キッチン天板(ワークトップ)の選び方
ワークトップとはキッチンにおいて作業台として使用される天板・カウンターのことをいいます。天板は現代の主流となっているシステムキッチンに使用されていて、流し台、コンロ、調理台がひと続きになっています。
ワークトップの素材にはステンレス・セラミック、人工大理石、天然石、クウォーツストーンなど多様で、調理スタイルや好みに合わせて最適な材質を選ぶことが鉄則です。ワークトップを選ぶ際にどこに注目すべきか5つの項目に分けて解説しています。
ワークトップのデザインや素材の質感によって家全体のインテリアに大きく影響するため、キッチン以外のインテリアに合わせて選ぶことも大切です。
一方で耐水性、耐熱性、耐久性など調理スペースとしての機能性も必要不可欠です。それでは、ワークトップを選ぶ上で注目すべき項目をそれぞれ見ていきましょう。
色合い・柄の種類を考える
キッチンは調理する場であり本来色合いや柄は調理とは関係ないものですが、天板は人目に付きやすいところにあります。またキッチンの環境は調理のモチベーションにも影響するため、天板を自分の好みに合わせるもしくは家全体のインテリアと調和をとることは重要であると言えます。
素材の質感を考える
天板の素材はキッチンのショールームなどで実際に質感を確かめてみることをおすすめします。好みや家全体のインテリアに合った質感の天板であることの他に、キッチンの手入れのしやすさや経年劣化など実際にご自身の調理スタイルを想像しながら選択することが重要です。
汚れにくさ・傷つきにくさ・取り扱いしやすさを考慮
キッチンは使用頻度の高い所であり、天板のキズや汚れの付きやすさや使い勝手など機能面も十分に考慮する必要があります。天板の素材によって強度や手入れ方法などが異なるため、キッチンメーカーに確認し納得した上で選択することが大切です。
継ぎ目・シンクとの接合について考える
キッチンシンクの素材は基本的にステンレスが主流となっています。天板をステンレス以外の素材にする場合、キッチンシンクとの接合部分の汚れやすさや経年変化がどのようなものかを考慮する必要があります。
また素材によってはシンクの素材を天板と合わせられるものもあるため、ショールームなどで相談してみると良いでしょう。
理想のキッチンのためにはDIYもあり
市販の天板を購入する他に、自分好みにキッチンをDIYすることも選択肢として挙げられます。使用する素材、材料にもよりますがDIYの場合、市販の天板のおよそ半分の価格で理想的なキッチンが手に入ります。DIYの例として、どなたでも簡単にできるDIYのキッチンカウンターを1つご紹介します。
キッチンカウンターはカラーボックスとワークトップを組み合わせて作ることもできます。この場合、キッチンカウンターのワークトップは、耐久性がありリーズナブルなパイン集成材を使用すると良いでしょう。これらの材料はホームセンターですべて揃えられます。
DIYの経験者の方やキッチンカウンターにこだわりのある方は、カラーボックスを一からご自身でDIYすれば素材や大きさ、デザインなどご自分の理想に一層近いものが手に入ります。
キッチンのステンレス・セラミック天板の特徴
ここでは天板の素材の一部であるステンレスとセラミックについて解説します。ステンレスは英語で“Stainless Steel”と言い、“Stainless”は「錆びない」という意味です。厳密にはキッチンのステンレスは「錆びにくい」素材でできており、丈夫で手入れしやすい点が特徴として挙げられます。
セラミックは陶器やガラスのように高熱処理で作られる素材のことを言います。熱や傷に強く、天板の表面に肌触りの良い凹凸があるのが特長です。それではキッチンでステンレスとセラミック素材を採用した場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ステンレス・セラミックのメリット
ステンレス、セラミック天板のメリットはほぼ同様のため、まとめてお伝えします。まずメリットの1つ目に挙げられるのは耐久性、耐熱性が高く、錆びにくい点です。水分や熱に多く晒されるキッチンにとって、この特徴は非常に魅力的で日々の天板の掃除や手入れにも時間を要しません。
そしてメリット2つ目に挙げられるのが汚れや臭いがつきにくい点です。色のつきやすいソース類や落ちにくい油汚れが染み込みにくく、表面を拭き取るだけで掃除が済みます。そのため常に衛生的なキッチンを維持することができます。
ステンレス・セラミックのデメリット
ここでは、ステンレスとセラミックをキッチンに採用する上でのそれぞれのデメリットを説明します。ステンレスのデメリットは「もらい錆」がつきやすく、経年変化で天板の光沢が失われてしまう点です。
ステンレス自体は錆びにくい素材のものの、鉄製の鍋やフライパンなどを長時間キッチンに放置すると鍋やフライパンの錆が付着してしまう恐れがあります。また水垢による水跡で天板の光沢が失いやすいためこまめに水気を拭き取ることが重要です。
セラミックのデメリットとしては価格が高い点が挙げられます。素材自体の価格の他に送料や組み立て、設置に伴う負担が他の素材と比較し高額になります。
キッチンの人工大理石の天板の特徴
次に人工大理石の特徴とキッチン素材としてのメリット、デメリットについて解説していきます。まず、人工大理石とはポリエステル樹脂やアクリル樹脂を主成分とした化学合成材の天板です。
100%人工素材で作られているため天然の大理石は含まれていないものの、単色から石目調の柄ものまで様々な種類があり、高級感あふれるデザインが人気を呼んでいます。
人工大理石と似た名称で「人造大理石」があります。これは天然の大理石と人工素材であるセメントや樹脂を混ぜて作られた天板です。人造大理石の詳細については「キッチンのクォーツストーン天板の特徴」の項目で解説します。
人工大理石のメリット
人工大理石天板のメリットは何と言ってもそのデザインの豊富さです。色や柄が多彩にラインナップされており、インテリアになじみやすいことで知られています。
キッチンシンクの部分も人工大理石にすれば天板との接合部分における経年劣化や汚れやすさなどの心配が要りません。高級感あふれる人工大理石のデザイン性は「見せるキッチン」に相応しいものと言えるでしょう。
人工大理石のデメリット
人工大理石天板のデメリットとして挙げられるのは機能性です。まず1つ目に熱や紫外線に弱い点が挙げられます。熱い鍋やフライパンをうっかり直に置いてしまった場合、変色する恐れがあるため、鍋敷きは必須アイテムです。
また日当たりの良いキッチンは紫外線の影響を受けて徐々に黄ばんでくるため、真っ白の天板を検討されている方はこのことを十分考慮した上で選択されることをおすすめします。
デメリットの2つ目としてシミや傷のつきやすさが挙げられます。人工大理石は衝撃に非常に弱く、物を落としてしまった場合凹みができたり割れてしまう恐れがあるため、取り扱いには十分注意が必要です。
また色のつきやすい液体やソース類を放置すると、素材の中に染み込んで落とせなくなってしまうため、キッチンに汚れを長時間放置しないことが重要となります。
キッチンの天然石の天板の特徴
人工素材で作られる人工大理石に対して天然素材で作られる「天然石」があります。天然石の素材として御影石や大理石が使われます。大理石の天板は特にアメリカのキッチンで主流の素材であり、日本でも重厚感のある色や柄が人気です。
それでは、天然石をキッチンの天板として使用するメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
天然石のメリット
天然石天板のメリットは高級感ある質感やデザインです。天然もののため、人工素材では味わえない自然の温かみがあり、その色や模様の美しさはキッチンに重厚感や高級感を演出してくれます。
来客の多い方や人目に触れやすいオープンキッチンの家にお住まいの方は天然石天板を採用すると見栄えがし、インテリアを楽しみながら調理することができます。
天然石のデメリット
天然石天板のデメリットとして挙げられるのは、人工大理石と同様その機能性です。石の性質上割れやすく吸水性が高い故、天板に水が染み込みやすいという欠点があります。
そのためキッチンのこまめな手入れや天板に強い衝撃がかからないような注意です。また天然石は重量でキッチンへの運搬が困難であり、天板素材の中でも高額となります。
キッチンのクォーツストーン天板の特徴
クォーツストーンとは天然水晶を主成分とし、人工素材である樹脂で強度を高めた人造大理石の一つの素材です。クォーツストーン天板は天然石の風合いを残しつつも、耐久性や耐水性などのキッチンに必須の機能面で優れている特徴があります。
ここではクウォーツストーンをキッチン天板として採用した場合のメリット、デメリットを解説していきます。
クォーツストーン天板のメリット
クォーツストーン天板のメリットとして挙げられるのは、天然石の質感と人工素材の耐久性を兼ね備えた点です。つまり、クォーツストーン天板はキッチンに高級感やインテリア性をもたらし、尚且つ傷や汚れ、水に強いためキッチンの手入れや掃除に手間がかからない素材であると言えます。
クォーツストーン天板のデメリット
利点が多くある一方で、高級素材である故の金額の高さがデメリットとして挙げられます。メーカーやキッチンの大きさにより金額は異なりますが、ご紹介してきた天板素材の中では高額であると言えます。
またキッチンシンクと天板の接合がシームレスにならないため、つなぎ目の劣化や汚れやすさがリスクになることを考慮する必要があります。
キッチンの天板はキッチン全体の雰囲気を決める
これまで天板の素材の特徴をご紹介してきました。様々なメリット、デメリットがあるため判断が難しい部分もありますが、皆さんのライフスタイルや調理、キッチンの手入れの頻度、家全体のインテリアによって優先順位は変わってきます。
あくまで一般的な傾向ですが、本格的な料理を作る方やコストを抑えたい方はステンレス、インテリア性を重視する方は人工大理石を選ぶ傾向があります。素材の金額やデザインはキッチンメーカーによって異なるため、可能であればショールームなどで直接相談することをおすすめします。
最後に大事なのは、選んだ素材の天板でご自身が心から料理を楽しめるかという点です。素材ごとの特徴を踏まえた上で、直感的にどのような素材に魅力を感じるのか感覚を研ぎ澄ませて選択することも最適な天板選びを実現する指針の一つと言えるのではないでしょうか。