エスニックの意味
「エスニック」という言葉を知っている人は多いですが、「エスニック」の意味を正しく知っているという人は意外に少ないでしょう。「エスニック」という言葉は街角などでも見ることができるため、日本人にとってなじみのある言葉ですが、その正しい意味はあまり知られていません。
「エスニック」という言葉の意味を勘違いしている人も意外に多いです。「エスニック」とはどのような意味があるのか、「エスニック」の意味についてご紹介しましょう。
民族的な・民族に関する・異国風
「エスニック」の意味は「民族的な」「民族に関する」「異国風」という意味です。ある国の人から見て、その人の国の文化とは異なる文化を持つ国の習慣などのことを「エスニック」と言います。日本人から見て、日本とは異なる文化を持つ国の習慣などを「エスニック」と言うということです。
日本人の中には「エスニック」の意味を「東南アジアなどを指す」と勘違いしている人もいます。確かに東南アジアなども日本とは違う文化を持つ国々ですが、「エスニック」は東南アジアなどだけを意味する言葉ではありません。
「エスニック」の意味は「民族的な」「民族に関する」「異国風」という意味であって、東南アジアだけを指すわけではないということを覚えておきましょう。
エスニックの由来
「エスニック」の意味についてご紹介しましたので、次は「エスニック」という言葉の由来についてご紹介します。「エスニック」という言葉は英語ですが、英語は元々他の言語に由来がある場合が多いです。英語の歴史は意外に浅く、ラテン語などの古い歴史のある言葉が英語の単語の由来になっていることが結構あります。
「エスニック」という言葉は英語ではありますが、由来は別の言語にあります。「エスニック」という言葉の由来とは何なのか、「エスニック」の由来についてご紹介しましょう。
ギリシャ語のethnos
「エスニック」の由来はギリシャ語の「ethnos(エスノス)」という言葉です。ギリシャ語はとても古い歴史を持っているため、現代で使われている様々な言葉の由来になっている言葉がありますが、「エスニック」の由来もギリシャ語です。「ethnos」は「民族」を意味するギリシャ語ですが、実はただの「民族」の意味ではありません。
ギリシャ語「ethnos」の意味は、古代ギリシャの民族以外の異民族という意味です。古代ギリシャの人達は自分たちの民族に誇りを抱いていたため、古代ギリシャ民族とそれ以外の民族をはっきりと区分していて、そのためにこのような言葉ができたと言えます。
エスニックの種類
「エスニック」の由来をご紹介しましたので、次は「エスニック」の種類についてご紹介します。「エスニック」という言葉は日本にかなりなじみがあり、様々な所で目にしたり耳にしたりすることがありますので、「エスニックの種類を挙げてください」と言われればすぐにいくつかの「エスニック」の種類を挙げることができる人は多いでしょう。
ですがその種類の意味はきちんと理解できていないという人もいるはずです。「エスニック」の種類とそれらの具体的な内容についてご紹介しましょう。
エスニック料理
「エスニック」の種類の一つ目は、「エスニック料理」です。「エスニック料理」というとタイ料理やベトナム料理やインドネシア料理などの東南アジアの料理を連想する人がほとんどでしょう。確かに「エスニック」の意味「民族的な」「民族に関する」「異国風」に当てはまるので、東南アジア料理も「エスニック料理」になります。
ですが意味で言えば「エスニック」に当てはまるはずの料理であっても、「エスニック料理」とは呼ばれない場合もあります。「エスニック料理」とはどういう料理なのかについて具体的にご紹介しましょう。
日本人のエスニック料理
日本人にとっての「エスニック料理」は、「エスニック」という言葉の意味「民族的な」「異国風」に当たるのは東南アジアなどの国々の料理のことを主に示しますが、特にと言うと東南アジアなどの辛い味付けの料理を示すことが多いです。日本ではスパイスの効いた辛い郷土料理などのことを「エスニック料理」と呼ぶ傾向にあります。
「エスニック」という言葉の意味からすれば、日本以外のどんな国の郷土料理も「エスニック料理」と言うべきですが、日本では「エスニック料理」というと主に東南アジアなどの料理を示します。ですが似たような料理であってもインド料理は別扱いです。
同じようにスパイスが効いて辛い料理でも、インド料理は「エスニック料理」とは呼ばれず「インド料理」と単独の国の名前で呼ばれることが多いです。
エスニック料理の特徴
日本における「エスニック料理」とは、単に「民族料理」ではなくタイ料理やベトナム料理やインドネシア料理など、主に東南アジア系の民族料理のことを指し、それら「エスニック料理」の特徴として、辛い民族料理であるということが挙げられます。なのでそのくくりでいくならインド料理も「エスニック料理」の一つになります。
「エスニック」の意味「民族的な」「異国風」をそのままストレートに解釈するなら、フランス料理やイタリア料理や中華料理なども「エスニック料理」になるはずですが、それらは「エスニック料理」とは呼ばれず、各々独立した料理扱いされています。
このように日本における「エスニック料理」は、日本人独特の感覚に基づいた分類が成されていると言えます。
エスニックファッションの意味
「エスニック」の種類の二つ目は、「エスニックファッション」です。「エスニック料理」と同じように、「エスニックファッション」もちょっと特殊な区分がされています。「エスニック」の意味からすると北欧などの民族衣装も「エスニックファッション」と呼ばれそうですが、北欧の民族衣装は「エスニックファッション」とは呼ばれません。
日本における「エスニックファッション」は東南アジアやインドやアラブなどの民族衣装のことを指し、ヨーロッパなどの民族衣装は「エスニックファッション」とは言いません。中国の民族衣装も独特ですが、こちらも「エスニックファッション」とは呼ばれません。
経済面や文化面などで日本と近いと言える国の民族衣装のことは、「エスニックファッション」とは呼ばないというのが日本における「エスニックファッション」の特徴です。
エスニック音楽の意味
「エスニック」の種類の三つ目は、「エスニック音楽」です。「エスニック音楽」はアジアやアフリカなどの独特の楽器などを取り入れた、異国風の音楽のことを指します。実際はアジアやアフリカなどの楽器を使っていなくても、曲の雰囲気や旋律が異国風である音楽のことも「エスニック音楽」と言います。
ですがロシアの楽器「バラライカ」を使ってロシア風の音楽を作っても、それは「エスニック音楽」とは呼ばれません。「エスニック料理」や「エスニックファッション」同様、音楽においてもアジアなどの国とそれ以外の国とでは区別されています。
エスニック雑貨・文具の意味
「エスニック」の種類の四つ目は、「エスニック雑貨」「エスニック文具」です。日本において「エスニック雑貨」や「エスニック文具」と呼ばれる品は、東南アジアやインドなどで作られた民族色あふれる雑貨や文具のことを指します。東南アジア独特の織物を使ったクッションカバーや、インドの象の小物など「エスニック雑貨」はたくさんあります。
また、インドの神様「ガネーシャ」の像なども「エスニック雑貨」として販売されています。日本で仏像を購入するのは仏教徒だけですが、インドの神様の像は気軽に購入してインテリア雑貨として部屋に飾っているという人もいます。
東南アジアやインドなどの「エスニック雑貨」や「エスニック文具」は色鮮やかなものが多いため、デザインだけでなく色も素敵だという理由で好む人が多いです。
エスニックジョークの使い方と例文
次に「エスニックジョーク」の使い方と例文についてご紹介します。ここまでに「エスニック」の意味や「エスニック」の種類などについてご紹介してきましたので、「エスニックジョーク」というと「異国風のジョーク」を想像する人も多いでしょう。ですが「エスニックジョーク」はちょっと違います。
エスニックジョークの意味
「エスニックジョーク」の意味は、「エスニック」の意味「民族的な」に近い使い方の「エスニック」で、「国民性を表したジョーク」という意味になります。人間は一人一人、生まれや育ちにかかわらず性格は違うものですが、「この国の人にはこういった性格の人が多い」という傾向に基づいたジョークが「エスニックジョーク」です。
ただし、この「エスニックジョーク」は下手をすればその国の人を侮辱することにもなりかねません。「エスニックジョーク」には、人をにやっと笑わせる面白さがありますが、すべての人が笑ってくれるわけではありませんので注意が必要です。
それでは「エスニックジョーク」の使い方とはどのような使い方なのか、「エスニックジョーク」の使い方の例文をご紹介しましょう。
沈没間際のタイタニック号
「エスニックジョーク」の使い方の例文の一つ目は、沈没間際のタイタニック号の「エスニックジョーク」の使い方の例文です。沈没間際のタイタニック号では救助ボートが足りなかったため大勢の人が亡くなったのは有名ですが、その際に船に残ったり海に飛び込んだりしてもらうよう説得するにはどうすれば良いかという「エスニックジョーク」です。
イタリア人男性の例文は「海で美女が泳いでいます」です。これはイタリア人男性の女性好きを揶揄する「エスニックジョーク」です。またアメリカ人男性の例文は「今飛び込めばあなたはヒーローになれます」で、勇猛を誇りたいアメリカ人を揶揄する例文です。
日本人男性の例文は「みんな飛び込んでいますよ」という例文で、これは「日本人は人がやっているとそれにならう」ということを皮肉っている例文だと言えます。
無人島にて
「エスニックジョーク」の使い方の例文の二つ目は、無人島に男2人と女1人が流れ着いたというシチュエーションでの「エスニックジョーク」です。この「エスニックジョーク」では「フランス人同士なら女と男1人が結婚し、もう一人の男は愛人になる」「アメリカ人なら片方の男と結婚した後離婚してもう片方と結婚する」などの例文が挙げられます。
このように「エスニックジョーク」は、各国の国民性を揶揄するような使い方をしますので、人によっては失礼だと憤慨する場合もあるということを覚えておきましょう。
エスニックと似た言葉との違い
ここまで「エスニック」についてご紹介してきましたが、次は「エスニック」と似た言葉との違いについてご紹介します。「エスニック」には似た言葉がいくつかありますが、それらと「エスニック」を混同している人もいるでしょう。それでは、「エスニック」と似た言葉との違いについてご紹介しましょう。
フォークロアとの違い
「エスニック」に似た言葉との違いの一つ目は、「フォークロア」との違いです。「フォークロア」は「民俗」と「伝承」が合わさった言葉で、フォークダンスやフォークソングなど、伝え継がれた行事などに使われます。「エスニック」は「民族的な」という意味なので、「フォークロア」の「民俗」とは異なると言えます。
ボヘミアンとの違い
「エスニック」に似た言葉との違いの二つ目は、「ボヘミアン」との違いです。「ボヘミアン」というのはチェコのボヘミア地方に住んでいる人達を指す言葉で、広域を指す「エスニック」とは全く異なります。「ボヘミアン」を「エスニック」と勘違いしている人もいますが、全く違いますので注意しましょう。
アジアンとの違い
「エスニック」に似た言葉との違いの三つ目は、「アジアン」です。「エスニック」は「民族的な」「異国風」といった意味ですが、「アジアン」はアジア全体を指します。東南アジアも中国も「アジアン」ですが、日本も「アジアン」に含まれます。「アジアン」は自国のことも指しますので、「エスニック」とは異なります。
オリエンタルとの違い
「エスニック」に似た言葉との違いの四つ目は、「オリエンタル」です。「オリエンタル」は「東洋的な」「東洋風」という意味ですので、東洋以外の人達からすれば「エスニック」に近い意味になりますが、東洋の人からすれば「エスニック」とは全く違います。「オリエンタル」も「エスニック」と混同しがちですので注意が必要です。
エスニックとは民族的な異国風という意味
「エスニック」という言葉の意味や由来や「エスニック」の種類などについてご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「エスニック」とは「民族的な」「異国風」という意味で、似た言葉「フォークロア」などとは異なります。「エスニック」の正しい意味を覚えて、「エスニック」を正しく使いましょう。