「てにをは」の意味とは?正しい助詞の使い方や文章の表現方法まとめ

「てにをは」の意味とは?正しい助詞の使い方や文章の表現方法まとめ

「てにをは」は、正しい使い方をすれば表現が豊かになります。逆に、使い方を間違えることで悪い印象を与えてしまったり、幼稚で未熟なイメージを与えたりします。今回は、「てにをは」の意味や由来を知ると共に、正しい助詞の使い方や習得方法を始め、表現方法も見ていきます。

記事の目次

  1. 1.「てにをは」の意味とは?
  2. 2.「てにをは」の由来
  3. 3.「てにをは」の特徴
  4. 4.「てにをは」が合わないという表現とは?
  5. 5.「てにをは」の使い方
  6. 6.「てにをは」の注意点
  7. 7.「てにをは」は「助詞」を総称する代名詞という意味

「てにをは」の意味とは?

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「てにをは」は、助詞を総称する代名詞を意味します。「てにをは」は、「て」「に」「を」「は」の4語だけではありません。「も」「に」「が」など、他にも多数あり、日本語独特のものです。

助詞を総称する代名詞「てにをは」は、言葉と言葉をつなげて表現する時に、意味を肉付けする重要な役割を担っています。そのため「てにをは」の使い方や、使う箇所が少し違うだけで相手の受け止め方に違いが生じるため、注意が必要です。

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「てにをは」の由来

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助詞を総称する代名詞「てにをは」の由来は漢文を使う時代へと遡ります。漢文では、訓読をする時に点図を用いますが、四隅の訓点に示されているのが「て」「に」「を」「は」であったことから、「てにをは」の呼び名が生まれました。

漢文の時代からあった「てにをは」は、日本人が大切にしてきた作法のようなものです。助詞の使い方に間違いがあったり、文章が整わずわかりにくい時に「てにをは」が合っていないと言われるのはそのためです。

「てにをは」の特徴

「てにをは」の特徴は、2つあります。(1)「てにをは」は付属語であること、(2)活用しないことです。

「てにをは」は助詞です。助詞は付属語のため、単語としての意味がありません。名詞である「果物」や動詞である「書く」は単語ひとつでも意味が通じます。

助詞である「てにをは」は言葉と言葉を結びつけて、意味を持たせたり表現したりします。使い方次第で文章に深みをだしたり、言葉に重みを持たせることもできます。

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2つめの特徴は、「てにをは」は後ろに置かれる言葉によって形が変わらないことです。似たような名称で助動詞があります。助詞と助動詞の違いは、活用するかしないかです。

例えば、「未然形:弟に勉強させない」「連用形:弟に勉強させた」「終止形:弟に勉強させる」「連体形:弟に勉強させるとき」「仮定形:弟に勉強させれば」「命令形:弟に勉強させよ」を見てみましょう。助詞「に」の形に変化は見られません。

対して、助動詞「させる」は変化しています。表現したい意味に合わせて後ろに置く言葉を変えると、語尾も合わせて変わっているのがわかります。

「てにをは」は「日本語特有」のもの

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文章や表現は、言葉と言葉の組み合わせです。「てにをは」の特徴を見ると分かりますが、日本語は他言語と大きく違う点があります。助詞の存在です。

日本語では、助詞と言葉を結びつけることで同じような文章でも意味を変えたり、相手が受け取る印象を変えたりすることができます。「てにをは」が文章や会話の質に大きく関わるのは、日本語の特徴です。

例文を見てみましょう。「私は本を読みます。」と「私が本を読みます。」です。「私は本を読みます。」は自分の余暇や趣味で本を読む光景が目に浮かびます。

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一方、「私が本を読みます。」は、誰かのために本を読み聞かせる印象を受けます。2つの文章は一文字違うだけで意味が違っていることがわかりますが、英語で表現すると「I read the book.」の1つです。

「私は」または「私が」を示す英語「I」自体に、助詞である「は」または「が」が含まれているからです。日本語の場合、主語「私」に助詞「は」または「が」は含まれません。

例文からわかる通り、助詞を総称する代名詞「てにをは」は日本語特有のものです。「てにをは」は会話の中で日常的に使われているため、多少使い方を間違えても意味が通じます。そのため、特に意識せず使いこなしていることがほとんどです。

「てにをは」を正しく使って伝わる文章を書くには

外国の方が「日本語は難しい。」と習得に苦労するのは、「てにをは」の概念が無いことが上げられます。「てにをは」を正しく使うことは、日本人も同様です。自然と身につけてきた「てにをは」が間違っていれば習慣化しているため、修正するのが困難なことがあります。

正しい助詞の使い方を身につけるには、どうしたら良いのでしょうか?「てにをは」を正しく使って伝わる文章を書くためには、正しく使われている助詞をたくさんインプットすることが先決です。たくさん本を読みましょう。

既に出版されている書籍は、編集に編集を重ね「てにをは」チェックもされています。良質な文章で構成されている書籍は、正しい「てにをは」を目にすることができる最良の参考書です。

「てにをは」の使い方や、「てにをは」が表現している意味などを考えながら読み進めることをおすすめします。正しい「てにをは」の使い方をインプットしたら、次はアウトプットです。

メールやブログなどを利用して、文章を書いてみましょう。そして、チェックです。メールであれば、返信の内容によって「てにをは」が適切に使えていたかどうか判断できます。

ブログの場合は、文章を公開したら友人などに目を通してもらことをおすすめします。伝えたいことがきちんと伝わっていれば、「てにをは」が正しく使えていたことになります。

文章で「てにをは」を正しく使うことができるようになれば、人前で話すことにも自信がつきます。プレゼンやフォーマルな場での挨拶など、積極的に対応してみましょう。

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「てにをは」が合わないという表現とは?

「てにをは」は助詞の総称を指す「代名詞」ですが、「てにをはが合わない」という表現に使われることがあります。文章内で助詞の使い方を間違っていることを指摘する表現方法です。

助詞の使い方だけでなく、助動詞「れる」「られる」を間違えた形で使っている時にも使わます。「てにをはをチェックしてください」と言われた時には、文章の表現について助詞だけでなく助動詞も含め、幅広く検討することもあります。

また、話しのつじつまが合わず、整理されていない文章などを指摘する時にも「てにをはが合わない」と表現することがあります。会議や会話で話しのつじつまが合わない時も同様です。

「てにをは」の使い方が間違っているということ

「てにをはが合わない」という表現をされる原因は、「てにをは」の使い方です。「文章を簡潔にすること」を、「文章を簡単にすること」「省略して簡略化すること」だと間違えてしまうことはありませんか?

「てにをは」は、たった一文字省略するだけで文章全体を変えてしまいます。助詞の一文字を削除することは、「てにをはが合わない」文章を作り上げてしまうことになります。注意しましょう。

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手がける文章が、幼い印象やカジュアルな印象を与えたいのであれば、あえて助詞を削除する方法もあります。「てにをはが合わない」表現の文章は違和感を与えますし、稚拙なイメージを持たれるからです。

助詞を削除したりせず、「てにをは」を正しく使えばきちんとした印象を与えます。「てにをは」の使い方に間違いがないよう、意識して取り組むことをおすすめします。

文章内の「てにをは」を直す

助詞を正しい使い方に直すことを「てにをはを直す」と表現します。文章の校正などでもよく耳にする表現です。

校正は、文字に誤りはないか、意味は正しく伝わっているか、不適切な表現はないか、など文章の最終チェックと修正をします。「てにをは」の使い方が正しいかどうかも、もちろんです。

「てにをは」の使い方

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「きちんと意味を伝えたい」、「わかりやすく伝わりやすい表現をしたい」という時、前もって文章を入念に準備できれば問題ないのですが、時間がない時もあります。いつでも「てにをは」を使いわけできるよう、正しい助詞の使い方を見ていきましょう。

例文①

「~から」と「~より」の使い方を見てみましょう。「てにをは」の中に、「~から」と「~より」という使い方があります。どちらを使っても意味は同じなのですが、丁寧さに違いがあります。

例えば、「山田様から頂きました。」と「山田様より頂きました。」です。「山田様から」と「山田様より」をくらべると、「山田様より」と表現するほうが丁寧な印象を与えます。

お客様に対して使う時やフォーマルな場では、「~より」と表現するほうが適切です。友人や同僚などの場合は、「~より」を使うと堅苦しいイメージを与えますので、「~から」としたほうがラフで良いでしょう。

例文②

「~に」と「~へ」の使い方を見てみましょう。「~に」と「~へ」は、移動を表す動詞と組み合わせて使う助詞です。使い方によって大きく意味が変わることはありません。指し示す場所が到達点なのか、方向なのかで使い方が変わります。

例文を見てみましょう。「昨日、大阪に行った」と「昨日、大阪へ行った」です。到達点は大阪ですが、「大阪へ」と表現した文章は広い範囲である方向を示しています。

「大阪に」と表現すると、到着点としての大阪という土地が強調されて伝わります。ある場所へ行ったことを強調して表現したい場合は「〜に」を組み合わせるのが、正しい「てにをは」の使い方です。

例文③

「で」と「を」の使い方を見てみましょう。「で」と「を」は、何かを選択するシーンなど身近な光景でよく見受けられます。例えば、「コーヒーとお茶がございますが、どちらがよろしいですか?」と聞かれるシーンです。

コーヒーを選ぶのであれば、「コーヒーでお願いいたします。」または「コーヒーをお願いいたします。」と応えるでしょう。この場合は、「コーヒーをお願いいたします。」と応えるのがベストです。

強い意志でコーヒーを選び回答をした、という印象を与えます。逆に「コーヒーでお願いいたします。」と応えると丁寧な印象は変わりませんが、悪いイメージを与えることがあります。

「〜で」を用いると、言葉に裏があるのでは?と感じさせてしまうことがあるからです。本当は他のドリンクが良かったのでは?と相手に気を遣わせてしまうかも知れません。

意志や主張を明確に伝える時は、「〜で」は使わず、「〜を」を組み合わせて表現しましょう。「てにをは」をきちんと使いわけることで、誤解されずにすみます。

例文④

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「は」と「が」の使い方を見て見ましょう。日頃から、「は」と「が」を使う表現は多くあります。間違って使えば気分を害すことにもなりますが、正しく使えば人間関係を良好にします。

「てにをは」は相手とのコミュケーションを育くみ、良好な関係を築き上げることにも役立ちます。例えば、食事のシーンを思い浮かべてみてください。

じっくり煮込んだシチューを頂いている時に、「シチューが美味しいね。」と伝えると、相手は良い感情を持ちます。「あなたが作るメニューの中で一番シチューが美味しいね。」という印象を与えるからです。

一方、「シチューは美味しいね。」と伝えた場合はどうでしょう?相手は、「他のメニューはイマイチだけど、シチューは美味しいね。」と言われたように感じ、不快に思うでしょう。

相手を褒める時に「〜が」を使うと、複数のものの中で取り立てて良いという印象を与えます。特に良い、特に優れているという気持ちを表現することができます。

「〜は」を使うと比較対象となります。何かと比べて言われているように感じるため、褒められてるようで褒められていない印象を与えてしまうのです。

「てにをは」の注意点

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「てにをは」の注意点は、使い方を間違えると文章全体に影響を及ぼしてしまうことです。会話でも文章でも、つじつまが合わなくなると相手に伝えたいことが伝わりません。不適切な言葉にならないよう、「てにをは」を正しく使いましょう。

「てにをは」は、たった一文字違うだけで意味が変わる

フリー写真素材ぱくたそ

会話でも文章でも、わかりやすく的確に伝えられるかどうかは、助詞の使い方次第です。「てにをは」は助詞の総称である代名詞ですが、常に大きな役割を担っています。

「てにをは」を正しく使えば、会話や文章の全てにおいて伝えたいことを適切に表現できます。逆に間違った使い方を続ければ、正しい情報が伝わりにくいだけでなく、違った情報として相手に伝わってしまい、誤解を招くことにもなりかねません。

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会話においては、ほんの少しの間違いが相手に悪い印象を与えたり、誤解させてしまったりし、修復に時間がかかる可能性も生じます。文章においては、執筆した内容全体のイメージすら変えてしまうことがあります。

いずれにしても、言葉として伝えることを大切に思えば解決しておきたい点です。常に「てにをは」を正しく使えるよう、意識することをおすすめします。

「てにをは」は「助詞」を総称する代名詞という意味

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「てにをは」は、助詞を総称する代名詞です。「てにをは」を正しく理解し、使いこなすのは簡単ではありませんが、日頃から書籍などでたくさんの良質な文章に触れ、正しい使い方をインプットしましょう。

助詞は、文章に繊細な意味を持たせ表現を豊かにしてくれる日本語特有のものです。「てにをは」を意識し、言葉を丁寧に選ぶことで、会話や文章の質は確実に良くなります。日本語だからできる、美しい表現を大切にしていきましょう。

kana_emoto
ライター

kana_emoto

副業としてライターを始めたのは、2018年9月です。 webサイトの制作や更新をする中でコンテンツの重要性を感じ、始めました。 この先、webライティングを本業にできるよう、修行中です。 足りないスキルは随時補いながら頑張ります。

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