「建設的」の意味
「建設的」と書いて「けんせつてき」と読みます。まずは「建設的」の意味を押さえておきましょう。通常、「~的」というと「~な状況」を意味します。「建設的」の場合、「建設されようとしている状況」ということになります。
「~的」には「~に似ている」「~に近い」というニュアンスが含まれます。「~そのもの」を指すわけではありません。「建設されようとしている状況」なのは実際には建物ではなく、そこから転じて「物事が進んでいる」ことを意味するようになっています。
物事を前向きに良い状態にしていくこと
「建設的」は、「物事を積極的・発展的に進めようとするさま、前向きなさま」を意味します。建物が作られている状況といいましたが、「良い建物が作られている」とか「建物がどんどんと作られている」といったイメージです。このように「建設的」は、ポジティブな意味が込められています。
「建設的」の類義語
さて、「建設的」の類義語にはどういった言葉があるでしょうか。「建設的」の類義語には、「前向き」「積極的」「未来志向」などの言葉があります。いずれも前に進んでいったり未来に進むといったポジティブな意味があります。
ビジネスシーンだけでなく、日常会話でもよく使われる言葉になりますので、ここではそれぞれの類義語の意味をもう少し詳しく見ていきましょう。
前向き
「前向き」は「建設的」の類義語です。「建設的」の意味の中にすでに「前向き」が込められているので、両者はほぼ同義です。「前を向く」という言葉から意味は想像できると思われますが、「前を向く、正面に向くこと」「物事への対し方が積極的・発展的であること」ということを意味します。
「前向き」の対義語は「後ろ向き」という言葉になります。「後ろ向きの発言」「後ろ向きの姿勢」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「後ろ向き」は「消極的」ということを意味する言葉です。
積極的
「積極的」は「建設的」の類義語です。「積極的」とは「積極であるさま」「物事を進んでしようとするさま」を意味します。「あの人は積極的に行動する人である」「積極的な発言」などの使い方がされます。「積極的」は「建設的」よりもビジネスや日常会話で使用頻度が高い言葉です。
ちなみに「積極」とは「電気・磁気の陽極。プラス」を意味します。つまり、積極はプラスであるということです。「プラス思考」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「プラス思考」は、前向きな考え方のことであり、「積極」という意味が込められているのがわかります。
未来志向
「未来志向」は「未来に目標を定め向かっていくこと」を意味する類義語です。上記で「前向き」を紹介しましたが、「前向き」は前後左右という「位置」で捉えているのに対し、「未来志向」は「過去・現在・未来」という「時」で捉えている点で違いがあります。
例えば「過去=後ろ」であり、「未来=前」であるので、「前向き」と「未来志向」はほぼ兄弟のような関係であるのがわかるでしょう。「未来志向」は過去を振り返るのではなく未来を想像する点で、戦略的な思考であると考えられています。
発展的
「発展的」とは「発展しているさま」を意味する類義語です。「発展」は「栄えゆくこと」「伸び広がること」を意味します。「経済が発展する」「社会が発展する」のように使われます。
「発展的」は栄えていく状況や伸び広がっている状況を表しますので、「発展的」は「建設的」と同様に前向きな意味を持つ言葉になります。「発展的解消」のように逆説的な用語と組み合わせて前向きに表現する使い方も見られます。
ポジティブ
「ポジティブ」は「positive」という英単語をそのまま日本語で発音して使われる類義語になります。「positive」は「積極的」という意味を表す英単語であるので、日本語のポジティブも「積極的」と同義となります。
「ポジティブな意見」「ポジティブな発想」「ポジティブシンキング」などの使い方がされます。「積極的」とは意味の違いはなく、言葉の響きの違いでしかないといえるでしょう。
行動力がある
「行動力がある」とは文字どおり「行動する力があること」を意味する類義語です。「建設的」は建物が作られているような状況であり、それを「作る」という作業に着目すると「行動力がある」ということにつながってきます。「行動力がある」の対義語は「行動力がない」になります。
実際には「建設的」の場合は行動について言及されることは少なく、「建設的な意見」とか「建設的な会議」「建設的な議論」のように、「発言」や「言動」について言及されるのが特徴です。
一方「行動力がある」の場合は文字どおり「行動」について言及するものであり、この点において両者は違いがあります。
実行力がある
「実行力がある」も「行動力がある」と同様の意味ですが、「実行する力があること」を意味する類義語です。「あの職場の先輩は実行力がある」「実行力があると何かと評価されやすい」などのような使い方がされます。
対義語は「実行力がない」になります。「実行力がある」も「行動力がある」と同様に、「行動」について言及したものです。
「建設的」の対義語
類義語の次は、「建設的」の対義語について見てみましょう。「建設的」が前に進んでいる様子を表す言葉であるので、その対義語は「前に進んでいない」「後退している」といったニュアンスを持つ言葉です。
こちらも「建設的」の類義語と同様に多くの対義語が存在していて、日常会話やビジネスシーンでよく使われるので、意味やニュアンスの違いを理解しておきましょう。
破壊的
「破壊的」とは「物事を壊してしまうほどに強力で荒っぽいさま」を意味する対義語です。実際に物事を壊してしまっているわけではないことに注意しましょう。
「建設的」でも説明したように「~的」という場合、「~な状況」を指し、「~そのもの」を指すわけではありませんので注意しましょう。「破壊的な意見」「破壊的な言動」のような使い方をされます。
消極的
「消極的」とは「消極なさま」「ひっこみがちなさま」を意味する対義語です。「消極」とは「進んでは物事をしないこと」を意味しますが、「電気・磁気の陰極」をも意味します。つまり「マイナス」を表します。
「消極的な態度」とか、スポーツなどで「消極的なプレイ」のような使い方がされます。「電気・磁気の陰極」を指すことからわかるように。「消極的」の反対を表す言葉は「積極的」となります。
打算的
「打算的」とは「物事をするのに、損得を考えて取りかかるさま。勘定高いさま」を意味する対義語です。行動を起こす前に、損か得かを考えてから行動するかどうかを決める人間のことであり、見方によっては「消極的」(「建設的」の対義語)と捉えられることがあります。
ただし、向こう見ずに行動を起こすのではなく頭の中で計算している点では、「計算的」であり「戦略的」でもあるので、「打算的」は必ずしもマイナス面ばかりの言葉ではありません。
ネガティブ
「ネガティブ」は英単語の「negative」をそのまま日本語で発音した言葉であり、「消極的」を意味する対義語です。「あの人はネガティブな意見の持ち主だ」などという使い方をされます。
「ネガティブ」と「消極的」は同じ意味を持つ言葉ですが、英単語で表現すると少しオブラートに包んだ表現となるようです。
特にマイナスな意味で使うことが多い「消極的」のような言葉はストレートに使うのではなく、英語で「ネガティブ」のように表現すると少し相手に与える印象が変わってくることがあるので効果的です。
受動的
「受動的」とは「他からの働きかけによって行動するさま」を意味する対義語です。「建設的」は積極的に進んでいくさまを指すのであり、どちらかといえば自ら進んで行われるケースが多いといえましょう。それに対し、自ら進んで行われないケースが「受動的」です。
ただし、「建設的」は必ずしも自らが積極的・発展的に進めようとしているものばかりではありません。中には「他からの働きかけによって」物事を進めようとしているケースもあるでしょう。
そのような場合は「建設的」でもあり「受動的」でもあることになるので、「受動的」がどんなケースでも「建設的」の対義語として機能するわけではありません。
「建設的」の使い方と例文
次は「建設的」の使い方と例文を見ていきましょう。「建設的」というと少し堅いイメージがあって使いにくい言葉という印象を持たれるかもしれませんが、それほど難しく考える必要はありません。
とりわけ、ビジネスなどでは「建設的」とくっつけて使われる言葉はそれほど多くないので、組み合わせに注意して使い方や例文を頭に入れておきましょう。
建設的な議論
「議論」は「建設的」ととても親和的であり、「建設的な議論」はビジネスシーンなどでは非常によく使われます。「建設的な議論になるようしっかりと意見交換してほしい」「今日の会議は建設的な議論になってとても良かった」などのような使い方になります。
では「建設的な議論」とはいったいどのような議論なのでしょうか。活発に意見交換がされたり、否定的な意見や消極的な意見が出されない話し合いなどが代表的な「建設的な議論」の例です。逆に建設的な議論がされていないものの代表例は、国会内の議論やテレビ討論だったりします。
これらはある課題に対して答えを出そうとしていない話し合いの例です。「建設的な議論」はある課題を解決しようと答えを出すための話し合いだと考えてもらえばよいでしょう。
建設的な意見
「意見」も「建設的」という用語と親和的であり、「建設的な意見」もビジネスシーンなどでよく聞かれる使い方です。「今日の話し合いでは建設的な意見をお願いします」「会議では建設的な意見がたくさん発表されたので収拾がつかなくなった」などのような使い方です。
「建設的な意見」はある課題を解決しようとする前向きな意見です。例えば、町内会で公民館の建て替えの費用が問題になっていて、会費を上げるか、会費は据え置き借り入れするかが議論になっているとします。
誰も会費を値上げしてほしくありませんが、借金の利息も町内会の負担ですから、将来町内会の会計を圧迫するかもしれません。
このようなケースで、「補助金の活用を検討し、その上で会費を値上げするか借り入れをするかを考える」というのが「建設的な意見」となります。
建設的な会話
「相手のことを批判ばかりしないでもっと建設的な会話をしよう」「あの人とは建設的な会話ができないからあまり会いたくない」などのように「建設的な会話」という用語もビジネスや日常会話で使用されます。
議論や会議と異なり、普段の会話はなにか課題をもって話し合っているわけではありません。よって会話が「建設的」かどうかを意識する必要はありません。
しかし、相手と喧嘩ばかりしてしまって何も得られないばかりか、気分が悪くなってその日の活動に支障をきたすようでは「建設的な会話」ではありません。会話は建設的になされる必要はありませんが、建設的でない会話はなされないに越したことはないでしょう。
建設的な妥協
「建設的な妥協」とは、前向きな妥協のことを意味します。妥協はあきらめるということですから、ややもするとマイナスイメージを与えがちですが、妥協することによってプラスの効果が得られるようなケースでは「建設的な妥協」と表現することができます。
このように、「建設的な妥協」と同じように非建設的でマイナスのイメージがある用語と組み合わされて使用される例は、議論や意見、会話と異なる使い方なので覚えておきましょう。
このほかにも「建設的な和解」「建設的な撤退」「建設的な譲歩」なども非建設的で消極的なイメージを、前向きなプラスのイメージに変える使い方となります。
建設的な話し合いをするメリット
多くの人たちは社会生活を送っていますから、人との関わりの中で生きています。当然その中では何かしらの問題や課題が起きれば、話し合いを行う必要が生じてきます。自分ひとりで解決できればよいのですが、そのような問題は数少ないといえるでしょう。
問題が生じたとき、建設的な話し合いをすることがとても大事です。なぜ大事なのでしょうか。ここでは、建設的な話し合いをするメリットを紹介しましょう。
人間として成長する
話し合いを行う場合、必ずしも自分の主張や意見が通るとは限りません。相手の主張が自分の意見とは大きく食い違うこともあるでしょう。根本的に主義・主張が異なる者と話し合いを行うことは苦痛であるというケースもあるかもしれません。
しかし、建設的な話し合いにおいては、そのような主義・主張を超えて、方向性を見出しお互いが納得する必要があります。そのようなケースでは自分が今まで受け入れられなかった意見を受け入れることになります。まさに人間として成長する機会であるといえるでしょう。
良い結果に繋がる
よく話し合いの場をもっても「今日の話し合いでは何も決まらなかった」とか「結局何のために集まったんだ」といったことになることはないでしょうか。相手の意見を否定したりするだけの話し合いでは、このような非建設的な結果になることも稀ではありません。
一方、建設的な話し合いは課題解決型の話し合いです。単に相手の意見を否定するのではなく、相手の意見の良い部分を見つけて課題の解決につなげようとするものです。建設的な話し合いでは課題を解決することを最優先しますので、良い結果に繋がるというメリットがあります。
先の事を考えられる
ある課題の解決を考えるとき、解決までの道筋を描いてそこから今何をすべきかを検討するのが効果的です。やみくもに動いても良い結果が得られるとは限りません。
先ほどの町内会の例でいくと、「補助金のことを調べて公民館建設に使えるかどうかを調べる」「建設に使えるのであれば、それをベースに自己負担がいくら必要かを考える」というようにシナリオを立てて検討することになります。
そして「いつまでに」行う必要があるかも合わせて考えるのが普通です。このように「建設的な話し合い」のケースでは先の事を考えられるようになるというメリットがあります。
失敗を良い方向に変えられる
例えば、試合で負けてしまったときに、なぜ負けたのかを分析し、次はどうしたら勝てるのかを話し合うとします。試合で負けたことは失敗ですが、もしこのような話し合いをきっかけにして次の試合で勝てるのであれば、前の試合の失敗は失敗で終わることはありません。
ここでポイントとなるのはあくまで失敗の分析で終わるのではなく、次はこうしたらよいと前向きに考えるのが建設的な話し合いになります。これはあくまで一例ですが、失敗をよい方向に変えられることがあるのは建設的な話し合いのメリットであるといえます。
建設的な話し合いをする為にするべきこと
このように建設的な話し合いはメリットだらけですが、誰でも簡単にできるというわけではありません。むしろ批判や指摘、揚げ足取りやはぐらかしだらけの非建設的な話し合いがなされているのをよく目にします。なぜこのような話し合いが多いのでしょうか。
普段からどうしたら建設的な話し合いができるかを意識しておくことが大切です。ここでは建設的な話し合いをするためにするべきことについていくつか紹介しましょう。
反対意見に耳を傾ける
話し合いというのは相手があって成り立つものですが、その相手とは自分と同じ意見を持っているとは限りません。しかし異なる意見に対して、それを否定してしまっては水掛け論になってしまい、議論は良い方向に進みません。
それはおかしい意見だと思ってもまずは相手の言い分を聞くことから始めましょう。そして、その言い分に対して理解できる点はないのか探してみます。
そのうえで、相手の意見に対してどういう点が問題であるかを主張します。そうすれば結果的に否定されたとしても、相手は納得することが多いでしょう。
話し合いを建設的に行おうとするなら、とにかく頭ごなしに否定することはせず、相手の気持ちになって相手の意見に耳を傾けようとする姿勢が大切です。
客観的に物事を考える
得てして自分の利害が絡む話し合いの場合には感情的なやり取りに終始するきらいがあります。ムキになって発言している人を見たことはないでしょうか。
そのような感情的な議論では、言い負かされたとか言い負かしたといったレベルの話し合いになり、生産的なものではありません。建設的に問題を解決しようと思うのであれば、感情面は抑えて、客観的に物事を考える必要があります。
順序を整理して話す
物事が順調に進んでいるというのは段階ごとにやるべきことが明確になっていて、それらが順調に進行している場合です。したがって、建設的な話し合いをしようと思うのであれば、順序を整理して話し合いを行うことをおすすめします。
話し合いを行う順序が滅茶苦茶だと、あれこれ意見はでるかもしれませんが、話を整理することが難しくなります。話が整理できないと結局、出された意見が反映されることなく終わってしまう危険性があります。
意見と指摘の使い分け
意見とは発言者が思っている主張や考え方を意味します。一方「指摘」とは、大切な点や注意すべきこと、欠点や過失などを具体的に取り上げて指し示すことを指し、意見とは異なります。
話し合いなどにおいては、指摘は大切な要素ですが、あまり指摘ばかりがなされると話が建設的にならない恐れがあります。指摘は必要最低限にとどめ、しっかりと意見を伝えることが大切です。
「建設的」は物事を前向きに良い状態にすること
今回は「建設的」の使い方や類義語、対義語などについて紹介してきました。建設的な議論ができるようになると、仕事が前向きに進んでいきます。その結果、仕事へのやりがいも感じることがあり人生にとって好影響です。
今日からビジネスシーンや日常会話などで建設的な意見が言えたり、建設的な話し合いができるよう普段から意識して相手の発言を聞くようにしましょう。