シオンの花言葉や育て方を紹介!
シオンはキク科の植物で、開花の季節になると茎の先に淡い紫色の花をたくさん咲かせます。観賞用の花として古くから親しまれており、源氏物語や枕草子などにも登場しています。上品で素朴な雰囲気の花は、大切な人への贈り物にもピッタリです。
この記事では、シオンの花言葉やその由来をご紹介します。シオンの開花の季節や育て方なども併せてご紹介しますので、シオンの花言葉を知りたい方はもちろん、シオンを育ててみたいと考えている方もぜひ参考にしてみてください。
シオンとはどんな花
花言葉や育て方をご紹介する前に、シオンがどんな花なのかということをご紹介しておきましょう。シオンはキク科シオン属という種類に分類されている多年草で、日本や中国東北部、モンゴル、朝鮮半島、シベリア東部などに分布しています。漢字では紫苑と書きます。
元々は中国から生薬として伝わりましたが、平安時代には観賞用の植物として栽培されるようになりました。野生のシオンは激減してしまっていて、野生種は環境省のレッドリストで絶滅危惧II類に指定されています。中国山地や九州山地などでは、まだ野生のシオンが見られます。
シオンの特徴
シオンは冬から初夏までの季節はロゼットの状態で過ごしますが、夏に草丈が50cm~200cm程度に成長し、開花の季節である秋になると分枝した茎に多数の花を咲かせます。花径は2.5cmから3.5cmくらいです。
キク科の花は、タンポポのように舌状花だけで構成される種類、アザミのように筒状花だけで構成される種類、ヒマワリのように舌状花と筒状花で構成される種類の3種類に分類されますが、シオンの花は舌状花と筒状花で構成されています。筒状花は黄色で、舌状花は淡い紫色ですが、生育環境によっては濃淡が生じます。
シオンと似ている花の種類
シオンの仲間には、ユウゼンギクやクジャクアスター、コンギク、ヨメナなどの種類があり、総称で宿根アスターとも呼ばれています。キク科の花には、シオンと似ている花の種類がたくさんあり、判別するのが難しい種類も多いです。
空地や道端などにも自生しているハルジオン(春紫苑)は、春の季節に咲くシオンに似た花ということが名前の由来となっています。花の形はシオンに似ていますが、色は違い、白とピンクの花をつけます。属性もシオンとは異なり、ハルジオンはキク科ムカシヨモギ属です。
シオンの語源
紫苑という和名は、紫の花がたくさん集まって咲くことから、「紫」という漢字と草木が茂る様子を意味する「苑」という漢字を合わせて付けられました。別名には、鬼の醜草(オニノシコグサ)、十五夜草(ジュウゴヤソウ)、思い草(オモイグサ)などがあります。
学名は「Aster tataricus」といいますが、属名の「Aster」はギリシャ語で星を表す言葉で、種名の「tataricus」は中央アジアのダッタン産という意味です。シオンの花びらが、星のように放射状に広がっていることが由来となっています。
シオンの花言葉【由来】
それでは、シオンの花言葉やその由来についてご紹介していきましょう。花言葉は17世紀頃のトルコで発祥し、その後ヨーロッパ各地に広がり、明治初期に日本に伝わったといわれています。
初めは輸入されたままの花言葉を日本でも使っていましたが、次第に日本の歴史や風習に合わせて日本らしい花言葉が作られるようになりました。
追憶・追想・遠くにいる人を思う
シオンの花言葉は、「追憶」「追想」「遠くにいる人を思う」です。遠くに住んでいて、なかなか会うことができない恋人や家族など大切な人へ贈るのに最適な花といえます。
素朴で美しく、悪い意味の花言葉がないシオンは、どんな相手に贈っても喜ばれるでしょう。シオンを贈ることで、離れていても変わらない愛情を相手に伝えられるでしょう。
平安時代の『今昔物語』が花言葉の元
シオンは古くから観賞用の花として親しまれていて、平安時代中期に執筆された「源氏物語」や「枕草子」などにも記述があるほどです。さらに、「今昔物語集」にも登場しており、今昔物語集がシオンの花言葉の由来になったとされています。
今昔物語集は平安時代末期に編纂された全31巻の説話集で、すべての説話の書き出しが「今ハ昔」が始まっていることに由来する通称です。今昔物語集の巻31第27話の「兄弟二人、萱草、紫苑を植ゑし語」という話にシオンが出てきます。
忘れ草を供えた兄
シオンの花言葉の由来になった「兄弟二人、萱草、紫苑を植ゑし語」という話を簡単にご紹介します。今は昔、あるところに2人の兄弟がいました。ある時2人の父親が死んでしまい、2人は嘆き悲しみます。何年経っても父親のことが忘れられず、父親が恋しいときには2人で墓参りをしました。
やがて2人は出世し、私生活を顧みる暇もないほど仕事が忙しくなってしまいました。兄は早く悲しみを忘れようと考え、父親の墓の近くに萱草(かんぞう)を植えます。萱草は忘れ草とも呼ばれる花で、それを見る人は思いを忘れられるといわれています。
シオンを供えた弟
その後、弟がいくら誘っても、兄は一緒に墓参りに行かなくなりました。弟はそんな兄の態度を嘆き、自分は父親のことを絶対に忘れまいと、父親の墓の近くにシオンを植えます。シオンには思い草という別名があり、それを見る人は心に思うことを忘れないといわれています。そして、弟は父親のことを忘れることなく、お墓参りを続けました。
ある日墓の中から墓守の鬼の声が聞こえてきて、「お前の父親を思う心に感心した。自分にはその日に起こることを予知する力があるが、それを夢で知らせてやろう。」と言いました。弟は身の上に起こることを予知できるようになり、そのおかげで幸せに暮らしました。
シオンの花言葉【色別】
シオンには「追憶」「追想」「遠くにいる人を思う」という花言葉があることをご紹介しましたが、続いてはシオンの色別の花言葉や英語の花言葉についてもご紹介しましょう。
季節が秋になると、シオンは美しい花を咲かせます。紫苑と書いてシオンと名付けられただけあって、やはり紫色の花がポピュラーですが、実はシオンには白色の花も存在します。
紫のシオンの花言葉
シオンは元々中国から生薬として伝わった花でしたが、高貴な色とされていた紫色の花を咲かせるということで、観賞用の花として栽培されるようになりました。紫苑色という和色の名前の由来にもなっています。
紫のシオンの花言葉は、「ごきげんよう」です。はっきりとした由来はわかりませんが、遠く離れている人だけでなく、帰ってきた人に贈る花としてもふさわしい花言葉です。
白のシオンの花言葉
シオンの花には派手さはありませんが、素朴で優しい雰囲気があり、見る人の心を癒してくれます。紫色の花が一般的ですが、白色の種類も存在します。
白色には上品で清楚なイメージがありますが、白色のシオンにも「どこまでも清く」という花言葉があります。片思いの相手に気持ちを伝えるときに、花言葉を添えて白色のシオンを贈ってみるのもいいかもしれません。
シオンの英語の花言葉
シオンの英名は、「Tatarian aster」です。日本では、古来から伝わる意味を大切に考え、「追憶」「追想」「遠くにいる人を思う」という花言葉がつけられましたが、西洋では別の花言葉があります。
西洋でのシオンの花言葉は、「patience(忍耐)」「daintiness(優美)」「symbol of love(愛の象徴)」です。これらの花言葉は、シオンだけの花言葉ではなく、シオン属全般の花言葉になります。
シオンの育て方
平安時代にはすでに観賞用として栽培されており、昔から多くの人々に親しまれてきたシオン。野生種は絶滅危惧種に指定されていますが、育て方はそれほど難しくはありません。
手間をかけることなく花を咲かせることができますので、ガーデニング初心者にもおすすめの花です。ここからは、シオンの育て方をご紹介していきます。まずは栽培環境と植え付けについてです。
栽培環境
シオンの育て方でポイントになるのが栽培環境です。シオンはとても丈夫な種類の花ですから、育て方はそれほど難しくなく、手間をかけなくてもよく育ちます。日当たりと水はけの良い場所で育てることが大切です。
日陰でも育たないわけではありませんが、日照時間が足りないと、茎が間延びして花つきが悪くなります。栽培環境が合えば、特別な管理はいりません。
植え付け
シオンは種の流通が少なく、育てるときには苗から育てるのが一般的です。植え付けの適期は、3月中旬~4月または10月中旬~11月中旬になります。株が大きく育ちますので、鉢植えよりも地植えの方がおすすめです。
地植えの場合には、適度に湿り気のある場所を選び、深さ30cmほどの植え穴を掘って植えます。水はけが悪いようなら、掘り上げた土の3割程度の腐葉土を混ぜ合わせましょう。鉢植えの場合には、10リットル以上の鉢を用意し、市販の草花用培養土または赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜた土を使用します。
水やり・肥料・開花時期
続いて、シオンの水やり・肥料・開花時期についてご紹介します。シオンは日本の気候に適した花ですので、前述しましたように、最初に栽培環境を整えてあげれば植えた後はそれほど手間はかかりません。
ほとんどほったらかしの状態でも、開花の季節になれば美しい花を咲かせてくれることでしょう。病気や害虫が発生することも少ないです。
水やり
まずはシオンの水やりについてですが、シオンを地植えする場合には、ほぼ降雨のみで十分です。雨が降らない日が長く続き、乾きすぎてしまいそうなときだけ与えるようにしましょう。
鉢植えの場合には、土の表面が乾いたら水をたっぷりと与えます。鉢内部の過湿状態を防ぐために、水やりを毎日の習慣とするのはやめましょう。
肥料
次にシオンの肥料についてですが、シオンは基本的には多くの肥料を与える必要はありません。地植えの場合には、植え付けの際に緩効性化成肥料や堆肥などを用土の中に控えめに混ぜ込んでおきましょう。肥料がなくても育ちます。
鉢植えの場合には、植え付けの際に緩効性化成肥料を用土の中に混ぜ込んでおき、後は6月頃に追肥をしましょう。
開花時期
シオンは、日向や半日陰で水はけや風通しが良い場所に植えるとよく育ち、9月~10月に開花の時期を迎えます。最盛期は9月です。
シオンは、ジュウゴヤソウ(十五夜草)という別名で呼ばれることもありますが、これはシオンの開花の時期が十五夜の季節と重なることに由来しています。
摘心
宿根アスターの中でも、シオンは背が高くなる種類で、放っておくと200cmほどの高さにまで成長します。ただ、茎がしっかりしているため、草丈が伸びても折れにくいです。
コンパクトな姿で花を楽しみたいのであれば、摘心しましょう。草丈が4cm~5cm程度になったときに、芽の先端を2節ほど摘み取ります。摘心して草丈を抑えることで、よりたくさんの花を咲かせるようになり、見映えが良くなります。
シオンの増やし方
キク科シオン属の多年草であるシオンは、何年も同じ株から花を咲かせ続けることができる植物です。冬に地上部の茎や葉が枯れても、春になると新芽が伸び、秋には再び花を咲かせます。耐寒性が強く、雪が積もらない地域であれば戸外で冬越しが可能です。
開花の時期が過ぎて枯れ始めたら、株元から5cm~10cm程度を残してバッサリとカットして、乾燥気味のまま置いておきましょう。育て方に続いて、ここからはシオンの増やし方についてもご紹介します。
植え替えの季節
生育旺盛なシオンは、地下茎が広がりやすいです。鉢植えの場合には、鉢の中で根詰まりしやすいので、毎年植え替えを行います。
地植えの場合には植えっぱなしでも大丈夫ですが、3年~4年ほど経つと株が混み合うようになります。株が混み合うと生育にも影響しますので、3年~4年に1度は植え替えを行った方がよいでしょう。シオンの植え替えの季節は3月~4月です。
増やし方
それでは、シオンの増やし方についてご紹介しましょう。シオンは株分けや挿し芽で増やすことができます。
株分けは、大きく成長した株をいくつかに分けて移植する方法です。挿し芽は、植物の一部を切り取って、土に植えて発根させる方法です。
株分け
シオンの株分けは、植え替えと同時に行います。株分けをするときには、まず根を傷つけないように、地面や鉢から株を掘り上げます。
株を掘り上げたら、1株に2~3芽くらいが付くようにナイフやハサミなどで切り分けます。伸びすぎている根や傷んでいる根は切り落として、それぞれ植え付けていきましょう。
差し木・挿し芽
植物によっては、差し木・挿し芽をするのが難しい種類もありますが、シオンは挿し芽で増やせます。シオンの挿し芽を行う場合には5月~6月が適期です。
シオンの新芽の先端を5cm~10cm程度の長さで切り取り、下の節の葉をすべて取り除いたら、挿し芽用の用土に挿します。明るい日陰に置いて、土を乾かさないように管理しながら発根させましょう。
シオンの花言葉の由来を知っ育ててみよう!
シオンの花言葉やその由来、開花の季節、育て方などをご紹介しました。シオンの花言葉は今昔物語集の中の一話が由来となっていて、花言葉には亡くなった人や遠くに住んでいる人に対する思いが込められています。
大切な人に贈るプレゼントとしてもピッタリな花です。シオンを育てて、なかなか会えない恋人や家族に花言葉を添えて贈ってみてはいかがでしょうか。