国民年金を年末調整で控除する方法まとめ!書き方や添付書類など徹底解説!

国民年金を年末調整で控除する方法まとめ!書き方や添付書類など徹底解説!

会社員が納めた国民年金は、年末調整の際に申告することで控除を受けられます。この記事では所得税控除の仕組みから具体的な申請申請書の書き方、必要な証明書類までしっかり解説します。年末調整の際には、国民年金も忘れずに申告しましょう。

記事の目次

  1. 1.国民年金は年末調整の控除対象となる
  2. 2.年末調整で所得税が安くなる仕組み
  3. 3.国民年金を年末調整するといくら戻る?
  4. 4.国民年金の控除を年末調整で行えるケース
  5. 5.国民年金の年末調整の書き方
  6. 6.国民年金の控除証明書がない場合
  7. 7.年末調整に間に合わなかったら
  8. 8.節税の為に国民年金を年末調整しよう

国民年金は年末調整の控除対象となる

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給料から天引きされる厚生年金と同様に、自主的に支払った国民年金も実は年末控除の対象になります。頻繁に発生するものではありませんが、会社で年末調整を受ける会社員であれば、知っておいて損はありません。ただし、会社の年末調整で自動的に控除対象になる厚生年金と違い、国民年金については事前の届け出が必要になります。

去年までの延滞金を今年払った場合も控除対象

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去年までに延滞してしまった国民年金を、今年になって清算したという場合も年末調整の控除の対象になります。

税金の計算では、支出は実際にお金を払ったときを基準に考えます。国民年金を支払ったときも、支払った年月日を基準に控除申請をします。

払わなければならない国民年金が、いつ発生したものかは関係ありません。去年まで延滞していた支払いを今年済ませたという場合、それは今年のぶんの支出として計算します。ちなみに、年末にATMから振り込んだなどの理由で、先方に届いたのが翌年になったとしても、計算上は昨年の支払いとして計上します。

支出はあくまでも自分が支払った日が基準です。いくら戻るかを計算するうえでも重要なので、支払い総額はきちんと把握しておきましょう。

年末調整で所得税が安くなる仕組み

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年末調整でいくら戻るかを計算するためには、税金の仕組みを知ることも重要です。そもそも、年末調整とはどういったシステムなのでしょうか。毎年会社の経理部門にまかせきりで、仕組みがよくわからないという方も少なくないでしょう。ここでは、年末調整と所得税の仕組みについて解説します。

年末調整で正しい所得税額を決定する

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会社員の場合、所得税は毎月自動的に給料から引かれます。この所得税の額は、前年の所得や今年の所得の見込みから算出されています。

この計算はあくまでも「予定額」であって、実際にもらった給料の額と必ず一致するとは限りません。そこで12月が終わった時点で正確な所得額を算出し、あわせて控除になる金額の清算も行います。つまり、1年間の所得税額を、見込み額から実際の金額へ間違いなく計算するのが年末調整です。

この年末調整で出した数字と、実際に1年間で支払った所得税の総額との間に差があれば、差額を計算して補います。いくら戻るかはこの差額で決まります。

税金は普通多めに見積もるものであり、また控除も加算されているので、ほとんどの場合、年末調整では払い過ぎた差額が戻ってくることになります。

所得税額の計算方法

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所得税の額は、基本的には所得の額に一定の税率をかけることで導き出します。しかし実際の計算は、それだけではありません。ここにさまざまな控除が加わってきます。

控除とは、生活に最低限必要なものとして所得から除外できる金額のこと。つまり収入から差し引きできる「経費」のようなものです。売り上げから諸経費を差し引いた額が利益となるように、総収入からさまざまな控除を差し引いた額が所得となり、この金額に対して所得税がかかってきます。還付金がいくら戻るかもこの所得額でわかります。

控除の目的は、不公平をなくすことです。たとえば同じ収入であっても、独身の人と家族を養っている人では生活に必要なお金の額が違います。そこで扶養控除を設け、ある程度の金額を所得額から除外することで扶養家族がいる人といない人との差を是正します。

社会保険料控除とは

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社会保険とは、病気やケガ、あるいは老後の生活などの経済的負担を助ける目的で国が運営する基金のことをいいます。

これらは国民全員に加入の義務があり、誰もが強制的に徴収されるため、個人的な利益である所得には含めないこととなっています。必ず支払うものとしていわば「必要経費」にあたるものであり、そのため所得税の対象からは外れているのです。

社会保険には、会社員が給料から天引きの形で支払うものと、おもに自由業の人や学生が自分の責任で納めるものの2つのタイプがあります。この2種類の社会保険料は、控除の手続きも違います。申請書の書き方、いくら戻るかも差がでてくるので、違いをしっかりおさえておきましょう。

社会保険料の種類

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基本的には国民全員が支払うことになっているのが社会保険料。税金と同じで、払う払わないを個人で決めることはできないのが特徴です。

社会保険料には、以下のような種類があります。いずれも控除の対象になるので、覚えておきましょう。

国民年金

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国民すべてに加入が義務付けられているのが国民年金です。後に述べる厚生年金は国民年金に上乗せして支払う年金なので、厚生年金に加入している会社員は同時に国民年金にも加入していることになります。

国民年金のみの加入者は、第1号保険者と呼ばれます。具体的には会社員以外の自営業者、農林水産業に従事する人、また短期派遣など厚生年金に加入する条件を満たせない就業スタイルの人などです。20歳以上の学生も国民年金の加入者になります。

国民年金は収入にかかわらず月額が一定であることが特徴です。また、会社を通して支払われた税金ではないので、年末調整で自動的に控除されることはありません。

厚生年金

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厚生年金は、給与所得者つまりサラリーマンが加入する年金です。基本の年金である国民年金に上積みして支払うので、支払う額も将来受け取れる額も国民年金より大きくなります。納める金額は収入によって増減します。

厚生年金も控除の対象ですが、通常会社の年末調整で自動的に計算されるので被保険者が控除の手続きを行う必要はありません。また、支払金額が違うため控除後お金がいくら戻るかも異なります。

国民健康保険

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「国保」という略称でおなじみの、医療費用をカバーする保険です。会社員が会社経由で加入する健康保険は「社保」と呼ばれ、国保と区別されます。健康保険(社保)に加入していない人は、誰でも必ず国民健康保険に加入する決まりになっています。

年金同様、国保も税金のような納付の義務があるため、どんな人でも必ず払わなければなりません。たとえまったくケガや病気をせず病院に行かないという人でも「病気しないから」「医療費使わないから」という理由で支払いを拒否することはできません。国民健康保険は市町村の管轄になるので、納付金額や方法は各市町村で決定されます。

国民年金基金

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前述したとおり、国民年金は厚生年金と比べて支払う額も将来受給できる額も少なくなります。将来もらえる額に不安がある人が利用できるのが、この国民年金基金です。

国民年金基金は、国民年金に任意の額を上乗せして払えるシステムです。任意の額と言っても、自分で自由に金額を設定できるわけではなく、決まった上乗せ額を1口、2口と積んで可能な支払額へ近づけていく仕組みになっています。支払額が多くなる分受給額も大きくなり、老後のゆとりある生活が期待できます。

当然のことですが、国民年金基金を利用できるのは国民年金のみの加入者である第1号被保険者だけです。厚生年金を支払っている第2号被保険者が、さらに上積みしようと国民年金基金に加入するということはできません。

後期高齢者医療制度の保険料

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75歳になると、それまで加入していた健康保険から後期高齢者医療制度へと移行します。後期高齢者医療制度は、地域ごとに独立した運営団体が管轄しています。仕組みはやや複雑ですが、要点だけをいえば高齢者の医療費負担を減らし、なおかつ手厚いケアを受けられるように考えられた制度です。

通常は年金から天引きされますが、この後期高齢者医療制度の保険料を年末調整を受ける会社員がかわりに支払った場合は、支払った金額が控除対象になります。

後期高齢者医療制度はこの後に解説する介護保険と同様に、少子高齢化が進むこれからの世相に対応する形で発足した社会保険です。加入者は今後さらに増えると予想されています。身近な保険になる可能性を考え、控除対象であることをしっかり頭に入れておきましょう。

介護保険

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介護保険は、介護に特化した保険のシステムです。原則40歳以上の人が加入し、支払われた保険料は介護が必要(要介護)と認定された人のために使われます。市町村が運営しているので、支払額は各地域によって変わってきます。

現在要介護認定を受ける人は介護保険発足当時の数倍になっており、今後さらに増加することが予想されています。そういった環境を考えると、介護保険は社会保険の中でも非常に重要な保険制度といえるでしょう。

労働保険

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万一の災害や失業から労働者を守るための保険です。労働保険には、雇用保険と労働者災害補償保険(労災保険)があります。

このうち労働者災害保険については、会社が負担するものなので社員が直接支払うことはありません。会社員にとってより身近なのは、雇用保険のほうです。これは突然のリストラややむを得ない事情での退職の後に、生活を保障するための制度です。

雇用保険は基本的にはすべての労働者が対象になります。ただし、短期の労働者や労働時間が規定に満たないパートタイマーなどは含めません。

国民年金を年末調整するといくら戻る?

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それでは、国民年金を年末調整で控除してもらうといくら戻るのでしょうか。手間をかけて申請するのですから、いくら戻るのかは誰しも気になるところ。普段は経理の担当者におまかせという方も、自分で計算してみたくなることでしょう。その計算方法について考えてみます。

還付金の計算は複雑

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とはいえ、還付金の計算は決して簡単ではありません。収入から差し引かれるさまざまな控除があり、さらに収入の総額で税率も変わってきます。各種申請書や給与明細書の複雑な書き方を読み解くのも一苦労。いくら戻るのかは知りたいけれど、複雑な計算はしたくない、という方には頭の痛いところです。

年末調整シミュレーションを活用

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難しい還付金の計算を簡単にするには、年末調整シミュレーションを利用するのがオススメです。

数字を入力すれば複雑な計算をこなして還付金の額を教えてくれる年末調整シミュレーションは、計算が苦手だけど税金がいくら戻るかを知りたい方には強い味方です。

給与計算に特化した会計ソフトには、たいてい年末調整を簡単にするシミュレーターが付属しています。またわざわざソフトを用意しなくても、クラウド上で動くアプリも出回っています。無料で利用できるものもありますので、上手に活用しましょう。

国民年金の控除を年末調整で行えるケース

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通常、年末調整を受ける方が国民年金を支払うことはありません。年末調整を受ける立場の給与所得者、つまり一般的な会社員は、必ず厚生年金に加入することに決まっているからです。それではどういった場合に、給与所得者が国民年金を支払うことになるのでしょうか。ここからはその事例をみていきます。

国民年金を払っていた人が中途入社

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法律上、20歳以上の人は誰でも国民年金に加入しています。厚生年金以外の年金加入者、つまり学生や自営業者、また無職・休職中の人が、国民年金を支払う立場の人といえます。こうした立場の方が会社員になり、会社を通して厚生年金を支払うようになった場合、その人は1年間の間に国民年金と厚生年金の両方に加入して年金を支払っていたことになります。

厚生年金は会社に申告しなくても年末調整で自動的に計上されますが、国民年金については申請しなければ控除の対象になりません。

会社にとっては、国民年金の支払いは社員の個人的な事情です。あえて悪い言い方をすれば「会社のあずかり知らぬこと」というわけです。自分で申告しなければ、せっかく控除されるお金が誰にも知られないまま消えてしまいます。もちろん申請すればきちんと対応してもらえますから、会社に間違いなく伝えて控除を受けるようにしましょう。

入社以前に滞納していた国民年金を支払った場合

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上記の例と同じく、今現在は厚生年金の加入者であるけれど以前に国民年金を支払っていたという人のケースです。

国民年金は、厚生年金のように給料から自動的に引き落とされるものではありません。自分で支払いに行くものなので、ウッカリ忘れることもあれば手元不如意で払えないこともあります。やむなく滞納してしまったぶんを、就職してからまとめて清算したという人も当然いることでしょう。

こういったまとめて払った過去のぶんの国民年金も、支払った年にすべて一括して申告します。支払い金額が大きくなるぶん控除額も多くなるので、これを逃がす手はありません。忘れずに申告したいものです。

扶養家族の国民年金を支払った場合

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会社員が、本人は厚生年金の加入者であるけれど扶養家族の国民年金を支払うということもあります。

たとえば、子どもが20歳を過ぎ国民年金の加入者になったけれどまだ学生でお金がないといった場合がそれにあたります。こうした場合には、本人の国民年金ではなくても支払った人が控除を受けることができます。

年末調整の際には、こういった本人以外の名義の国民年金も忘れず申告しましょう。書き方は本人の場合と変わりません。控除後にいくら戻るかについても、本人と扶養家族で差はないのできちんと申告すれば間違いなく節税できます。

国民年金の年末調整の書き方

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ここからは具体的な申告書の書き方と、用意する証明書類について解説します。とくに毎年申告書の提出がぎりぎりになってしまう、という方は、書き直しで時間切れになったりしないように書き方をしっかり覚えておきましょう。

経理担当者にとって、年末調整の期間はとても忙しいもの。修正の手間がかからないようきちんと事前準備をして書類を提出すれば、社内での株も上がります。

①控除証明書の準備

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国民年金で控除を受けるには、まずその年にいくら年金を払ったかを示す証明書が必要です。そのための証明書が、控除証明書です。

控除証明書は、日本年金機構からその年に国民年金を支払ったすべての人に送付されます。時期はおおむね10月から11月にかけて、年末調整に間に合うように考慮されています。

控除証明書を受け取ったら、年末調整まで大切に保管しておきましょう。この控除証明書を添付しなければ、控除は受けられません。

②支払金額の計算

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次に、自分がその年に支払った年金の額を計算します。控除証明書には金額が明記されているので、そのまま引き写すことも可能です。

支払額がわかる領収書類があれば、念のため総額を計算すると確実です。また、自身が国民年金に加入しかつ家族のぶんの国民年金を支払った方は、それも合算します。

③保険料控除申告書への記入

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年末調整が近くなると、会社から社員へ保険料控除申告書が配布されます。用紙には配偶者控除などさまざまな控除を書き込む欄がありますので、書き方をよく確認して間違いなく記入しましょう。

保険料控除は用紙の左側、配偶者控除などは用紙の右側に記入欄があります。会社が自動的に計算に織り込んでくれる厚生年金や健康保険、介護保険などの支払額は含めず、自分で支払った国民年金や国民健康保険の額だけを記入するようにします。

国民年金の控除証明書がない場合

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前の項で、国民年金を年末調整で控除してもらうには控除証明書が必要になると解説しました。では、もしも用意した控除証明書を紛失してしまったら、どうなるのでしょうか。控除証明書がなかったら、控除が受けられず諦めるしかないのでしょうか?そんなことはありません。ここでは、そんなときの対処法をご紹介します。

領収書を添付

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控除証明書は被保険者が支払った金額を証明するもの。もし控除証明書をなくしてしまったら、かわりに領収証書を添付することでも支払額を証明することができます。

振込の際にもらう領収書やカードの利用記録など、国民年金を支払ったことを証明できる書類は、その年が終わるまで大切に保管することをおすすめします。

再発行してもらう

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控除証明書は再発行してもらうことができます。まずは年金事務所に問い合わせてみましょう。ねんきんネットを利用している方なら、ネット上で手続きを行うこともできます。

ただし、場合によっては手続きに時間がかかることもあります。期限に余裕をもって申し込むようにしましょう。

年末調整に間に合わなかったら

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入社のタイミングが11月ぎりぎりの時点だったり、申請書類を出すときにウッカリ記入を忘れたりして、結局年末調整での控除対象にならなかったということもあります。控除されるはずのお金がウッカリで消えてしまうなんて悔しいものですが、そんな場合でも国民年金を控除してもらうための方法があります。

確定申告でも控除は受けられる

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会社員で確定申告をする人はあまりいないと思いますが、この場合は確定申告が有効です。そもそも、年末調整とは会社が給与所得者にかわって確定申告をしてくれるシステム。本来なら、二重に確定申告をする必要はないのです。

しかしこの場合は二重ではなく、いわば追加の申告になります。年末調整の際に申請できなかったぶんを、ここで申請しましょう。

確定申告の書類の書き方は一見複雑ですが、会社から発行された源泉徴収票があればかなり楽になります。収入などはほぼそのまま転記すればよいので、書き方をよく確認しながら記入しましょう。なお、確定申告の際にも年末調整と同じ証明書類が必要です。源泉徴収票と控除証明書は申告の際の必須アイテムです。忘れず持参するように気をつけてください。

年末調整と確定申告の違いを解説!両方必要な場合の申告方法なども! | 副業・暮らし・キャリアに関するライフスタイルメディア
年末調整と確定申告、納める税金を算出することだとは分かっているけれど、内容や違いは詳しく知らない人が多いのではないでしょうか。税金を納めすぎて損をしているかも知れません。そんな事態にならないように年末調整と確定申告の違いや申告方法などについて解説します。

節税の為に国民年金を年末調整しよう

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国民年金を年末調整で控除する具体的な方法をご紹介しました。参考になさってください。社会保険料は納付が義務になっているケースが多く、ここをおさえるだけで確実な節税効果が得られます。証明書が必要だったり書き方が難しかったりと面倒なことも多いのですが、億劫がらずにぜひ試してみましょう。

kinokoya
ライター

kinokoya

読書と猫と手作りをこよなく愛する40代です。楽しくて役に立つ情報を発信していきたいと思っています。よろしくお願いします!

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