ブロッコリーの育て方のコツや注意点を紹介!
ブロッコリーを食べるのは好きだけれど、栽培方法は知らないという方も多いことでしょう。もこもことしたユニークな見た目が特徴的なブロッコリーですが、実はブロッコリーの育て方はそんなに難しいものではありません。いくつか注意点はあるものの、コツを掴んでしまえば、園芸初心者でも簡単に栽培することができます。
この記事では、栽培のコツや収穫時期、注意点など、ブロッコリーの育て方を詳しくご紹介します。家庭菜園でブロッコリーの栽培にチャレンジして、美味しいブロッコリーを収穫しましょう。
ブロッコリーはコツを掴めば栽培は簡単
ブロッコリーの育て方のコツをご紹介する前に、まずはブロッコリー栽培の特徴や栽培時期についてご紹介しておきましょう。
ブロッコリーは、アブラナ科アブラナ属の緑黄色野菜です。イタリアで品種改良されたキャベツの変種で、日本へは明治時代の初め頃に入ってきました。今ではスーパーでも当たり前のように見かけるようになりましたが、本格的に栽培されるようになったのは戦後のことで、一般家庭の食卓にのぼるようになったのは1970年代からです。
ビタミン・ミネラルを豊富に含むブロッコリーは栄養野菜としても人気が高く、ビタミンCに関しては何とレモンの2倍以上も含まれています。サラダやスープ、炒め物など、様々な料理で使われていますが、自分で栽培すれば、新鮮なブロッコリー思う存分食べられます。
ブロッコリー栽培の特徴
ブロッコリーは、茎の先に緑色の粒々した花蕾(からい)がたくさん集まっていて、この花蕾の部分を主に食べる野菜です。主枝にできる花蕾を「頂花蕾」、側枝にできる花蕾を「側花蕾」といいます。
主に、頂花蕾だけを収穫する「頂花蕾専用型」、頂花蕾を収穫した後に側花蕾も収穫できる「頂花蕾・側花蕾兼用型」、主に側花蕾を収穫する「側花蕾専用型」の3種類に分類されます。花蕾を収穫せずに放置すると、菜の花のような黄色の花を咲かせます。
種まきから収穫までの時期が短い「早生種」、種まきから収穫までの時期が長い「晩生種」、中間の「中間種」があり、家庭菜園では早生種が人気です。頂花蕾・側花蕾兼用型の早生種や中生種を中心に栽培すると、次々と収穫が楽しめます。
ブロッコリーの栽培時期
ブロッコリーは、涼しい気候を好みます。スーパーなどでは一年中見かけますが、ブロッコリーが最も美味しいとされる旬の時期は11月から3月頃です。家庭菜園でも、秋から冬に収穫することになる夏まき栽培が一般的です。
気温の低い冬・春まき栽培の場合には、加温育苗やトンネル栽培が必要となります。温度管理をうまく行えば冬・春まき栽培を成功させることはできますが、初心者にはやはり夏まき栽培が育てやすいです。7月中旬~8月上旬に種をまけば、10月中旬~11月中旬には収穫できます。
ブロッコリーの育て方のコツ【準備編】
それでは、ここからはブロッコリーの育て方のコツをご紹介していきましょう。まず最初に、土作りや肥料など、ブロッコリーを栽培するための準備についてです。
美味しい野菜を育てるためには、土作りが欠かせません。畑に作付け(苗を定植)するまでに、野菜の生育に合った土壌環境に整えておく必要があります。同じアブラナ科の植物を栽培したことがある場合には、同じ場所で続けて栽培すると連作障害が出やすいです。同じ場所でブロッコリーを栽培するときには、2~3年間隔をあけるようにしましょう。
また、日当たりの悪い場所で栽培すると、生育が悪くなり、大きく育たなくなります。日当たりの良い庭がない場合には、プランターなどの移動が可能な方法で栽培した方がよいでしょう。
土作り
ブロッコリーの栽培には、排水性がよく、保水性の高い土壌が適しています。土をよく耕して、作付けの3週間ほど前に堆肥を投入し、ふかふかの土を作りましょう。堆肥は枯葉や家畜のふんなどを堆積して発酵させたもので、土を肥沃にする効果があります。雨の翌日など、土が濡れているときに耕すと、却って土を固めてしまうので注意しましょう。
雨が多い日本では土壌が酸性に傾いていることが多いので、石灰を投入して、pHの調整も行っておきましょう。ブロッコリーには、pH6.0〜6.5程度の弱酸性が好適です。効果が表れるまでに時間がかかりますので、石灰の投入は作付けの2週間前までに行ってください。
肥料
作付けの1週間前になったら、化成肥料を混ぜ込んで、畝を立てます。畝とは、畑に種や苗を植えるために、土を細長く盛り上げた状態のことです。畝立てすることで、通気性や水はけが良くなります。株間を40cm程度あけて、少し高めに畝立てしましょう。
ブロッコリーは、適切に肥料を与えた分だけ株が生長しますので、しっかりと肥料を与えることが大切です。窒素が多すぎたりリン酸が不足したりすると、茎や葉ばかりが茂って、花蕾がつきにくくなりますので注意しましょう。
追肥は、定植から2週間後に本葉が7~8枚程度出たら行います。同じ時期に土寄せも行って、株を安定させましょう。本葉が15枚程度出たら、2回目の追肥を行います。
ブロッコリーの育て方のコツ【種まき編】
ブロッコリーの育て方のコツとして次にご紹介するのは、種まきについてです。作付けの計画ができたら、ホームセンターや園芸店などで種を購入し、作付けを開始します。
ブロッコリーはプランターや地植えで栽培することができますが、プランターや畑に直接種をまくと水やりのときや雨が降ったときに流れてしまうことがあります。プランターや畑で栽培する場合にも、ポットなどを利用して苗を育てた後に、プランターや畑へ移植する方法をおすすめします。
箱まきの場合
最初に、育苗箱を利用する場合の種まきの方法についてご紹介しましょう。栽培する苗の数が多い場合には、育苗箱を利用します。育苗箱は苗を育てるための浅い箱のことで、水稲を育てるときによく使われていますが、野菜にも使用できます。ただし、育苗箱の種類によっては、野菜の栽培に向かないものもあるため注意が必要です。
種まきの方法は、育苗箱に種まき培土を入れて、種まき用の1cm程度の浅い溝を8~10cm間隔で作ります。そして、その溝に種を1粒ずつ1cm間隔でまきます。適量の土をかぶせたら、たっぷりと水を与えましょう。
ポットまきの場合
次に、育苗ポットを利用する場合の種まきの方法についてご紹介しましょう。栽培する苗の数が少ない場合には、育苗ポットを利用します。育苗ポットは植木鉢のような形をした容器のことで、塩化ビニール製のポリポットとピートを原料としたジフィーポットがあります。
種まきの方法は、まず育苗ポットに種まき培土を入れます。指で種まき用の直径3cm深さ1cm程度の穴を空けたら、その穴に種を3~4粒まきます。適量の土をかぶせたら、たっぷりと水を与えましょう。
夏まきの場合
ブロッコリーは、発芽には20~25℃程度が適温なのですが、生育には15~20℃程度が適温となります。そのため、夏まきの場合には、涼しい場所に苗を置く必要があります。
種の乾燥を防ぐために少し深めの穴に種をまいたら、風通しを良くするために下が抜けている台に乗せて、寒冷紗やよしずなどを掛けておきましょう。気温の低い冬・春まき栽培の場合には、加温や保温が必要となります。
ブロッコリーの育て方のコツ【育苗編】
ブロッコリーの育て方のコツとして次にご紹介するのは、育苗についてです。育苗とは、人工的な環境で苗を育成することです。
育苗を行うことで、雨風や気温などの影響を受けにくくなり、苗を管理しやすくなります。丈夫な苗が育ちます。
箱まきの場合
箱まきの場合は、2~3日で発芽したら、葉が重なり合っているところを間引きます。本葉が2~3枚程度になったら、生育のよい株をポットに移植します。
加湿に弱く、夜に水分が多いと茎や枝が間延びしてしまうので、水やりは朝に行います。育苗期間は夏まきなら30日程度、冬・春まきなら35日程度が目安となります。
ポットまきの場合
ポットまきの場合は、発芽して一週間程度経ったら、生育のよい株を2本選んで間引きします。本葉が2~3枚程度になったら1本立ちにし、本葉が4~5枚程度になるまでポットで育てます。
箱まきと同様に、水やりは朝に行います。定植が近くなったら、寒冷紗よしずなどををはずして、苗を露地条件に慣れさせましょう。
ブロッコリーの育て方のコツ【定植編】
ブロッコリーの育て方のコツとして次にご紹介するのは、定植についてです。定植とは、苗を苗床からプランターや畑へ移植することです。
苗の本葉が4~5枚程度になったら定植します。育苗期間は時期によって異なりますが、25~35日程度です。
定植前にすること
畑に定植する場合には、上記でも説明しましたように、定植する前に土壌環境を整えておきましょう。定植の2週間前までに石灰を散布し、定植の1週間前になったら元肥を施しておきます。
定植の前に、苗にたっぷりと水を与える必要がありますが、冷水を与えると根の生長に良くありません。半日程度水を溜めておき、ポットのまま水につける方法で十分に吸水させるとよいでしょう。
定植のコツ
ブロッコリーの定植の方法は、株間を40~50cm程度あけるようにして、畝に穴を掘ります。水を吸わせた苗の根元を手で押さえて、ポットから静かに抜き、土を崩さないようにそのまま1株ずつ穴に入れましょう。
深植えにならないように、苗の周りに掘った土を戻します。ポットの土が少し隠れるくらいでOKです。苗のふちを軽く抑えて根と土を密着させましょう。定植が終わったら、害虫を防ぐために、防虫ネットや寒冷紗をトンネル掛けします。定植から2週間後に1回目の追肥と土寄せ、さらに2週間後に2回目の追肥と土寄せを行います。
ブロッコリーの育て方のコツ【収穫編】
ブロッコリーの育て方のコツとして次にご紹介するのは、収穫についてです。スーパーで販売されているブロッコリーの多くは頂花蕾ですが、自分で栽培する場合には側花蕾や葉も収穫することができます。頂花蕾を収穫した後に、側枝がのびて、次々に小さな側花蕾ができます。
寒さが厳しい時期には、花蕾が紫色になることがありますが、食べても問題はありません。紫色になるのは、寒さから身を守るために「アントシアニン」という色素を出しているためで、糖度が高まって美味しくなります。
収穫のタイミング
ブロッコリーの頂花蕾が大きくなったら、いよいよ収穫の時期となります。側花蕾も収穫する場合には、10~15cm程度で頂花蕾を収穫します。頂花蕾しか収穫しないのであれば、もっと大きくなってからでも大丈夫です。
側花蕾は500円玉くらいの大きさになったら収穫します。どちらも収穫が遅れると、蕾が大きく膨らんで黄ばみ始め、味や食感が落ちてしまうので注意しましょう。
収穫方法
ブロッコリーの頂花蕾を収穫するときには、主枝を包丁などで切り取って収穫します。切り口が雨などで濡れるとそこから腐ってしまうので、太陽に向かって斜めにカットするようにすると早く乾きます。
側花蕾は、ハサミや手で摘み取りましょう。頂花蕾を収穫するときに茎を短く切ると、わき芽が多く残るため、側花蕾がたくさん収穫できます。
ブロッコリーの育て方のコツ【注意点】
最後に、ブロッコリーを栽培するときの注意点についてご紹介しましょう。栽培方法が簡単で、初心者にも栽培しやすい野菜ですが、ブロッコリーを栽培する際には害虫や病気に注意する必要があります。
ブロッコリーを栽培するときには、どんな害虫や病気に注意すればいいのかご紹介していきます。
害虫に注意
ブロッコリーを栽培するときの注意点ですが、まずは害虫についてです。アブラナ科の野菜は、害虫が付きやすいです。アオムシ、トウムシ、コナガなどが葉を食害しますので、見つけたらすぐに駆除しましょう。
害虫を防ぐためには、防虫ネットや寒冷紗のトンネルが効果的です。コンパニオンプランツとして、これらの害虫が嫌うキク科の野菜を近くに植えるのもおすすめです。他に、ウイルス性の病気を媒介するアブラムシなどにも注意しましょう。
病気に注意
ブロッコリーは比較的病気は少ないですが、高温多湿の時期に軟腐病が発生することがあります。軟腐病は、植物の傷口から侵入する細菌性の病気です。水はけの悪い畑で栽培する場合には高畝にし、定植のときなどに根や茎を傷めないように注意しましょう。葉を食害する害虫の対策も必須です。
他にも、黒腐病や苗立枯病、根こぶ病、べと病、花蕾腐敗病、菌核病などの病気に注意が必要です。
生育不良に注意
花茎空洞症は、窒素過多や土壌水分過多などが原因で発生する障害です。花茎の中心部分が空洞になっているのが特徴です。
他に、花蕾の中に小さな葉が出るリーフィー、花蕾が小さくなるボトニング、花蕾の粒が不揃いになるキャッツアイ、花蕾が凸凹となる不整形花蕾などの障害もあります。
ブロッコリー栽培のコツを掴んで成功させよう!
栽培のコツや収穫時期、注意点など、ブロッコリーの育て方をご紹介しました。ブロッコリーは栄養野菜としても人気が高いですが、自分で栽培すれば蕾だけでなく茎や葉っぱも丸ごと食べることができます。
ブロッコリーを栽培するときにはいろいろとコツが必要ですが、コツを掴めば園芸初心者でも育てることができます。栽培のコツや注意点を頭に入れたうえで、ブロッコリーの栽培にチャレンジしてみましょう。