Viva La Vidaの意味とは?
Viva La Vidaは、スペイン語の言葉です。その音の響きから、ピンときた人もいるのではないでしょうか。英語とスペイン語は言葉の種類が違うので、英語と照らし合わせて意味を探るのは難しいです。Viva La Vidaとは、スペイン語でどんな意味を持っているのでしょう。
こちらではまず、Viva La Vidaというスペイン語そのものについて見ていきましょう。言葉の意味を正確に知れば、Coldplayの曲をより深く感じられることでしょう。
スペイン語におけるViva La Vidaの由来
Viva La Vidaというスペイン語の意味を知るために、和訳してみましょう。Viva La Vidaを細かく分け、スペイン語における意味を見てみます。冒頭のVivaは英語のliveにあたり、「生きる」や「住む」といった意味を持つスペイン語の動詞です。Vidaは、「生命」や「人生」という意味の名詞です。
それらを組み合わせてViva La Vidaという意味のスペイン語が出来上がります。「人生を生きろ」が直訳ですが、和訳では「人生万歳」と言って差し支えありません。
Coldplayの曲「Viva La Vida」の特徴
それではいよいよ、本題であるColdplayによる「Viva La Vida」という曲に迫ってみましょう。2008年にリリースされ、「美しき生命」という和訳のタイトルを持つ曲でもあります。世界的なヒットを生んだViva La Vidaは、一体どのような特徴を持った曲なのでしょう。
どんな曲も、その中に込められたものを感じると、よりいっそう親しみやすくなるものです。ColplayのViva La Vidaという曲の特徴からは、何を見出すことが出来るでしょうか。
Viva La Vidaの公式PVは、You Tubeにアップしてあります。Coldplayのこの曲をまだ聴いたことのない人は、この機会に聴いてみてください。その上でこれからの解説を読んでいただくと、記事の内容もより分かりやすくなることでしょう。
ColdplayによるViva La Vidaの概要
ColdplayのViva La Vidaに見られる特徴についてご紹介する前に、この曲がどういうものなのかについて、簡単に解説しておきましょう。このViva La Vidaは、Coldplayの4枚目のアルバムに収録されているシングル曲のひとつです。和訳タイトルの「美しき生命」には、賛否両論が聞かれます。
アルバムの原題は「Viva La Vida or Death and All His Friends」となっており、タイトルの中に「死」という言葉があることからも、この生と死をテーマとしたものだということが分かります。
アルバムのジャケットには、フランス人画家ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」が使われています。フランス7月革命について描かれたこの絵画は、アルバムの中にあるViva La Vidaの歌詞とリンクしたものだと言えるでしょう。
革命にもまた生と死は付きものであり、アルバムタイトルと同様にジャケットからも、彼らが設定したテーマを窺うことが出来ます。
宗教的な意味を持つ曲
ColdplayのViva La Vidaという曲は、生と死をテーマとした、聴く者に宗教色を感じさせるような曲になっていると言われています。曲に歌われている歌詞の解釈としては様々あるようですが、イエス・キリストについて歌っているのではないかと多くの人が考えているようです。
Viva La Vidaというスペイン語が直接的な和訳だと「人生を生きろ」という意味になることからも、生死と切っても切り離せない宗教というものが歌詞の中にあるのは納得出来るでしょう。
メロディーに反してハードな曲
ColdplayのViva La Vidaを実際に聴くとよく分かるように、ロックバンドの曲というには、優し気なメロディーが特徴です。曲の演奏には一部ヴァイオリンも使われており、それがどこかクラシック曲のような印象をも与えています。
いずれにしても、一般的に考えられているようなロックのメロディーではなく、ポップささえも感じられるようなメロディーの運びが、ColdplayによるViva La Vidaの特徴なのです。
それでいて歌詞の内容は、かつて世を支配した者と、それを引き下ろす血生臭い革命について歌っています。歌詞の中には、エルサレムやローマ軍といった、何かしら戦いを連想させるワードも含まれているのです。
柔らかな曲のメロディーとある意味で残酷な歌詞が奇妙なアンバランスさを醸し出し、ColdplayのViva La Vidaを独特な人気曲にしていると考えられます。
Viva La Vidaの歌詞の意味
次に、ColdplayのViva La Vidaの歌詞を紐解いていきましょう。歌詞の内容を理解出来れば、彼らがどんな思いでこの曲を世に送り出したかを知ることにも繋がります。宗教的だったりハードだったりという特徴を持ったこの曲は、どのような歌詞を持つのでしょう。
歌詞を和訳してみる
何はともあれ、まずは和訳することから始めなくてはなりません。英語の歌詞を和訳して初めて、その内容を深く知ることが始まるのです。こちらでは、この曲を印象付けているフレーズを抜粋し、それを和訳することでViva La Vidaへの理解を深めていきましょう。
和訳から見る曲の意味①
まず一番初めの歌詞は、次のように始まります。I used to rule the world.和訳すると、「僕はかつて、世界を支配していた」という意味になります。この最初のフレーズから、曲の主人公はかつて世界を支配していた誰かということが分かるでしょう。
続く歌詞には、その支配者がどんな力を持っていたかということが示されています。「声を上げれば海がせり上がった」や「さいころを振れば敵が怯えた」といった具合です。
しかしそれも過去のことで、今の彼はひとり、孤独な毎日を送っています。Now in the morning I sleep alone.「今は朝に一人ぼっちで眠っている」Sweep the streets I used to own.「かつては自分の物だった道を掃いている」という歌詞がそれを示唆しています。
Now the old king is dead long live the king.「古い王は死んだ、新しい王に栄光あれ」という歌詞からは、その支配者が王であり、今はその座を追われた者であることが分かるはずです。
古き王の衰退していく様が、歌詞の中にはこんな形で表されています。One minute I held the key.Next the walls were closed on me.
「一時は僕が鍵を手にしていたというのに」「次には壁が四方から迫って来ていた」このことから、自分の物だった城からも追い出されるような風景が連想出来ます。
I discovered that my castles stand upon pillars of salt and pillars of sand.「僕の城が、塩と砂の柱で作られていたと知った」座を追われることになった王は、自分の城が海辺に作った砂の城のように脆いものであったことを知るのです。
これらの歌詞からも、王がかつては、世界を支配するくらい絶大な力を持っていたにも関わらず、いとも儚くそれを失ってしまう様が想像出来ることでしょう。そして歌詞は、曲中何度も使われるサビの部分を迎えます。
和訳から見る曲の意味②
I hear Jerusalem bells a-ringing.Roman cavalry choirs are singing.「エルサレムの鐘の音が聞こえる」「ローマ軍騎兵隊のコーラスが聞こえる」
Be my mirror my sword and shield.Missionaries in a foreign field.「僕の鏡に、剣に、盾になれ」「見知らぬ地へと赴く使徒となれ」
For some reason I can't explain.「どうしてなのか説明出来ない」Once you go there was never,never an honest word.「きみが行ってしまってからは何ひとつ、何ひとつ正直な言葉が出て来ない」ここで、「きみ」という新しい人物が出ますが、それが誰なのかは定かではありません。
And that was when I ruled the world.「それが、世界を支配していた頃の僕だった」日本人と西洋の宗教は馴染みが薄いため、サビの歌詞を見ても不可解な言葉が多いことでしょう。しかしこれらのフレーズは、曲を理解するのに重要な要素なのです。
和訳から見る曲の意味③
曲が2番に差し掛かると、その内容はより激しく、生々しいものへと変化していきます。It was a wicked and wild wind.Blew down the doors to let me in.「邪悪で荒々しい風だった」「そいつはドアを拭き倒し、僕を中に入れさせる」
Shattered windows and the sound of drums.People couldn't believe what I'd become.「粉々に砕けた窓、太鼓の音」「僕がこんなになるなんて、誰が信じただろう」
Revolutionaries wait for my head on a silver plate.Just a puppet on a lonely string.「革命を起こす者たちは、銀の皿に載った僕の頭がほしいのさ」「僕は、頼りない糸に繋がれたただの操り人形だ」Oh who would ever want to be king?「誰が、王様なんかになりたがるっていうんだ」
歌詞に歌われる王は、強い意志を持ってそうあったものではなかったとも読み取れます。ただ祭り上げられ、王の座に就いたというのでしょうか。
この後、サビの部分が2度繰り返されます。その一部には、1番のサビにはなかった歌詞が付け加えられているのが分かるでしょうか。I know St.Peter won't call my name.和訳すると、「聖ペテロが、僕の名を呼ばないってことは知ってるさ」という一文になります。
これを意訳すると、「天国に行けない」という意味にもなるようです。聖ペテロはキリストの弟子であり、天国の扉を開ける鍵を受けた者だとされています。
Viva La Vidaは誰を意味する曲なのか
エルサレムやローマ軍、聖人の名前が出て来たことからも、ColdplayのViva La Vidaが、宗教色を強く感じる曲であることは明白です。歌詞の大半を和訳したところで、この曲に出て来る「僕」とは一体誰だろうという疑問が湧いてくるはずです。
この曲が誰について書かれたものなのか、Coldplay自身は明らかにしていないと言われています。曲の特徴についてご紹介した際にも触れましたが、キリストではないかという考えが優勢です。
St.Peterの和訳は「聖ペテロ」という意味ではない?
この曲は、本当にキリストについて歌われたものなのでしょうか。Coldplayが明らかにしていない以上、推測にしかならない話ではありますが、別の人物を挙げる声も聞かれます。
その声によれば、「僕」とは神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世だと言うのです。この答えに至るには、先ほどの和訳を少し変更する必要が出てきます。変更箇所は、「聖ペテロ」という部分です。
これを人名ではなく、この英語が持つ別の意味である「サン・ピエトロ大聖堂」と和訳した時、「僕」はフリードリヒ2世となるのです。彼は、血で血を洗うような時代においても、物事を平和的に収めることに力を尽くした人物だと言われています。
しかし、それが当時のローマ教皇の逆鱗に触れ、背教者として破門されています。つまり、サン・ピエトロ寺院が名前を呼ばないということは、ローマ教皇に名前を呼ばれないという解釈に繋げることも可能なのです。
Viva La Vidaに登場する「僕」が本当は誰であるのか、答えの出る問いではありません。エルサレムやローマ軍といったフレーズからキリストと解釈することも出来ますし、St.Peterをサン・ピエトロ寺院と和訳し、フリードリヒ2世に繋げることも出来るでしょう。
この曲の中には、他にも歴史上の人物を思わせる描写が隠されています。1番の歌詞には、モーゼが海を割って進んだような印象を受ける箇所がありますし、「さいころを振れば」というフレーズからは、ジュリアス・シーザーを思い浮かべる人もいるでしょう。
気になることではありますが、曲の主人公を誰とするのかは、聴き手各々に委ねられていると言えます。自分の思い描く世界観で聴くのが、このViva La Vidaの楽しみ方と言えるのではないでしょうか。
Viva La Vidaとはスペイン語で「人生万歳」という意味
Viva La Vidaは、スペイン語で「人生万歳」という意味の言葉でした。明るい言葉ながら、Coldplayが歌う曲の中では、残酷な意味をちらつかせる歌詞もありました。それらすべてを含めての、「人生万歳」なのでしょう。生きることは常に死と関わっており、それも含めての人生ということなのです。