フラグの意味とは?
フラグという言葉にはもともと幅広い意味があり、分野やシチュエーションによって使い方が異なります。
中でも最近増えているのは、いわゆる「伏線」の代用としての使い方であり、2次元アニメや本格ミステリーなどで好んで用いられているようです。
今や日常の用語としても定着しつつある「フラグ」の基本的な意味と使い方についておさえておき、言葉の流行に乗り遅れないようにしましょう。
フラグの由来
ドラマや映画、小説などでも当たり前に使われはじめたフラグという表現ですが、もともとの由来は何なのでしょうか。言葉のトレンドに乗り遅れないためにも、フラグの詳しい由来、意味や使い方について詳しくおさえておきましょう。
本来はIT用語
「フラグ」というのはもともとIT用語で、主にプログラミングの分野で使われていました。コンピュータのプログラミングでは条件分岐という手法を使う場面が多く、条件分岐を効果的に使うことで複雑な処理を可能にしています。
条件分岐で、「Aという条件が成立したらBという処理を実行する」という文法があり、これをIT用語では、(AはBに対するフラグ)と意味として表します。
ここでいうフラグとは、英語のflag(旗)に由来しています。プログラミングでは処理実行の条件が成立した時点で数値を0から1に変えることが多く、1の形があたかも旗を立てているように見えることからフラグとよばれるようになりました。
ネットゲームでも使われるように
プログラミング用語として使われていたフラグは、やがてネットゲームの世界でも使われるようになりました。
ネットゲームの世界で言うフラグとは「イベントのための準備作業」という意味で、例文としては、「Aというイベントを発生させるにはアイテムBの出現イベントがフラグとなる」という使い方になります。
この場合のフラグとは、IT用語に見られたような条件分岐という意味よりも伏線、という意味のほうが強くなっており、イベントの種類によってバッドフラグ、グッドフラグ、などのバリエーションがあります。
ネット用語として普及
プログラミングの世界からオンラインゲームへと裾野を広げた「フラグ」は、意味を変えながらほどなくして正式なネット用語として定着しました。
特に、ネット掲示板ではさかんに使われており、2ちゃんねる、5ちゃんねるなどの掲示板ではいわゆるネットスラングとして意味を拡大させ、発展してきた経緯があります。
アニメや小説でも意味が浸透
ネットスラングとして意味が一気に広まったフラグはさらに、2次元アニメやミステリー小説の用語として使われるようになりました。
小説やアニメでは「フラグが立つ」という使い方になり、Aというシーン(またはカット)がBのための伏線になっている、という意味になっています。
本格ミステリーやホラー映画などではフラグの派生語として、死亡フラグ、生存フラグ、などの使い方があり、これらのフラグの意味をかぎられた表現から読み解くこともまたミステリーの楽しみ方となっています。
Eメールでもフラグが立つ?
Eメールソフトでは、重要なメールを保護設定にするとそのメールに旗のようなアイコンが表示され、これもまたフラグという意味になります。メーラーによってはフラグの代わりに星のマークが付けられる場合もありますが、意味としては同じです。
フラグとフィクション作品
小説やアニメでも頻繁に使われているフラグ。特にライトノベル系の作品は複雑な意味をもたせられるため、フラグと相性が良いようです。ここからは、フラグがタイトルに使われているフィクション作品について見ていきましょう。
「死亡フラグが立ちました!」
七尾与史著のミステリー小説。摩訶不思議な都市伝説の意味や真実を主人公が紆余曲折しながら解いていきます。本格ミステリーでありながらライトノベルの王道をしっかりとふまえているため、親しみやすいのが特徴です。
「彼女がフラグを折られたら」
竹田10日著のライトノベルで、10代、20代を中心に大人気の作品です。他人に立ったフラグを見て、自在に操作することができる特殊なスキルを持った主人公が学園で巻き起こす恋愛やドタバタコメディを描きます。
これまでに小説のほうは10巻以上刊行されており、それぞれの巻のタイトルが典型的なフラグのパターンになっていますので、楽しみながらフラグの意味を理解することができます。
フラグの種類とそれぞれの意味
アニメや小説で使われるフラグにはいくつかの種類があり、シチュエーションや相手によって使い分けが決まっています。それぞれの意味と使い方をしっかりと把握することで作品をより楽しむことができますので、今のうちに基本的な意味を把握しておきましょう。
死亡フラグの意味
2次元作品では最も基本的な使い方で、「このシーンやセリフが出てきたらAというキャラは必ず死ぬ」という意味になります。
最近では、死亡フラグの意味そのものがあまりにも一般的になりすぎたために、ミステリーではあえてフラグを裏切ったり、いくつものフラグを同時に立てて読者を混乱させたりする、という工夫が意味のうえでも凝らされるようになりました。
生存フラグの意味
死亡フラグとは反対に、特定のキャラが死なずにすむフラグを意味しています。ほとんどの場合、生存フラグが立つのは大ピンチに陥った後で、キャラが死んだと見せかけておいて実は生きていた、という使い方になります。
ほとんどの場合、生存フラグは死亡フラグとセットで使われることが多く、死亡フラグの意味をよりいっそう際立たせる、という意味があります。
恋愛フラグの意味
学園系のラブコメやホラー、あるいは日常生活など幅広い世界で使われている、意味の広いフラグです。気になっている女子から食事やデートに誘われるなど、モテる兆しが見えれば恋愛フラグが立つ、という意味になります。
死亡フラグとは異なり、恋愛フラグはポジティブな意味なので、日常生活でも使いやすい表現といえるでしょう。
フラグの使い方
2次元の世界の用語というイメージが強いフラグですが、意味をきちんと把握していれば日常の場面でも違和感なく使うことができます。日常生活でもフラグを自然に使いこなせるように、フラグの基本的な意味と使い方について例文とともに見ていきましょう。
例文①
「フラグを立てる」は、フラグ本来の意味に沿った使い方です。プログラミングでは、条件分岐によって複数の処理を指示する際、数値を変数として操作することで処理を変更する、という手法がとられます。
この時、変数を0から1に変えることを旗を立てる、という光景になぞらえ、「flag=フラグ」という風に変化させていったと意味のうえでは考えられています。
例文②
ネットの掲示板やフィクション作品では、「フラグが立つ」という使い方が一般的で、別の言い方では「伏線を張る」という意味になります。例文としても最もポピュラーで、死亡フラグが立つ、生存フラグが立つ、など意味の広い例文につながっていきます。
例文③
「フラグを折る」の意味は要するに、お決まりのフラグを裏切ることです。たとえば、明らかに死亡フラグが出ているキャラクターがストーリーの最後まで生き残っている、生存フラグが立ったキャラがあっさりと死ぬ、などの仕掛けを意味しています。
ここ数年、ホラーやミステリーの世界では死亡フラグ、生存フラグの意味が例文とともに知れ渡っているため、プロとしてはむしろ「フラグをどう折るか」ということが勝負になっていると言われています。
例文④
小説やゲームなどで、明らかに見えているお約束の展開を予想外のアイディアによって乗り越えることを「フラグを回避する」といいます。
あるいは日常の場面でも、上司からの飲み会の誘いをタイミングよくかわすことができた時などに、「今日はフラグを回避できた」などと表現する場合があります。
フラグの意味と実例
フィクション作品におけるフラグは、ほとんどの場合、キャラクターのセリフとして仕込まれています。どのようなセリフでフラグが立つのかを意味、例文とともに把握することによって、フィクション作品を能動的に楽しむことができます。
「俺、元の世界に戻ったら真面目になるんだ」
ファンタジー系ライトノベルでよく見られる死亡フラグ。基本的に、大きな戦いやピンチの最中に唐突に夢や目標、将来について語るキャラには死亡フラグが立っており、遠くないうちに殺されるよ、という意味になります。
穏やかに夢を語るという平和なシーンと、その後の死亡シーンのギャップが大きいほど有効な死亡フラグとなり、伏線としても重要な意味をもちます。
「大魔王を倒したら結婚してくれないか」
これも典型的な死亡フラグのひとつであり、ネガティブな意味を持ち、フラグが立ったキャラがヒロインと結ばれることは残念ながらありません。
このケースでは、プロポーズのシーンがフラグとしてしっかりと見せられるのが基本ですが、プロポーズの最中にいきなりボスに殺されてしまう演出もあり、どちらにしても悲劇的な意味になります。
「ゾンビがうろつく屋外にいつまでもいられるか!」
いわゆるクローズドミステリー(主人公たちが山荘や洋館などに閉じ込められる形式)ではおなじみの死亡フラグです。
上記のようなセリフを怒りにまかせてぶちまけた後、このキャラは自分の部屋などにこもりますが、ほどなくしてゾンビや殺人犯にあっさりと殺されてしまいます。
「私、もう限界かも」
こちらは生存フラグが立つ基本的なパターンです。フラグの意味とは、「表面的なセリフとは逆のことが起きる」ということであり、「生きたい=死ぬ、死ぬかも=生き残る」という関係が成り立つと言われています。
敵に限界まで襲われたヒロインが実は助かっていた、などが生存フラグの典型例であり、数多くの名作がこのパターンを踏襲しています。
フラグの意味を正しく知ってネットやフィクションを楽しもう
もともとはIT用語だったフラグはすぐにネット用語、ゲーム用語として広がり、現在では2次元作品やホラー、本格ミステリーなど幅広い場面で例文が応用されています。
フラグには死亡フラグ、生存フラグ、恋愛フラグ、などの種類があり、基本的には伏線や逆張り、といった意味が込められています。フラグは一種のネットスラングですので、使い方には注意が必要かもしれません。