「恐れながら」の意味とは?
「恐れながら」「恐れながら申し上げます」「恐れながら失念しました」という言葉はビジネスの場面でもよく使われる言葉でもあります。今回は、「恐れながら」の意味や使い方についてご紹介していきます。
「恐れながら」の類語やビジネスでよく使う「僭越ながら」「恐縮ながら」との違いについてご説明していきましょう。どちらもビジネスの場面でよく聞く言葉ですが、ニュアンスが違う言葉でもあるのです。
それぞれ、どういった意味や使い方、類語があるのでしょうか。まずは、「恐れながら」の意味について見ていきましょう。
意味「謙譲の姿勢で恐れ多いことを承知の上で言動を働く」
「恐れながら」の意味には、「自分を相手の立場から低めて謙譲の姿勢を取って、恐れ多いことを承知の上で言動を働く」という意味があります。最も高い、謙譲語表現となっているのです。ビジネスのシーンでもよく使う言葉でもあります。
式典や礼典といった公式の場面で使う使い方もある言葉でもあるのです。「恐れながら」の使い方として「恐れながら申し上げます」という使い方をします。
「恐れながら」の由来
それでは、「恐れながら」の由来にはどんな由来があるのか見ていきましょう。「恐れながら」という言葉は現代でも使われる言葉でもありますが、時代劇などでも聞いたことがある言葉でもあります。どういったものが由来になっているのかについて詳しくみていきましょう。
由来
「恐れながら」の由来には、平安時代や戦国時代が由来になっているのです。「恐れながら」は、身分階級がはっきりした時代に使われていた言葉でもあります。
「恐れ」の意味には、「こわいという気持ち」「恐怖」「悪いことが起こるのではないかという心配」「神仏や年長者に対するつつしみ」という意味があります。
「恐れながら」の「ながら」の意味には「動詞および動詞型活用の助動詞の連用形に付いてその動作・作用と下にくる語の動作・作用とが並行して行われること」意味があります。この2つの言葉が合わさって「恐れながら」の由来のなりました。
「恐れながら」の特徴
「恐れながら」と同じような言葉として「恐縮ながら」という言葉があります。この「恐縮ながら」と「恐れながら」の違いについて解説していきましょう。
「恐れながら」の特徴には、どんな特徴があるのか確認していきます。「恐れながら」の意味では、「恐れ多くて身がすくむという感情」はありますが、それでも状況的にどうしても言わないといけない事を言う場合に使う言葉という特徴があります。
「恐れるだけ」ではないという特徴があるので「恐縮ながら」とは違います。では、「恐縮ながら」には、どんな意味があるのでしょうか。
「恐縮ながら」との違い
「恐縮ながら」の意味は、「相手と自分の立場上、あまりにも地位が違うことに辟易する姿勢で、自分の言動が状況的に恐れ多いこと」という意味があるので「恐れながら」とは違います。最上級の尊敬語、謙譲語表現になっています。
「恐れながら」は、「恐れるだけ」という感覚は少し外れるので、「恐れながら」と「恐縮ながら」は違うニュアンスの言葉になるのです。「恐れながら」と「恐縮ながら」の違いをしっかりと理解しておきましょう。
「恐れながら」の類語・対義語・英語表現
「恐れながら」の類語をいくつかご紹介していきましょう。「恐れながら」の類語とは、「恐れながら」と同じ意味合いの言葉という意味があります。それぞれの「恐れながら」の類語の意味と使い方をご紹介していきましょう。「恐れながら」についてより理解できます。
類語「恐れ入りますが」
「恐れながら」の類語に「恐れ入りますが」があります。「恐れ入る」の意味には「相手の好意などに対して、感謝すること」という意味と「相手に失礼や迷惑をかけることに対して、申し訳なく思う」という意味や「とても驚くこと」
「怖がる」といういくつかの意味がある言葉です。使い方としては、「恐れ入りますが、もう1度ご検討いただけませんか?」「恐れ入りますが、お受けいたしかねます」という使い方になるのです。
類語「失礼ながら」
「恐れながら」の類語に「失礼ながら」があります。「失礼ながら」の意味には、「相手に失礼や無礼を詫びる」という意味があるのです。「恐れながら」よりも謙った意味合いが強いので「失礼ながら」では、後から意見するのに押しが不足の印象のある言葉です。
使い方としては「失礼ながら、アポイントは取っておられますか?」「失礼ながら、書面でお願い申し上げます」となります。「失礼ながら」の類語として「勝手ながら」という言葉もあって言い換え表現として使うことができます。
「恐れながら」の対義語
それでは、「恐れながら」と反対の意味である「恐れながら」の対義語についてもご紹介していきましょう。「恐れながら」の対義語として「いかめしく」「高遠」「赫々たる」「昂然たる」をご紹介していきましょう。それぞれの意味についても解説していきます。
いかめしく
「恐れながら」の対義語として「いかめしく」があります。「恐れながら」の対義語「いかめしく」の意味には「他人に恐怖を与えるくらい堂々としている」という意味なるのです。使い方としては「いかめしい顔をしていた」「いかめしく感じてしまった」という使い方をすることがあります。
高遠
「恐れながら」の対義語として「高遠」があります。読み方は「ごうえん」という読み方をして意味は「遠大、尊大なこと」という意味があります。使い方としては「彼は高遠な態度をとっていました」「高遠な表情で舞台に立った」という形容動詞「高遠だ」の連体形としての使い方があります。
赫々たる
「恐れながら」の対義語として「赫々たる」があります。「恐れながら」の対義語「赫々たる」の意味には「栄光をもつ」「栄光にふさわしい」「栄光を与える」という意味があります。
読み方は「かっかくたる」という読み方をします。「こんな赫々たる賞を頂きありがとうございます」という使い方ができます。
昂然たる
「恐れながら」の対義語に「昂然たる」があります。「恐れながら」の対義語「昂然たる」の読み方は「こうぜんたる」という読み方をします。意味は、「素晴らしい威厳」「高貴のある」という意味があります。
「信頼や保証をもること」「信頼、保証をもつことに特徴つけられる」という意味が「昂然たる」にあります。使い方としては「昂然たるものがありました」という使い方ができます。
「恐れながら」の英語表現
「恐れながら」の英語での表現についてもご紹介していきましょう。「恐れながら」の英語表現には「humbly」「meekly」があります。それぞれの英語表現の使い方について解説していきましょう。
例えば「恐れながら申し上げます」の英語表現では「May it please your honour!」という英語表現があります。また「恐れながら申し上げます」のもう1つの英語表現として「May it please your honour○○」という英語表現もあるのです。
また、他に、「アンネはナチスに捕まるのを恐れながら暮らした」という日本語での表現と英語にすると「Anne lived in terror of capture by Nazis.」という英語表現になります。
また、他の表現として「humbly」「meekly」の日本語の意味としては「謙虚な物腰で」という副詞で使う使い方もあります。
「let me humbly say」で「恐れながら」という使い方もできますし、「most humbly」「with all due respect 」でも「恐れながら」という英語表現になるのです。英語での色々な表現があるので、ビジネスマンとして覚えておきましょう。
「恐れながら」と「僭越ながら」の違い
「恐れながら」の類語として「僭越ながら」があります。この「僭越ながら」と「恐れながら」との違いについて詳しく解説していきましょう。
「僭越ながら」は、よく結婚式などの挨拶で「僭越ながら、挨拶をさせて頂きます」という使い方をすることがあります。「恐れながら」と「僭越ながら」の違いについてしっかりと確認していきましょう。
「僭越ながら」の意味
では、「僭越ながら」の意味からご説明していきます。「僭越ながら」の読み方は「せんえつながら」という読み方をして、意味は「自分の身分や地位や立場などを超えて出すぎたことをする」という意味があります。
自分の身分などをわきまえずに出すぎていることに対して恐縮している意味合いを含んだ言葉でもあります。例えば、自分よりも役職が上の人の前で挨拶やスピーチをする場合や目上の人に対して意見を言う場合にクッションとしての役割での使い方をします。
「恐れながら」という言葉には「恐れ多いこと」という意味があるので、相手に「失礼」「無礼」を詫びる意味もあって「僭越」の分不相応であることの意味合いのある部分では、「恐れながら」と「僭越ながら」の違いがあることになります。
「僭越ながら」の使い方として「僭越ながら乾杯の音頭をとらせていただきます」「僭越ながら私からご説明差し上げます」という使い方になるのです。
「恐れながら」の使い方
それでは、「恐れながら」の使い方を例文でご説明していきます。「恐れながら」の使い方例文を4つご紹介していきましょう。
「恐れながら」の正しい使い方を例文を見ることでしっかりと確認できるので、例文を参考にしてみて下さい。それでは、「恐れながら」の使い方例文①からご紹介していきましょう。
例文①
「恐れながら」の使い方例文①メールでの「恐れながら」の使い方例文をご紹介します。「前回は失敗だった人事採用につきまして、恐れながら、今期の人事採用は新しい案件を作成させていただきます」
「恐れながら今回は、ご協力を見合わせていただきたく存知ます」「恐れんながらそういった要望を飲むのは難しいと存じ上げます」
「恐れながら、私の方で対応させていただいてもよろしいでしょうか?」「恐れながら、私どもで協力させていただきます」という使い方になります。
例文②
「恐れながら」の使い方例文②「恐れながら失念」があります。「失念」の意味には「忘れる」という意味があります。
「先日承りました案件の報告書作成ですが、恐れながら失念しておりました」という使い方や「恐れながら失念しておりました件について再度報告させていただきます」というメールでの使い方があります。
例文③
「恐れながら」の使い方例文③として「恐れながら申し上げます」があります。ビジネスの場面では多く使われる言葉でもあり、謙譲表現での敬語です。この使い方として「失礼かと存じますが」「憚(はばか)りながら申し上げます」
「出過ぎたことを申し上げるようですが」「恐縮ではございますが」「謹んで申し上げます」「お言葉ですが」「非礼を承知で申し上げさせていただきますが」「出過ぎたことを申し上げるようですが」という敬語としての使い方例文があります。
具体的には、「私が発言するとは出過ぎたことを申し上げるようですが、私にはその考えは賛成できません」「お言葉ですが、そのような対応では不十分かと存知あげます」「非礼を承知で申し上げますが、今回の行事は失敗です」となります。
例文④
「恐れながら」の使い方例文④としてビジネスでの使い方例文をご紹介していきましょう。ビジネスでは敬語表現を使いこなすことは、必須です。正しく敬語表現を使うためにもしっかりと覚えておきましょう。
「お言葉ですが」「恐れながらご助言をさせていただきますと」「恐れながら申し上げます」「恐れながら、出過ぎたことを言うようですが」「恐れながら進言させていただきます」
「恐縮ながら(恐れながら)申し上げます」という使い方例文となるのです。ビジネスの場面では、「恐れながら申し上げます」「恐縮ではございますが」という使い方をよくするので、覚えておきましょう。
「恐れながら」は「謙譲の姿勢で言動を働く」という意味
「恐れながら」の意味は「謙譲の姿勢で恐れ多いことを承知の上で言動を働く」という意味があります。ビジネスの場面でもよく使う言葉でもあるので覚えておきましょう。また、「恐れながら」と似たような言葉として「僭越ながら」についてもご紹介していきました。
「恐れながら」と「僭越ながら」の違いは「恐れながら」という言葉には「恐れ多いこと」が意味で相手に「失礼」「無礼」を詫びる意味もあります。一方「僭越」の分不相応であることの意味合いのある部分では、違うニュアンスになります。
また、「恐れながら」と似た言葉として「恐縮ながら」という言葉の違いについてもご説明しました。「恐れながら」という言葉は類語がたくさんあるので、それぞれの違いをしっかりと把握して使い分けるようにしていきましょう。