勿忘草の花言葉とは
『勿忘草(ワスレナグサ)』は青色の小さな花が可愛い植物です。勿忘草は青色以外にも様々な色がありますが、青色の勿忘草をよく見かけます。小さな花なので咲き誇ると勿忘草の絨毯が出来上がります。今回はそんな勿忘草の花言葉についてご紹介します。勿忘草で有名な『私を忘れないで』という花言葉から、勿忘草の色別の花言葉をご紹介します。
勿忘草全体の花言葉
勿忘草の全体の花言葉は『私を忘れないで』『真実の愛』です。切ない恋愛を表現する時によく使われるのが勿忘草です。勿忘草の花言葉の『私を忘れないで』と『真実の愛』は中世ドイツの悲恋伝説に由来しています。勿忘草の名前と花言葉の由来となった中世ドイツの『ドナウ川の悲恋伝説』については後にご紹介します。
勿忘草の色別花言葉
勿忘草、全体の花言葉である『私を忘れないで』『真実の愛』をご紹介しました。続いて、勿忘草の色別の花言葉についてです。定番の青色の勿忘草から、ちょっと珍しい紫色の勿忘草や、白色の勿忘草の花言葉を順番にご紹介します。花は同じ花でも色や数によって花言葉が変わります。贈り物にも選ばれる勿忘草の花言葉をこの機会に覚えてみてください。
青い勿忘草
青色の勿忘草の花言葉についてです。勿忘草の花言葉は『真実の愛』『私を忘れないで』とご紹介しましたが、青色の勿忘草にはそれ以外の花言葉を持っています。恋愛面だけでなく、友情面での花言葉を多く持っています。海外では友人のお見舞いなどで、青色の勿忘草を持っていくことがあるそうです。
青色は『友情』や『誠意』をイメージさせる色なので、青色の勿忘草にはピッタリの花言葉です。『誠の友情』という花言葉は青色の勿忘草だけの花言葉です。
紫の勿忘草
紫色の勿忘草、もしくは薄桃色の勿忘草にははっきりとした色別の花言葉がありません。勿忘草の種類であるエゾムラサキには『森の』という意味を持つ学名があります。森に咲く紫色の小さな勿忘草は訪れた人々の目を惹きよせます。紫色の勿忘草には青色や白色の勿忘草と異なり、不思議な魅力があり、神秘的なイメージを与えます。
白の花言葉
白色の勿忘草の花言葉は『真実の愛』です。純白という言葉があるように、白色は純粋さや穢れのない様子を表します。勿忘草の全体の花言葉である『真実の愛』が相応しい色です。後にご紹介するドイツの悲恋伝説に登場する、ベルタという女性の生涯や気持ちに沿った『真実の愛』という花言葉がピッタリの白色の勿忘草です。
勿忘草の英語での花言葉
続いて、勿忘草の色別の花言葉ではなく英語での花言葉についてご紹介します。日本での花言葉と海外での花言葉は異なる部分があるので、英語での花言葉も知ってみてください。日本での花言葉でもご紹介した『真実の愛』や『私を忘れないで』の花言葉も英語だと微かに異なることがあるのでご紹介します。
真実の愛
英語での勿忘草の花言葉の一つは『真実の愛』です。英語ではtrue loveと表記されます。英語の花言葉には『思い出』という勿忘草の花言葉があります。生涯、騎士ルドルフだけを愛した恋人ベルタには、たくさんの思い出がありました。その思い出があったからこそ、ベルタはルドルフだけを愛し生きることができました。
英語での勿忘草の花言葉である『思い出』は『真実の愛』を成し遂げるために欠かせなかった、ベルタの『ルドルフとの思い出』を花言葉にしたものです。
私を忘れないで
英語での勿忘草の花言葉には『私を忘れないで』という世界で共通の花言葉があります。勿忘草の花言葉で真っ先に浮かぶ花言葉ですが、この『私を忘れないで』にも英語での花言葉である『思い出』が関わっています。英語ではmemoriesと表現されます。大切な瞬間や、大切な人を忘れないために思い出があり、思い出があるから忘れることができません。
『私を忘れないで』の英語表記はDo not forget me.です。英語にある勿忘草の『思い出』という花言葉は、『私を忘れないで』と『真実の愛』に繋がる大切な花言葉です。
勿忘草の花言葉と名前の由来
これまでも何度か触れましたが、勿忘草の花言葉と名前は、中世ドイツの『ドナウ川の悲恋伝説』が由来とされています。続いて、『勿忘草』という名前の由来となり、『真実の愛』と『私を忘れないで』という花言葉の由来となった騎士ルドルフと、その恋人ベルタの悲しい恋の伝説をご紹介します。
中世ドイツの伝説が由来
ある日、若き騎士ルドルフは恋人のベルタとドナウ川のほとりを散策していました。その時、岸部に咲く可憐で美しい花を見つけます。恋人、ベルタのためにルドルフはその花を摘みに行きます。ですが思いがけずに川の流れにのまれ、重い鎧を着ていたルドルフは流れに逆らうことができませんでした。
その時にルドルフは最後の力を振り絞り、岸にいた恋人ベルタに『vergiss mein nicht!(私を忘れないで!)』と叫びながら、岸に向けて花を投げ渡します。そしてルドルフは川底へと沈んで亡くなってしまいました。残されたベルタはルドルフのお墓にその花を供えて『勿忘草』と名付けると、ルドルフとの思い出と勿忘草を大切に生涯を過ごしました。
その伝説が由来となり、ルドルフが最期にデルタに伝えた『私を忘れないで』が名前の由来となり、生涯をかけてルドルフだけを愛したデルタの『真実の愛』が花言葉となりました。
勿忘草の種類
勿忘草の種類は大きく分けて三種類あります。種類によって色も異なり、花弁の形なども変わっているので種類別にご紹介します。日本に生息する勿忘草の在来種から、ヨーロッパに生息する基本種と言われる勿忘草、園芸用に品種改良された勿忘草の種類を順番にご紹介していきます。
シンワスレナグサ
シンワスレナグサはヨーロッパ産の基本種で、西洋では他の勿忘草と区別するために『true forget-me-not(本物の勿忘草)』と呼ばれています。薄青色の花を咲かせますが、小さくパッとしない色合いのためか、観賞用としては不向きで敬遠されます。ですが絨毯のように一面に咲き誇る姿は感動を与えるほど美しい勿忘草です。
ノハラワスレナグサ
ノハラワスレナグサは薄青色、鮮青色の花を咲かせます。日本の園芸業界では勿忘草として流通していて、人気が高い勿忘草の種類です。ノハラワスレナグサの種小名はalpestrisで、意味は『亜高山の、草本帯の』です。英名はalpine forget-me-not(高山の勿忘草)と書きます。
エゾムラサキ
エゾムラサキ(蝦夷紫)はワスレナグサ属の中で日本の唯一の在来種です。ミヤマワスレナグサ、ムラサキグサとも言います。他のワスレナグサ属と違い、切れ込みが深い萼には立ち上がった鉤状の毛があります。エゾムラサキ以外のワスレナグサ属は萼の毛が平たく伏せっています。
種小名はsylvatica(森の)という意味です。英名はwoodland forget-me-not(森林勿忘草)と書きます。
勿忘草と似た花言葉の花一覧
勿忘草の花言葉は『真実の愛』『私を忘れないで』です。この花言葉と似た花言葉を持つ花が他にもあります。勿忘草の見た目に似た花だけでなく、全く異なる色や明るいイメージを持つ花でも花言葉が似ている場合があります。春を彩るチューリップや夏を飾るひまわりも、実は花言葉が勿忘草と似ています。
アイリス
アイリスの花の花言葉は『恋のメッセージ』『良い報せ』『希望』があります。『恋のメッセージ』という花言葉が勿忘草と似ています。勿忘草は悲恋などの切ない印象が強いメッセージですが、アイリスは希望のある前向きなメッセージです。アイリスには種類や色別での花言葉もあるのでご紹介します。
アイリスはアヤメ科で、アヤメやハナショウブ、カキツバタの仲間で種類も豊富で色も多彩です。アイリスの青、紫、白の花言葉をご紹介します。青のアイリスの花言葉は『大きな志』です。紫のアイリスの花言葉は『知恵』、白の花言葉は『純粋』です。『あなたを大切にします』という花言葉もあります。
アイリスの『あなたを大切にします』は勿忘草の『私を忘れないで』と同じメッセージ性の強い花言葉です。
ブルースター
ブルースターの花の花言葉は『幸福な愛』『信じあう心』です。勿忘草同様に小さな花ですが、ブルースターと呼ばれるだけあって綺麗で存在感のある花です。ブルースターは正式名称を瑠璃唐綿(ルリトウワタ)と言い、西洋では結婚式で身に着けると良い物の一つに入っています。
勿忘草の名前、花言葉の由来となった悲恋伝説に登場する恋人の二人は、死別してしまった後もお互いを信じあっていました。ブルースターの花言葉同様に『信じあう心』があったからこそ、ベルタはルドルフを愛し続けることができました。
スミレ
スミレの花言葉は『謙虚』『誠実』です。スミレはパンジーやビオラの種類でどれもスミレ科になります。スミレの花言葉は色別の花言葉があり、どれも恋愛にちなんでいます。
スミレで見かけることが多い紫色の花言葉は『貞節』『誠実』です。紫色の花には珍しい花言葉を持っています。白色のスミレの花言葉は『あどけない恋』『純潔』です。今回は二色のご紹介となりましたが、他にも色別で花言葉があります。スミレ全体の花言葉である『謙虚』『誠実』は草陰などでひっそりと咲いている様子が由来となっています。
ひまわり
ひまわりの花言葉は『憧れ』『あなただけを見つめる』です。『憧れ』『あなただけを見つめる』はひまわり全体の花言葉で、色別の花言葉もあります。『あなただけを見つめる』はメッセージ性があり、勿忘草と似ている部分があります。
ひまわりには白、紫の色別で花言葉があります。白色のひまわりの花言葉は『程よき恋愛』です。紫色のひまわりの花言葉は『悲哀』になります。ひまわりの花言葉である『あなただけを見つめる』は常に太陽に向かって咲き誇る姿が由来となっています。もう一つの由来は神話に残されていて、勿忘草と同じでひまわりにも悲しい恋の伝説があります。
ひまわりの由来となった伝説はギリシア神話に登場する精霊のクリュティエーです。精霊クリュティエーは太陽神アポロンに恋をします。ですがアポロンは美しい人間の娘に夢中でした。それを見過ごせなかったクリュティエーは、彼女の父であるペルシア王に告げ口をします。厳格だった王は許せずに娘に罰を与えました。
しかし意中の娘が死してもなお、アポロンは彼女に想いを寄せ続けます。見向きもされないクリュティエーは悲しみに暮れ、数日もの間、太陽を見続けて寿命を迎えます。後に姿がひまわりに変わり『あなただけを見つめる』という花言葉の由来になりました。
マーガレット
マーガレットの花言葉は『真実の愛』『信頼』です。マーガレットは恋を占う花にも使われるので『花占い』も花言葉になってます。色別の花言葉もあるのでご紹介します。
桃色のマーガレットは『真実の愛』です。定番の白色のマーガレットは花占い(恋占い)でもよくつかわれるので『花占い』『信頼』『秘めた愛』です。『好き、嫌い、好き』とひっそりと花びらで占う様子から『秘めた愛』が花言葉になっています。橙色の花言葉は『美しい容姿』です。堂々と咲く様子からつけられています。
チューリップ
チューリップの全体の花言葉は『思いやり』です。チューリップの花言葉にも伝説が残されており、色別にも花言葉があります。赤色のチューリップは『愛の告白』、白色のチューリップは『失われた愛』、桃色のチューリップは『愛の芽生え』『誠実な愛』です。勿忘草と同様に花言葉の『思いやり』はオランダのチューリップ伝説が由来とされています。
チューリップに関する伝説はたくさんあり、世界各地に残されています。ひまわりと同じように神話だったりもするので、花言葉も様々な由来があります。今回はその中でも有名なオランダ伝説についてご紹介します。
昔、ある村の美しい娘に三人の騎士が恋をしました。娘に恋をした三人の騎士はそれぞれの家の宝を持ってプロポーズをします。しかし心優しい娘は一人だけを選ぶことができませんでした。そこで娘はフローラという花の女神に自分を花の姿に変えてほしいと頼みます。姿を変えた娘の姿がチューリップだったと言い伝えられています。
勿忘草の花言葉は色別に違う
勿忘草の花言葉は『真実の愛』『私を忘れないで』でした。色別によって花言葉は変わり、小さな花の中に想いがたくさん詰められています。騎士ルドルフと恋人デルタの気持ちが青色の勿忘草だけでなく、白色や紫色の勿忘草にも受け継がれています。勿忘草は小さく見つけにくいものですが、散策などで森林に入った場合はぜひ気にして見てください。