海苔は消化に悪いの?
「海苔は消化に悪い」と言う人もいますが、実際海苔が消化に悪いかどうかを知っているという人は多くないでしょう。確かに海苔巻などを食べると海苔は結構噛み切りにくいため、海苔が消化に悪いというイメージを持つ人がたくさんいてもおかしくないでしょう。ですが海苔を食べてお腹を壊す人などはあまりいません。
海苔は本当に消化に悪いのかどうかをご紹介する前に、まずは海苔に含まれる栄養素についてご紹介しましょう。
海苔に含まれる栄養素
それでは海苔に含まれる栄養素についてご紹介します。海苔は海藻ですのでまずビタミンが含まれています。ビタミンの他にタンパク質や鉄分、その他タウリンなどといった大切な栄養がたくさん含まれています。なので海苔をたくさん食べると体に良いとも言えるのですが、本当に海苔が消化に悪いというのなら話は別です。
いくら体に良い栄養をたくさん含んでいても、消化に悪いならその栄養素も役に立たないことになります。たくさんの良い栄養素を含む海苔は本当に消化に悪いのかどうかについてご紹介していきます。
海苔は消化に時間がかかるのは事実
海苔にはたくさんの種類がありますが、生で食べる「生海苔」や天日乾燥しただけの「乾海苔」などもあり、これら「火を通していない海苔」は消化に時間がかかります。なので「生海苔」など火を通していない海苔は消化に時間がかかり、消化に悪いと言うことができます。ですが普段の生活の中で食べられているのはこれらの海苔ではありません。
海苔は加熱すれば消化できる
日本人が日常生活の中でよく食べているのは、「焼き海苔」や「味付け海苔」などの火を通して加熱処理された海苔です。加熱された海苔は加熱処理されていない「生海苔」や「乾海苔」とは違って、消化に時間はかかりません。したがって、普段の食生活に取り入れられている「焼き海苔」などの加熱された海苔は消化時間が短いと言えます。
生の海苔は消化に時間がかかりますが、加熱処理された海苔は消化に時間がかかりませんので、消化に時間のかからない加熱された海苔を食べると消化に悪いとは言えないということです。
日本人は生の海苔も食べているが消化できるのはなぜ?
「生海苔」「乾海苔」などの過熱していない海苔は消化に時間がかかり、「焼き海苔」「味付け海苔」などの加熱された海苔は消化に時間はかからないとご紹介しましたが、日本人は加熱された海苔だけでなく「生海苔」など加熱していない海苔も普通に食べています。ということは、日本人は生の海苔も消化できるということになります。
実はある理由があって、外国の人には消化できない生の海苔も日本人には消化できます。なぜ日本人は生の海苔でも消化できるのかについてご紹介しましょう。
生の海苔は日本人しか消化できない?
海苔には硬い細胞壁があるため、生の状態では消化できないと言われていますが、実は日本人の体の中には生の海苔でも消化できる「あるもの」が存在しています。それは生の海苔の硬い細胞壁を破壊する酵素を生み出す微生物です。その微生物が腸内にあるため、日本人は生の海苔でも消化することができます。
海苔は奈良時代などの遥か昔から日本人の食卓にのぼってきました。そのため、海藻に含まれる特殊なバクテリアが体内に常駐するようになり、日本人の体は海苔を消化することができるようになったと言えます。
この腸内の微生物のおかげで、日本人は外国の人より海苔の消化に時間がかからず、生の海苔でも消化ができるということです。
海苔は離乳食として赤ちゃんに与えても大丈夫か
生の海苔は日本人特有の腸内微生物によって消化することができるとご紹介しましたが、赤ちゃんの場合はどうなのでしょうか。赤ちゃんであっても日本人であれば日本人特有の腸内微生物が存在していますが、元々生の海苔はあまり消化に良くないので、赤ちゃんの離乳食として与える場合には生の海苔は避けた方が無難です。
赤ちゃんは大人に比べると消化力が弱いので、海苔を与える場合には焼き海苔や味付け海苔などをおかゆに混ぜて柔らかくするなどの工夫が必要です。海苔には体に良い栄養素がたくさん含まれていますので、おかゆに入れるなどして赤ちゃんに与えましょう。
海苔を食べるメリット
海苔は消化が悪いのかどうかをご紹介しましたので、次は海苔を食べるメリットについてご紹介します。海苔に含まれる栄養素には健康に役立つ栄養がたくさん含まれていますので、健康に良いことは間違いありませんが、それ以外にも海苔を食べるメリットはたくさんあります。海苔を食べるとどのようなメリットがあるのかご紹介しましょう。
海苔には凄い効果がある
海苔を食べるメリットは本当にたくさんあります。海苔には凄い効果があるので、海苔を食べることによって得られるメリットはたくさんあると言えます。それは海苔に含まれる栄養素によるメリットです。先にご紹介したように、海苔にはビタミンやタンパク質やアミノ酸などの栄養素が含まれています。
これらの栄養素が人間の体に凄い効果をもたらしてくれると言えます。それでは、海苔の凄い効果についてご紹介しましょう。
美肌効果
海苔の凄い効果の一つ目は、美肌効果です。これは海苔に含まれるビタミンCによる効果になります。海苔巻に使われる焼き海苔1枚には、ミカン1.5個分のビタミンCが含まれています。ビタミンCは肌に良いということは多くの人が知っていますが、同時にビタミンCは熱に弱く壊れやすいということも知られています。
ですが海苔に含まれるビタミンCは熱に強いため、加熱された海苔であってもビタミンCは損なわれません。そのため海苔には美肌効果があると言えます。
健康効果
海苔の凄い効果の二つ目は、健康効果です。海苔には食物繊維もたくさん含まれているため、便秘解消にも役立ちます。便秘気味の人は肌荒れしやすいですが、海苔の食物繊維で便秘を解消すれば健康にも美容にも役立ちます。便秘でお腹がぽっこりしているという人にも、海苔の健康効果はおすすめです。
海苔の健康効果としては他にも、貧血予防が挙げられます。海苔には鉄分も含まれているため、貧血の予防や改善などの健康効果も期待できます。
風邪予防
海苔の凄い効果の三つ目は、風邪予防ができるということです。先にご紹介したように、海苔にはビタミンCがたくさん含まれています。昔から風邪にはビタミンCの摂取が大切だと言われてきましたので、海苔は風邪予防の健康効果もあると言えます。焼き海苔1枚でミカン1.5個分のビタミンCがありますので、風邪予防に海苔を食べることもおすすめです。
風邪予防のためにミカンを大量に食べる人もいますが、焼き海苔1枚とミカン1個とでは満腹度も違いますので、海苔の方が量の割にたくさんのビタミンCを摂取できると言えます。そのため、風邪予防には海苔を食べることをおすすめします。
焼き海苔がない場合、食卓に常備している味付け海苔でも同様の風邪予防効果が期待できますので、毎朝味付け海苔を食べると良いでしょう。
育ち盛りの子供におすすめ
海苔の凄い効果の四つ目は、育ち盛りの子供におすすめだということです。海苔には美肌や風邪予防に役立つビタミンCの他に、11種類のビタミンが含まれています。特にビタミンAは育ち盛りの子供にとって大切な栄養素で、子供一人当たりの一日のビタミンAは焼き海苔2枚で摂取できます。焼き海苔が苦手な子供には味付け海苔がおすすめです。
昨今の子供の中には徹底した野菜嫌いの子供もいますが、海苔が嫌いな子供はあまりいません。野菜嫌いの子供には、焼き海苔でビタミンAを摂取させると良いでしょう。子供には毎朝白米に味付け海苔という和食のご飯を食べさせると良いです。
海苔に含まれる栄養分は風邪予防などの健康効果だけではなく、育ち盛りの子供の成長にも役立つということを覚えておきましょう。
女性にもおすすめ
海苔の凄い効果の五つ目は、女性にもおすすめだということです。海苔にはビタミンCが含まれているため美肌効果や風邪予防などの健康効果もありますが、実は鉄分も含まれています。女性は男性に比べて貧血気味の人が多いため、鉄分を積極的に摂取する必要があります。海苔には鉄分も含まれているため、女性におすすめの食べ物です。
たくさんのビタミンや鉄分などは女性の美容や健康に役立ちますので、積極的に海苔を食生活に取り入れましょう。
疲労回復効果
海苔の凄い効果の六つ目は、疲労回復効果です。海苔にはたくさんのビタミンが含まれているとご紹介しましたが、疲労回復に役立つビタミンB1やビタミンB2も含まれています。これらのビタミンは糖質をすばやくエネルギーに変換してくれる役割を果たしますので、食欲不振の時などに海苔を食べると良いでしょう。
また、海苔にはタウリンも含まれています。タウリンは栄養ドリンクなどに多く含まれていて、こちらも疲労回復に役立ちますので、疲れた時には海苔を積極的に食べることをおすすめします。
イライラ予防効果
海苔の凄い効果の七つ目は、イライラ予防効果です。「イライラはカルシウム不足が原因」と言われることが多いですが、海苔にはカルシウムもしっかり含まれています。カルシウムと言えば牛乳ですが、海苔2枚で牛乳15cc分のカルシウムが含まれています。そう言うと少ない感じですが、牛乳とは別のカルシウム摂取法と考えると良いでしょう。
毎朝牛乳を飲んだ後、朝ご飯に海苔を食べるというように、牛乳だけでは取りきれないカルシウムを補う意味で海苔を食べることをおすすめします。
生活習慣病予防効果
海苔の凄い効果の八つ目は、生活習慣病予防効果です。海苔に含まれる栄養素は、ビタミン類やカルシウムや鉄分などの他にもまだあります。海苔にはコレステロール値を下げる働きを持つEPAが豊富に含まれていますので、高コレステロール症などの生活習慣病の予防にも役立つと言えます。
EPAと言えばイワシなどの青魚に多く含まれていることで有名ですが、海苔にもEPAは豊富に含まれています。EPAは悪玉コレステロール値を下げるだけでなく、中性脂肪を下げる働きもあるため、肥満予防にも役立ちます。
他にガンの予防に役立つと言われるβ-カロテンも含まれていますので、海苔は生活習慣病の予防にも効果的だと言うことができます。
タンパク質が豊富
海苔の凄い効果の九つ目は、タンパク質が豊富だという点です。お酒を飲むと肝臓が摂取したアルコール分を分解してくれますが、この肝臓のアルコール分解に役立つのがタンパク質です。なのでお酒の肴としてチーズやハム、豆製品などを食べる人も多いですが、それに海苔を加えるとさらに良いでしょう。
チーズの海苔巻など、他のタンパク質を含む食べ物と海苔を合わせることで、よりおいしく体に良い酒の肴になりますのでおすすめです。
アミノ酸豊富
海苔の凄い効果の十個目は、アミノ酸が豊富だという点です。アミノ酸というとうまみ成分として有名ですが、海苔にも昆布と同じアミノ酸が含まれています。それも昆布と同じアミノ酸だけではなくシイタケと同じアミノ酸、かつお節と同じアミノ酸も含まれていて、海苔はうまみ成分の宝庫だと言えます。
アミノ酸は美容や健康にも役立つ成分なので、アミノ酸がたくさん含まれている海苔を積極的に食生活に取り入れていくことをおすすめします。
外国人におすすめの日本の海苔
日本人は生の海苔でも消化することができるとご紹介しましたが、外国人には生の海苔を消化する微生物はいません。ですので外国人には外国人でも消化することができる海苔を食べる必要があります。日本に長年住んでいる外国人であっても、日本人とは体が違いますので、外国人には外国人でも食べられる海苔を食べなければなりません。
日本人のように生の海苔でも消化できる微生物が体内にいない外国人におすすめの海苔についてご紹介しましょう。
焼きのり
外国人におすすめの海苔の一つ目は、焼き海苔です。ここまでにもご紹介してきたように、生の海苔を分解できる微生物は日本人の腸内にしかいませんので、外国人には生の海苔はおすすめできません。ですが加熱した海苔なら外国人でも消化することができますので、外国人の人には焼き海苔をおすすめします。
味付け海苔
外国人におすすめの海苔の二つ目は、味付け海苔です。味付け海苔は焼き海苔と同じく加熱処理されていますので、外国人でも消化することができます。その上味付け海苔は、巻き寿司などに使われる焼き海苔よりやや薄く作られています。そのため海苔を消化しにくい外国の人にも容易に消化することができ、外国人におすすめの海苔と言えます。
「海苔は消化に悪いので身体に悪い」は間違い!
海苔は消化に悪いのかどうかということや、海苔に含まれる栄養素や海苔を食べるメリットなどについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。海苔にはたくさんの栄養素が含まれている上に、日本人には海苔を分解する微生物もいますので、生の海苔でも消化することができます。
このようなことから、「海苔は消化に悪いので身体に悪い」というのは間違いだと言えます。たくさんの栄養素が含まれている海苔を積極的に摂り、健康的な生活に役立てましょう。