「努めてまいります」の意味
「努めてまいります」は、「努める」と「参る」が組み合わさったもので、謙譲語に分類される言葉となります。ふたつの言葉が組み合わさっているということは、通常の「努める」とはまた違った意味を持っている点に注意しましょう。
つまり実際に「努めてまいります」を使用する時は、その表現や使い方にも注意していかなければならないことがわかります。特に尊敬語のひとつとして用いられることから、使い方を間違えてしまうと相手に失礼な印象を与えてしまいます。
「努めてまいります」の正しい使い方をマスターするために、まずはその基本的な意味を理解することから始めていきましょう。
意味①頑張ります
「努めてまいります」の一つ目の意味は「頑張ります」です。この「頑張ります」というのは、「頑張る」に「ます」が組み合わさった言葉になります。そのため、「頑張る」よりも丁寧な意味合いを持っていることがわかります。
そういったことからも、「努めてまいります」は丁寧な表現として用いられることがわかります。「頑張る」というのは、「努力し続ける」「なにも譲らず強く主張を通すこと」といった意味合いを持ちます。
しかし「努めてまいります」として使用する場合は、「ある目標などに対して努力し続ける」という意味に変化するということが大切なポイントになります。
意味②努力をしていきます
「努めてまいります」の二つ目の意味は「努力していきます」です。「努力していきます」は「努力する」と「ます」が組み合わさった言葉となっていることから、通常の「努力する」よりも丁寧な意味合いを持っていることがわかります。
「努力する」というのは「目標のために尽力すること」を言葉になります。そのため「努めてまいります」は、「掲げられた目標などに向かって、全力で取り組んでいきます」ということを表現することもできます。
努めるの意味とは
「努めてまいります」は謙譲語に分類される言葉であることが大切なポイントです。そのため、馴染みのある「努める」という言葉をより丁寧に表現した言葉であることを理解しておくと、実際に使う時に正しい使い方をマスターしやすいでしょう。
また、表現として用いる時は「努める」と同じニュアンスを持っていることを理解しておきましょう。正しい使い方ができるように、「努める」についてもその意味を改めて復習しておくことも大切です。
力を尽くす・役目をもつ
「努める」の意味は「力を尽くしてなにかをする」「努力する」「役目を持つ」「仏道の修業をする」といったものになります。仏教的な意味合いも持っている言葉であることが特徴です。
複数の意味を持っている言葉となりますが、「努めてまいります」という謙譲語として表現する場合は、「力を尽くしてなにかをする」「努力する」という意味になります。その点を踏まえた使い方をしていきましょう。
またこの時、「努めてまいります」は謙譲語になる点についても注意が必要です。使えるシーンや相手が限定されていきますから、その点も注意して正しい使い方をしていくことが大切です。
「努めてまいります」の言い換え
「努めてまいります」には幾つか言い換えできる表現が存在します。イメージとしては「類義語」のようなものですが、ほぼ似た意味を持っています。そのため、用いる時のシーンや相手によって表現や伝え方を変えたい場合に言い換え表現として使用できます。
「努めてまいります」はその時々によって言い換えられるパターンについても理解しておくと、実際に使用する時に臨機応変に使い分けることが可能になります。
「努めてまいります」をより正しい使い方で活用できるように、言い換え表現についても理解を深めていきましょう。
精進してまいります
「精進してまいります」は「精進する」に「参ります」が組み合わさっている言葉になります。ポイントは「精進する」をより丁寧に表現する時に用いられる言い換えとなっていることです。
この「精進する」には「一生懸命に努力すること・取り組むこと」「心身を清め、行いを慎もうとすること」のほかに、仏教において「修行する」という意味を持ちます。
つまり「精進してまいります」というのは、「一生懸命に努力すること・取り組むこと」を表現する時に用いられる言葉となっています。
またこちらも謙譲語に分類される言葉となりますので、意味合い的にも「努めてまいります」の言い換えとして使用することができます。
励んでまいります
「励んでまいります」もまた「努めてまいります」の言い換えとして用いられることの多い表現のひとつです。こちらは「励む」と「参ります」という言葉が組み合わせになります。
「励む」には「心を奮い起こし、努める・精を出すこと」といった意味があります。このほかにも「心を奮い起こす行動」そのものを指す言葉でもありますが、言い換えとしての「励んでまいります」は前者を表現する際に用いられます。
こちらも謙譲語になりますので、「努めてまいります」の言い換え表現として同じシーンや相手に使用することが可能です。
尽力いたします
「尽力いたします」は「尽力する」と「いたす」という言葉が組み合わさっている言い換え表現になります。「いたす」は「参ります」と同じ謙譲語の表現に分類されることから、「尽力いたします」もまた、「努めてまいります」の言い換えとして使用できます。
「尽力する」は「精一杯の力を出す」「最大限に努力する」といった意味を持つ言葉です。努力とかなり近い意味を持っている移転においても、言い換え表現として用いても差し支えない言葉であることがわかります。
「努めてまいります」の正しい使い方
「努めてまいります」には言い換え表現もあることから、色々なパターンの使い方ができる言葉であることが特徴です。そのなかでも特に履歴書・謝罪・ビジネスにおいてもかなり高い頻度で使われています。
履歴書・謝罪・ビジネスといったシーンにおいての正しい使い方を理解することで、「努めてまいります」を実際に使う場面になった時の参考にしておきましょう。
履歴書
「努めてまいります」というのは「頑張ります」「努力していきます」といった意味合いを持ちます。また、謙譲語という性質からビジネスシーンで用いられる印象を受けてしまいがちですが、実は履歴書に用いられる表現のひとつになります。
特に就職活動の際は「頑張ります」「努力していきます」といった自己アピールを履歴書に書く場合には最適な表現です。正しい使い方としては「貴社の社員として持ちうる知識で活躍できるように努めてまいります」といった文章を作成することができます。
謝罪
履歴書においては自己アピールとして使用することができますが、「努めてまいります」は謝罪の表現としての意味合いも持っています。特にビジネスシーンなどにおいては、不祥事などなにかしらのミスを犯してしまった場合に用いられる表現です。
具体的な例としては「今後同じことがないように努めてまいります」といったように、「もうミスをしない」「同じ過ちを繰り返さない」という目標に尽力します、頑張りますといった使い方ができます。
ビジネス
「努めてまいります」は丁寧な表現あることから、ビジネスシーンで用いられることの多い言葉になります。ビジネスシーンにおいては正しい使い方をするポイントとして、「努めてまいります」を使う相手にも注意してください。
「努めてまいります」は謙譲語になりますから、目下の相手には使うことができません。上司や目上の人に対して「努めてまいります」は使うことができる言葉になりますから、使い方には注意してきましょう。
「努めてまいります」の例文【口頭・メール】
口頭やメールといった手法は他者とコミュニケーションをとるうえでは欠かせないツールとなっています。そういった場面においても「努めてまいります」は用いられることの多い表現のひとつとなります。
まずは口頭やメールといった場面に絞って、紹介する例文を参考にしながら「努めてまいります」の正しい使い方をできるように学んでいきましょう。
期待に添えるように
「努めてまいります」は「なにかに対して精一杯頑張ります」ということを伝える言葉ですから、「目標となるもの」をあらかじめ最初に記す必要があります。そのひとつとして挙げられるのが「期待に添えるように」です。
つまりこの例文では「期待に応えられるように頑張りますね」ということを表現している例文になります。「努めてまいります」は謝罪だけでなく、ポジティブな表現として言い換えることもできます。
目上の人や上司に対して良い印象を与えたい時や、前向きな気持ちを表現する時に用いられる使い方となります。
サービス向上に
ビジネスにおいては目上の人や上司だけでなく、顧客ともコミュニケーションをとる機会が多い業種もあります。そういった時も「努めてまいります」は使用されることが多くあります。
「サービス向上に」というのは、主に顧客に対して用いられる表現となります。つまりこの場合の意味は、「サービスがより良い品質になるように頑張っていきますね」ということを伝えています。
また顧客自身に口頭やメールといった個人に伝える以外にも、宣言としてポスターなど大勢の人に向けた使い方もされる言葉になります。
再発防止に
「努めてまいります」は幾つか使い方がありますが、スタンダードな使い方として挙げられるのが謝罪です。例えばなにかしらミスや事故を起こしてしまった時に、「もう二度と同じようなことが起こらないように頑張ります」という意思表示として使われます。
「再発防止に努めてまいります」は謝罪の意味もありますが、同時に「もう二度と同じようなことが起こらないようする」という宣言の意味合いとしても用いられる例文です。対象としては顧客だけでなく、社内においても使われるフレーズとなっています。
実現出来るように
「努めてまいります」を謝罪ではなく履歴書などのアピールとして使いたい場合は、その前に目標となるようなことを説明するのが最も相手に伝わりやすいフレーズとなります。「実現出来るように」は「目標を達成します」ということを伝えていることがポイントです。
この時、履歴書などに記す場合はより具体的な内容にするとより印象的なアピールができるようになります。「努めてまいります」は謝罪など別の表現としても意味合いを持っていますから、正しい使い方でアピールできるようにしましょう。
前任に代わって
「努めてまいります」は謝罪やアピールだけでなく、挨拶としても使うことができる表現です。例えばなにかしの理由で前任者から引き継いだ仕事で担当が変わったことを顧客などに伝える場などに用いることができます。
その時は、「前任に代わって」といったような簡潔にまとめるようにしましょう。口頭だけでなく、メールなどでも用いることで相手に丁寧な挨拶をすることができます。
「努めてまいります」の例文【履歴書】
履歴書で「努めてまいります」を使うと、自己アピールする表現となります。この時に正しい使い方として重要なのは、「なに」を「精一杯頑張っていきたいか」ということを伝えるのがポイントです。
就職活動の基本として、自分が実際に働いた時に「未来の自分はどのような形であるか」というヴィジョンを見据えているかどうかというのは採用する際に重要な要素となります。
今だけでなく未来についてもしっかり考えていることが相手に伝わるように、履歴書でも「努めてまいります」を活用していきましょう。
活躍出来るように
就職活動で自身をアピールする時は、ただ働くだけでは印象が弱くなってしまいます。そのため、自身の得意分野をしっかりアピールしながらそれを活かして「活動出来るように努めてまいります」と締めることで相手にアピールしていきましょう。
例文としてはスタンダードなことから、よく用いられる表現でもあります。実際に履歴書に書く時は、特に「自分の得意なこと」「これまでやってきたこと」を強調するような文章を構成を意識してみると良いでしょう。
即戦力になるように
履歴書は自己アピールする大切な要素ですが、どうしても思いつかない場合は「とにかく頑張りたい」という気持ちを全面に押し出すこともできます。そういった気持ちを表現する例文のひとつとして「即戦力になるように努めてまいります」は有効です。
採用する側も会社にとって力になってくれるような存在を探しているわけですから、そういった点をうまく活用してみましょう。特に転職などある程度のスキルを身に着けている人は自己アピールに最適な例文となっています。
会社を支える存在になるように
新卒や全く別の業界に転職活動をしている人は、履歴書においても自己アピールには工夫する必要があります。そのひとつとして「会社を支える存在になるように努めてまいります」は「頑張りたい」気持ちを伝えることができる表現としておすすめです。
ただこれだけでは印象が薄くなってしまう可能性がありますので、自身の特技やこれまでの経験を織り交ぜながら「どのような形で」会社を支える存在になりたいかをしっかり履歴書に書いていくと良いでしょう。
経歴を活かすように
就職活動においては、同じように「この会社で働きたい」と考えている人がたくさん面接を受けたり、履歴書を提出します。採用側はそのななかから有望な人材を見つけたいと考えていますから、自身の秀でたところをうまくアピールするのは大切なポイントです。
「経歴を活かすように努めてまいります」は、自身の長所をうまくアピールするために用いる例文になります。文章の前に自分のこれまでの経験などを具体的に書き記しておくと、履歴書を読んだ人により良い印象を与えることができるでしょう。
また同時に、「あなたの会社の一員として頑張りたいです」という気持ちを伝えることもできる例文となっています。
「努めてまいります」の注意点
「努めてまいります」は謝罪だけでなく、アピールする表現としても用いられることから正しい使い方をするにはテクニックが必要となる言葉です。また「努める」というのは、似たような漢字が存在することから誤字にも気を付ける必要があります。
正しい使い方ができるように、「努めてまいります」の注意点についても改めて理解を深めることで、あらゆる場面で使えるようにしていきましょう。
すでに起こったことへの謝罪には使えない
「努めてまいります」は謝罪に用いられる表現のひとつです。しかしここで注意しなければならないのが、既に起こってしまったことに対する謝罪には使用することはできません。
「努めてまいります」という言葉は厳密には、「申し訳ございません」という意味合いではなく「今後どのように頑張っていきたいか」について説明する役割を持っています。
そのため、謝罪として正しい使い方をする場合は、「努めてまいります」のほかに謝罪の意味を持つ言葉を一緒に組み合わせる必要があると言えるでしょう。
この意味をしっかり理解しないで使ってしまうと、相手は「謝罪されていない」と立腹させてしまうことになります。
謝罪で「努めてまいります」を使用する場合は、まずは謝罪してから「努めてまいります」を使用することで「これから気を付けますね」ということを相手に伝えるような内容を考えましょう。
目下の人や部下には使用できない
「努めてまいります」は謙譲語に分類される表現となります。謙譲語の基本的な役割というのは、目上の人に対してへりくだった表現として使用するのが特徴です。そのため、「努めてまいります」も基本的には目下の人や部下には使用すると不自然になってしまいます。
実際に履歴書やビジネスシーンなどで「努めてまいります」を使用する時に、相手がどんな立場の人であるか確認して使うことも大切です。
誤字に注意が必要
「努めてまいります」を使ううえで最も多いミスが漢字の間違いです。実は「努める」にはこのほかにも「務める」や「努める」といった言葉があります。
それぞれ全く意味が異なりますが、それを理解していないと見分けがつかずに誤字をしてしまう原因となってしまうことがあります。正しい使い方ができるように「務める」や「努める」の意味についても改めてその意味を理解しておくと良いでしょう。
「務める」は「役目を引き受ける」という意味
「務める」の意味は「役目を引き受ける」になります。この役目というのには「任務」という意味合いもあり、「請け負う」「まっとうする」といった表現としても使うことがある言葉です。
そのため、「務める」の「務」を使った漢字には「義務」や「業務」といったものがあります。「努める」は「努力する」「精一杯頑張る」といった意味の言葉になりますから、それぞれには大きな違いがあることがわかります。
このようなことから、「努めてまいります」を使用する時に「務める」を使用することはできませんので注意しましょう。
「勤める」は「仕事に就く」という意味
「勤める」は「仕事に就く」や「勤務する」といった意味になります。これは役所や企業などに通って働くという意味になりますので、「努める」とは全く異なる言葉になることがわかります。
どちらかというと「務める」と混同されてしまいがちな言葉ですが、「努めてまいります」を使用する時に「勤める」を使用するのも間違いになりますので、使う時には注意が必要となります。
「努めてまいります」は頑張ることを意味する言葉
「努めてまいります」はビジネスシーンや就職活動などを中心に用いられる表現であることが特徴です。その時の使い方によって謝罪や自己アピールと全く別の表現として用いることができるため、言い換え表現も豊富であることから色んな形で活用できます。
ただ表現の幅が広いことから、誤った使い方をしてしまったり、誤字といったミスを起こしやすい言葉でもあります。実際に「努めてまいります」を表現として用いる時は、その意味などをしっかり理解してから正しい使い方をしていきましょう。