親を扶養に入れるメリット・デメリットは?控除対象の年収基準なども解説!

親を扶養に入れるメリット・デメリットは?控除対象の年収基準なども解説!

親が定年退職した後には、扶養に入れるべきかどうかで迷う人もいるのではないでしょうか。メリットだけであれば扶養に入れたい、デメリットが多いなら扶養に入らないほうがいいとも考えられます。今回は親を扶養に入れた際のメリット、デメリットを詳しく解説します。

記事の目次

  1. 1.親の扶養には種類がある
  2. 2.親を扶養する要件【所得税・住民税】
  3. 3.親を扶養する要件【社会保険】
  4. 4.親の同居の要件
  5. 5.親を扶養する場合のデメリット
  6. 6.親を扶養に入れると高額医療費の限度額が上がる
  7. 7.75歳以上になると加入する保険の制度が違う
  8. 8.親が地方に住んでいる場合
  9. 9.親を扶養した場合のメリット・デメリットを把握しておこう

親の扶養には種類がある

Photo by marumeganechan

家族を扶養する場合には、2つの種類があります。所得税・住民性の扶養控除と社会保険の扶養です。それぞれの扶養は受けられる条件やメリットなどが異なります。自分と家族がどの要件を満たすのかをきちんと把握したうえで、扶養の申請をしましょう。それぞれに扶養に入るための条件が異なりますので、申請をするときには気を付けましょう。

①所得税・住民税の扶養控除

Photo bystevepb

所得税・住民税の扶養控除は、子どもを養うだけでなく、子どもが親を養う場合にも適用されます。扶養控除は扶養する一人当たりの金額が決まっており、確定申告で計算された扶養控除額が、扶養者の収入から差し引かれ、課税所得が引き下げられることによって、税金の負担が軽くなるのです。扶養人数が多ければ、その分差し引かれる控除額も多くなります。

②社会保険の扶養

Photo bystevepb

親が定年退職した場合に、最も負担が増える支出が保険です。保険は会社を辞めた後には加入していた健康保険を任意継続するか、国民健康保険に加入するか、家族の被扶養者になるのかを選ぶことになります。金銭的負担が少ないのは家族の扶養に入ることですが、社会保険の扶養に入るには条件があるので、条件が満たせるかどうかを検討する必要があります。

親を扶養する要件【所得税・住民税】

Photo byBru-nO

親を扶養に入れる場合、所得税・住民税の負担が軽くなる扶養があります。基本的に生計が同一であり、親の所得が38万円以内であれば親を扶養に入れることができます。給与をもらっている場合、年金をもらっている場合、給与と年金をもらっている場合と別々に詳しく見てみましょう。特にデメリットはないので、条件が合えば扶養に入れるといいでしょう。

①給与をもらっている場合

Photo by_Alicja_

親が給与をもらっていて、年金を受け取っていない場合には扶養が受けられるのでしょうか。条件さえ合えば親が給与をもらっている場合でも扶養に入れることができます。条件自体は配偶者の扶養控除と同じで、収入が103万円以下の場合に扶養に入れることができます。給与所得が103万円を超える場合には扶養に入ることはできません。

②年金をもらっている場合

Photo byAlexas_Fotos

親が年金収入の場合は、年齢によって違ってきます。65歳未満の場合であれば年金収入が108万円以内であれば扶養に入ることが可能です。65歳以上であれば、年金収入158万円以内であれば扶養に入ることができます。年齢によって違うのは、年金には公的年金控除という非課税枠があり、65歳未満は70万円、65歳以上は120万円の控除があるからです。

③給与・年金の両方貰っている場合

Photo by marumeganechan

親が給与と年金の両方を貰っている場合には、計算をする必要があります。給与所得も年金所得も自動で計算してくれるフォームがあるので、パソコンで自動計算するといいでしょう。収入から経費や公的年金控除などを引いた金額が所得となるため、計算後の給与と年金を合わせた所得が38万円以下であれば扶養に入れることができます。

親を扶養する要件【社会保険】

Photo byedar

社会保険の場合は所得税・住民税とはまた条件が違ってきますので、間違えないようにしましょう。実は社会保険の場合には年齢に制限があります。75歳以下でないと、社会保険の扶養に入れることができません。日本では75歳を過ぎると、後期高齢者医療制度に加入することになるからです。そのために健康保険の扶養に入ることはできないのです。

①同居している場合

Photo byPexels

親と同居している場合は、親の年間収入が130万円以下である必要があります。ただし、親が60歳以上であれば収入は180万円まで拡大されます。さらにもう一つ条件があり、たとえ収入の条件を満たしていたとしても、親の年間収入が扶養者の年間収入の半分よりも少なくないと扶養に入ることはできません。扶養に入れたいときは給与明細を確認しましょう。

②別居している場合

Photo byFree-Photos

別居していても親を扶養に入れることはできます。ただし、家計を同一にしているという条件があります。さらに条件があり、親の年間収入が130万円以下か、60歳以上であれば180万円以下であり、その条件に加えて、親の年間収入が扶養する本人の渡す仕送り額よりも少なくないといけません。仕送りより収入が多いと扶養されているとは認められないのです。

親の同居の要件

Photo by28703

親が同居であるということは一体どういうことなのでしょうか。ただ単に同じ家に住んでいる、二世帯住宅だから同居と言っていいのではないかという人もいるかもしれませんが、実はきちんと条件が決められています。実は同じ家に住んでいるというだけでは扶養に入ることはできないのです。それぞれの扶養の同居の場合の条件を詳しく見ていきましょう。

①所得税・住民税の場合

Photo by yto

所得税・住民税の場合には、同居に加えて家計が同一でなくてはなりません。つまり、扶養する側が、親の生活費も負担しているということになります。生計を扶養者が担っているからこそ扶養になるわけで、親の年収が、十分生活を賄えるだけあるのなら扶養に入る必要はないだろうというわけです。だからこそ、収入にも制限があるのです。

生計を一にしてるという意味

Photo bystevepb

生計を一にするとは、どこまで扶養者が負担をすればいいのでしょうか。言葉の意味としては家族が生活する上で必要なお金を、扶養者の口座から支払っているということです。家の維持費や食費などの主に生活費です。もちろん扶養される親に年収がある場合は、娯楽費などを親が負担する場合もあるでしょうが、基本的な生活費は扶養者が負担することです。

②社会保険の場合

Photo bystevepb

同居をしているなら社会保険の場合は自分の親だけでなく、配偶者の親も条件を満たせば扶養に入れることができます。ただし社会保険の場合は所得税・住民税の時には収入に含まれない失業保険や遺族年金、通勤交通費、障害年金なども収入として計算されてしまうので注意が必要になります。扶養に入れる際は、申請手続きをした月の月収で判断されます。

親の年収

Photo bystevepb

問題は親の年収で、もう一つの扶養とは違って上記のさまざまな手当てや年金も年収として含まれるため、きちんと計算してから申請しましょう。たとえ同居をしていたとしても規定以上の年収がある場合や、扶養者の給与の半分以上の年収がある場合には基本的には扶養に入れませんので、注意が必要になります。配偶者の両親であっても条件は変わりません。

親を扶養する場合のデメリット

Photo byOpenClipart-Vectors

一番大きな問題は、親を扶養することでデメリットがあるかどうかということです。デメリットがなく、メリットだけであればいいですが、デメリットがあるようなら慎重にならざるを得ません。2種類のどちらの制度にも、メリットとデメリットがあります。申請をするには、きちんとメリットとデメリットの両方を把握してからにするといいでしょう。

①所得税・住民税の場合

Photo bystevepb

所得税・住民税のメリットはやはり税金の負担が軽くなることでしょう。デメリットは基本的にはありませんが、もし、両親のどちらかが、配偶者の扶養に入っているのを子供の扶養に変更した場合には、今まで扶養に入れていた親の税金が増えたり、介護異保険料の段階が上がる可能性もあるので、誰かの扶養を変更する場合には注意が必要になります。

②社会保険の場合

Photo bycpastrick

社会保険の場合のメリットは、扶養に入る側の払う保険料がなくなることです。本来払うはずだった国民健康保険料が無料になります。とはいえ、扶養する側の保険料も増えるわけではありません。デメリットは。親を扶養に入れた場合には高額医療費の限度額が高くなります。それとそもそも社会保険料は会社員でなくては扶養に入れることはできません。

親を扶養に入れると高額医療費の限度額が上がる

Photo bygeralt

親を扶養に入れた場合のデメリットのひとつに、高額医療費の限度額が上がるというものがあります。これのどこがデメリットなのか、そもそも高額医療費とは何なのかがよくわからない、という人もいるのではないでしょうか。親を社会保険の扶養に入れる際は、どのくらい限度額があがるのかを計算し、扶養に入れるか入れないかを判断するといいでしょう。

高額医療費とは

Photo byFree-Photos

高額医療費とは、1日から月末までにかかった医療費の自己負担額が高額になった時に、条件はありますが、国によって定められている自己負担限度額を超えて支払った場合には、あとから差額分が返ってくるという制度です。自己負担限度額は年齢や年収によって決まりますが、親を扶養に入れる場合には親の年収によっても変動するため注意が必要です。

介護の際の自己負担額はあがるのか

Photo byAlexas_Fotos

親を扶養に入れた場合、介護が必要になった時に介護にかかわる料金の自己負担額が上がるのではないかと不安に思う人もいますが、実際のところ、親の扶養と介護料には関係はありません。介護費用の自己負担限度額は世帯の年収で計算されますが、だからと言って親を扶養に入れたことによって、控除があるわけでも、支払う金額が変わるわけでもありません。

介護保険料の負担はどうなるのか

Photo byMabelAmber

65歳以上の場合に、親を扶養に入れている時には親の介護保険料は扶養者が負担しないといけないのでしょうか。65歳以上になった時の介護保険料は年金から天引きされるため、親を扶養に入れたとしても、扶養者が払う必要はありません。そのため、親を扶養に入れたとしても親の払う介護保険料が無料にはならないということを注意しておきましょう。

75歳以上になると加入する保険の制度が違う

Photo bystevepb

親が75歳以上になった時には後期高齢者医療制度へ加入することになります。社会保険に入っていても、75歳以上になると自動的に後期高齢者医療制度へ加入することとなり、一定の保険料を個人で納めなくてはなりません。健康保険と後期高齢者医療制度は制度が違うので、高額医療費も世帯での合算が出来なくなります。

75歳以上でも扶養による節税ができる場合も

Photo byBru-nO

75歳以上になり、社会保険から後期高齢者医療制度に移行した場合でも、所得税・住民税であれば節税は可能です。後期高齢者医療制度の保険料は年金から天引きが原則ですが、家計を一にしている家族の口座からなら引き落としも可能なることもあるのです。子どもが支払った保険料を、社会保険控除として出すと、所得控除が受けられることもあります。

医療費の限度額と節税の兼ね合い

Photo byqimono

75歳以上の後期高齢者となった親を扶養に入れるかどうかは、所得控除による節税金額を計算するといいでしょう。もしかしたら、親が病気を患っていて、医療費が毎月高額になるかもしれません。医療費が高額になるなら、親は扶養に入れない方がいいこともあります。高額医療の自己負担限度額が親の年収が適用されて低くなることもあるからです。

74歳以下でも医療費の負担が大きくなる場合も

Photo bystevepb

74歳以下でも、節税の分よりも医療費の自己負担額の方が高くなる場合もあるので、注意しましょう。健康保険の扶養に該当する場合には、所得区分も現役の世帯並みとみなされてしまうということでもあります。そうなると、残念ながら医療費の自己負担額が増えてしまい、節税分よりも負担額が上回ってしまうこともあります。

親が地方に住んでいる場合

Photo byWikimediaImages

親が地方に住んでいる場合に、親を扶養に入れることができるのでしょうか。実は条件さえ満たすことができれば、地方に住んでいる親を扶養に入れることができます。基本的には地方に住んでいても親の年収が180万円未満であり、且つ子供の仕送り額以下であれば問題ありません。生活費が子供の年収から出ていれば家計を一にしているとみなされます。

親が介護施設に入居している場合

Photo bytruthseeker08

親が介護施設に入居している場合には、別居になるのでしょうか。その場合は扶養に入れるのか、不安に思うこともあるかもしれません。病院に入院する場合には同居のままですが、介護施設への入所であれば居を移すので別居となります。施設の入居費や雑費などを年金ではなく扶養者が払っているなら家計を一にしているとみなされ、扶養に入れます。

扶養申請をするために必要な書類

Photo byfulopszokemariann

扶養申請を出すために必要な書類は、扶養者との続柄が分かるもの、収入が確認できる書類、被扶養者届けです。この中で被扶養者届はネットからダウンロードできます。続柄が分かる書類は、戸籍抄本や謄本で、マイナンバーは記載なしで問題ありません。気を付けたいのは収入が分かるもので、非課税対象の収入がある人はそれらの収入も申告が必要です。

非課税対象の収入

Photo by Norisa1

非課税対象の収入は主に、障害年金、遺族年金、傷病手当、失業手当などで、これらの収入があった場合にも、収入を証明する書類が必要になります。受取金額のわかる直近の通知書のコピーや通帳のコピーを用意しましょう。ちなみに年金は年金額の改定通知書のコピーが必要です。親が会社を退職した後に扶養に入るなら退職証明書などが必要になります。

家計を一にしていると判断されるために必要な書類

Photo bystevepb

別居の親を扶養に入れる場合には特に、家計を一にしていると認められるための書類が必要になります。通帳のコピーや現金を送ったことが証明できるもの、施設であれば、入居費や生活雑費などを支払っている通帳のコピーなどです。もし介護施設の支払いをすべて年金で賄っている場合は家計を一にしていると認められないので注意しましょう。

必要な手続き

Photo byTheoRivierenlaan

親を扶養に入れる手続きはそう難しいものではありません。扶養者になる人の会社を経由して、必要書類を日本年金機構に提出します。届け出の期間は事実発生から5日以内となっているので、扶養に入れたい場合には素早く書類をそろえて提出しましょう。手続き自体は会社でしてくれますが、書類は自分で用意し、記入する必要があります。

親を扶養した場合のメリット・デメリットを把握しておこう

Photo byAnemone123

親を扶養したい場合には手続きはもとより、親を扶養した時のメリット、デメリットをきちんと把握しておきましょう。そうすることによって、親の退職後、保険関係で出来る限り節税し家計に余裕を持たせることも可能になってきます。もっとも同居などが必要になった場合はトラブルが起こることも考えられますので、慎重に考えてからにするといいでしょう。

asakamizuki
ライター

asakamizuki

現在3人の子育て中の主婦です。農業、介護士、テレアポ、不動産会社勤務などいろいろな仕事を経験しています。趣味は読書と家庭菜園。最近珍しい果物を育ててみたいなあと思っています。果物とエビとカニが大好きです。よろしくお願いします。

関連するまとめ

人気の記事