年収に交通費が含まれるかは状況によって違う
社会人になると様々なシーンで「年収」という言葉を耳にします。年間に稼いだお金が「年収」ということは理解しているが、何となく漠然としたイメージだけで利用している人も多いのではないでしょうか。
年収はローンの審査や扶養控除の計算の際などに必要になることも多いです。この「年収」には交通費が含まれたものを示す場合と交通費が含まれないものを示す場合があります。
年収は源泉徴収票にある「支払金額」を参照する
年収とは漠然と理解している通り「年間に稼いだお金の総額」です。一般的にサラリーマンの場合は給与の総支給額が年収になります。
漠然と理解している通り「年収」とは年間に稼いだお金の総額となります。友人との会話などで出てくる「年収」の場合は大雑把な金額で表すことが多いですが、クレジットカード契約の際や社会保険の計算など、正確な金額を提示しなければならないことも多いです。
給与明細を全部集めて年収を計算するのも大変です。年末にもらう源泉徴収票の「支払金額」を見るれば正確な年収がわかります。
年収に交通費を含む場合
その都度、交通費を含む年収なのか含まない年収なのかを明記してくれるとありがたいのですが、そういう場合は少ないです。
社会人になると様々なシーンで聞かれる年収ですが、正確な金額が必要な場合はそう多くありません。「年収」を聞かれた際に交通費を年収に含む場合は主に2つのシーンが想定できます。それぞれについて見ていきましょう。
社会保険を計算する場合
社会保険の計算をする場合には交通費を年収に含んだ金額を提示する必要があります。社会保険とはけがや病気の備えた健康保険、将来支給される年金保険です。
会社に正社員で雇われている人やパートなどでも一定の条件を満たした場合には社会保険料に加入し、保険料を支払うように定められています。この社会保険料の計算には交通費を含んだ年収を申請します。
社会保険に関する手続きは会社の方で行ってくれますので多くの人は手続きをする必要はありません。
扶養控除を受けているときの注意
扶養控除を受けている場合は年収を一定の金額に抑える必要があります。いわゆる103万の壁です。年収がこの額を超えてしまうと扶養している人の税金の控除額が少なくなってしまい、結果的に総収入が減ってしまうという税法上の扶養問題です。
扶養控除を受けたまま働く場合は年収が103万円を超えないようにする必要があります。毎月の給与でいうと85000円以内が一つの目安です。
扶養控除を受けれるかどうかの103万の壁の場合は非課税になっている交通費や通勤手当の額は年収に含めないことが多いです。交通費の非課税課税については別章で後述しますので参考になさってください。
パートなどで扶養に入っていたい場合は年収から交通費を引いた金額が103万円以下になるようにしておけばおおよそ大丈夫ということになります。
それ以外にも年収が106万円を超えると社会保険上の扶養控除が適用されなくなり、自ら社会保険を支払う必要が発生したりと扶養控除に関わる状況は複雑です。心配な場合は勤め先などに相談しておきましょう。
クレジットカードの審査の場合
クレジットカードの審査の際、年収を書き込む必要があります。これについては証明書などを添付する必要もなく、大雑把な金額で記入する人もいるのではないでしょうか。
実はクレジットカードの場合は交通費を含むというよりも含んでも構わないというのが現状です。クレジットカード会社では支払い能力がきちんとあるかどうかの判断材料の一つとして年収を参考にしています。
年収が多い方が支払い能力があると考えられるので、年収が多い方がクレジットカードの審査に通りやすくなります。クレジットカード契約時の年収については明確な基準がありません。
ですので審査により通りやすくなったり、利用額が広がるように交通費を含んだ年収を記載される方も多いようです。
年収に交通費を含まない場合
年収に交通費を含む場合は社会保険やクレジットカードの審査の時でした。社会保険料の計算は多くの人は自分でしないですし、クレジットカードの審査はどちらでも構わないものでした。
どちらかというと交通費を含まない年収の方が身近に必要かもしれません詳しく見ていきましょう。
住宅ローンの審査をする時
住宅ローンを組む際はクレジットカードの審査よりも厳正でより正確なものが求められます。大きな金額が動くのでより審査も厳しくなっています。
審査も厳正なため源泉徴収票などの年収を証明する書類を元にすることが必要になります。住宅ローンの審査には源泉徴収票の「支払金額」を利用します。支払金額に交通費が含まれていない場合は交通費を含まない金額が審査の対象金額となります。
ふるさと納税の限度額を計算する時
最近多くの人が利用しているふるさと納税。自分の自治体に納税する分を希望の自治体に納税することができる制度です。ただし、年収から計算されるふるさと納税額を超えてしまうと超えた分は自己負担で寄付をすることになってしまいます。
このふるさと納税の限度額を計算する際にも源泉徴収長に掛かれている「支払金額」を利用します。そのためふるさと納税の計算をする際にも交通費を含まない金額で計算を行います。
ふるさと納税の計算は家族構成などによっても変わってきます。交通費を含まない年収、家族構成からふるさと納税のサイトできちんと計算しておくことが必要です。
交通費は課税対象になるのか
給与とともに会社から支給されている交通費ですが、所得税の課税対象なのか課税対象でないのかよくわからないことも多いです。
前述の配偶者控除を受るときには年収が103万円を超えないことが条件でした。その際の年収に交通費が含まれるのか含まれないのかは大きな問題です。交通費が非課税になる場合とならない場合を見ていきましょう。
交通費が月10万円までは非課税
公共交通機関電車やバスなどを利用する場合は交通費が月に10万円までなら非課税となります。通勤手当が月10万円を超えるパートやアルバイトはあまり多くないので公共交通機関を使っている場合はほとんどの人が非課税になります。
一方、車やバイク、自転車通勤の場合の交通費は自宅から職場までの通勤距離(片道)によって非課税になる額が変わります。
2km未満は全額課税、2~10km4200円,10~15km7100円,15~25km12900円,25~35km18700円,35~45km24400円,45~55km28000円,55km~31600円と細かく定められています。
公共交通機関を利用しない場合はご自分がどこに当てはまるのか確認して課税対象となる交通費があるのか確認する必要があります。
交通費が月10万円を超えたら課税対象
交通費が10万円までは非課税であることはご理解いただけたと思います。交通費が10万円を超えると超えた分が課税対象になります。例えば交通費が15万円かかっている場合は10万円までは非課税、5万円は課税対象となるということです。
配偶者控除などの計算の場合課税対象の交通費は年収に加える必要があります。よくわからない場合は勤務先の会社によく相談しておきましょう。
交通費が給与に含まれている場合
ここまでは交通費や通勤手当が支給されている場合に交通費を年収に含むか含まないかという話でしたが、会社によっては予め給与に交通費が含まれていることもあります。
正社員や契約社員という形で働いている場合は会社から通勤手当や交通費という名目で手当てが出ることがほとんどです。
しかし派遣社員などの場合、時給や給与に交通費が含まれているという場合もあります。その場合は給与と交通費を分けることができません。残念ながら全額課税対象となってしまいますので注意が必要です。
年収に交通費が含まれているかは源泉徴収票を確認
年収と一言にいっても交通費を含む年収が必要な場合と含まない年収が必要な場合があります。大まかなケースについてまとめましたが、それ以外にも年収が必要になる場合もあるでしょう。
その際には交通費を含む金年収なのか、交通費を含まない年収が必要なのか確認しておきましょう。公共交通機関で通勤し、交通費が月10万円以下の場合は源泉徴収票の支払金額=交通費を含まない年収となるので参考にしてください。
車、自転車通勤などで交通費が支給されている場合は交通費が課税対象になるか確認しておきましょう。非課税の場合はやはり源泉徴収票の支払い金額=交通費を含まない年収となります。
年収と交通費、税金の関係は複雑なことも多いです。良くわからない場合はお勤めの会社に相談すると安心して年収の申告ができるので是非相談してみてください。