「示唆」の意味とは
普通の人は日常生活の中ではほとんど使うことがない日本語の中に、「示唆」という言葉があります。「示唆」という言葉はテレビの中でアナウンサーや政治家などが使う以外には、あまり耳にすることがありません。つまり「示唆」という言葉は、耳にすることはあっても口にすることはほとんどない言葉だと言えます。
日常生活ではあまり縁のない「示唆」とは、どのような意味を持っている言葉なのでしょう。まずは「示唆」とはどのような意味なのかをご紹介しましょう。
①それとなく知らせる事
「示唆」の意味の一つ目は、「それとなく知らせる事」という意味です。「それとなく知らせる事」ということは、「はっきりとは知らせない事」という意味になります。「示唆」の意味は、はっきりとわかるようには知らせず、それとなく知らせるというあいまいなイメージの意味です。なので「何となく匂わせる」という意味にもなります。
「それとなく知らせる事」というのは、いかにも日本人らしい控えめな表現です。「示唆」とは、そんな日本人らしい控えめな良さを示す意味のある言葉だと言えます。
②ほのめかす事
「示唆」の意味の二つ目は、「ほのめかす事」です。「示唆」の意味は「それとなく知らせる事」という意味だと先にご紹介しましたが、「ほのめかす事」も同じようなニュアンスを含む意味になります。「ほのめかす」という言葉は「直接的ではなく遠回しに知らせる」といった意味ですので、「示唆」の意味は「遠回しに知らせる」ということになります。
「ほのめかす」という言葉は、テレビなどで「犯行をほのめかす供述」などという使われ方をするのを良く耳にする言葉です。「ほのめかす」はあまり良いイメージのない言葉ですが、「示唆」にはこのような意味もあるということです。
「示唆」の読み方とは
先に「示唆」という言葉の意味とはどのような意味なのかについてご紹介しましたが、次は「示唆」という言葉の読み方とはどんな読み方なのかについてご紹介します。「示唆」とはどんな意味なのかがわかっても、読み方がわからなければ入力もできません。「示唆」のことを「ししゅん」と間違えて読む人もいます。
それでは「示唆」の読み方とはどういう読み方なのか、「示唆」の読み方についてご紹介しましょう。
読み方・しさ
「示唆」の読み方とはどういう読み方なのかというと、「しさ」です。「示唆」の「示」は「し」という読み方で、「唆」は「さ」という読み方になり、二つの文字を合わせて「しさ」という読み方になります。「示」には「じ」という読み方もありますが、「示唆」という言葉では「し」という読み方を使います。
また「示」とは「示す」という意味で、「唆」とは「そそのかす」という意味になります。「そそのかすことを示す」という意味合いの文字の取り合わせですが、「示唆」の意味は先にご紹介した通り「それとなく知らせる事」「ほのめかす事」です。
「示唆」の読み方とは「しさ」だということを覚えておきましょう。文字の形から「ししゅん」などと間違った読み方をする人もいますので気をつけましょう。
「示唆」の類義語とは
「示唆」とはどういう意味なのか、「示唆」とはどういう読み方なのかをご紹介しましたので、次は「示唆」の類義語についてご紹介します。「示唆」の意味とは先にご紹介したように「それとなく知らせる事」と「ほのめかす事」ですので、「示唆」の類義語とは、これらの意味に近い言葉を持つ類義語になります。
「示唆」の意味に近い意味を持つ「示唆」の類義語とはどのような言葉なのか、いくつかご紹介していきましょう。
①ほのめかす
「示唆」の類義語の一つ目は、「ほのめかす」です。「示唆」の二つの主な意味の中にも「ほのめかす事」という意味がありますので、「ほのめかす」という言葉はそのまままるで同じ意味を持っていることになります。ですから「ほのめかす」という言葉は「示唆」の類義語のひとつであると言えます。
②暗示
「示唆」の類義語の二つ目は、「暗示」です。「暗示」は読んで字のごとしの意味で「暗に示す」という意味になります。「示唆」には「それとなく知らせる事」という意味がありますので、「暗示」という言葉は「示唆」のこちらの意味に非常に近い意味を持っている言葉だと言えます。そのため「暗示」は「示唆」の類義語になります。
③匂わせる
「示唆」の類義語の三つ目は、「匂わせる」です。「ほのめかす」と同じように使われることの多い「匂わせる」も、「遠回しに知らせる」といった意味があります。こちらも「示唆」の「それとなく知らせる事」という意味と似たニュアンスがあるため、「示唆」の類義語だと言うことができます。
「匂わせる」という言葉も「ほのめかす」という言葉と同じように、「犯行を匂わせる」などという風にニュースなどで使われることがありますので意外に耳にする機会は多い言葉ですが、「示唆」より悪いイメージで使われることが多いと言えます。
④伏線
「示唆」の類義語の四つ目は、「伏線」です。「伏線」という言葉は小説や漫画などに良く使われますが、「後で述べることのために予めほのめかしておく話の筋書き」といった意味があります。正しくは「伏線」は「示唆」の類義語ではないとも言えますが、「ほのめかす」という意味を含んでいることから「示唆」の類義語として挙げられます。
ですが基本的には「伏線」は「話の筋書き」のことを指しますので、厳密に言えば「示唆」とは少しニュアンスが違うとも言えます。その点では「伏線」は「示唆」の類義語とは言い切れませんので、「伏線」は「示唆」と同じようには使えません。
小説などの中で「伏線」のことを「この後の展開を示唆する」と言い換えることはできても、「示唆」を使う場面で「伏線」は使えませんので覚えておきましょう。
⑤諷喩
「示唆」の類義語の五つ目は、「諷喩(ふうゆ)」です。「諷喩」という言葉の意味は「何か他のものにかこつけて遠回しに諭す(さとす)」という意味です。「遠回しに諭す」というのは「示唆」とは少し違った意味になりますが、「遠回し」という部分が「示唆」の意味に近いため、「諷喩」という言葉も「示唆」の類義語だと言うことができます。
「示唆」の対義語とは
「示唆」の類義語とはどのような言葉なのかをご紹介しましたので、次は「示唆」の対義語とはどのような言葉なのかをご紹介します。「示唆」の意味とは「それとなく知らせる事」と「ほのめかす事」ですので、それとは反対の意味を持つ言葉が「示唆」の対義語だと言えます。
「それとなく知らせる事」や「ほのめかす事」と反対の意味というと難しそうですが、意外と難しくはありません。それでは、「示唆」の対義語とはどのような言葉なのかについてご紹介しましょう。
①明示
「示唆」の対義語の一つ目は、「明示」です。「示唆」の意味「それとなく知らせる事」という意味とは正反対で、「明示」の意味は「明らかに示す事」「はっきりと示す事」という意味です。「示唆」の対義語とはこのように、「遠回しではなくはっきりと示す」ということを意味する言葉になります。
②明らかにする
「示唆」の対義語の二つ目は、「明らかにする」です。「明らかにする」という言葉は「はっきりさせる」という意味なので「示唆」の対義語であると言えます。ですが「明らかにする」という言葉には他に「解明する」という意味もあります。「解明する」という意味では「明らかにする」という言葉は「示唆」の対義語とは言えませんのでその点は要注意です。
③明白にする
「示唆」の対義語の三つ目は、「明白にする」です。「明白にする」という言葉の意味は「明らかにする」の意味と同じく「はっきりさせる」ですので、「示唆」の対義語であると言えます。「明白にする」の意味をさらに詳しく言えば「疑いの余地のないほどはっきりさせる」です。
「示唆」の意味は「それとなく知らせる事」「ほのめかす事」と、あいまいで遠回しなニュアンスですので、「疑いの余地のないほどはっきりさせる」という意味の「明白にする」は「示唆」の対義語であると言えます。
④明言する
「示唆」の対義語の四つ目は、「明言する」です。「明言する」という言葉は「はっきりと言いきること」という意味ですので、「それとなく知らせる事」「ほのめかす事」というように遠回しに伝えるといった意味を持つ「示唆」とは正反対の意味を持つ対義語であると言えます。
「示唆」の対義語はとにかく、「はっきりと言う」「はっきりと伝える」といった意味を持つ言葉なのだということを覚えておくと良いでしょう。
⑤顕示する
「示唆」の対義語の五つ目は、「顕示する」です。「顕示する」という言葉には「わかるようにはっきりと示す」「言葉などではっきりと教える」といった意味がありますので、「示唆」とは正反対の意味を持つ対義語になります。「顕示」というと「自己顕示欲」という言葉が良く使われますが、この場合の「顕示」は「目立つようにする」という意味です。
「顕示」の「顕」の字は「顕か(あきらか)」とも読めるので、先にご紹介した「明らかにする」と同じような漢字を使った同じような意味の言葉だとも言えます。
⑥解説する
「示唆」の対義語の六つ目は、「解説する」です。「解説する」という言葉は日常生活の中でも結構良く使われますが、その意味は「わかるように説明する」「物事の要点などをわかりやすく説明する」といった意味ですので、遠回しに伝えるニュアンスの強い「示唆」の対義語だと言えます。
このように「示唆」の対義語とは意外にたくさんあり、また日常生活の中でも意外に使われることが多い言葉が「示唆」の対義語になるのだということも覚えておきましょう。
「示唆」の使い方とは
「示唆」とはどういう意味なのか、「示唆」の類語や対義語とはどのような言葉なのかについてご紹介してきましたので、次は「示唆」という言葉の使い方とはどのような使い方なのかについてもご紹介します。「示唆」の使い方と言っても、「示唆」は日常生活ではほとんど使われませんので、必ず役に立つとは限りません。
ですが絶対に使わないとも限りませんので、「示唆」の使い方とはどういう使い方なのかを知っておくことは決して損にはなりません。それでは「示唆」の使い方とは一体どういう使い方なのかについてご紹介しましょう。
遠回しに伝えるときに使用
「示唆」の使い方とは一体どういう使い方なのかというと、「示唆」の意味に大きくかかわってきます。ここまでにもご紹介してきたように、「示唆」の意味とは「それとなく知らせる事」と「ほのめかす事」です。これらは「遠回しに伝える事」という意味にもなりますので、「示唆」の使い方とは「遠回しに伝える時に使う」という使い方になります。
ただ、「示唆」という言葉はニュースなどで聞く以外にはほとんど耳にすることもない言葉ですので、「遠回しに伝える時に使う」という使い方を知っても、生活の中で使うということはほぼないでしょう。「示唆」はビジネスシーンでたまに使われるという程度です。
それでも使い方を知らないよりは知っておいた方が良いですので、「示唆」の使い方とは「遠回しに伝える時に使う」という使い方だということを覚えておきましょう。
「示唆」の例文とは
「示唆」という言葉の使い方とはどういうものなのかをご紹介しましたので、次は「示唆」を使った例文をご紹介します。日常会話の中で「示唆」という言葉を使うことはなくても、作文や論文などの中なら「示唆」という言葉を使う機会があります。折角「示唆」という言葉の意味を知ったのですから、実際に文章の中で使ってみることをおすすめします。
いきなり文章の中で使えと言っても難しいですので、例文を見て使い方を学びましょう。それでは「示唆」を使った例文をいくつかご紹介します。
①示唆を与える
「示唆」を使った例文の一つ目は、「示唆を与える」です。「示唆を与える」という言い方を使って、「学校の先生方は手取り足取り教えるタイプと、示唆を与えるタイプなど色々だ」といった文章を作ることができます。「示唆を与える」という言い方の意味は「ヒントを与える」という意味になります。
「示唆」というととても小難しいイメージになりますが、「ヒント」と言い換えればかなり親しみやすい印象になります。ですがあえて「ヒント」と言わず「示唆」と言うのは、「ヒント」ではちょっと軽いイメージがあるからです。
先生や上司などが生徒や部下などに対して何かを教える時のことを文章で表す時に、「示唆を与える」を使った文章を作ることができますので覚えておきましょう。
②示唆される
「示唆」を使った例文の二つ目は、「示唆される」です。「これらの状況の変化から、日本の世界における立場の変化が示唆される」という文章は、「示唆」の意味である「それとなく知らせる事」「ほのめかす事」という意味で使われた文章です。なので「示唆される」の意味は「それとなく知らされる事」という意味になります。
「示唆される」という言い方には、その前の文章の流れにもよりますが「懸念」に近い意味もあります。「示唆」を「する」のと「される」のとでは少し違ったニュアンスになりますので、その点では注意が必要です。
③示唆を得る
「示唆」を使った例文の三つ目は、「示唆を得る」です。「示唆を得る」は先にご紹介した「示唆を与える」の反対になります。「示唆を与える」は「ヒントを与える」という意味でしたが、「示唆を得る」は「ヒントを得る」という意味で、「成績優秀な友人の勉強方法に示唆を得て、勉強方法を見直す」といった文章を作ることができます。
「示唆」の意味は「それとなく知らせる事」などと少し覚えにくい言い回しですが、「示唆」に「得る」や「与える」という言い方がくっついている場合には、「示唆」は「ヒント」というとても覚えやすい意味になりますので覚えておきましょう。
④可能性を示唆する
「示唆」を使った例文の四つ目は、「可能性を示唆する」です。「可能性」という言葉も「示唆する」という言葉もあいまいな意味を持つ言葉なので、「可能性を示唆する」という言い方はとてもあいまいな未来を示す言い方になります。「総理大臣が、近い将来さらに消費税を増税することを示唆する」といった文章を作ることができます。
「可能性」という言葉のあいまいさと「示唆」という言葉のあいまいさがくっついているため、「かなり不確かで実現の可能性が極めて低いけれどゼロではない」といった時に「可能性を示唆する」という言い方を使いますので、こちらも覚えておくと良いでしょう。
「示唆」の英語表現とは
それでは次に、「示唆」という言葉の英語表現についてもご紹介しておきます。「示唆」という言葉は「それとなく知らせる事」「ほのめかす事」といったとてもあいまいな意味を持つ言葉で、とても日本語らしい繊細な言葉だと言えますので、「示唆」に対応する英語表現を探すのは難しそうだと思う人も多いでしょう。
以外ですが、「示唆」に当たる英語表現はいくつか存在しています。厳密には多少ニュアンスが違っていても、「示唆」の英語表現に当たると言える英語はいくつかあるということです。
それでは、意訳を含む「示唆」という言葉に当たる英語表現をいくつかご紹介していきましょう。
①示唆
「示唆」の英語表現の一つ目は、「示唆」と翻訳される「suggestion」です。また「示唆」の英語表現には他に「implication」という英語もあります。どちらも「示唆」と翻訳されますが、「suggestion」の意味は「提案」「提言」「暗示」「ほのめかし」などで「implication」の意味は「言外の意味」「暗示」などです。
どちらも「暗示」という意味を含んでいるため、「示唆」の「遠回しに伝える」という意味に極めて近い英語だと言えます。そのため「suggestion」と「implication」という英語は、「示唆」の英語表現だと言えます。
②示唆する
「示唆」の英語表現の二つ目は、「示唆する」と翻訳される英語で「suggest」と「indicate」です。「suggest」の意味は「提案する」「それとなく言う」「暗示する」などの意味で、「indicate」の意味は「手や指などで指し示す」「暗に示す」などの意味です。「suggest」と「indicate」はそれぞれに「示唆」につながる意味を持っています。
「suggest」の「それとなく言う」「暗示する」という意味と「indicate」の「暗に示す」という意味は、「示唆」の「遠回しに伝える」という意味と同じような意味になりますので、「suggest」と「indicate」は「示唆」の英語表現だと言うことができます。
③示唆に富む
「示唆」の英語表現の三つ目は、「示唆に富む」と翻訳される英語で「be highly suggestive」と「thought-provoking」です。「be highly suggestive」はそのまま「示唆に富む」という英語表現にもなりますが、「強く示唆する」という場合にも使われる英語表現です。
一方「「thought-provoking」もそのまま「示唆に富む」という英語表現になりますが、こちらは「深く考えさせられる」という場合にも使われる英語表現です。「be highly suggestive」と「thought-provoking」は、どちらも同じような場面で使えます。
「示唆」とは遠回しに伝えること
「示唆」とはどういう意味なのか、読み方や類語や使い方など詳しくご紹介してきましたが如何だったでしょうか。「示唆」という言葉は日常生活の中ではほぼ使われることはありません。ですが「示唆」という言葉の意味は、簡単に言えば「遠回しに伝えること」だという風に覚えておきましょう。