iDeCo(イデコ)の選び方は?
皆様はiDeCo(イデコ)というものをお聞きになったことがあるでしょうか。今では資産運用の有効な手段の一つとして知られているものですが、それでは実際に何を買ったらいいのか、どんなメリットがあるのか、あまりわかっていない方も多いように見受けられます。
ここでは、投資商品の品揃えが豊富なSBI証券に、iDeCo(イデコ)の口座を開いた場合に、どの金融商品がおすすめなのか、その手数料やプランについても解説していきます。
ちなみに、SBI証券のiDeCo(イデコ)の口座で投資できる金融商品は、元本変動型(投資信託)と、元本確保型(定期預金や保険商品)がありますが、ここでは元本変動型(投資信託)の商品について、説明していくことにします。
純資産総額に注目する
SBI証券でiDeCo(イデコ)の口座を開いた後で、どんな金融商品(投資信託)に投資したらいいか、ほとんどわからないという方におすすめなのが、個々の金融商品の純資産総額に着目することです。
この純資産総額があまりにも少ない金融商品(投資信託)は、繰上償還といって、運用の途中で強制的に解約させられてしまうことがあるからです。ほとんどの場合、繰上償還された商品は損失が出てしまいます。iDeCo(イデコ)の口座を開き、長期運用を目指して投資しているのに、これではたまったものではありません。
それでは、SBI証券のiDeCo(イデコ)の口座で扱っている元本変動型の金融商品(投資信託)に関して、どうやって純資産総額を調べたらいいのでしょうか。
SBI証券のウェブサイトにアクセスすると、「SBI証券のiDeCo(イデコ)の口座で投資できる金融商品の一覧」が出ます。そこから「純資産総額」の欄を見て、▼印をクリックすると、純資産総額の多い順に並べることができます。
この資産総額は、一般的に10億円(1,000百万円)以上ないと、投資信託の運用を継続するのが困難だと言われています。従って、これが10億円を下回るような商品は、少なくともiDeCo(イデコ)の投資には適さないということが言えそうです。
純資産総額が増減する要因
それでは個々の金融商品(投資信託)の純資産総額が単に多ければ、それだけでiDeCo(イデコ)のおすすめ商品だと言えるのでしょうか。この純資産総額は、主として以下の要因で増加し、逆の場合は減少するのです。従って、これが減少を続けているようだと、決しておすすめとは言えないのです。
純資産総額が増える理由の一つは、個々の金融商品(投資信託)に組み入れられている株式や債券の価格が上昇することによるもので、もう一つは、人気がある金融商品(投資信託)であるがゆえに、投資家の資金の流入が、解約による流出を上回っているときです。
ここで、先ほどと同じように、SBI証券のiDeCo(イデコ)のページへアクセスしてみましょう。「購入金額人気ランキング」が出るのがおわかりになるでしょうか。
ここで調べるのはiDeCo(イデコ)の購入商品の人気ランキングでなく、前年比の純資産増加額や、資金連続流入ランキングです。いかがでしょうか。順調に純資産総額が増えているかどうかおわかりになるでしょうか。
ただ、ここ数年は世界市場が堅調(順調に上昇している)なので、iDeCo(イデコ)のものを含めて、ほとんどの金融商品(投資信託)は順調に資産総額が増えているのですが、逆境(軟調)になったときに、どの程度持ちこたえられるか見られると、よりよい比較ができるのです。
手数料に注目する
iDeCo(イデコ)口座を維持するための手数料は、一般的に、新規加入時や他社などからの移換時の口座開設手数料に加えて、口座管理手数料もかかるのですが、SBI証券の場合、2017年5月19日からこれらの手数料は無料になっています。
一方、手数料の中で大きなウェートを占めるのが、金融商品(投資信託)を運用する際に発生する「運用管理費用(信託報酬)」です。この信託報酬は、iDeCo(イデコ)をやっている間(原則として60歳まで)、投資している金融商品(投資信託)の純資産総額に対して、年間0.5~2%の手数料がかかるのが一般的です。
同じような金融商品(投資信託)を比較する場合、この信託報酬の割合(手数料額)に着目して、iDeCo(イデコ)の商品を選ぶことも重要です。
iDeCo(イデコ)で商品価値を見極めるポイント
それでは、具体的に、iDeCo(イデコ)をやるにあたって、何がおすすめ商品なのかと聞きたいところでしょう。そこで、どう選べばいいかの基準を2つお教えしましょう。
一つは、投資スタイルがインデックス型の金融商品(投資信託)であることで、もう一つは、信託報酬が0.5%以下であることです。
ここで絶対にやってはいけないことは、回答が得られるかどうかは別として、SBI証券のコールセンターに電話して、iDeCo(イデコ)の商品の中で何がおすすめなのか聞くことです。仮に回答が得られたとしても、それは、あなたにとっておすすめでなく、SBI証券にとっておすすめの商品だからです。
投資スタイルがインデックス型
さきほどの「SBI証券のiDeCo(イデコ)口座で投資できる金融商品の一覧」を再度見てみましょう。「信託報酬(手数料)」のところの▲をクリックすると、手数料の安い順に並びます。
一目見ておわかりになるでしょうか。iDeCo(イデコ)の商品ラインナップの中で、「〇〇インデックスファンド」というものが上位にきています。
インデックスファンドは、「日経平均株価」や「NYダウ」などの株式指標(インデックス)と同じような値動きをするように作られた投資信託(ファンド)なので、ファンドマネージャーによる分析や銘柄の入れ替えといったことがなくなるため、相対的に信託報酬(手数料)が安くて、おすすめと言えるのです。
普通に考えれば、市場平均を目指すインデックスファンドよりも、それを上回るようにすることを目指すアクティブ型の投資信託(ファンド)の方がいいように思えます。
しかし、「行動経済学」の第一人者であるダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)の「ファスト&スロー(Thinking, Fast and Slow)」という著書によれば、50年間にわたる調査の結果、投資信託(ファンド)の3件にうち2件は、市場全体のパフォーマンスを下回っていたと書かれているそうです。
iDeCo(イデコ)をやるなら、インデックスファンドを主体に投資すべきということがおわかりになるでしょう。
信託報酬が0.5%
もう、画面を閉じることなく、ご覧になっていることと思いますが、今一度「SBI証券のiDeCo(イデコ)口座で投資できる金融商品の一覧」をご覧ください。
さきほどのインデックスファンドのほとんどが信託報酬(手数料)が0.5%以内に収まっていることと思います。賢明な皆さんは、その中からiDeCo(イデコ)で投資する商品を選びましょう。
SBI証券のiDeCo(イデコ)の商品ラインナップ!
SBI証券をおすすめできる理由の一つは、外国株も含めた投資商品の品揃えが豊富なことです。投資の初心者の方にとっては、iDeCo(イデコ)の商品でさえ、たくさんありすぎて、逆に迷いが生じると感じるかもしれませんが、それは数が少なくても同じことです。
ここではiDeCo(イデコ)の口座のことを書いていますので、詳しくは割愛しますが、投資のスキルが上がってくれば、一つの証券会社でいろいろなことができることが嬉しいと思える時期がやってきます。
SBI証券のiDeCo(イデコ)は83本ある
2019年(令和元年)5月の時点で、SBI証券のiDeCo(イデコ)の商品は全部で83本あります。投資の初心者ならずとも、この中から選べと言われたら迷いが生じるのはやむを得ないでしょう。
しかしながら、今までのコラムをお読みになった方は、おわかりになっていることと思います。一つは、投資スタイルがインデックス型の金融商品(投資信託)であることで、もう一つは、信託報酬が0.5%以下であることです。この中からiDeCo(イデコ)の口座で投資する商品を選べばいいのです。
SBI証券のiDeCo(イデコ)のプランはセレクトプランがおすすめ!
SBI証券のiDeCo(イデコ)の口座を開いた後で、ウェブサイトにアクセスすると、「10年の運営実績!選べる2つのプラン!運用商品も充実!運用商品のコスト(維持費)も安い!」というロゴが出るのをご存知でしょうか。
SBI証券のiDeCo(イデコ)の口座では2つのプランのうち、1つを選ばないといけないのです。それをこれから説明します。
SBI証券でiDeCo(イデコ)口座のプランは2種類
SBI証券でiDeCo(イデコ)をやるときは、「オリジナルプラン」か「セレクトプラン」のどちらかを選ぶ必要があります。これは、2018年5月に施行された「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」に基づいて、iDeCo(イデコ)の商品数の上限を35本にするために、今まで提供していたすべての商品を、その特性に合わせて複数のプランに分割したわけです。
セレクトプランは超低コスト
それでは、SBI証券でiDeCo(イデコ)の口座ではどちらのプランを選べばいいのでしょうか。ここで思い出してください。一つは、投資スタイルがインデックス型の金融商品(投資信託)であることで、もう一つは、信託報酬が0.5%以下であることです。
信託報酬(手数料)が安い順に並べ替えれば、ファンド名のところに「セレクト」とあるのがおわかりでしょう。この基準にマッチした投資信託、それもインデックスファンドは、圧倒的にセレクトプランの方が品揃えが豊富なのです。
オリジナルプランはバランス型を買いたい人向け
一方、SBI証券でiDeCo(イデコ)をやるときに「オリジナルプラン」は選ぶ価値がないのでしょうか。実は「バランス型」や「REIT(不動産投資信託)」を買いたいなら、オリジナルプランの方が品揃えがあるのです。
60歳までの運用ということを考えると、バランス型投資信託を買って「ほったらかし投資」という選択もありだし、不動産に投資をするファンドも捨てがたいところです。あなたが多少、投資のことが理解できる方なら「オリジナルプラン」も検討の余地があるでしょう。
SBI証券iDeCo(イデコ)のセレクトプランのおすすめ商品
ここでは、SBI証券のiDeCo(イデコ)の「セレクトプラン」の中からおすすめ商品を紹介することにしましょう。いずれも、純資産総額が順調に増えているのものですが、詳細については以下で述べます。
2019年5月10日現在の状況
ファンド名 | 基準価額(円) | 信託報酬 | 設定来の純資産増減(百万円) | 設定日 |
ニッセイ外国株式 | 15,657 | 0.11772%以内 | +117,432 | 2013/12/10 |
eMAXIS Slim 先進国株式 | 11,829 | 0.11772%以内 | +41,962 | 2017/02/27 |
セゾン資産形成 | 21,231 | 1.35%±0.2%程度 | +74,024 | 2007/03/15 |
ニッセイ外国株式インデックスファンド
SBI証券のiDeCo(イデコ)の「セレクトプラン」、おすすめ商品の1つめは「ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」です。
日本を除く主要先進国の株式に投資されており、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)の動きに連動するように運用されます。主要先進国といっても全体の3分の2が北米株式なので、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される米国市場の動きに左右されると言えます。
将来性から言えば、米国の多国籍企業の株式を組み入れたファンドは強いと言えます。慣れてきたら、資産構成の中にある「組入銘柄上位」を個別に投資することをおすすめします。
SBI証券でiDeCo(イデコ)の口座を持つということは、そういった外国株に投資しようとしたときでも、機動的に動いて外国株式取引口座(iDeCo・イデコ口座とは別)を作ることができるのです。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
SBI証券のiDeCo(イデコ)の「セレクトプラン」、おすすめ商品の2つめは「三菱UFJ国際-eMAX Slim 先進国株式インデックス 」です。
投資系のブロガーの多くが良いファンドとした「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018」で1位に選ばれたものなので、どれにするか判断できなければ、これを選ぶのもありでしょう。
ちなみに、2位は「ニッセイ外国株式インデックスファンド」なので、甲乙つけがたいところです。ただ、こちらは資産構成の中にある「組入銘柄上位」が明示されていません。
セゾン資産形成達人ファンド
SBI証券のiDeCo(イデコ)の「セレクトプラン」、おすすめ商品の3つめは「セゾン-セゾン資産形成の達人ファンド 」です。
このファンドで特筆すべきなのは、10年以上の歴史を持つことです。リーマンショックはもちろん、2010年代初頭の日本株の冬の時代を乗り越えてきたということは、将来、同じようなことが起こっても持ちこたえられる可能性が高いことを意味します。
順調に基準価額も上昇し、純資産総額も増加しています。10年の累積リターンを見ると、インデックスとなるTOPIXやMSCIコクサイなどの指数を上回っています。これは、アクティブ系ファンドの勝ち組ということが言えます。
SBI証券iDeCo(イデコ)のオリジナルプランのおすすめ商品
ここでは、SBI証券のiDeCo(イデコ)の「オリジナルプラン」の中からおすすめ商品を紹介することにしましょう。いずれも、純資産総額が順調に増えているのものですが、詳細については以下で述べます。
2019年5月10日現在の状況
ファンド名 | 基準価額(円) | 信託報酬 | 設定来の純資産増減(百万円) | 設定日 |
DCニッセイ外国株式 | 12,276 | 0.20412% | +21,690 | 2015/03/31 |
ひふみ年金 | 13,541 | 0.8208% | +21,824 | 2016/10/03 |
三井住友・つみたてNISA | 23,881 | 0.1728% | +22,406 | 2011/12/09 |
DCニッセイ外国株式インデックス
SBI証券のiDeCo(イデコ)の「オリジナルプラン」、おすすめ商品の1つめは「ニッセイ-DCニッセイ外国株式インデックス 」です。
日本を除く主要先進国の株式に投資されており、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)の動きに連動するように運用されます。
主要先進国といっても全体の3分の2が北米株式なので、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される米国市場の動きに左右されると言えます。将来性から言えば、米国の多国籍企業の株式を組み入れたファンドは強いと言えます。
ひふみ年金
SBI証券のiDeCo(イデコ)の「オリジナルプラン」、おすすめ商品の2つめは「レオス-ひふみ年金 」です。構成銘柄のほとんどが日本の株式、業種や企業規模に関係なく、バリュー投資を行うことが特徴です。
また、レオスキャピタルワークスは、隠れた地方の優良企業を発掘することで名が知られており、そういった意味では日本の将来を託せる会社とともに歩む投資企業と言えます。そのような会社が組成したファンドに魅力を感じて、投資家の資金も集まってきています。
三井住友・つみたてNISA・日本株インデックスファンド
SBI証券のiDeCo(イデコ)の「オリジナルプラン」、おすすめ商品の3つめは「三井住友DS-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド 」です。
東証1部に上場している株というと、どなたでも聞いたことのある会社の銘柄も多くあります。そういった株式に投資をして、TOPIX(東証株価指数、配当込み)と連動するように運用されています。
経済ニュースではTOPIXの値動きは毎日わかるようになっているので、ファンドの好不調もすぐにわかります。純資産総額も200億円を超えているので、安心して投資できると思います。
iDeCo(イデコ)の掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象
iDeCo(イデコ)の掛け金は小規模企業共済等掛金控除の対象となることをご存じでしょうか。つまり、毎月、毎月の投資しているお金がそのまま所得税の控除の対象になるのです。
簡単に言えば、サラリーマンの方なら、年末調整で申告が完結すれば、12月分の給与でクリスマスプレゼント(還付金)がもらえるということです。ただ気をつけないといけないのは、社会保険料控除と違って、扶養している配偶者の分を払っても、控除の対象にならないことです。
これは、ほとんどの証券会社、ファイナンシャル・プランナーや、投資ブロガーでも説明していませんが、仮にiDeCo(イデコ)の口座で定期預金(元本確保型の商品)しかやっていなくとも、その掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
概ね、50歳以上の方なら、投資に全く興味がなくとも、iDeCo(イデコ)の口座を開いて定期預金をすればいいのです。さきほど私は、iDeCo(イデコ)をやっている人は、12月分の給与でクリスマスプレゼント(還付金)がもらえる」と書きました。あなたもその恩恵に預かりたいとは思いませんか。
iDeCo(イデコ)は商品の見極めポイントを理解しておく
ここまで、SBI証券でiDeCo(イデコ)の口座を開いて、何に投資をしたらいいか、簡単に見極めるにはどうしたらいいかを解説してきました。初心者の方にもわかりやすいように説明したのですが、いかがだったでしょうか。
もっと簡単に言って欲しいという方は、iDeCo(イデコ)のプランの中から、外国株、それもアメリカの株式が多く入っているものを選ぶと良いのです。今後、何十年と投資をしていく中で、アメリカはダイナミックサを失うことがないと想定されるからです。