諸々の意味とは?
「諸々」という言葉は何かと日常生活の中で使う表現ですが、どのような意味か知っていますか?もしかしたらきちんと意味を知らないまま「諸々」を使っている人もいるかもしれません。
そもそも「諸々」とは「しょしょ」ではなく、「もろもろ」という読み方ができます。「諸々」は「多くのもの」「いろいろなもの」「さまざまなもの」といった意味を持っています。
日常会話の中では「諸々の説」「その他諸々」「諸々の理由」といった使い方をすることが多い言葉となっています。
つまり「諸々」は「たくさんの」「多くの」といった意味合いを持つ言葉となっているので、数が多い事柄な物事に対して使う言葉です。
諸々の由来
まず「諸々」の「諸(もろ)」は「いろいろの」「多くの」といった意味を持っていて「諸外国」や「諸問題」といった使い方ができます。
さらに「諸(しょ)」の場合は「両方の」「共にする」という意味で、「諸刃」「諸手」といった使い方をします。
「諸諸」と書くのも間違いではないのですが、「諸々」と書く使い方の方が一般的なのであまり使わないことをおすすめします。
もともと「多くの」「たくさんの」という意味合いの「諸」を重ねることによってより一層そういった意味合いを強めている言葉となっています。
諸々の特徴
「諸々」という言葉にはどのような特徴があるのでしょうか。読み方が「もろもろ」という漢字の書き方には「諸諸」と「諸々」があるわけですが、実際にどちらも使われている表現です。
次の項目から「諸々」と「諸諸」というどちらも「もろもろ」と読める言葉はどちらが日常的な使い方として正しいのか、どういった違いがあるのか説明していきます。
さらに「諸々」はどういったシーンで使うのがおすすめなのか合わせて紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
「諸々」と「諸諸」正しいのは
結論から言うと「諸々」と「諸諸」はどちらも正しい使い方となります。読み方はどちらも「もろもろ」と読みます。「しょしょ」という読み方をしたくなるかもしれませんがこちらは間違いです。
「しょしょ」という読み方を持つ漢字には「諸所」というものがあるので「諸々」と混同しないように気をつけましょう。
日常的に使うのであれば「諸々」という使い方の方がおすすめですが、実は「諸諸」という使い方は古典に見られることがよくあります。
「諸々」と「諸諸」には違う意味がある
上記で「諸々」と「諸諸」の読み方の違いについては言及しましたが、実は読み方以外にも意味にちょっとした違いがあります。
まず「諸々」は「たくさんの」「多くの」といった意味合いを持っていてどのような名詞と合わせても使える汎用性の高い言葉となっています。
一方で「諸諸」は万葉集といった古文に用いられることがあり、実は「多くの人々」「すべての人々」といった意味合いを持っています。
現代では「諸々」も「諸諸」も同じような意味の使い方をされていますが、詳しく見ていくとこういった意味合いの違い方があるのです。
ビジネスシーンにも日常会話にも使える意味
具体的な例文は後程紹介しますが、「諸々」はビジネスシーンにも日常会話にも使えるとても汎用性の高い言葉となっています。
「様々」という表現はよく使うけれど少しだけ賢い言葉を使ってみたいという時にもピッタリの表現です。
もしも相手との会話の中で「諸々」を聞くことがあれば「諸々」は「さまざまな」「多くの」といった意味合いがあることをしっかりと把握しておくことによって一層会話が弾むこと間違いなしでしょう。
諸々の類語
ここまで「諸々」の意味について説明してきましたが、ここからは「諸々」の類語を紹介していきます。
どのような言葉にも類語があるように、「諸々」にももちろん類語は存在します。ここから「諸々」の類語について説明していきます。
まず「諸々」の類語としては色々・諸般・種々・様々・よりどりみどり・各般といった類語があります。次の項目からそういった「諸々」の類語を紹介していきます。
「諸々」の類語「色々」
まず「諸々」の類語には「色々」という言葉があります。「色々」は「いろいろ」という読み方ができ、日常生活でもよく使われている表現です。
「色々」の意味としては「種類の多いさま」「さまざま」といったものがあります。そして「その他色々」「色々なもの」といった使い方をされることが多いです。
「諸々」という言葉は比較的フォーマルなイメージなのに対して、「色々」は日常生活で使うようなカジュアルな表現となっているので目上の人に使うのはあまりおすすめしません。
「諸々」の類語「多彩」
「多彩」という漢字は「たさい」という読み方があり、「多くの」や「さまざまな」といった意味を持つ言葉として知られています。
しかし「異種性」や「刺激的な色を持つ」といった意味合いを持っている漢字でもあるので完璧「諸々」と同じような使い方ができる言葉ではありません。
例文としては「多彩な意見」といった使い方もあるのでもしも「諸々」といった言葉以外に「さまざまな」という表現がしたい場合はおすすめの表現です。
「諸々」の類語「諸般」
次に紹介したい「諸々」の類語は「諸般」となります。「しょはん」という読み方のできるこの言葉は「色々な事柄」「さまざまな」といった意味合いを持っています。
「諸般」は「諸般の事情」といった使い方をされることが多く、「さまざまな事情」といった意味合いになります。
比較的「諸々」よりもあいまいな表現なので、もしもマイナスな事柄に対して「さまざま」といった意味を指したいときに使うのがおすすめなのが「諸般」です。
「諸々」の類語「種々」
「諸々」の類語には「種々」といった言葉もあります。こちらは「しゅじゅ」という読み方をすることができます。
「種々」は主に「種類の多いさま」という意味を持っていて、対象が種類や方法の時に使うのがおすすめの言葉です。
「諸々」と比べて比較的日常生活の中では使われない表現なので、もしも文書で難しい表現をしたいときに使うのがいいかもしれません。
「諸々」の類語「様々」
「諸々」とよく似た言葉に「様々」という言葉があります。「様々」は「さまざま」という読み方があり、「あれこれと異なっているさま」「いろいろ」という意味を持っています。
例文としては「様々な例」というような使い方ができ、日常生活の中でも目上の人に対しても使うことのできる汎用性の高い言葉となっています。
もしも目上に人に「諸々」という言葉を使いにくいと感じた場合は「様々」に置き換えることによってスムーズに会話することができます。
「諸々」の類語「よりどりみどり」
次に紹介したい「諸々」の類語は漢字ではなく慣用表現の「よりどりみどり」となります。意味合いとしては「好き勝手に選んで取ること」を指し、何かを選ぶ際に使われる表現です。
「よりどりみどり」の例文としては「このバイキングはよりどりみどりだ」というような使い方をすることができ、日常の中で使うのがおすすめな言葉となります。
「諸々」の類語「諸種」
「諸々」の類語には様々なものがありますが、「諸種」を使う人はあまりいないかもしれません。「諸種」は「しょしゅ」という読み方ができます。
意味合いとしては「多くの種類」「いろいろ」という意味を持っていて、まさしく「諸々」の類語の一つとです。
「諸々」と比べてフォーマルな言い回しとなるので、日常生活の中で使うというよりも文書に用いられることの多い表現となります。
「諸々」の類語「各般」
最後に紹介したい「諸々」の類語は「各般」となります。「各般」の読み方は「かくはん」となり、意味もこれまでと同じように「もろもろ」「いろいろ」という意味があります。
「各般の手を尽くす」という使われ方をされるように日常の中で使うよりも文書の中で使うのがおすすめの表現となります。
諸々の使い方
ここまで「諸々」の様々な類語について説明してきましたが、ここからは具体的に「諸々」という言葉を使った例文を紹介していきます。
「諸々」はビジネスシーンにも日常会話にも使うことのできる言葉です。ビジネスシーンで使う場合は理由を明かしたくない時や特定されたくない時に使われます。
さらにどうしても時間がないときに内容を省かなければならない状況に陥ってしまったら使える便利な表現でもあるのでしっかりと状況を見極めて使いましょう。
例文①
まず「諸々」を使ったビジネスシーンでの例文を紹介します。「諸々の件、よろしくお願いします。」「諸々、お世話になりました。」というような使い方をします。
具体的に内容を説明するのが憚られる際にお礼を伝えたり、お世話になった事を伝えたいときに「諸々」を使って婉曲的に表現するのがおすすめです。
例文②
「諸々の事情で延期する」「諸々の事で裏側が見えてきた」という使い方をするときはやはり内容はあまり言えないけれど何かしらの事情があるのを説明したいときにおすすめです。
「諸々」という言葉を聞くだけであまり説明できない事情があるのが伝わってくるので、そういった使い方をしたい人にぴったりの表現という事ができます。
例文③
相手が色々なことをしてくれてお世話になった時に「諸々ありがとうございました」という例文が使われます。
一つ一つ細かい内容を説明する必要はないけれど、しっかりとお礼を使えたい場合に「諸々」が使われる場合があります。
何かと忙しい人は「諸々」を使って簡潔に会話を済ませたくなるかもしれませんが、本当にお世話になった人にはしっかりとお礼を伝えることも大切です。
例文④
「諸々」は何かを依頼するときにも使われる言葉となります。例文としては「諸々お手数おかけします。」「諸々よろしくお願いします。」というような使い方をします。
上記と同じように内容を詳しく言う必要はあまりないけれど、お世話になる旨を伝えたいときに「諸々」を使うことによって省略ができます。
やはり感謝を伝えるときと同じように、お世話になる時もしっかりと内容を伝えることも大切になってくるので忙しくない時は相手との会話の際に伝えるようにしましょう。
例文⑤
「諸々」はビジネスシーン以外にも日常会話にも使えると紹介しましたが、「諸々必要なものをそろえよう」という風に使うことができます。
仲のいい人同士だからこそそこまで内容を詳細に語らなくても使うことのできる便利な表現なので使っている人も多いかもしれません。
さらに「諸々の条件をクリアしないといけない」といった文にも使えるのが「諸々」という言葉なので日常会話でも簡単に使えることがよくわかります。
例文⑥
最後に紹介したい「諸々」の例文は謝罪の時に使うものとなります。例文としては「諸々すみませんでした。」という使い方があります。
ビジネスの際に使われるような表現に思えますが、色々と内容を省くという事は相手にとって失礼にあたることもあるので「諸々」を謝罪の際に使うのは注意が必要です。
詳しくは下記の方で「諸々」の注意点で説明しているので、「諸々」の使い方に不安を抱いている人はぜひ参考にしてみてください。
諸々の英語表現
どのような日本語にも英語表現があるように「諸々」にも英語表現は存在します。主な英語の単語としては「many」、「various」といった単語があります。
「諸々」の英語表現としては「all kinds」や「large number of peoples」といったものがあるのですが、時と場合によって使い分けることが大切になってきます。
「諸々」は物や人に対して汎用性の高い言葉であることを念頭においておけば英語表現にも幅が出るのも納得がいくはずです。
many
「many」の「たくさんの」という意味を持っていて、まさしく「諸々」と対応した英語の単語となります。
「many things」といった文のように使うことができ、「諸々の事」といった日本語を訳したいときに簡単な英文で表現することができます。
比較的簡単な英語の単語なのであまり英語が得意でない人でも簡単に使うことのできる英語表現となっています。英語を学習している人はこういった表現から学んでいくことも大切かもしれません。
various
「various」の意味は「いろいろの」となっているのでこちらも「諸々」の英語表現として使われています。「many」よりも少しフォーマルな使い方をするのが特徴です。
「諸々の事」のように「various things」といった簡単な使い方をすることもできるので、「many」以外の英語表現を使いたいときにおすすめの表現です。
中学レベルの英語でも「various」は使われているので、覚えておいて損はない英語の単語となっています。
all kinds of
次に紹介したい「諸々」の英語表現は「all kinds of」となります。こちらは「さまざまな」という意味のほかに「多数の」という意味も持っているので文脈によって見極める必要があります。
「all kinds of」も比較的中学レベルの英語に使われる表現となっているので「諸々」という言葉を英訳したいときにもピッタリな表現です。
large number of
「諸々」には「さまざまな」といった意味のほかに「多くの」という意味を持っています。そんな時に使える英語表現が「large number of」となるわけです。
この英語表現は「諸々の人」を訳したいときに「large number of people」というように簡単に表現することができます。
上記と同じくあまり高難度の英語の表現ではないので、もしも「諸々」を訳したいときに使ってもいい表現の一つです。
諸々の注意点
ここまで「諸々」の意味の説明や例文、さらには英語表現まで紹介してきました。ビジネスシーンにも日常会話にも使える「諸々」ですが、いくつか注意点があることを覚えておきましょう。
まずはどのような人物との会話で使うべきか見極めることが大切です。相手の立場によっては失礼にあたる場合があるので、次の項目でも説明してきます。
さらに「諸々」には「唯々諾々」や「諸所」といった似たような漢字もあるためそういった感じと混同してしまわないように注意する必要があります。
目上の人に使う際は注意が必要
まずは「諸々」を使うにあたって目上の人に使う際は注意が必要なことは覚えておきましょう。「諸々」は敬語ではないのでしっかりと敬語表現と共に使う必要があります。
さらに「諸々」と使うという事は詳細を省いているという事でもあります。人によっては詳しい説明を省くというのは失礼に感じる人もいるのでもしかしたら「諸々」はあまり使わない方がいいのかもしれません。
どうしても時間がなくて詳細を話す暇がない場合は使っても大丈夫ですが、しっかりと敬語表現と合わせて失礼のないような日本語の使い方をしましょう。
「諸々」は謝罪で使うと失礼にあたる
「諸々」は内容を説明しにくいときや内容を省きたいときに使える便利な表現ですが、謝罪する際に使うと失礼にあたってしまう場合があります。
もしかしたら謝罪するときは焦って「諸々」を使ってしまう人もいるかもしれませんが、やはり謝る時は詳細を話して許しを請うことが大切になってきます。
これまで「諸々」を謝罪する際に使ってしまっていた人はこういった注意点を念頭に置いておいて、しっかりと誠心誠意込めて謝罪するようにすることをおすすめします。
「モロモロ」は正しい日本語ではない
擬音語の「モロモロ」は漢字の「諸々」と音が同じなため文章で使いたくなるかもしれませんが実は正しい日本語ではなことをご存知でしたか?
この擬音語「モロモロ」は水分と粉末を混ぜ合わせた際に混ざり切ってないさまを表す状態を指しています。
さらに絵の具がチューブから出ない様子も意味しているので、もしもこれまで「諸々」を「モロモロ」と書いていた人はこれから注意しましょう。
「モロモロ」の由来は「脆い」という言葉から来ているとされているので「諸々」とはあまり関係性がないことがわかります。
「唯々諾々」は似てるけど違う意味
「唯々諾々」は「いいだくだく」という読み方をします。意味合いとしては安直に人のいいなりになるさまを指していて「諸々」とは全く違った意味となります。
「唯々諾々」の「諾々」の部分が比較的「諸々」と似ているので混同してしまいがちですが、しっかりと意味を知ることによって間違えることは少なくなるかもしれません。
この四字熟語がどうやら『韓非子』から由来しているので、尚更「諸々」とは違った意味合いであることがわかることでしょう。
「諸般」と似ているが意味合いは違う
「諸々」の類語に「諸般」というものがあると説明しましたが、やはり似ている漢字のため間違えてしまう人が多くいます。
もしも文書で「諸々」を使うことがあるのであればこういった単純なミスをしないように再三チェックをすることをおすすめします。
「諸所」だと意味合いが変わってくる
最後に紹介したい「諸々」の注意点は「諸所」と間違えやすいという点です。「諸所」は「しょしょ」という読み方なのですが「所」という漢字が示すように場所のみが対象になります。
「諸々」が「しょしょ」と読めてしまうので「諸所」と混同してしまうかもしれませんが、しっかりとした対象の違いがあることを念頭に置いておきましょう。
以上で「諸々」に関する注意点を紹介してきましたが、やはり大事なのはTPOに応じた使い方としっかりと漢字の使い分けをするといったことになります。
諸々は多くのもの、さまざまなという意味
ここまで「諸々」に関する様々な情報を紹介してきましたが、「諸々」はビジネスシーンにも日常会話にも使えるとても便利な表現です。
もう一度説明しておくと「諸々」は「多くのもの」「さまざまな」といった意味を持つ言葉なので他の似ている漢字と混同しないように使うことが大切です。
そして目上の人に対して使う場合や「諸々」の英語表現も紹介したので、使う時が来たらそういった表現を是非使ってみてください。