冷蔵庫の仕組みを分かりやすく解説!冷却・冷凍される機能の原理とは?

冷蔵庫の仕組みを分かりやすく解説!冷却・冷凍される機能の原理とは?

あまりよく知らない冷蔵庫の仕組みについてまとめています。冷蔵庫はどんな仕組みで中のものを冷やしているのか? ヒートポンプを利用した冷却方法やその種類から、フロンとノンフロンの違い、温度調整の機能、冷凍庫の効率の良い使い方なども紹介しています。

記事の目次

  1. 1.冷蔵庫の冷却・冷凍機能の仕組み
  2. 2.冷蔵庫の冷却方式一覧
  3. 3.家庭用冷蔵庫の冷却方法
  4. 4.冷蔵庫の負担を減らす方法
  5. 5.冷蔵庫は気化熱で内部を冷却している

冷蔵庫の冷却・冷凍機能の仕組み

Photo byPeggy_Marco

普段、何気なく使っている家電、冷蔵庫。電源を入れれば中に入れたものを冷やしていてくれる、ということは知っていても、その仕組みまでは知らない人が多いのではないでしょうか。また、フロンやノンフロンなど、時々耳にするけれどよく分からない単語もあります。

そこで、冷蔵庫の仕組みやその機能について、分かりやすくまとめてみました。仕組みを知れば、冷蔵庫を買い換える際の参考にもなります!

冷蔵庫は気化熱で冷やされている

Photo byEngin_Akyurt

冷蔵庫は基本的に、液体を気体に変化させる際に発生する気化熱という現象を利用して、中に入れた食材や飲み物を冷やす仕組みになっています。

汗をかいてしばらくしたら、体が冷えて寒い!という経験がある方は多いでしょう。その原因が気化熱です。液体が蒸発するのには熱が必要なのですが、熱をどこから持ってくるかというと、液体が触れている部分からになります。

その結果、熱を奪われた部分が冷えていくという現象が起こります。その現象を利用して、冷蔵庫は中のものを冷たい温度で保っています。

冷蔵庫内には冷凍サイクルが生じている

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冷蔵庫は、冷媒という物質を使って、冷蔵庫内の熱を奪ったり、放出したりしています。冷媒の状態や温度の変化を管理して、冷却し続ける仕組みのことを、冷凍サイクルと呼びます。

冷凍サイクルは、圧縮、凝縮、膨張、蒸発という四つの状態を繰り返しています。気化している冷媒に圧を加えて圧縮し、それを凝縮器という部品で凝縮し、液化させます。

次に、膨張弁という部品で冷媒の温度や気圧を下げ、蒸発器という部品で周りの熱を奪い、蒸発します。この工程が、冷却を実際に行う箇所です。そして再び、最初の圧縮の工程に戻ることを繰り返して、冷蔵庫は中のものを冷やし続けています。

現在はノンフロン冷蔵庫が主流

フリー写真素材ぱくたそ

冷却を行うための冷媒には、フロンという人工的に作り出した物質が使われていましたが、これが成層圏のオゾンを破壊するという発見がされてから、フロンを使わない、ノンフロンの製品が主流として製造されるようになりました。

ノンフロンガスは自然界にもともとある物質なので、地球環境に優しい冷媒です。ノンフロンガスを使った場合、消費電力も大幅に減らすことができます。

冷蔵庫の買い替えを検討されている方は、ノンフロン製品を検討してみてください。ノンフロン製品はグリーン購入法の対象にもなっているので、お得に買い換えることができます。

冷蔵庫の冷却方式一覧

Photo by june29

冷蔵庫の仕組みは、冷媒=ノンフロンガスの気化熱を利用して温度を下げるというのは上の章で紹介しましたが、その冷媒の扱い方によって、冷却方式にはいろいろな種類があります。

冷蔵庫にはヒートポンプという技術が利用されており、そのヒートポンプにもまたいろいろな種類があります。ここでは、ヒートポンプの仕組みをいくつか紹介します。

気化圧縮型の仕組み

Photo byPanals

冷蔵庫内のパイプの中で冷媒をぐるぐると循環させながら、冷凍サイクルを行っているのが、気化圧縮型のヒートポンプです。

パイプの太さを変えることにより冷媒の温度がさらに下がり、低い温度の冷媒が冷蔵庫内のパイプを循環することにより、冷蔵庫を冷やすという仕組みになっています。

気化吸収型(吸収式)の仕組み

Photo bygeralt

気化吸収型(吸収式)とは、冷媒を液体に吸収させて冷蔵庫内を循環させることにより冷却する仕組みのことです。この液体を吸収液と呼ぶことから、吸収型と呼ばれます。

吸収液を循環させるために熱源が必要ですが、電気である必要はなく、ガスバーナーを用いたガス冷蔵庫もあります。コンプレッサーが不要なので静音性が高く、病院や医療業界やホテルなどの業務用冷蔵庫や、レジャー用の小型冷蔵庫などでも使用されることが多いです。

スターリング冷凍機の仕組み

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スターリング冷凍機とは、スターリングエンジンという温度差を利用して駆動するエンジンを利用して、外部の動力で駆動させることにより温度差を作る仕組みのことです。温度差があれば動くので、小型のものであれば、お湯を沸かした際の湯気だけで駆動させることができます。

平成四年に打ち上げられた地球観測衛星ふよう1号では、光学センサーを冷却するのに使用されました。

ペルチェ効果型・ペルチェ素子式の仕組み

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ペルチェ効果型・ペルチェ素子式とは、電流を流すと吸熱・発熱する電子部品を利用して、冷却装置とする仕組みのことです。こちらも気化吸収型と同様にコンプレッサーが不要なので、作動音がほとんどありません。

気化圧縮型や気化吸収型に比べると非常に安いですが、冷却効率がよくないため、車用の冷蔵庫や、缶やペットボトル向けの超小型冷蔵庫などに利用されています。

ケミカルヒートポンプの仕組み

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ケミカルヒートポンプとは、化学反応を利用して低温部分から熱を奪い、高温部分へと熱を移動させる仕組みのことです。

ヒートポンプという言葉自体、これ以外の仕組みのものも総称しますが、特に化学反応を利用したものを指してケミカルヒートポンプと呼びます。

水素吸蔵合金の仕組み

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水素吸蔵合金とは、水素を取り込む性質のある金属を複数合わせて合金にすることによって適した性質にし、水素を吸収させることを目的とした合金のことをいいます。水素をこの合金に吸収させ、放出させる時に発熱・吸熱する原理を利用する仕組みになっています。

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家庭用冷蔵庫の冷却方法

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この章では、家庭用冷蔵庫の一般的な冷却方法である、直冷式(自然対流式)とファン式(強制対流式)の二種類についてまとめていきます。どちらにもメリット・デメリットがあるので、設置する場所や使用方法に合わせて選ぶとよいでしょう。

直冷式(自然対流式)のメリット・デメリット

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直冷式(自然対流式)とは、冷蔵庫内に冷却用の管を巡らせて、管からの冷気で直に冷却する方式のことです。庫内の温度差によって起こる対流で、全体を冷やします。50~70L程度の小型冷蔵庫に用いられることが多いです。

メリットは、ファンを利用しないため、静穏性が高く、消費電力が少ないことです。デメリットは、自然な対流に任せるため、冷却効率が余りよくないことや、食品や飲み物などで庫内を満杯にすると、自然対流が起こらず鮮度が悪化する可能性があること、霜取りをする必要があることなどです。

ファン式(強制対流式)のメリット・デメリット

Photo bysedatgunduz

ファン式(強制対流式)とは、冷却機構にファンを取り付け、冷気を循環させることにより冷蔵庫内全体を冷やす方式のことです。ファミリー向けの大型冷蔵庫で主流の方式です。

メリットは、ファンで風を起こして対流させるため、冷蔵庫内の隅々まで冷気が行きわたり、全体的に温度が保たれることです。デメリットは、駆動音が立つことと、部屋によってはサイズを選ぶ必要があることです。

冷蔵庫の負担を減らす方法

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一般的に、冷蔵庫の寿命は10年といわれていますが、なるべくなら長く使いたいものです。冷蔵庫への負担を減らして機能を維持しながら、長く使い続けるには、どのような点に気を配ればよいでしょうか。

冷蔵庫内部を適切な温度に保つ

Photo byOpenClipart-Vectors

冷蔵庫内部を適切な温度に保つと、部屋と庫内との温度差が少なくなり、機械部分の負担が少なくなります。冷蔵庫内の温度は、弱から中程度に設定し、冷蔵庫の中を冷えすぎないようにすると、食材も長持ちします。

背面・側面の放熱を防がない

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冷蔵庫は内部を冷却している分、本体の熱を冷蔵庫全体で放出しています。家具や壁が近くにあると、うまく放熱できずに熱をため込んでしまい、機能低下や故障の原因にもなりかねません。

冷蔵庫の機能をきちんと維持するためにも、壁や家具からは一定の距離を置いて設置するのが望ましいです。冷蔵庫を購入する際には、置く予定の場所のサイズもしっかり測っておきましょう。

冷蔵庫内に食材を詰め込まない

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直冷式(自然対流式)冷蔵庫のデメリットにも書いたように、小型冷蔵庫は自然対流に任せて冷やすため、そもそもの機能的に冷却効率がよくありません。

冷気の循環が悪いところに食品や飲み物などを詰め込むと、さらに冷気の巡りは悪くなってしまいます。冷蔵庫に入れている食品の鮮度が落ちたり、無理に冷やそうとして冷蔵庫自体にも負担がかかったりしてしまいます。

冷蔵庫の中身は7割程度を目安に、食材を保管したり使ったりしていきましょう。ちなみに、冷凍庫の場合は、逆になるべく詰める方が冷凍効率が良いようです。

ドアの開閉時間を短くする

Photo byOpenClipart-Vectors

冷蔵庫から食品を出し入れする際、ドアを長く開けてしまうと、そこから冷気が漏れ出して、安定して保たれていた温度が上がってしまいます。そして変化した温度を元に戻そうと、機械部分が余分に機能し、冷蔵庫本体に負担がかかります。

冷蔵庫の負担を減らすためにも、開閉時間をなるべく短くしたり、開ける回数を減らしたりすることを意識すると、電気代の節約にもなります。冷蔵庫用のカーテンを使って、冷気を逃げにくくするのも一つの手です。

冷蔵庫は気化熱で内部を冷却している

Photo byOpenClipart-Vectors

冷蔵庫の基本的な仕組みを、簡単に紹介しました。気化熱で冷える、という知識を知っておくと、普段使う際に冷蔵庫の見方が変わるかもしれません。また、長く使うための方法もまとめましたので、これから冷蔵庫を使っていく際に意識すると、節約にもなるのでおすすめです。

にったあきこ
ライター

にったあきこ

手芸やDIYなどが趣味です。ライター仕事は初めてで右も左も分かりませんが、元々興味のあった業種なので頑張ります。

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