終日の意味とは?
ビジネスシーンやお店の営業時間などで「終日」や「終日営業」という言葉をよく聞いたり、見たりしますが「終日」とは一体どういう意味なのでしょう?
「終日」は読んで時の如く「日中が終わるまで」という意味です。基本的には夜間を除く一日中を指す意味の言葉となっていますが具体的な時間は何時までを指すのかはあまり知られていません。
「終日」は「しゅうじつ」と読みますが、他にも「終日」と書いて様々な読み方があります。「ひねもす・ひもすがら」とも「終日」とかいて読む事ができます。
古くから使われている読み方で朝から晩まである状態が続く様子を指す意味の言葉として使われていました。「春の海(ひねもす)終日のたり、のたりかな」と与謝蕪村が読んだ俳句にも「終日」が使われています。
俳句の意味としては「春の海を眺めて一日中ぼーっと過ごしていた」という意味で「終日」が使われています。偉大な俳人も使う「終日」は時を経ても現代の私たちに「終日」の言葉の深さを思い知らせるような俳句を読んでいます。
「終日」の類語と意味を紹介します。「終日」の使い方と例文を紹介し、実際に身の回りで使われる「終日」の意味や「終日」が示す時間を解説します。
「終日」と並んでよく使われる「全日」との意味の違いや何時までと言った使い方の区別を紹介します。「終日」と類語の「全日」の違いを理解してビジネスシーンや日常での勘違いや、スケジュールの組み間違いをしない様にしましょう。
「終日」と「全日」はよく似ていて混同して覚えていることもありますので「終日」と「全日」の違いをしっかりと理解して言葉の使い間違いや、意味の取り違えをしないようにこれを機会に覚えておくといいかもしれません。
終日の類語
「終日」には多数の類語が存在します。「一日中」「四六時中」「旦夕」「昼夜」「一両日中」などがあり、どれも一日の時間を指した意味の言葉となっており、使い方やビジネスシーンなどによって何時までの時間を指すのかが異なります。
会話に使いやすい「終日」の類語や日頃の時間感覚から言われている類語となっていますので状況に応じて「終日」を使うのか、「終日」の類語を使う方が相応しいのかが変わります。
適切な状況と場面で「一日中」を表現できるように「終日」の類語と意味を例文の解説を交えながら解説します。
「終日」のどの類語の意味もその時間を示す間は自分の意思がある状態の事を示し、自分が寝ている時間は含みません。ひいては行動している間や、営業している時間、勤務している時間の範囲を指す言葉となっています。
「終日」の使い方によって「終日」が何時までを意味するのかが異なりますので「終日」という言葉が出た折には指し示す事柄の行動や、営業・勤務時間が何時から何時までなのかを確認する事が重要です。
終日の類語と意味①
「終日」の類語①は「一日中」という類語です。「一日中」とは「朝から晩まで」「まる一日」を意味する表現であり、表現の対象となる「一日」の範囲全体を表す意味の言い方となっています。
よく使われる例文としては「今日は一日中外出していた」や「一日中読書に耽っていた」など会話の中で「一日中」という言葉がよく用いられます。
「一日中」は読んだままの言葉と意味を持っていますので「終日」はビジネスシーンなど改まった場で使い、「一日中」はかしこまる必要のない場面で使うと相応しい使い方のできる「終日」の類語表現となっています。
終日の類語と意味②
「終日」の類語②は「四六時中」という類語です。「四六時中」とは「一日中」「始めから終わりまで」を意味する表現であり、24時間全体をいうのではなく「自分が起きている時間」の事を意味します。
よく使われる例文としては「四六時中釣りの事しか考えられない」や「彼は四六時中彼女の事を想っている」など「一日中」と同じく会話でよく用いられる言葉となっています。
恋や趣味などで使われる「四六時中」という表現はビジネスの場ではあまり使われる事はありません。砕けた間柄で話をする時に「四六時中」と使うことが多くなっています。「四六時中」の使い方はプライベートや親しい仲間内で「終日」を言い換える時に使うと覚えておくと良いでしょう。
終日の類語と意味③
「終日」の類語③は「旦夕」という類語です。「旦夕」と書いて「たんせき」と読みます。元々は「朝と晩」という意味の表現でしたがそこから転じて「いつも」という意味をあらわします。
「旦」という漢字は日が昇る様子を表現した漢字となっており、お正月に「元旦」といいます。「旦」という漢字は朝を表し、「夕」という漢字二文字で「朝と晩」という意味になります。
日常会話ではあまり「旦夕」という言葉を使うことはありませんが、例文としては「旦夕に迫る」「旦夕は気温が高くなってきたので水をよく飲むようにする」などがあります。
「一日中」や「終日」は当日の事を指しますが「旦夕」は「この頃」や「いつも」のように時間の意味を少しぼやかした表現となっています。
「旦夕」は挨拶や具体的に日にちを指定しない場合に使うと大人っぽく感じる言葉遣いとなっています。ビジネスレターなどの挨拶で「この頃」を「旦夕」に言い換える場合などに有効です。
ビジネス上では「旦夕」という言葉に具体的に「何時まで」や「今日中に」という意味は含みませんので「旦夕」という言葉の使い方としては上記の様に挨拶に留めるくらいの使い方で丁度いいでしょう。
終日の類語と意味④
「終日」の類語④は「昼夜」という類語です。「昼夜」は「昼と夜」「絶えず」という意味の表現です。「絶えずいつでも」という様子を表す言葉「昼夜を問わず」や「一昼夜待つ」の様に同じ状態をずっと継続している事の意味を表現します。
先ほど解説した「旦夕」が「いつも」というあやふやな時間を意味しているの比べると「昼夜」は緊張感のある時間を継続している状態を意味しています。
「昼夜」の例文としては「彼は一昼夜働き通した」や「合否の通知を昼夜待ち続けた」などがあります。昼も夜も関係なく何かを行う時を意味しており、緊張感のある意味の言葉となっています。
ビジネスシーンでは「昼夜」という言葉は「旦夕」と同様に具体的な事実を表す言葉というよりは心情や切迫した状況を強調する言葉となっていますのであまり使われる事はありません。
「昼夜」の使い方としてはやはり、ごく親しい人との会話の中であったり、たわいもない話で「終日」と使うと固い表現となってしまうので「昼夜」という言葉を使う様にした方が良いでしょう。
例えばの話となりますが「一昼夜〇〇に取り組みましたができませんでした」などは一生懸命さを前面に押し出した言い訳の代表とも言える言い訳の常套句となっていますのでできれば使わない様にしたいものです。
終日の類語と意味⑤
「終日」の類語⑤は「一両日中」という類語です。「一両日中」は本来であれば「今日から明日中」の時間を指す意味の言葉となっています。
しかし、近頃では「明日から明後日中」と解釈されて使われている事がありますので、ビジネスシーンでは期間の取り違えをすると困りますので具体的な日にちまで確認しておくと安心です。
「一両日中」の例文としては「このお菓子は一両日中に召し上がってください」や「お返事は一両日中に差し上げます」などがあります。
先ほども説明した様に「一両日中」の意味の解釈が明日までなのか、明後日までなのかで動き出す予定が変わったり、例文のお菓子の賞味期限のようなものであれば食べられなくなってしまいますので注意が必要です。
「一両日中」という言葉はビジネスやかしこまった間柄の時によく使われる言葉となっています。上記の様に解釈が異なっても聞き出しづらい場合があるかもしれませんし、こちらが「一両日中」と使った時に相手と自分の解釈が異なってもいけません。
「一両日中」という言葉を使うときに相応しい使い方としては「一両日中」と言った後にフォローとして具体的な日にちを指定してあげる言葉を言っておいてあげるとお互いの思い違いを防ぐことができますので有効な会話法となっています。
終日の使い方・例文
「終日」の使い方を例文を挙げて紹介します。終日に続く言葉で「終日」が意味する時間が何時までなのかが異なります。
「終日」の意味する時間が違うと予定を組む時にも相手と考えている日にちや時間が違ってくる可能性もあります。ここではよく見たり、聞いたりする「終日営業」「終日不在」「終日可能」「終日運休」の例文と使い方・意味を紹介し、一つづつ解説します。
例文①
「終日営業」はコンビニエンスストアやレストランなどで営業時間の記載がなく、「終日営業」とだけ書かれている場合は24時間営業している事を表しています。
コンビニエンスストア以外のお店で普段は営業時間が定められている場合に「終日営業」と書かれている場合は定められた営業時間内は通常通り営業と行った意味で使われる場合があります。
「終日営業」を使った例文としては「この街で終日営業しているのはコンビニだけだ」や「新しくできた定食屋は終日営業らしい」などです。
営業時間が明示されていなければ24時間営業していると認識しても大丈夫ですが、営業時間が明示されていなければ何時なで営業しているかを確認しておいた方が安心です。
例文②
「終日不在」はビジネスシーンで担当者にアポイントを取る連絡をした場合によく聞く言葉ではないでしょうか?
この場合の「終日不在」は今日一日会社に戻らない事を意味していますのでうっかり「何時までに戻りますか」と聞いてしまわない様に注意して下さい。
朝一番で担当者がいるだろうと電話をした時に「終日不在」を告げられた場合はその日は出社しない事を意味していますので次に出社する日を聞けると予定を掴みやすいでしょう。
「終日不在」を使った例文としては「○○は終日不在にしています」や「今週の金曜日は終日不在になりますので、木曜日までに連絡下さい」などです。
ビジネスシーンで「終日不在」を聞く状況なら次にいつ出社してくるのかを、「終日不在」を言う状況であればいつなら連絡が付きやすいのかを伝える様にすると親切です。
例文③
「終日可能」はビジネスシーンでは主に同じ会社内で使われることが多い言葉ではないでしょうか?例えば上司から今日の予定を聞かれて「終日可能です」と言った場合には新しい仕事を振り分けられるかもしれません。
社内に限らず、取引先で今日対応できるかを問い合わせた時に「終日可能です」と言われるかもしれませんがここで気をつけるべき事は「終日可能」だからと言って深夜や営業時間外を指定する事はビジネスにおけるマナー違反となります。
ビジネスは相手があるものですし、相手先にももちろん都合がありますので「終日可能」と言われたからと言って自分の都合ばかりを優先せず、相手にも当日の都合を聞くなどして配慮を欠かさない様にしましょう。
「終日可能」を使った例文としては「今日は予定が埋まっていますので、明日ならば終日可能です」や「今週の金曜日でしたら終日対応可能です」などがあります。
例文④
「終日運休」は主に交通機関が気象状況などによって通常通り運行できず、一日全ての便が運休している事を意味しています。
最近では通勤・通学の混乱を避けるために前日から計画的に運休する場合が多いのでよく聞く言葉ではないでしょうか?
前日から「終日運休」が発表されている場合は始発から交通機関が動いていない事を意味していますし、一日の途中から「終日運休」が発表された場合は発表の時間から最終まで運休する事を意味しています。
「終日運休」を」使った例文としては「台風の影響でJRは前日から終日運休を発表した」や「線路の復旧工事が予定よりも速く完了したので終日運休を撤回するアナウンスが流れる」などがあります。
台風をはじめとして気象状況が錯綜する昨今は特に注意して「終日運休」がいつ発表されて、「終日運休」が何時までかを指しているのかを気を付けて見るようにしましょう。
終日は何時まで?
例文で解説した様に「終日」が指し示す時間は勤務時間や営業しているお店によって変化します。例文ごとに示した「終日」は何時までかをまとめると「終日営業」は24時間の場合が多くなっています。
変わって「○時〜終日」と始まりの時間が指定されている場合は夜中の12時までを意味している事が多くなっています。同じ「終日」という言葉を使っても意味する時間が異なりますので「終日」が何時までかを意味している事を確認する事は大切です。
「終日不在」の場合はその日一日会社に来ない事を指していますので対象となる会社の勤務時間の事を意味します。もう一つ深く掘ると次の勤務日の始まりまではその人と連絡をつけることができません。
ということは「終日不在」と言われた場合は連絡を取りたい人に連絡をすることができるのはその人の次の勤務日ということになりますので例えば次の勤務日が翌日の8時からだとすれば翌日の8時以降となります。
「終日不在」と言われた場合は次に連絡を取りたい人が次に出勤する日と時間までを聞くとスムースに連絡をとることができるということです。
逆に自分が相手に「終日不在」をいう場合は次に連絡を取れる時間を伝える配慮をする事で円滑に連絡を取ることができ、相手はその気遣いを喜んでくれることに繋がります。
「終日可能」と言われた場合はビジネスシーンにおいては勤務の終業時間を「終日」の意味する時間ということになります。
例えば、18時に勤務時間が終わるということであれば18時が「終日」の意味する時間であるということです。「終日可能」と言われたからと言って夜遅くに連絡をしたり、勤務時間外を過ぎてしまう約束を取り付けるのはマナー違反ですので注意して下さい。
「終日運休」の場合は「終日運休」の発表があったその時間から通常であれば最終となる電車や飛行機が運行しないという事を言いますので、「終日」の指す時間は最終便の出る時間という意味になります。
最近では気象状況によって計画的に「終日運休」が前日に発表されたりしますのでその場合は次の日の始発から最終まで対象となる交通機関は動かないということを意味します。
ビジネスでの出張時などで「終日運休」を事前に聞いた時は翌日以降の運行状況は誰にもわかりませんのでリスケジューリングをする時は交通機関の発表を待ってからにしましょう。
終日と全日の違い
「終日」と似た言葉で「全日」という言葉がよくビジネスシーンで使われることがあります。「全日」は「一日中でも丸一日」「全ての日」「一定期間の毎日」という意味です。
「全日」は「一定期間の毎日」と複数の日を指す場合に使います。「終日」が特定の一日だけを指す事とは対照的な事となっています。
全日は「期間中の毎日」という意味
「終日」が1日の終わりの時間を意味するのに対して「全日」は一定期間の最終日の時間を意味します。例えば「終日営業」の場合はその日は24時間営業している事を言います。「全日営業」という場合は24時間365日営業しているという事を意味しています。
終日と全日の使い方
「終日」と「全日」の指す日にち単位、時間単位の違いを紹介しました。ここでは「終日」と「全日」の使い方を紹介します。
「終日」は特定の一日の事を意味しますので「終日不在」でも紹介した様に連絡があったその日は出社しないという事ですので翌日以降の予定を聞くことができれば連絡を取りやすくなります。
変わって「全日」は期間を意味する言葉となっていますので「終日」と違い最終日となる日があるのか・ないのかをまずは確認する必要があります。
今ではあまり聞かれませんが、労働組合でのストライキなどでは「全日スト」「時限スト」などと期間を区切ってストライキをする権利が認められています。
「時限スト」は「○時から○時まで仕事をしない」という事を意味していますが「全日スト」という場合は「ストライキを通告してから無期限で仕事をしない」という意味となります。
「全日スト」という言葉が聞こえたら経営者と労働者がよっぽど揉めて話の落とし所が見つからない状態にあると考えて間違いありません。
終日は特定の一日中という意味
「終日」はビジネスシーンでよく使い、使う人や対象によって「終日」が何時までを意味するのかが変化しますのでよく確認するようにしましょう。
「終日」の類語と意味を紹介しました。会話に使いやすい「終日」を言い換えた類語は同じ時間を意味する時にもニュアンスを変えて時間を伝えることができますので覚えておくと表現の幅が広がります。
「終日」の使い方と例文では終日に続く言葉「営業」「不在」「可能」「運休」によって何時までを意味しているかが変わると説明しました。続く言葉で24時間なのか営業・勤務時間の終わりまでなのかを意味する時間が変わりますので事前に確認すると安心です。
「終日」と併せてよくビジネスシーンで使われる「全日」の違いと使い方も解説しましたので「終日」「全日」が意味している「一日中」と「期間中」という意味に気を付けて使うようにしましょう。
特に「全日」と書かれている場合には「全日」がいつまでなのか・何時までなのかを確認して把握することがビジネスでの失敗を防ぐことに繋がります。
「終日」は特定の一日を意味する言葉であり、「終日」が何時までを意味するのかは付属する言葉によって変化するという事を覚えておきましょう。