「甲乙丙丁」の意味とは?覚え方・読み方・使い方の注意点もチェック!

「甲乙丙丁」の意味とは?覚え方・読み方・使い方の注意点もチェック!

「甲乙丙丁」の言葉をご存知でしょうか?契約書の文面や焼酎などのラベルなどでもよく見かけます。それではこの「甲乙丙丁」の言葉は一体どんな意味があるのでしょうか?今回は、「甲乙丙丁」の意味、読み方、使い方、類義語、注意点を詳しく紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.「甲乙丙丁」の意味
  2. 2.「甲乙丙丁」の読み方
  3. 3.「甲乙丙丁」の契約書での使い方
  4. 4.「甲乙丙丁」の甲乙つけがたいの類義語
  5. 5.様々な「甲乙丙丁」
  6. 6.「甲乙丙丁」は序列を示すための記号

「甲乙丙丁」の意味

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「甲乙丙丁」という言葉をご存知でしょうか?よく契約書などで「甲は〜」「乙は〜」などの言葉を見たりしますが、意味まではよくわからないという方は必見です。今回は「甲乙丙丁」の意味や使い方、類義語などを紹介していきます。

簡単に言うと「甲乙丙丁」は順序、序列を示すための記号です。英語だと、A、B、C、D〜、算数字だったら、1、2、3、4〜、つまり、甲の次は乙、乙の次は丙、丙の次は丁になるわけです。

次にこの「甲乙丙丁」、この言葉はどういう基礎に基づいて成り立ったのか、注意点も踏まえて詳しくご紹介していきます。

十干に基づいた序列を示すための記号

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「甲乙丙丁」は十干に基づいた記号です。十干は「じっかん」と読みます。十干とは甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸からなる漢字の集合体です。

この十干、は古代中国で考案された概念で、後に日本に伝えられました。中国の殷の時代(紀元前17世紀頃〜紀元前11世紀)の遺跡から甲骨文が発見され、その中に、十干十二支表があり、「日」を示す方法として利用されることになりました。

十干十二支表とは、十干と十二支を組み合わせた計60になる表で、十干と十二支を順番づつ組み合わせていきます。十二支は子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥なので、「甲子」は1、「乙丑」は2、「丙寅」は3、「丁卯」は4、といった具合です。

注意点としては、十干十二支は規則性を伴うので順番がありますので、上記の文字順に記載することが大切です。

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十干十二支は歴史上の出来事でも、該当する干支が命名されていることも特徴的です。例えば、壬申の乱、は672年に起こりましたが、西暦を60で割って12余る年を壬申の年をいい、末尾の年が必ず「2」になります。

辛亥革命なども、十干十二支表から命名された歴史上の出来事です。西暦を60で割って51余る年を辛亥の年をいい、末尾の年が必ず「1」になります。このように十干十二支表の規則性を覚えておくと、上記のような歴史上の出来事も身近に感じることができます。

またこの「甲乙丙丁」の十干、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸はそれぞれの漢字に意味があります。それぞれの意味にも触れておきます。

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「甲」は亀の甲羅を象った物で、草木の芽生え、芽のかいわれの意味として、十干の1番目に宛てられました。

「乙」はジグザグな形から作られた漢字で、芽がまだ伸びきっていない意味として、十干の2番目に宛てられました。

「丙」は脚が張り出した台と象った漢字で、芽が伸び、葉が広がった状態を指す意味として、十干の3番目に宛てられました。

「丁」は釘を象った漢字で「安定」を意味し、芽が茎になり、一定の大きさに達した意味として、十干の4番目に宛てられました。

「戊」は生茂ることを指した漢字で、植物が成長の絶頂期に達していることを意味し、十干の5番目に宛てられました。

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「己」は三本の平行線を表した漢字で、植物の形が保たれ、整然としていることを意味し、十干の6番目に宛てられました。

「庚」は更に(さらに)と同じ意味を持つ漢字で、植物の生長が止まり、これから新しい形へ変化することを意味し、十干の7番目に宛てられました。

「辛」は新と同じ意味を持つ漢字で、植物が枯れ、新たな世代に生まれ変わろうとする状態を意味し、十干の8番目に宛てられました。

「壬」は妊と同じ意味を持つ漢字で、植物の内部に種子を宿す状態を意味し、十干の9番目に宛てられました。

「癸」は「揆(はかる)」と同じ意味を持つ漢字で、植物の種子が大きさを測ることができるまでに生長した状態を意味し、十干の10番目に宛てられました。

「甲乙丙丁」の読み方

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「甲乙丙丁」は十干に由来する漢字であることは理解できましたが、どのように読むのでしょうか?注意点としてそれぞれの漢字は音読み・訓読みができるので、つなげて読んだ場合の読み方を覚えておきたいところです。

読み方・こうおつへいてい

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「甲乙丙丁」の読み方は「こうおつへいてい」と読みます。ちなみに「甲乙丙丁」をそれぞれ一文字ずつ単独で使用する場合の読み方は音読みと訓読みの2通りあります。それぞれの漢字の読み方にも触れておきます。

「甲」は音読みの読み方は「コウ」と読み、陰陽五行説では、「木性の陽」に割り当てられるところから、日本では訓読みは「きのえ」と読みます。

「乙」は音読みの読み方は「オツ」と読み、陰陽五行説では、「木性の陰」に割り当てられるところから、日本では訓読みは「きのと」と読みます。

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「丙」は音読みの読み方は「ヘイ」と読み、陰陽五行説では、「火性の陽」に割り当てられるところから、日本では訓読みは「ひのえ」と読みます。

「丁」は音読みの読み方は「テイ」と読み、陰陽五行説では、「火性の陰」に割り当てられるところから、日本では訓読みは「ひのと」と読みます。

上記は「木性・火性」のような属性を有していますが、生命消長の過程を分別するために割り当てられているだけで、実際の存在に関係するという意味はないというところは注意点です。

「甲乙丙丁」の契約書での使い方

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これまで、「甲乙丙丁」の意味、読み方を紹介してきましたが、この「甲乙丙丁」の言葉の使い方は日常生活においても実用的な側面で現れていることにも着目してみます。

賃貸借契約や消費貸借契約などの「契約書」においてもよく目にする「甲乙丙丁」。以下からは「契約書」での「甲乙丙丁」の使い方を紹介していきます。

契約書の多くで「甲・乙」を使用

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「貸主(以下「甲」という。)及び借主(以下「乙」という。)とは、表記に記載する〜」のように冒頭から始まる文章を見たことがありませんか?契約書で記載される文章の代表的な一例です。

契約書は当事者間のさまざまな条項を文書で交わすことですが、条項が多岐にわたることが普通です。契約書を締結する際、いちいち、条項にも当事者の氏名を記載していては、当事者が変わるたびに契約書の文面も変えなくてはなりません。

「甲乙丙丁」は、条項に当事者の代名詞として使われることで、契約書の当事者が変わっても契約書を書き換えることをせずに済み、契約書を定型化させる上で一助になります。

「甲乙丙丁」の書き方

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例えば、使用契約書を一例に上げて、「甲乙丙丁」の使い方を見てみます。契約書の表面は契約書の題目があり、使用内容が以下に記載されます。使用内容の下に、貸主(甲)の住所、氏名が記載され、その下に借主(乙)の住所、氏名が記載されます。

上記は契約が2者間での書き方ですが、3者間では「甲乙丙」、4者間では「甲乙丙丁」と追加されていきます。

このように表面に、甲は〜、乙は〜、丙は〜、丁は〜のように氏名・住所と甲乙丙丁を紐付けしたら、あとの細かい条項は代名詞となる甲、乙、丙、丁が当事者氏名にとって変わり記載されるのが、オーソドックスな使い方です。

契約書で使う際の注意点

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「甲乙丙丁」の使い方の注意点としては、あくまで使い方の順序は「甲」「乙」「丙」「丁」と順番通りにつかっていくことです。いきなり「丁」が現れたり、「乙」から始まったりすると、契約当事者の数が契約書の記載された数以上に存在していると誤解されることに繋がります。

もうひとつの注意点としては「甲乙丙丁」は契約書上では序列を意味する側面もありますが、順位の優劣を表す側面はありません。学校の成績のように「甲乙丙丁」の漢字間に優劣はありません。注意点としてご留意ください。

「甲乙丙丁」の甲乙つけがたいの類義語

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上記の「契約書で使う際の注意点」でも触れましたが、「甲乙丙丁」には優劣を指し示す意味が含まれています。その際の代表的な言い回しに「甲乙つけがたい」という言葉があります。この甲と乙は「優れているものと劣っているもの」をそれそれ指します。

日本では昔の学校では成績が4段階で「甲乙丙丁」で甲が最高で、丁が最低でした。また、太平洋戦争までの徴兵検査でも「甲種合格(最高の合格評価)」から「丁種不合格(国民兵役にも適さない不合格者)」という形で表されていました。

上記のような国や行政が優劣を「甲乙丙丁」で表すことは、表立ってなくなり、優劣を表現する言葉としては「甲乙をつけがたい」という言葉が唯一残っている程度です。今回はこの「甲乙つけがたい」の言葉の類義語をピックアップしてみました。

どちらとも言えない

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「甲乙つけがたい」とは「二つの間でどちらが優れてどちらが劣っているか、判断することが難しい」という意味です。それに近い類義語の一つは、「どちらとも言えない」が挙げられます。

類義語の「どちらとも言えない」はどちらというのは「二つの間」を指し、言えないは「判断できない」を指します。つまり、二つの間の正誤、善悪、優劣、の判断ができないという意味になります。

類義語「どちらとも言えない」例文としてあげると、その使い方としては、「A君とB子さんの技術力は拮抗していてどちらとも言えない」などと使うことができます。

また、類義語「どちらとも言えない」はアンケートなどで、「はい」「いいえ」の2択では収まらない場合、「第3の選択肢」として設けられて、「どちらとも言えない」が加わった3択になるケースで見かけることがよくあります。

判断しかねる

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もう一つの類義語としては「判断しかねる」が挙げられます。類義語「判断しかねる」はその言葉通りで、「判断」を「し=する」「かねる(兼ねる)」と分解することができ、「判断したくてもできない」「判断したくてもむずかしい」という意味になります。

類義語「判断しかねる」の例文を挙げてみると、「AとBの作品の評価は個人的には判断しかねます」などで使うことができます。

注意点として、「判断しかねる」は「甲乙つけがたい」とは違い優劣だけに限った場合にしか使われないということはありません。

ちなみにこの「〜かねる」という言葉は「〜したくてもできない」というニュアンスなのでビジネスシーンなどで親和性のある言葉で、よく使われています。

様々な「甲乙丙丁」

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これまで、意味、使い方、類義語を見てきましたが、この他にも日常生活の様々なシーンで、「甲乙丙丁」を垣間見ることができます。

いったいどんな場面で「甲乙丙丁」が見られるのでしょうか?今回は「焼酎」「戊辰戦争」「甲子園」をピックアップしてみました。これらの言葉がどのように「甲乙丙丁」にちなんでいるか、ひとつずつ見ていきます。

焼酎

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「焼酎甲類乙類混和」お酒を嗜む方はこんな言葉をお見かけしたことがありますでしょうか?何気に外装に書かれており、あまり考えずスルーしてしまいがちですが、これもしっかりとした意味があります。

焼酎甲類とは連続式蒸留焼酎のことで、アルコール度数は36%未満です。対して焼酎乙類は単式蒸留焼酎のことでアルコール度数は45%以下です。いわば、蒸留方式が違うのと、アルコール度数などで、お酒本来の風味が異なるので、分類しているわけです。

冒頭の焼酎甲類乙類混和」は上記の甲類乙類を混合した「混和焼酎」の部類に属します。甲類が50%以上であれば「甲類乙類混和」、50%未満の場合は「乙類甲類混和」という表現になります。

戊辰戦争

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「戊辰戦争」この言葉で何が関わっているのでしょう?これは先述した十干十二支でご紹介した規則性に因んでおります。

「戊辰戦争」は尊王攘夷を狙った旧幕府勢力と新政府軍の内戦のことで、1868年に勃発しました。戊辰の名前は十干十二支に因んでおり、明治元年の干支が戊辰であることに由来しています。ちなみに戊辰の年は西暦年を60で割って8余る年で、末尾が必ず「8」になります。

学校のテスト対策などで歴史の年号を覚える際、干支十二支に詳しいと引き出しが多くなり、記憶をひっぱってきやすいです。

甲子園

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最後は「甲子園」です、これも干支十二支に因んで命名されています。甲子園球場が開場されたのは1924年8月1日です。この1日が十干十二支の最初の「甲子」の「1」にちなんでいるので、「甲子園」と名付けられました。

「甲子園」が夏に実施するのも、断定はできませんがこの「8月1日」という開場日も関係している可能性があります。

また「甲子」の日はは干支の最初の文字なので、吉日とされ、演技がいい日とされています。甲子祭(大黒天祭)という催事も現在でも行われております。

「甲乙丙丁」は序列を示すための記号

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「甲乙丙丁」の意味、読み方、使い方、類義語、注意点を順序立てて見てきました。「甲乙丙丁」は基本は序列を表す記号であり、「甲乙」であれば例外的に優劣を表すというニュアンスも含まれます。

あまり馴染みがない言葉で、契約書や干支、焼酎のラベル、歴史の出来事などでチラッと見ることができるレベルである「甲乙丙丁」。「甲乙丙丁」の正しい意味を把握し、今後は「ウンチク」として親しい人に教えてあげてください。

SDA
ライター

SDA

本記事をお読みいただきありがとうございます。近頃はイベント自粛で何かと我慢な日々ですね。ただ最近は、家の中でも新たな発見があるものだと気づかされました。今後はインドアならではのお役立ち情報があれば、記事の通じてどんどん発信していきたいです。明るく取り組んでいきますのでよろしくお願い申し上げます。

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