅裂の言葉の意味の対義語を考えていきます。支離滅裂の対義語やその意味をもっと知れば、言葉の使い方や意味の理解も深まるので支離滅裂にならないようにすることにもつながります。それでは、支離滅裂の対義語である「理路整然」の意味を見ていきましょう。
理路整然
「理路整然」の読み方は「りろせいぜん」で、言葉の意味は「考え、話などの道筋が整っているさま」または「道筋が通っていてわかりやすい文章」という意味です。この意味をみると「支離滅裂」の対義語であることはよくわかります。理路整然な文章を話すためにも、理路整然の類語も考えてみましょう。
理路整然の類語・簡単な言い換え
「理路整然」の類語の中でも、熟語には「正論、論理的、合理的、一貫性」という類語があります。熟語以外の言い換えの類語には「整合性がある、矛盾がない、説得力がある、つじつまが合う、筋が通っている、ロジカル」などがあり、他にも100以上の類語や関連語があります。
「理路整然」の使い方としての例文は「彼の講演は、理路整然としていて非常によかった。」となります。「考えがまとまっている、道理が通っている」と良い意味で使われます。
理路整然の対義語
「理路整然」の対義語としては「支離滅裂」になります。支離滅裂の他にも似たような対義語がないかみていきましょう。
「理路整然」の対義語は「不規律、無秩序、不合理、不統一、不揃い」などの対義語があります。理路整然の意味が整っている状態を意味する言葉ですので、その対義語ですから「乱雑している、混乱している状態、バラバラで揃っていない状態」を意味する言葉が対義語になります。
理路整然の対義語には、例にあげた他にも80程の対義語があります。裏を返せば「理路整然」の対義語は「支離滅裂」の類語とも言えるわけです。
支離滅裂の類義語
今度は本題の「支離滅裂」の類語をみていきましょう。初頭でやった「支離滅裂」の意味を、もう一度振り返ってみましょう。支離滅裂は「矛盾している、脈絡がない、まとまりがなくバラバラである」という意味でした。それでは「支離滅裂」の四字熟語の類語と言い換えについて紹介していきます。
似た意味の四文字熟語
「支離滅裂」の四字熟語の類語は「滅茶苦茶(めちゃくちゃ)、目茶目茶(めちゃめちゃ)、混乱状態」などが類語となります。意味はもちろん支離滅裂と似た意味ですが、文章や話以外のことにも使われる類語です。
「滅茶苦茶」「目茶目茶」の二つの類語の使い方に関しては、普段漢字で書くことはあまりない言葉です。それでも、会話ではよく両方とも使います。「支離滅裂」の類語ではありますが、この二つの類語のほうが支離滅裂よりも軟らかい表現になります。
例文としては「君の考え方は、滅茶苦茶だな。」や「容器が壊れて、目茶目茶になってる。」など様々な場面でいろんな使い方をします。
簡単な言い換えとしてとんちんかん・ちぐはぐなどを紹介する
熟語ではない言い換えの類語には「とんちんかん、ちぐはぐ」といった簡単に言い表した類語もあります。この二つの類語の意味は「全くわからない、理解ができない、ずれている」と言った意味になります。イメージとしては上記の絵のように頭の中に「はてな」がいっぱい浮かんでるイメージです。
例文としては「なんで、そんなとんちんかんなこと言ってるの。」「シャツのボタンのかけ方が、ちぐはぐになってるよ。」などの使い方をよくします。やはりこの簡単な言い換えの言葉のほうが、軟らかい表現になります。
支離滅裂は矛盾・バラバラを意味する言葉
「支離滅裂」とは、四字熟語にすると非常に堅くて冷たいイメージですが、結局どんな意味を表しているかというと「矛盾している、バラバラである」と言い換えることができます。
もし、相手の話が支離滅裂で意味がわからない場合に、相手に「あなたの言ってる話は、支離滅裂だ。」と伝えるよりは、意味は同じなので「あなたの言ってることは、矛盾していてよくわからない。」と伝えたほうがわかりやすいでしょう。
「支離滅裂」の意味をよく理解して、むやみに使うのではなく、シチュエーションを考え、しっかり判断して使っていいかどうか見極めていきましょう。