CAGR(年平均成長率)の計算式を紹介!エクセルの使い方も解説!

CAGR(年平均成長率)の計算式を紹介!エクセルの使い方も解説!

株取引で企業の株を買われる方もいらっしゃるはずです。その株取引の一つの指標として「CAGR」という言葉があり、ある計算式を使います。また、株取引において重要な言葉になってきます。このCAGRとは何なのか、その意味と計算式の算定をエクセルの解説と共にします。

記事の目次

  1. 1.CAGR(年平均成長率)とはどんな意味?
  2. 2.間違わないために単利と複利の意味を理解する
  3. 3.CAGR(年平均成長率)の計算方法
  4. 4.CAGR(年平均成長率)と合わせて使いたい指数
  5. 5.CAGR(年平均成長率)で分析できること
  6. 6.CAGR(年平均成長率)のデメリット
  7. 7.CAGRは企業の年平均成長率を示している

CAGR(年平均成長率)とはどんな意味?

Photo by Japanexperterna.se

CAGRというものはどんな意味があるのか。一言で言えば企業の「年平均成長率」で、ある計算式で表す方法があります。CAGRは株取引の判断材料として重要な指標となります。株取引で稼ぐ方法は色々ありますが、どの取引にせよ大事なのは各企業の数字のデータです。

企業というものは基本的には常に成長しており、その企業が成長するにつれて会社が大きくなり、当然企業の利益も増えていきます。もちろん増えるに越したことはないのですが、逆に「業績が悪化していく企業」もあるのです。

そういった企業の良し悪しをきちんと理解しないと企業の倒産と同時に株投資家への被害も莫大なものとなります。そんな時に役に立つ指標の一つとして「CAGR」があるのです。そのCAGRですが、ある計算方法があります。

CAGRには複利計算式が必要

Photo by yto

CAGRに必要な条件を計算式に当てはめて計算する方法があるのですが、その計算方法には「複利計算式」が必要となってきます。まず、「複利」の意味ですが、複利は「複利法によって計算された方法」のことです。これは投資を行う上でとても重要な言葉です。

「利息に対しても利息が付く」のが特徴です。違いを理解するためにまずは単利の計算式を見ていきましょう。例えば、「元金100万円」を持っているあなたが「2年間銀行に預けた利息をプラスしたら2年後にいくら手持ち預金があるか」という計算をするとします。

100万円の預金に対して「年利1%の利子」が付いたらその「100万円の元金」にプラスで100万×1%分の「1万円の利子」が上乗せされた「101万円」が1年後の手持ち預金です。「単利計算」では1年目も2年目も「上乗せされる利率は同じ」ため、2年後には同じ1万円をプラスで「102万円」が「単利計算をした場合の2年後の手持ち預金」となります。

複利の計算式

Photo bystevepb

それに対し複利は「利子に対しても利子がつく」のが特徴です。先程の計算式で言えば1年目は同じで「1万円の利息」がプラスされます。ただし、2年目は違いが出て利子に対しても利子が付くため先ほどの計算式とは方法が異なり、「2年後の手持ち預金」は「102万100円」となります。

これを計算式で表すと1年目の元利合計 = 元金+元金×利率 = 元金×(1+利率)となり、2年目が「元利合計 = 元利合計×(1+利率) = 元金×(1+利率)×(1+利率)」となります。

株の用語の基礎から学ぼう!言葉の意味を初心者にも分かりやすく解説! | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
株には聞きなれない「銘柄」「寄る」など専門用語が使われます。初心者が株につまずく原因のひとつに、専門用語の意味が理解できないことがあげられます。株は難しいと思って始められないでいる初心者にもわかりやすく、最低限知っておきたい基礎用語を解説していきます。
株の仕組みをわかりやすく解説!始め方や利益の出し方・株価が変動する理由は? | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
株式投資をこれから始めてみようとする初心者にとって、株の仕組みは、わかりにくいものです。そこで、株式投資の初心者の皆様に対して、株の仕組みをわかりやすく解説します。株取引の始め方や、利益の出し方、株価が変動する理由等を含めて、株の仕組みを説明します。

間違わないために単利と複利の意味を理解する

Photo bygeralt

単利と複利には小さいようで大きな違いがある事がおわかりいただけたはずです。それぞれの言葉をまとめると単利は「元金のみに対してつく利息」で、複利は「元金に付いた利息に対してもつく利息」ということです。複利は単利と比べても年数を重ねるごとに差が出てきますのでこの差は大きいです。

ちなみに、「元金」とは金銭の貸し借り等で相手と契約を結ぶときに発生する「利子を含む前の状態」や元々手元にある、もしくは今から借りる予定の「元々の金額」を指します。例えば、投資信託を買っていただける配当金の場合はその利息が複利として味方になります。

その逆に車やキャッシングのローンを返済していくときは出来る範囲で早く返していかないと「複利効果」で借金の返済合計がどんどん膨らんでいくので注意が必要です。

CAGR(年平均成長率)の計算方法

Photo bymohamed_hassan

CAGRの計算方法ですが、こちらは複数年の企業等の成長率を1年平均で表したものが結果となります。わかりにくいので例題を元に意味を理解していきましょう。よく間違いやすい例で「3年間の事業のうち2年間の企業の成長を表す」とします。

1年目の売り上げを100万円・2年目の売り上げを130万円・3年目の売り上げを160万円とした場合です。そうしたときに、100万円の売り上げが160万円に増えているため増加額は「60万円」。

そのため、60万円÷2年間=「1年間に30万円の増加」としてしまいそうですがこれは誤りです。うっかりこうしてしまいそうですが、きちんとした公式があります。その計算式に数字を当てはめて本当の数字を出します。それではその方法を見ていきます。

CAGRの計算式①CAGRの計算式

Photo byClker-Free-Vector-Images

CAGRの公式ですが、(N年度の売上 ÷ 初年度の売上) ^ {1 ÷ (N – 1)} – 1となります。先ほどの例で言えば1年目から3年目の売り上げを参考にしています。この1年目から3年目の売り上げをCAGRの計算式にあてはめて正しい数字を求めてみます。言葉にすると、2年間の平均成長率を求めるという事になります。

CAGRの計算式②具体的な計算

Photo bygeralt

それでは数字をCAGRの計算式に当てはめていきます。まず、N年度の売り上げには「160」が入ります。続いて、初年度の売り上げは「100」です。そして、Nには「3」が入ります。(160 ÷ 100)^ {1 ÷ (3-1)}-1= 26.49%となります。数式的にちょっと難しいです。ですので、次はエクセルでのCAGRの計算式を見ていきます。

CAGRの計算式③エクセルなどで計算する場合

Photo byPixaline

念のため説明すると、エクセルはマイクロソフト社が開発して販売している「表計算ソフト」です。エクセルは事務系の処理をする時は必須のスキルとなり、様々なオフィスで活躍しているデスクワーク従事者にとってすごく頼りになる味方です。このエクセルを使えばCAGRの計算も計算式さえいれてしまえば簡単に答えを導き出してくれます。

「CAGRの計算式②具体的な計算」の例に沿ってエクセルにCAGRの計算式を入れます。エクセルでは「実際の数字」を打っても答えは出ますが、その数字をクリックするだけで「その値がセル番地と同じ意味」になります。ではエクセルにCAGRの計算式を入れます。

上の例題の通りにエクセルで打つと「(C4/A4)^(1/(C3-A3))-1」となります。ちなみに、C4=160,A4=100,C3=3年目,A3=1年目の数字が入っているとします。出てくる答えは「26.49%」のため正しい計算式が入っています。

CAGRの計算式④CAGRを自動的に計算できるツール

普通に公式を使うのもエクセルに当てはめて計算するのも手間だという方のためにおすすめのサイトがあります。このサイトの必要箇所に数字を打ち込めば簡単にCAGRの値が出てしまう優れたサイトです。

難しい公式は一切ありません。ただ用意されたマスに数字を打ち込むだけです。求めたい数字をすぐに出したい、手間がかかることはやりたくないという方は年平均成長率の算定・高精度計算が出来るサイトを是非とも参考にしてみてください。

CAGR(年平均成長率)と合わせて使いたい指数

Photo bymarkusspiske

CAGRは企業の株を投資するうえで大きな指標となりますが、指標となるのはこれだけではありません。投資が正しいものなのか判断するうえで重要なものが沢山ありますが今回は2つに絞ってご紹介します。これらは企業の株を買ううえでとても大事な投資用語となっていますので是非覚えて下さい。

PER(株価収益率)

Photo byOpenClipart-Vectors

PERの意味ですが「株価収益率」となります。このPERは「現在の株価の値」÷「1株あたりの利益」で求めることができます。例えば、現在の株価が600円で1株あたりの利益が30円なら600÷30で現在のこの株のPERは「20倍」という事になります。ちなみにこの数値は株が割安か割高かを判断する基準値となります。

PBR(株価純資産倍率)

Photo byPhotoMIX-Company

PBRの意味は「株価純資産倍率」となります。このPBRは「現在の株価」÷「1株あたりの純資産」で求めることができます。例えば、現在の株価が2,000円で1株あたりの純資産が2,000円ならPBRは「1倍」となります。このPBRが1倍を割っていたらその数字の上昇に応じて「会社が解散」した時にリスクが高い、つまりと割高株と言えます。

CAGR(年平均成長率)で分析できること

Photo byFirmBee

CAGRの意味は「年平均成長率」で企業の分析をするうえで大事な指標となります。CAGRのエクセル等の計算方法を交えてお話をしました。これは株の投資をするうえで役に立つ判断材料となります。では、具体的に「企業の成長とは何か」という事に視点をあててCAGRについて考えていきます。

企業の成長率の判断

Photo by mah_japan

そもそも企業とは基本的には「営利を目的とした会社」の事を意味します。その各企業の成長率をCAGRを使って求めるのが今回のテーマです。実際にCAGRの値を当てはめて計算すると必ずしもCAGRの値が上向きとは限りません。このCAGRの値が上向きか、下向きかをみて判断することがとても大切です。

企業の未来の業績

Photo byrawpixel

CAGRに各企業の業績を当てはめることで、過去から現在までの数値はもちろんのこと「最近の数値の流れを見極める」ことによって「各企業の大体の未来の業績を読む」こともできます。もちろん確実ではないですが波に乗っている企業というのは数字を見れば判断できるものです。ですので、こういった見方もしてみることをおすすめします。

企業の安定性の予想

Photo by8385

CAGRの数値を見ることで会社の業績を判断できるというお話をしましたが、「安定している企業」というのは数値のブレが浅いものです。例えば、設立1年目→2年目→3年目経った企業が1年目から2年目と、2年目から3年目に入ったときのCAGRが同じぐらいの値の場合は値にはよりますが、平均して企業が成長していると言えます。

直近成長率に突発性がないかの判断

Photo byqimono

CAGRによって企業の成長が判断できるのは良い事ですが、必ずしも「良い兆しになる」とは限らないのが経営の難しいところです。例えば、急激に企業が成長したとします。その場合の「直近成長率」が著しく上昇してる場合は少し注意が必要です。

アパレル関係の企業で言えば「バーゲンセールの多発」や「トレンド商品の安売り」等を連発して利益獲得に走っているかもしれません。当然稼いでいる企業は数値がかなり上向きになりますし、あまりにも上がりすぎていたら少し遠巻きに見てみるのも大事です。

その他の企業とCAGR

Photo byPexels

アパレル関係を例にCAGRの分析を絡めて説明しましたが、これはその他の業界にも当然ながら言えることとなります。CAGRの数値が大幅に上昇するということはその企業が「何らかの要因があり成長した」という事です。

わかりやすい例で言えば、マクドナルドホールディングスは「毎年黒字経営」をしていましたが「プラスチック等の異物混入」や「期限切れの鶏肉問題」で赤字に転落しました。ですがサラ・カサノバ社長の手腕により安定した業績をコツコツと積み重ねて黒字にV字回復します。

その時の決算書を元にCAGRを求めると企業の業績にバラツキがあるのがわかるはずです。CAGRにより数値を分析するだけでその企業の背景が浮かんでくるので是非とも気になる企業に対してCAGRの計算をされてみて下さい。

CAGR(年平均成長率)のデメリット

Photo byMMillustrates

CAGRは年平均成長率で企業の株に投資をする際にとても役立つというお話をしましたが、やはり良い事だけではなくデメリットもあります。CAGRは企業の成長を読む判断材料としてはとても優秀ですが弱点が存在します。このCAGRのデメリットをしっかり押さえて正しい判断力を養う事が重要です。

年数を変えると成長率にバラつきがでる

Photo byClker-Free-Vector-Images

しっかりした経営基盤が固まっている企業は当然のことながら長く続いています。その企業にCAGRの計算式を当てはめると年数によってバラツキがでてくることがあるのがデメリットの一つと言えます。CAGRは投資をするときに銘柄選びや、企業の信頼性、危険回避としてはとても役立ちます。

ですが、この数値を求めることによりバラつきが生じることもあるので混乱しないように注意することが大切です。また、その他にも注意点がありますのでそちらを見ていきます。

未来の予想が当たるとは限らない

Photo byGDJ

企業の成長はCAGRに計算式を当てはめることで算出できますが、その結果が「必ずしも投資の結果に繋がるとは限らない」ということです。簡単に言ってしまえば毎年企業の業績が良く、分配金を毎年増配している企業が来年も増配で着地するとは限らないのです。

極端な事を言うと、企業の業績がCAGR通り上がっても「株主への増配に必ずしも繋がるとは限らない」ということです。数値を読むことはとても大事ですが時と場合によっては慎重な判断をすることも必要になってきます。

CAGRは企業の年平均成長率を示している

Photo byLalmch

今回はCAGRの意味や計算方法等を紹介してきましたが、やはりCAGRは分析という観点において非常に優秀です。成長している企業は大体は数字を見ればわかるものです。その数字を味方につけることは株式投資等で成功する元となります。

ですが、お話ししましたようにCAGRのデメリットもありますし、必ずしもその通りの結果が投資結果に繋がるとは限りません。CAGRによる分析は大事ですが様々な観点で企業というものを見て最終的な判断を下すというのがCAGRを含め、とても重要になってくるのです。

波浪 流
ライター

波浪 流

お初です

関連するまとめ

人気の記事