「よろしかったでしょうか」は正しい?
コンビニや飲食店などでよく使う敬語に「〜でよろしかったでしょうか?」があります。丁寧な表現のように感じますが、何故か違和感を感じてしまう方もいらっしゃると思います。
「よろしかったでしょうか」に違和感を感じてしまう理由は何故か、また、よろしかったでしょうかは正しい敬語なのか、詳しくご紹介していきたいと思います。
「よろしかったでしょうか」はバイト敬語とも呼ばれる
「よろしかったでしょうか」はバイト敬語として浸透しています。バイト敬語とは、飲食店、またはサービス業などの一般的にアルバイトが大半を占める業界で、アルバイトが使う特徴的な敬語のことです。
バイト敬語は、普段正しい敬語を使い慣れていなかったりして、「なんとなく丁寧に聞こえる言葉遣い」などとして生まれ、浸透していったのではないかと言われています。「よろしかったでしょうか」も特徴的な敬語と思われることが多いようです。
その他のバイト敬語
他にも、「〜のほうになります。」や「こちら○○になります。」や「○○からお預かりします。」などはよく聞く敬語ですが、こちらもバイト敬語と言われています。
バイト敬語でよく耳にするのは、曖昧な言葉遣いにするものがあります。曖昧なので自信のなさそうな印象を与えてしまいます。
「よろしかったでしょうか」の言葉遣いは間違い
「〜でよろしかったでしょうか?」の言葉遣いは間違いです。「よろしかったでしょうか」は相手の了承を得たり、確認をしたりするときに主に使われています。ですが、この言葉遣いは基本的に間違った表現になっています。
このように丁寧な言い方だと思い使っていても、実際は日本語として使い方の間違っている敬語があります。「〜のほうは以上でよろしかったでしょうか」などバイト敬語が一緒に使われている場合もあります。
「よろしかったでしょうか」の正しい使い方
「よろしかったでしょうか」はバイト敬語と言われ、「〜でよろしかったでしょうか」という使い方は間違いということが分かりました。
では、「よろしかったでしょうか」はどのように使えばいいのでしょうか。ここでは「よろしかったでしょうか」の正しい使い方や違和感を感じる理由をご紹介します。
「よろしいでしょうか」が正しい
正しい言葉遣いは「よろしかったでしょうか」ではなく「よろしいでしょうか」になります。相手の意思を確認する場合や、許可や同意を求めるときに使う表現になります。
「よろしいでしょうか」は、「いいですか」と同じ意味ですが、「いいですか」は少しぶっきらぼうな印象を与えてしまうので、より丁寧な「よろしいでしょうか」を使いましょう。
なので、相手に意思の確認や、許可や同意を求める場合には「〜でよろしかったでしょうか」ではなく「〜でよろしいでしょうか」と確認しましょう。丁寧な良い印象を与えることができます。
接客をする場合だけではなく、上司や取引先にも許可や同意を求める場合は「〜でよろしいでしょうか」とつけるようにしましょう。正しい言葉遣いは大きなスキルアップにも繋がります。
「よろしいでしょうか」の類語
「大丈夫でしょうか」や「差し支えないでしょうか」も「よろしいでしょうか」と同じ意味です。どちらも相手に対して意思を確認したり、同意を求める場合に使うことができます。状況に応じて使い分けることをおすすめします。
「よろしかったでしょうか」に違和感を覚える理由
「よろしかったでしょうか」に違和感を覚えるのは表現の仕方に理由があります。「よろしかったでしょうか」という言葉遣いは「よい」という丁寧語をさらに過去形にした表現です。
そのため、「よろしかったでしょうか」に違和感を感じてしまうのは起こったばかりの行為、現在に対して過去形で聞かれているからです。
前提となるべき事柄がないのにも関わらず、「よろしかったでしょうか」と過去形を用いるのは正しい言葉遣いではありません。
例としては、飲食店などで注文したものの確認に「よろしかったでしょうか」と聞くのは過去のことではないのに過去形を使っているので間違いになります。
「よろしかったでしょうか」の違和感を調査
「よろしかったでしょうか」の正しい使い方についてご紹介しましたが、実際に「よろしかったでしょうか」に違和感がある方はどのくらいいるのでしょうか。
「よろしかったでしょうか」の言葉遣いについて、どのように違和感を感じているのか、違和感に対する調査についてご紹介します。
半数以上の人が「気になる」とコメント
実際にバイト敬語について調査をを行ったところ「よろしかったでしょうか」気になるという意見が半数以上になりました。「正しい日本語ではないので気になる」との指摘がありました。
また、「間違った言葉遣いをしている人をみると気になる」「念を押されてるようで嫌な感じがする」といった指摘もあり、「よろしかったでしょうか」に違和感を感じる方が多いようです。
丁寧な表現という意見も
「よろしかったでしょうか」は気になるという意見が半数以上を占めていましたが、丁寧な表現という意見もあります。
「よろしかったでしょうか」は「(あなたの意見は聞いたが)私の認識はこれで正しいか」と自分の認識を確認する表現で、「聞き手への丁寧な気配り」との意見もありました。
「よろしかったでしょうか」の使い方が正しい場合もある?
確認や了承を得る場合、「よろしかったでしょうか」という言葉遣いは間違いで、違和感を感じる方が多い使い方ですが、実は使い方によっては正しい敬語になる場合があります。
どのような場面で「よろしかったでしょうか」を使えば、間違いではなく正しい敬語になるのでしょうか。その使い方をこれからご紹介します。
過去の物事を確認する場合は正しい
前述のとおり、「よろしかったでしょうか」に対して違和感を与えてしまう理由は、過去のことではないのに「よろしかった」と過去形を使っている点です。
ということは、過去の事柄に対して「よろしかったでしょうか」と使う場合には問題なく使うことができ、相手に違和感やふかいかんも与えません。
例を挙げますと、事前に○時から会う約束をしていたことに対して、そのことを確認したい場合に「○時でよろしかったでしょうか」と使うのは正しい使い方です。
この「よろしかったでしょうか」という言葉遣い自体は、文法上問題なく丁寧な表現も含まれているので、正しい使い方と言えるでしょう。
北海道では相手への敬意を示す風潮がある
北海道では、「よろしかったでしょうか」の他にも「◯◯でした」という言葉は単に過去を表すだけでなく、なるべく柔らかく尋ねようという表現が元になっています。
北海道独特の気遣いの表現であり、過去形の「よろしかったでしょうか」や「〜でした」を丁寧な言い回しとして、特に北海道の年配の方がよく使うそうです。
北海道の人が「よろしかったでしょうか」を使う理由
「よろしかったでしょうか」も、なるべく柔らかく表現しようという働きがあると考えられます。過去形で「よろしかったでしょうか」と表現することで、相手への敬意を示す風潮があると北海道にはあるとされています。
「よろしかったでしょうか」の英語表現
これまで「よろしかったでしょうか」の正しい使い方についてご紹介してきました。次は「よろしかったでしょうか」の英語表現をご紹介していきます。
「よろしかったでしょうか」は相手に確認する場合と相手の了承を得る場合の2パターンの英語表現がありますので、そちらをご紹介します。
確認する場合の英語表現
まずは、相手に確認する場合の「よろしかったでしょうか」の英語表現をご紹介します。簡単な英語で相手に確認にする場合の「よろしかったでしょうか」を表す場合、「Is this OK?」になります。
より丁寧に「よろしかったでしょうか」を英語で表現するときは、「それはこれでよろしかったでしょうか。」→「Was that alright with this?」となります。
了承を得る場合の英場表現
次は、了承を得る場合の「よろしかったでしょうか」の英語表現をご紹介します。了承を得る場合は「よろしかったでしょうか」ではなく「よろしいでしょうか」での英語表現になります。
了承を得る場合の英語表現は「May I〜」で表現することが可能です。例文をご紹介すると「May I help you sir?」→「お手伝いしてもよろしいでしょうか?」になります。
「よろしかったでしょうか」は文脈の在り方に注目!
「よろしかったでしょうか」という言葉の間違いや違和感の理由や、本来の正しい使い方や英語表現をご紹介していきましたが、いかがだったでしょうか。
正しい敬語だと思っている言葉でも、間違いの場合もあります。なかなか、気づきにくいものだと思いますが、使う場面など理解して、「よろしかったでしょうか」を正しく使っていきましょう。