「female」の意味
日本語での「女性」を意味する英語には「female」と「woman」の二つがありますが、その意味の違いについてはあまり詳しく知られておらず混同された使い方をされていることがしばしばあります。
また、「female」という英語はその発音や読み方も間違いやすいものであるため英語を話すときには注意が必要です。
そこでこの記事ではまず「female」という英語の意味について説明した後に、読み方や発音、「woman」との意味の違いや使い方についてお伝えしていきます。
生物学的な分類における女性を意味する
「female」という英単語は「生物学的な分類における女性、女、メス」を意味するものです。よく性別を意味する英語に「sex」と「gender」の二種類が使われますが、「female」は生物学上の性別を意味する「sex」とセットで使われる英単語です。
例えば女性のパスポートには「sex F」と書かれますが、この「F」はfemaleの頭文字を取ったものです。パスポート上の性別はあくまで戸籍上のものであり、「gender」のように社会的あるいは文化的な観点とは無関係であるため「sex」とセットである「female」が使われるのです。
動物のメス・植物のめしべも同じ意味
「female」は生物学的なメス、つまり子孫繁栄をする能力を有する者に対しては全て適用可能な英語表現です。したがって、大人の女性や女の子だけでなく、動物のメスや植物のめしべなども「female」と同じ意味の日本語になります。
例えばメスの猫であれば「a female cat」であり、めしべであれば「a female flower」という表現を英語ですることができます。
「female」の読み方
次に、「female」という英語の読み方について解説していきます。英語が難しい理由の一つに、ローマ字と同じ読み方が通用しない場合が多いというものがあります。特に外国人と話すときは、正しい読み方でないと相手に伝わらないことも多いです。
例えば「woman」が「ヲーマン」ではなく「ウーマン」という読み方であるように、英語に慣れていない人は間違えてしまいやすいのが「female」という英単語の読み方です。
読み方・フィメール
「female」という英単語は、「フィメール」という読み方をします。「フェマーレ」という読み方ではないのでローマ字読みしてしまう癖があるという人は要注意です。
なお、「female」は名詞で使われる場合と形容詞として使われる場合の二通りがありますが、どちらの場合であっても読み方は変わらないのが特徴です。
「female」の発音
ただし、外国人に英語で話すときに注意が必要なのは発音の仕方です。英語の発音と日本語の発音の仕方は根本的に違いがあるため、ただ「フィメール」とカタカナと同じ読み方をしてしまうと相手が聞き取れない可能性があります。
そこで「female」の発音記号から、発音するときの正しい口の使い方を解説していきます。「female」の発音記号は「fi:」「mai」「l」の三つの部分から構成されているため、その一つ一つについて順番に説明していきます。
発音記号:fi:
female(フィメール)の最初の音節である「fi:」は「フィー」と発音します。「f」は日本語の「フ」に近く、上の前歯を下唇に軽く噛む感じに当ててその隙間から音を出すイメージです。上の前歯を深く噛むと「v(ヴ)」の発音になるので要注意です。
「i:」は唇を横に引いて、上下の歯が軽く触れる程度で口をあまり開けずに「イー」と長く言う発音記号です。
発音記号:mei
続いて「female(フィメール)」の「メ―」にあたる発音記号が「mei」です。「m」は、唇を閉じて口からの息を止め、「ム」という声を鼻を通して出すのが特徴です。。
続く「ei」はいわゆる二重母音を表す発音記号です。「e」から「i」へ滑らかに変化させ、1つの音のように表現するのがコツです。日本語の「エ」より少し舌に力を入れて、発音の終わりは口を狭くして「エィ」と言います。「m」と「ei」を続けて発音することで「メィ」のような音になります。
発音記号:l
最後に「フィメール」の「ル」にあたる「l」の発音です。「l」は、舌の先を前歯のすぐ裏の歯茎につけた状態で舌の両側から「ウ」と「ル」を同時に出すように発音するのがポイントです。
「l」と「r」の発音の区別は難しいところですが、舌の先をしっかりと歯茎につけながら発音することでより「l」に近い発音をすることができます。
「female」とwomanの違い
続いて、「female」と似たような意味を持つことから混同されやすい「woman」との意味の違いについてお伝えしていきます。
生物学的な性別を表しあまり人間味のない表現である「female」に対して、「woman」という英単語は社会的で文化的な使い方をされることが多いです。ここでは「woman」の意味や使い方、例文について説明していきます。
意味:woman・大人の女性
「woman」という言葉は「female」と違い大人の女性に限定された意味を持ちます。女の子や動物のメス、植物のめしべに対して用いられることがないという点が「female」との大きな違いです。
これは上記でも説明したように、「woman」という単語が文化、社会的な意味を持つため単に生物学的にメスであるものとは一線を画すからです。例えば人権のように「女性の権利」などという場合は社会的な文脈であるため「woman's rights」が正しい英語になります。
個人の女性を意味する場合に使用
また、「woman」は「female」と違い文化や社会的なコンテクストがあることから、「個人の女性」という意味合いがフォーカスされているときにも使うことが多いです。
したがって、例えば誰か特定の女性を日常会話の中で示すという場合は「female」ではなくて「woman」を使うのが自然です。職業などの場合も原則として「woman」を使います。例えば「女医」は英語で「a woman doctor」と表現します。「a female doctor」と表現するのは間違いです。
例文:道で一人の女性を見た
例えば「道で一人の女性を見た」という場合は、完全に個人の女性を指して話しています。したがって「female」ではなく「woman」を使うのが自然と言えます。
上の文を英語に訳すと「I saw a woman on the street.」となります。「I saw a female on the street.」と訳しても文法的に間違いはないのですが、やはりネイティブからすると不自然な印象を与えてしまいます。
「female」の使い方
ここまで述べてきたように、同じ女性という意味を持つ英単語でも一般には「female」よりも「woman」の方が使われることは多いですが、「female」を使うのが自然な場面も当然存在します。
ここでは「female」という言葉の持つニュアンスのおさらいと使い方について3つのケースを挙げながら紹介していきます。
子孫繁栄する能力を有するものに使用
「female」は女児やメスの犬、めしべなど「子孫繁栄する能力」を持つ者に対する使い方が基本です。「woman」と違い社会的、文化的な女性という意味は持たず、したがって個人の女性に対して用いる使い方はされないのは上記の通りです。
したがって、「female」がそのような意味を持つことから大人の女性以外の生物学的なメス、もしくは文化社会的な意味を持たない女児に対して強調的に使われることが多いです。
①女児
まず、「girl」に近い意味を持つ女児に対して「female」という表現は使われることが多いです。使い方としては「a female child」のようなものです。
女児は成熟した女性と比べると人間社会や文化においてコンテクストは少ないといえるため、「woman」ではなくあえて生物学的な性別の意味がある「female」を使うのが適切と言えます。
➁メスの犬
「female」が生物学的な性別のメスの意味を持つことから、例えばメスの犬のように動物のメスに対して「female」を使うことは頻繁にあります。この場合は「a female dog」という英語になります。
このように、「female」は人間の女性にも使われうる意味はあっても、「女性」というよりは「メス」という訳の方が適切である場合が多いのが特徴です。
③めしべ
そして、日本語で「メス」というと動物にのみ使われる意味があるように思えますが、「female」の場合は植物のめしべに対しても使うことがあります。
動物のときと同じように「a female flower」と名詞の前に形容詞としてfemaleをつけるのが一般的な使い方となっています。
「female」を使った英語文
ここからは、「female」を使った英語の文についてその具体例や意味をさらに詳しく紹介していきます。上記の例のように、動物や植物だけでなく人間にもfemaleという英単語はよく使われます。
先ほど取り上げたパスポートなどの身分証明書の性別の記載以外で、「female」が使われるような文化的、社会的な意味を持たない女性の例について取り上げて説明します。
実験群は男性10名女性15名で構成
「female」が使われるような文化的、社会的な意味があまりない性別の表現が用いられるシーンとして、例えば臨床実験のようなものがあります。
臨床実験で男性10名、女性15名を集めて実験することを説明する際は「実験群は男性10名、女性15名で構成されています。」などという表現になりますが、この意味を英語で表すときに「female」や「male」は「The experimental group consists of 10 males and 15 females.」のような文の中で使われます。
この場合は、生物学的な性別を意味する「male」や「female」が形容詞ではなく名詞で使われているのも特徴です。
統計のサンプルとしての男と女
上記の例のように、臨床実験などで人がサンプルとして扱われる際はその文化的、社会的な意味は前面に出ることはなくむしろ個人としての特徴をできる限り排除した状態で行われることがほとんどです。したがって、「man」や「woman」は意味的にそのような場面で用いる表現としては違和感があるものになります。
臨床実験以外にも人が統計的なサンプルとしての意味を持つ場合は、その性別を表す際に「male」や「female」のような生物学的な性別の意味のみを持つ英単語を用いられることが多いのです。
日本語では「女性」と「女」はそれぞれ社会的、文化的な意味を持つか持たないかで一応の意味の区別はあるものの、その境界線は曖昧なことも多いです。しかし、「female」と「woman」はそれよりもしっかりと区別する必要がある表現です。
女性に対する二人称に「female」はNG
「woman」などと比べると生物学的な性別を表す意味合いが強い「female」ですが、当然女性に対して直接呼びかけるときに「female」を用いるのは適切ではありません。
日本語であっても「おい、そこの女!」などと呼びかけるような人は基本的にあまりいませんが、「female」を用いるのもそれと同じニュアンスになると捉えて差し支えありません。つまり、意味的には間違っていなくてもマナー的に女性の二人称として「female」を使うのはNGなのです。
女性の二人称は「lady」
なお、上記と同じような理由で「woman」を女性の二人称として用いるのも同様にふさわしくありません。本人がいる前で呼ぶのは「lady」を使うのが西洋文化での一般的なマナーです。
「レディーファースト」という言葉があるように、西洋では「男尊女卑」はタブーとされています。したがって、「lady」のような上品な表現を用いたり、「Ms. Brown」のように直接名前で呼ぶのがベターです。
「female」は生物学的な分類の女性を意味する
今回の記事では「female」という英単語についてその意味や読み方、発音、使い方、さらには「woman」という似たような表現との違いについて例文なども交えながら順番にお伝えしてきました。
「woman」が文化的、社会的なコンテクストのある大人の女性を意味するのに対して、あくまで「female」は生物学的な性別としての「女性」「メス」を示し動物や植物のめしべなどへも適用可能な表現となっています。人間であっても、書類上や統計上の個人性があまりないような場面では「female」が用いられることが多いです。
日本語では「sex」と「gendar」のような性別の社会性の有無についてあまり議論されることもないためこの微妙な意味の違いは意識されにくい部分ではありますが、英語を使う時にはその違いに気を付けることで適切な表現が可能になります。