年金の追納はしたほうが良い?制度についてや方法・メリットなど紹介!

年金の追納はしたほうが良い?制度についてや方法・メリットなど紹介!

年金は老後の大切な収入源になります。経済的な理由で保険料を払えない時期があっても、年金の免除や猶予の制度を利用すれば、後になって追納して年金を満額受け取れたり、年末調整などでの節税が可能です。追納の方法や追納するメリットを理解して、安心した老後を迎えましょう。

記事の目次

  1. 1.年金の追納とは?
  2. 2.年金未納が引き起こす恐ろしい結末
  3. 3.年金追納の制度
  4. 4.年金の追納の方法
  5. 5.年金追納のメリット
  6. 6.年金の追納をしたら年末調整をすべき理由
  7. 7.年金の追納のタイミングについて
  8. 8.年金の「追納」と「後納」の違い
  9. 9.年金追納のメリットを最大限に活かそう!

年金の追納とは?

年金保険料を納付する場合に、収入が少ない、失業している、または所得のない学生など、年金保険料を支払うことが困難な状況にあるときは、手続きをすれば、ある一定の期間の保険料を免除・猶予扱いにしてもらうことができます。

その後、経済的に余裕が出来たり、学生の場合は就職して収入を得るようになった後に、支払っていなかった年金保険料の一部もしくは全部を、期間内に支払うことを年金の追納といいます。

追納は、未納の年金保険料の支払いをある一定期間保留にし、その後の支払いによって、老後の年金受給額を満額に近づけることが可能になるので、出来る限り利用したい制度です。

年金保険料を後払いすること

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年金制度は、20歳~60歳までの期間に、毎月保険料を支払い、原則65歳から年金を受け取ることができる制度のことです。年金保険料を支払っている期間に未払い期間があると、受給時になって年金を満額受け取ることができません。この未払い期間の保険料を後になって支払うことを、年金の後払いといいます。

「免除」や「猶予」制度を活用後の支払い

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年金の後払いをするためには、収入が少なかったり、失業している場合などは、年金保険料の納付の免除制度を、収入が少なかったり学生の場合は、年金の猶予制度の手続きをすることが必要です。

年金の免除制度は、所得が一定額以下の場合や失業していて、年金保険料を支払うことが経済的に困難な場合に利用することができます。

申請後に承認されると、保険料の支払いの一部もしくは全部が免除されます。免除期間は受給資格期間に算入され、年金額にも反映されるため、老後は一定の割合で年金を受け取れます。

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年金の猶予制度は、所得が一定額以下の場合の納付猶予制度や、職に就いていない学生が受けられる学生納付制度があります。

申請後に承認されると、保険料の納付が猶予されます。ただし、猶予期間は受給資格期間に算入されますが、年金額には反映されないので、老後にその期間分の年金を受け取ることはできません。

年金保険料の追納をするためには、このような年金の免除・猶予の制度の利用が必要で、制度の利用をしていなければ、後になって保険料の追納をすることはできないので注意が必要です。

年金未納が引き起こす恐ろしい結末

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最近、新聞・テレビ等で、将来の年金受給額が減額される恐れがあるため、2,000万円以上は自助努力で準備する必要があると報道され、世間を騒がせています。

これは年金が満額支給された場合の話であり、年金に未納分がある場合は、受給額が減額されるので、個人負担額はさらに増えて、老後の生活がより苦しくなる恐れがあります。

老後の先行きに不安があるにもかかわらず、年金保険料を支払わずに未納のままにしておくと、どのような恐ろしい結末が待っているのでしょうか?

障害年金と遺族年金が受け取れない悲劇

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年金には、老後に受け取る年金以外に、病気やケガで働けなくなったときに受け取る障害年金や、生計を維持している人が亡くなったときに、残された家族に支給される遺族年金がありますが、年金が未納の場合にはどちらも受け取ることができません。

学生時代にバイクで大事故を起こして全身マヒになった青年が、年金保険料が未納だったために障害年金が支給されず、青年の両親が多額の医療費を半永久的に負担し続けなければならないというニュースがあり、年金を納める重要性を痛感させられたことがあります。

年金保険料を支払わないことで障害年金や遺族年金が受け取れない事実を、きちんと理解できている人はどれくらいいるのでしょうか?

財産の差し押さえもある?

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経済的な理由で年金保険料が支払えないのではなく、支払える能力があるのにもかかわらず未納のままにしている場合は、督促状が送付され、最終的に財産を差し押さえされる場合があります。強制執行の対象者は年金300万円以上で7ヵ月分以上を滞納している場合で、年々対象が強化されています。

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これらの年金未納の場合に生じる恐ろしい結末を回避するためにも、年金保険料が経済的な理由で支払えない場合は、まずは免除・猶予の制度を利用し、その後に期限内に保険料を追納していく努力が重要です。後々になって、知らなかったでは済まされないことなので、未納分がある場合は、早めの行動と地道な努力をする必要があります。

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年金追納の制度

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年金の免除や猶予の制度を利用した場合には、老後の年金の受給額が全額納付の場合よりも低くなってしまいます。年金の受給が開始される年齢になると、現役時代と違って、年金収入が家計の中心になります。年金の受給額を少しでも多くする方法として、保険料を後から払う追納制度は可能であれば利用したいものです。

過去10年間の免除期間分の追納が可能

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免除・猶予期間に支払うことが出来なかった年金保険料は、過去10年間分にさかのぼって追納することが可能です。詳しくは、追納を申請し、承認された月の前10年以内の免除・猶予期間に限り、追納が可能ということになります。例えば、平成21年4月分の保険料の支払い分は、平成31年4月末まで追納が可能となります。

古い期間から順番に追納する

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年金保険料の未納分は、期限から2年経過すると時効により納付が出来なくなります。そのため、追納をする方法としては、時効を受けた古い期間の支払い分から順番に追納する必要があります。例えば、平成21年5月~平成22年4月の期間の保険料が未払いの場合は、一番古い支払い分となる平成21年5月分の保険料から支払うことになります。

追納加算額が加算されることもある

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免除・猶予の制度を利用した後に追納を行う場合、承認がおりた後、2年以内は保険料に追納加算が加算されないので、この期間内に支払うのが絶対的にお得です。3年目以降に支払う場合は、追納加算額が保険料に加算され総支払額が高くなってしまうので、注意が必要です。

3年目以降に追納する場合

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3年目以降に追納する場合は、経過期間に応じて、追納加算額を納付する必要があります。この加算額は年度が経過するごとに増え、10年目になると、1か月あたり約1,000円で年間12,000円の加算額が足されることになります。また、新年度の4月に支払うよりは、年度末の3月末日までに支払うほうがお得になります。

年金の追納の方法

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経済的な理由や学生であるため、年金保険料の支払いが難しくなったので、免除・猶予の制度を利用して、ある一定期間保険料を支払わなかった場合、老後になって年金を満額支給まで増額したいと考えた場合、どのような方法をとれば、保険料を追納することが出来るでしょうか?

年金事務所へ申込手続きをする

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年金保険料を追納する方法は、年金事務所で「国民年金保険料追納申込書」に必要事項を記載して申し込みをすることです。年金事務所に出向く時間がない場合は、申込書を取り寄せて郵送での申し込みも可能です。また申込書は年金ネットの画面上で作成することも可能です。身分証明書もあわせて準備しておきましょう。

厚生労働大臣の承認後に納付書を貰える

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納付書は厚生労働大臣が追納を承認した後に、郵送で追納期間分の納付書がまとめて送られてきます。納付方法は納付書での支払いとなり、口座振替やクレジット納付はできません。また、追納の手続き後に納付書が到着するまでに時間がかかる場合があり、到着が遅い場合は、追納は支払い期限もあるので、年金事務所に問い合わせてみましょう。

年金追納のメリット

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年金保険料を支払わずにいると、年金の支給が始まった時に、年金を満額を受け取ることが出来なくなります。年金は、老後の家計の主な収入源になることから、減額されるよりは出来るだけ満額を受け取れるようにしたいです。免除や猶予の制度を利用している場合、追納によって将来の年金額を増やすことが出来ます。追納によるメリットをみてみましょう。

メリット①年金受給額を増やせる

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年金保険料を追納するメリットは、将来の年金受給額を増やせることです。免除や猶予の制度を利用した多くの人が、追納することによって年金額の増額を実現しています。追納するかしないかによって、生涯受給年金額にどのくらいの差があるか計算して比較してみましょう。

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計算式は次のとおりです。満額年金額×(保険料納済期間(月数)+保険料の免除月数×免除の割合)÷480(年金支払い総月数)=1年間に受け取れる年金額となります。

全額免除期間が2年ある場合の1年間に受け取れる年金額は、満額年金額を約80万円とした場合、800,000×(456(納付年数38年×12か月)+12(免除月数24か月×免除の割合2分の1))÷480=約78万円というような計算式になります。

満額年金額が約80万円であれば、1年間の受給額の差は約80万円-約78万円=約2万円となり、2年間の保険料を追納すれば、この年間2万円の差額を受給できる計算になります。この差は長生きすればするほど大きくなるので、追納する方がメリットが大きいと言えます。

メリット②確定申告することで過払い分が還付される

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年金保険料を追納するメリットは、追納分の保険料を支払った翌年に年末調整や確定申告すれば、過払い分である税金が戻ってくることです。会社に勤めている場合は年末調整で手続きができます。所得税5%分と住民税10%分が還付されるため、実際に追納する額は減額されることになります。

年金の追納をしたら年末調整をすべき理由

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年金保険料を追納することによって、年末調整で税金が控除されることがあります。つまりは支払う年金保険料が安く済むということになります。そのためには会社員の方などは、年末調整での申告を忘れずにしましょう。

年末調整とは、1~12月までの1年間に支払われた給与と賞与に対して、既に先払いされた所得税を本来の税率で計算しなおし、年末調整の際にその年の所得控除を考慮して、正しい所得税の税率が決定されます。

所得税の税率が決まれば、その結果として、年末調整で払いすぎていた税金が戻ってくることになり、追納で支払った保険料が減額されたことになります。

保険料も所得控除の対象

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年末調整や確定申告の所得税の税率をきめる際に、所得控除は、課税の公平性を図るために、個人的な事情等を考慮して課税されないようになっています。現在、配偶者・扶養控除、医療費控除など、14種類の所得控除がありますが、社会保険料である「年金」の支払いも所得控除の対象となります。

年金の追納のタイミングについて

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年金の保険料を追納をしたい場合、どのタイミングで保険料を支払ったらいいでしょうか?20歳から年金の加入義務があるが、学生ということで仕事に就いていない場合に、学生が在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例」を利用することは可能ですが、その場合はいつ追納するのがベストなのでしょうか? 

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学生納付特例は、通常の年金の保険料免除申請と違い、免除期間分の年金加算額が年金額に反映されないため、将来もらえる年金が満額に満たないというデメリットがあります。よって学生時代の猶予分はできるだけ社会人になってから期限内に追納し、受給時に満額の年金を受け取れるようにしましょう。

学生時代の未納分が2年分ある場合

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学生時代に年金の未納分が2年ある場合は、追納は2年の期限で支払うことをおすすめします。なぜならば、3年目からはいわゆる利子のような加算額が上乗せされるからです。よって対処方法としては、社会人2年目になってからまとめて支払うか、社会人1年目と2年目に1年分ずつ支払かのどちらかが、おすすめの支払い方法です。

対処法①社会人2年目にまとめて払う

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追納する保険料は、社会人2年目にまとめて支払うのがお得になります。追納により、支払った金額を所得から控除することができるので、所得が多いほど節税効果が高くなります。

また、1年目は所得税しか差し引かれませんが、2年目からは住民税も差し引かれるので、2年目にまとめて払うことで、年末調整や確定申告の際に、控除による恩恵を最大限受けられることになります。

対処法②社会人1年目と2年目に1年分ずつ払う

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年金の保険料を社会人2年目にまとめて支払うことが難しい場合は、1年目と2年目で1年分ずつ支払うこともできます。ボーナスがあれば、毎月の支払いもかなり楽になります。3年目からは加算額が上乗せされるので、出来るだけ2年の期限以内に返すことを目標にしましょう。2年間で追納を完済するという強い意志を持つことが大切です。

年金の「追納」と「後納」の違い

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年金の追納と後納は、どちらも未払いの年金保険料を後で支払うことを言います。年金の追納はこれまでも見てきたように、年金の免除・猶予の制度を利用した人が、将来の受給年金額を増やすために、10年の期限以内にその年金保険料の一部または全部を支払うことをいいます。追納は制度を利用した特定の人を対象とした後払い制度です。

後納は「未納」の保険料を支払う制度

年金の後納は、追納と同じように、過去に納付していない保険料を支払う方法です。ただし追納は、年金の免除や猶予の制度を利用した後に、年金を後払いするのに対して、後納は単に年金の保険料の未納分を後で支払う制度です。

後納制度は、保険料を適切に納付している人と、納付できずに将来が無年金もしくは低年金になる可能性のある人との格差を防ぐ特例措置として設けられました。

平成24年10月1日~平成27年9月30日の期限で10年間、平成27年10月1日~平成30年9月30日の期限で5年間の後納の特例措置が設けられましたが、現在は後納の制度は終了しています。

納付期限から2年以内に納めなければ未納

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毎月支払う年金保険料は、その翌月末が納付期限となっています。ただ、納付期限から2年が経過すると、時効になって納めることが出来なくなり、未納期間として確定してしまいます。

未納分の年金保険料を支払うことができた後納制度がなくなった現在、保険料を支払う余裕がない場合は、免除・猶予の制度を利用して、追納の手続きで後から期限内に保険料を支払う方法をとりたいものです。

年金追納のメリットを最大限に活かそう!

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年金保険料を払いたいけど払う余裕がない場合には、そのまま未納のままに放っておかずに、とりあえずは年金事務所で年金の免除・猶予などの手続き方法をとりましょう。

そうすれば、未払い期間であっても、その期間は、年金を受給するために必要な受給資格期間にカウントされるし、その後に期限内に保険料を追納することで、年金受給額を満額に近づけたり、年末調整や確定申告によって税金の還付を受けることができます。

人生100年時代のこれからの私たちの暮らしは、働き続けることで収入を得ることも重要ですが、体を壊したり、いろいろなトラブルが見舞われることを想定すると、年金は、老後の生活を支える重要な収入源となるので、満額の年金を受給できるよう努力しましょう。

最近では、少子化と高齢化社会から年金が当てにできないという風潮から、年金保険料を追納するよりも、個人年金や投資などによって資産を増やす方法をとる方がメリットが高いと言われたりもしています。

しかし、将来的に年金の支給額が多少減額されることがあったとしても、平均寿命が長くなってきている今、終身で受給できる年金について真剣に考えてみることは必要です。

今、追納するか迷っているのであれば、迷わず将来のために、未払いの年金保険料を少しずつでも支払う努力をするのが賢明です。

imochan
ライター

imochan

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