NISAで株を購入しよう
近年、「NISA」という言葉をよく耳にするようになりました。NISAとは、個人投資家のための税制優遇制度です。
個人投資家というとハードルが高いように感じてしまいますが、2018年12月末時点での開設口座数は1253万人にのぼり、昨年1年間で200万口座も増えているほど、たくさんの人がNISAを始めています。
NISAを使うと税金が優遇される
このように、NISAが人気になりつつある理由のひとつとして、税制上の優遇を受けることができる点が挙げられます。一般的に、株式や投資信託を運用することによって発生する運用益には、約20%の税金がかけられてしまいます。
一方、NISA口座で行った資産運用益には税金がかかりません。つまり、資産運用で得た利益をそのまま手元に残すことができます。このように、効率的に貯蓄ができるため人気が出てきていると言えます。
ここでは、NISAの基本的な解説はもちろん、運用益が非課税になること以外のNISAの魅力を見ながら、NISA口座の開設におすすめする銀行・証券会社のランキングやNISAの注意点について説明していきます。
NISAとは?種類と特徴を解説
NISAは、2014年に始まった「少額投資非課税制度」のことです。イギリスのISA(個人貯蓄口座)をモデルに、日本国民の銀行預金などを投資してもらうために始まりました。
NISA口座を通じて購入した年間120万円までの株式や投資信託などの金融商品の運用益(売却による利益や配当金)は、5年間非課税となります。通常であれば運用益の20%程度を納税しなければならないので、非常に魅力的だと言えます。
NISAには、通常の「NISA」と、20歳未満の子どもを対象とする「ジュニアNISA」、2018年から始まった「つみたてNISA」の3種類があり、それぞれに特徴が異なります。
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAとは、子ども用のNISAです。ジュニアNISAはその特徴から、子どもの大学進学資金のために開設されていることが多いようです。
通常のNISAは20歳以上の成人しか口座開設ができませんが、ジュニアNISAは0歳~19歳までの子どもであれば、子ども名義で口座開設をすることができます。
口座は子ども名義ですが、実際の運用は親権者が行います。また、運用益は名義人である子どもが18歳になるまで原則払い出すことができないことに注意が必要です。
NISAとつみたてNISAの違い
2018年に始まったつみたてNISAは、通常のNISAの非課税枠120万円に比べると、年間さいだい40万円までと非課税枠が少なくなります。
しかしその分、20年間運用益が非課税対象となります。一般のNISAの非課税期間は5年間なので、少額をコツコツ投資していきたい人に向いているNISAだと言えます。
一般のNISAでは株式や投資信託など様々な金融商品を購入することができますが、つみたてNISAでは投資信託しか購入できないのも特徴です。つみたてNISAの金融商品となる投資信託は、初心者でも選びやすい商品が中心となっているので、初心者でも始めやすいと言われています。
NISAがおすすめされる理由・メリット
2014年から始まったNISA(少額投資非課税制度)ですが、これだけ多くの人が口座開設をしているのにはもちろん理由があります。それは、すべてのNISAに共通する大きなメリットのひとつである「運用益が非課税になる」ということです。
また、一般的に株式や投資信託などの金融商品で利益が出た場合は確定申告をする必要があります。しかし、NISA口座でこれらの金融商品を運用していく場合には、確定申告をする必要がありません。
確定申告には、確定申告書の作成や添付書類の準備などなにかと手間がかかります。そのため、確定申告が不要になるのは大きなメリットと言えます。
年間120万円以下の投資利益が非課税扱いされる
NISA口座ではない銀行口座や証券会社の口座を使って株式や投資信託などの資産運用を行う場合、それによって得た売却益や配当金には20.315%の税金が課せられます。
例えば、5万円で買った株を15万円まで値上がりしたときに売却した場合、10万円の売却益が生まれます。通常口座では、この10万円の売却益に20.315%の税金がかかるため、実際の利益は7.6万円ほどになります。
もしこれがNISA口座によって得た運用益であれば、10万円の売却益がすべて手元に残ることになります。このように考えると、NISA口座を使わないのはもったいないと言えます。
NISA口座は確定申告が不要
会社員や公務員であれば、毎年12月に年末調整しますが、株式や投資信託で利益を得ている場合には確定申告をする必要があります。近年ではインターネットを使って確定申告ができるようになってきていますが、慣れていないとやはり労力と手間がかかります。
このように、税金を抑えることができるだけでなく、確定申告の手間や労力も削減できるのはNISA口座の大きな魅力と言えます。
NISAの口座は銀行・証券会社のどっちがおすすめ?
NISA口座は銀行または証券会社で開設することができますが、ひとり1口座しか開設することができないことに注意が必要です。そこで悩むのが、NISA口座を銀行で開設をするか、証券会社で開設をするかという点です。
銀行と証券会社の大きな違いは、取り扱う金融商品です。銀行はもともと現金の預貯金を扱うため間接金融のため、証券会社よりも取り扱うことができる金融商品は少なくなります。一方、証券会社は株式などを扱う直接金融のため、より多くの金融商品を扱うことができます。
銀行で取り扱っている金融商品は「投資信託」のみとなりますが、証券会社であれば「投資信託」以外にも「株式」や「ETF(上場投資信託)」など様々な金融商品から選ぶことができます。
また「投資信託」に関しても、銀行よりも証券会社の方が取り扱っている商品数が多くなっています。そのため、よりたくさんの金融商品から選ぶことができる証券会社でNISA口座を開設する方がメリットが大きいと言えます。
初めて投資をする場合は、金融商品の選択肢が多いメリットを感じにくいかもしれません。しかし、NISAは長期的に投資を行っていくものであることを考えれば、たくさんの選択肢があることで、いざ投資をする際にリスクを分散させることもできます。
株取引もできる証券会社がおすすめ
このように、証券会社であれば投資信託だけでなく株式投資も可能になります。また、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)、IPO(新規公開株)を扱っている証券会社もあります。
金融商品はそれぞれに特徴があり、投資家によって合う・合わないが存在すると言われています。たくさん選択肢があるとそれだけ迷ってしまいますが、一度すべての金融商品について学んでからどの金融商品を購入するかを決めることで、より納得のできる資産運用をすることができます。
新規公開株や投資信託などの商品の種類が多い口座がおすすめ
NISA口座を開設できる証券会社はたくさんありますが、取り扱っている金融商品は証券会社ごとでも異なります。
例えば証券会社によって、投資信託の取り扱い商品数が1500以上も異なっていたり、国内ETF(上場投資信託)は扱っていても海外ETFは扱っていなかったりすることがあります。
すでに投資経験も豊富で知識があり、自分なりのこだわりなどがある場合は、それを叶えられる証券会社を探せばよいですが、これから投資を始めたいという人であれば、できるだけ取扱商品数が多い証券会社にNISA口座を開設した方がよいでしょう。
NISAのおすすめ口座ベスト10
このように、資産運用において大きな魅力のあるNISAですが、ひとり1口座しか開設することができず、1年間は金融機関を変更することができないため、どの銀行・どの証券会社で口座開設をするかが重要になります。
そこでここからは、NISA口座を開設できる銀行・証券会社のなかでも特におすすめする銀行・証券会社をランキング形式で解説していきます。
おすすめ口座10位 りそな銀行
日本の大手銀行であるりそな銀行では、特に投資初心者がつみたてNISAで口座開設することをおすすめします。りそな銀行のつみたてNISAでは、取り扱う金融商品が4本の投資信託に限られているので、どの金融商品にすればよいかを決めやすいというメリットがあります。
また、1取引1万円以上で毎月5ポイントのりそなクラブポイントを貯めることができます。このポイントはショッピングや他のポイントと交換することもできるので、普段からりそな銀行を使っている人には特にメリットが大きくなります。
おすすめ口座9位 ライブスター銀行
ライブスター証券は、手数料の安さが魅力です。手数料の安さで有名なSBI証券や楽天証券と並んで、業界最安値の手数料となっています。
「NISA口座であれば手数料無料」という銀行・証券会社もあるので、「NISA口座しか利用しない」という人にはあまりメリットにはなりませんが、NISA口座だけでなくこれから長期的に投資をしていきたいという人は一度視野に入れたい証券会社です。
おすすめ口座8位 イオン銀行
イオン銀行の最大の魅力は「来店のしやすさ」にあります。イオン内にイオン銀行の店舗があり、365日夜21時までいつでも相談できるのは、投資初心者には心強いメリットだと言えます。(一部店舗を除きます。)
また、利用状況に応じて「イオン銀行Myステージ」のスコアが貯まり、普通預金の適用金利がアップしたり、ATM手数料や振込手数料で優遇を受けたりすることもできます。
さらに、NISA購入時の手数料が全額WAONポイントで還元されるのも、普段からイオンやWAONポイントを使っている人には魅力的です。
おすすめ口座7位 GMOクリック証券
GMOクリック証券でNISA口座を開設する最大の魅力は、手数料が「恒久無料」である点です。取り扱っている金融商品としても、国内株式や国内ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など品揃えが豊富になっています。
また、実際に投資を進めていく上で大切になる「分析ツールの使いやすさ」においても、GMOクリック証券は高く評価されています。初めて投資をする人でも安心して使うことができるのは、大きな魅力と言えます。
おすすめ口座6位 松井証券
松井証券は、日本で最初にインターネットでの株式取引を可能にした歴史ある証券会社です。国内株式はもちろん、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の手数料が無料なのが魅力です。
また、情報分析ツールが充実しており、サポート体制も手厚いため、投資初心者としては投資に取り組みやすい環境があるのも魅力と言えます。
おすすめ口座5位 SMBC日興証券
SMBC日興証券の魅力は「キンカブ」です。これはSMBC日興証券独自のサービスで、株価に関係なく1万円を最低ラインとして1000円単位で株式を購入することができます。そのため、リスク分散の面でも、NISA口座の非課税枠を使い切るという面でもメリットが大きくなります。
SMBC日興証券の対象銘柄は、東証一部・二部上場企業から選定された約2100銘柄になるので、投資初心者でも安心して金融商品を選ぶことができます。
おすすめ口座4位 マネックス証券
マネックス証券では、NISA口座での国内株式について売買手数料が無料になっています。また、アメリカや中国といった外国株式の取り扱いが豊富なだけでなく、買付手数料が実質無料になるのは非常に珍しく、マネックス証券の強みと言えます。
さらに、IPO(新規公開株)の銘柄も2018年の実績で50社と、SBI証券にならんで多く取り扱っています。また、その抽選権は1口座につき1つ割り当てられている「完全平等抽選方式」のため、少額でも十分取引をすることができます。
また、1株から株式取引ができる「ワン株」を導入しているのも魅力です。一般的に株式は、ある程度の元手となる資金がないと始められないのですが、このワン株であれば気軽に株式投資を始めることができます。
おすすめ口座3位 カブドットコム証券
カブドットコム証券の魅力は、マネックス証券同様1株から株式購入ができる「プチ株」です。いわゆるミニ株ですが、これを導入しているのはマネックス証券の「ワン株」とカブドットコム証券の「プチ株」、SBI証券の「S株」とすべての証券会社で取り扱っているわけではありません。
通常100株以上でなければ購入できない株式でも、1株からお試し感覚で購入することができるミニ株は、初めて株式投資をする人にとっては魅力的な制度と言えます。
また、電話による相談を受け付けていたり、株主優待に関する情報を提供してくれたりする点でも、初めて株式投資をしたいという人には魅力的な環境です。
おすすめ口座2位 楽天証券
楽天証券は、国内株式や海外ETF(上場投資信託)の買付手数料が無料であるだけでなく、手数料のかからないノーロード投資信託の品揃えが豊富なのも魅力です。長期的に投資をする上で「手数料がかからない」というのは大きなメリットになります。
また、ニュースやNISA・株式取引に関連する情報を早く幅広く発信してくれるのも、投資初心者には安心できる材料と言えます。
おすすめ口座1位 SBI証券
SBI証券は顧客満足度が高く、またネット証券での口座開設数は業界1位を誇ります。国内株式の売買手数料が無料であるだけでなく、海外ETF(上場投資信託)の買付手数料も無料になっており、海外株式にも力をいれています。
また、IPO(新規公開株)銘柄の取り扱いに関しては2018年で88社と、他の証券会社よりもはるかに多い銘柄数を取り扱っていることも、SBI証券の強みと言えます。
NISA口座の開設方法
このように、NISA口座を開設できる銀行や証券会社はたくさん存在しており、銀行・証券会社のそれぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
「購入したい金融商品を取り扱っているかどうか」や、「売買手数料が高くないか」をしっかり確認した上で、口座開設をする銀行・証券会社を選びます。
実際にNISA口座を開設するには、NISA口座を開設する前に、必ずその銀行・証券会社の投資用口座(証券総合取引口座)を開設しなければなりません。そのため、NISA口座開設までには2~3週間程度かかります。
NISA口座の開設
NISA口座を開設するには、まず投資用の総合口座を開設します。ネット証券ではインターネット上ですぐに口座開設をすることができる場合もあります。
総合口座の開設が完了したら、NISA口座開設の資料を請求します。資料が届いたら申込書に必要事項を記入して返送します。
書類の返送が完了したら、税務署での確認作業が1~2週間程度あります。ここで問題がなければNISA口座の開設が完了します。この時点で取引を開始することができます。
NISA口座の乗り換え
では、NISA口座を開設している金融機関を変更したい場合はどうすればよいでしょうか。まず、一度NISA口座を開設すると、年度が変わるまでは金融機関を変えることができません。
そのため、金融機関を変更するには年度が変わるのを待つ必要があります。実際は手続き期限などの制約があるので、金融機関を変更したい場合は早い時期から現在NISA口座を開設している金融機関と新しくNISA口座を開設をしたい金融機関に確認するようにしましょう。
金融機関を変更する際に、現在使用しているNISA口座を解約する必要はありません。(通常、NISA口座の解約には、口座内の株式などをすべて売却する必要があります。)
まずは、現在NISA口座を開設している金融機関から「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を受け取ります。この手続きは、インターネットで申し込みができる場合もあれば、窓口でなければ手続きができない場合もあります。
通知書が届いたら、変更先の金融機関でNISA口座の開設手続きをします。なお、通知書の発行には時間がかかることが多いため、早めに準備するようにしましょう。
NISAの注意点
見てきたように、運用益が非課税になったり、確定申告をする必要がなかったりと、メリットが非常に大きいNISAですが、これらのメリットを活用するためには、いくつかの注意しなければならないポイントがあります。それは、「配当金の受け取り方法の設定」と「非課税期間」についてです。
配当金等受取方式の設定
NISA口座を開設する際には、配当金などの受け取り方法を設定することになります。この「配当金等受取方式」にはいくつかの種類が存在しています。
主な配当金等受取方式は、証券口座で受け取る「株式比例配分方式」、ゆうちょ銀行や郵便局で受け取る「配当金領収証方式」、銀行口座で受け取る「登録配当金受領口座方式」です。
このうち、NISA口座で資産運用をしていくならば「株式比例配分方式」を選択するようにします。
必ず「株式比例配分方式」に設定
なぜ証券口座で受け取る「株式比例配分方式」に設定しなければならないのでしょうか。これは、受け取り方法によっては運用益が「課税対象」となってしまうからです。
配当金などを受け取る際、ゆうちょ銀行や郵便局、銀行口座で受け取ってしまうと、通常の資産運用と同様に約20%の税金がかけられてしまいます。これでは、NISA口座の最大メリットがなくなってしまうことになります。そのため必ず「株式比例配分方式」で受け取るように設定する必要があります。
なお、配当金等受取方式は口座開設後でも変更することができます。すでにNISA口座を持っている人は、その口座の受け取り方法が「株式比例配分方式」になっているかどうかを確認しましょう。
5年間の非課税期間の変更
NISA口座の非課税期間は5年間でした。この期間が終了した場合は、翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)か、課税口座に移すか、売却するかを選択することができます。
ここで「課税口座に移す」を選択する際には注意が必要です。NISA口座での運用で値下がりした金融商品が、課税口座に移管した後に再度値上がりすると、課税によって損をする可能性があります。
例えば、NISA口座で30万円の株式を購入した後、値下がりで10万円になった状態で5年後に課税口座に移管したとします。移管後、20万円値上がりした場合、この20万円は課税対象となってしまいます。つまり、実質の運用益は出ていないのに、約4.5万円も納税をしなければならなくなるのです。
このように、NISAには運用益が非課税になるなどのメリットがある一方で、運用方法によってはデメリットも発生してしまいます。自分が運用する金融商品の知識はもちろんのこと、NISA制度の知識を正しく理解した上で、長期的な目線で資産運用をしていくことが必要になります。
自分の目的・ライフスタイルに合ったNISA口座を見つけよう!
この記事では、少額投資非課税制度であるNISAの魅力と、おすすめの銀行・証券会社や口座開設の手順、またNISA口座で投資をしていく上での注意点について見ていきました。NISAはあくまで資産運用なので、目的を明確にして長期的に取り組む姿勢が大切になります。メリット・デメリットを正しく理解した上で、ぜひNISAに挑戦してみましょう!