現在事項全部証明書とは
今回は、現在事項全部証明書について紹介します。現在事項全部証明書とは、登記事項証明書の一種で、当該会社の現在の状況を証明する書面です。会社名や住所、会社の設立年月日などの基本的な情報に加えて、現在の代表取締役や各取締役、監査役などの役員の氏名、それぞれの就任年月日が書かれています。
現在事項全部証明書は、会社での重要な手続きをする際に提出を求められることがあります。例えば、初めて従業員を雇うときには年金事務所に届け出をする必要になります。銀行で法人の口座開設をする際にも必要になります。
法務局に登録されている
現在事項全部証明書は、履歴事項全部証明書や登記簿謄本などと同様、法務局で登録されています。証明書の発行を申請するのも法務局あてになります。法務局は、全国様々な場所にあり、全国どこでも同じ内容の証明書を取得することができます。
現在事項全部証明書や履歴事項全部証明書には有効期限があるため、余分に取得しておいても効果がなくなる恐れがあります。必要な分だけ最寄りの法務局で必要になったその都度発行申請をすることになります。
現在事項全部証明書の見方
現在事項全部証明書は、普段見慣れていないとどのような見方をしたらいいのかわかりづらいです。現在事項全部証明書は大きく分けて商号や目的の事項と役員や組織に関する事項があります。前者は、正式な会社の商号とその会社がどんな事業を行なっているのか目的を明確に記載しています。
後者は、会社の取締役などの役員の情報が記載されています。役員の住所や氏名、役員に就任した年月日などが記載されています。会社の組織構成やどんな人物が会社の運営に携わっているのか、一目瞭然になっています。
現在事項全部証明書と履歴事項全部証明書との違い
つづいて、現在事項全部証明書と履歴事項全部証明書がどのように違うのかを説明します。それぞれ登記簿謄本の一種で、法務局で取得することができる点は同じです。基本的な見方も、記載されている項目自体も同じです。違うのは、過去の履歴が記載されているかどうか、という点にあります。
履歴事項全部証明書は過去の変更登記が登録されている
現在事項全部証明書に記載されている内容とは、前述のように、現在効力がある内容のみの記載になります。現在の会社の商号や住所、現在の役員の氏名と就任時期などが記載されています。これに対し、履歴事項全部証明書では、現在の状況を含めた過去の履歴を含めて証明書に記載してもらうことができます。
過去の履歴掲載の範囲は、証明書請求日の三年前の日が属する年の1月1日以降からになります。様々な処理で、銀行や税務署から証明書の発行を求められるときには、こちらの履歴事項全部証明書を求められることが多いので注意する必要があります。
他の書類と組み合わせて使う
履歴事項全部証明書の方は、現在効力のある情報も含めた過去の履歴すべてが掲載されています。したがって、現在事項全部証明書の内容はすべて履歴事項全部証明書にも記載があるため、履歴事項全部証明書の方が汎用性が高いです。ただ、場合によっては枚数が多くなるため、手数料が高くなってしまうというデメリットがあります。
提出先によっては、現在事項全部証明書に付属して、過去の会社の重要事項の履歴がわかる別の書類と組み合わせて対応するということもよく見られます。もちろん、履歴事項全部証明書のような公的な証明書とは異なりますので、提出先に確認を要します。
現在事項全部証明書の取得方法
ここまで、現在事項全部証明書と履歴事項全部証明書の違いについて説明をしてきました。続いては、現在事項全部証明書をはじめとした登記簿謄本の取得方法について説明をします。法務局に対して申請をして取得する必要がありますが、その取得方法はいくつか用意されています。
法務局の窓口で申請して取得する方法、郵送で申請をして取得する方法、インターネットを介して申請し取得する方法の三種類が用意されています。窓口に行く時間がない方でも申請ができる方法が用意されています。
インターネットから申請する
登記簿謄本の証明書取得の方法の第一は、インターネットから申請する方法です。インターネット環境があればどこからでも申請することができて大変便利です。対応時間は平日8時30分から21時までとなっているので注意が必要です。法務局が提携している「登記・供託オンライン申請システム」に登録をする必要があります。登録は無料です。
受け取り方法と手数料
インターネットによる申請をした際の証明書の受取方法は二種類あります。郵送により自宅に届けてもらう方法と、法務局の窓口に取りに行く方法です。前者は手数料が500円かかります。後者は手数料が480円かかります。
手数料の支払い方法は、インターネットバンキングを利用するか、ATMで支払い処理をするか、どちらかとなります。インターネットバンキングの方は、証明書申請画面から連動していて便利です。ATM利用の場合は、電子納付情報を印刷してATMにもっていくことが必要になります。
法務省の窓口で取得する
登記簿謄本の証明書取得の方法の第二は、法務局の窓口で直接申請する方法です。どこの法務局でも申請可能なので、最寄りの法務局を利用するのが一般的です。申請用紙に必要事項を記入して提出します。あらかじめ書式をダウンロードして申請書を作成し、もっていくとスムーズに申請ができます。
法務局によっては、発行請求機が設置されているところもあります。この場合は書面での申請用紙の準備は不要ですので、あらかじめ訪れる予定の法務局に請求機があるかどうかをチェックしておく方が良いです。
支払い方法
法務局窓口での手数料支払い方法は、収入印紙によります。証明書一通当たり600円となっています。収入印紙は、法務局窓口でも購入することができますが、あらかじめ購入しておくことも可能です。郵便局やコンビニで購入することができます。少しでも窓口で要する時間を減らしたいならあらかじめ購入することをおすすめします。
法務省から郵送で所得する
登記簿謄本の証明書取得の方法の第三は、法務局宛に申請書などを郵送して申請する方法です。用意する申請用紙は窓口で書面で申請する際に用意する書類と同じです。また、あらかじめ収入印紙を購入して同封する必要があります。また、この場合は返信用封筒を同封する必要があります。郵送代金を切手で貼付けしておく必要があります。
支払い方法と受け取り方
郵送で申請をする場合の手数料の支払い方法は、郵送する封筒に必要部数に対応する収入印紙を同封する方法になります。また、受け取り方は同封している返信用封筒にて郵送してもらうことになります。必要になる郵便代をあらかじめ返信用封筒に張り付けておく必要があります。代金が不安な場合は郵便局などに確認しておきましょう。
現在事項全部証明書と登記簿謄本との違い
現在事項全部証明書の取得方法と手数料について説明をしました。次に、現在事項全部証明書と登記簿謄本との違いについて説明をします。似たような場面で出てくる言葉ですが、登記簿謄本は法務局で保管されているデータのことを総合的に指します。現在事項全部証明書はその一部のデータを抽出して証明書として発行される書面です。
登記簿謄本とは
厳密には、現在は登記簿謄本という言い方はされなくなりました。この言い方は、昔法務局で保管している登記簿のデータが書面だったころに利用されていたものです。現在は、法務局側で管理しているデータが電子化されたことにより、「登記事項証明書」の形式で書面を発行するようになりました。
ただ、一般的な言い方として今でも「登記簿謄本」という言い方をする方も大勢います。一般的に、登記簿謄本を取ってくる、といえば「履歴事項全部証明書」を取得することを指すケースが多いです。
会社に提出するのは履歴事項全部証明書が多い
各手続きで必要になるため提出を求められるのは、履歴事項全部証明書であることが多いです。膨大な書面量になることがあり、見方が難しいことも多いですが、手続き上こちらの方が必要になるケースが多いため注意しましょう。間違って現在事項全部証明書を発行しても効果がないケースも多々見受けられます。
現在事項全部証明書とは会社の情報が登録された登記事項証明書の1種
以上、現在事項全部証明書について解説しましたがいかがでしたでしょうか。証明書の見方、履歴事項全部証明書や登記簿謄本との違い、取得方法と手数料について解説をしてきました。あまり見る機会が多くないので見方が難しいと感じる方も多いかもしれませんが、一度見方を理解すると決まった場所に決まった事項が掲載されていて見やすくなります。
現在事項全部証明書は登記事項証明書の一種という位置づけです。その見方を理解するとともに、会社で取得をする際にはどの証明書が必要になるのか、あらかじめ確認してから申請をするようにしましょう。