あたかもの意味とは?
時代劇や小説などの中で時々使われる「あたかも」という言葉がありますが、「あたかも」という言葉の意味を問われた時に正しい意味を答えられるという人は少ないでしょう。
日本語には大昔から使われていて現代ではほとんど使われない難解な言葉もかなり多く、「あたかも」という言葉もそのような日本語のうちの一つです。
なので「あたかも」という言葉の意味を知らない人が多くても仕方がないのですが、意味を知れば「そういう意味だったのか」と納得することができます。
「あたかも」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、「あたかも」の意味についてご紹介しましょう。
あるものが他に似ているという意味
「あたかも」の意味の一つ目は、「あるものが他に似ている」という意味です。何かが何かに似ている場合や誰かが誰かに似ている場合などに「あたかも」という言葉を使って「似ている」ということを表現します。
「あたかも」という言葉は副詞で、漢字にすると「恰も」になります。「あたかも」は単独で使われることはなく、「~のようだ」などの言い方とセットで使われます。
「あたかも」という言葉は時代劇や小説などの中では時々使われますが、一般的な日常生活の中で口頭で使うことはほぼありません。
ちょっと難しい日本語を好んで使う高齢の人の中には、「あたかも」という言葉を使う人もいますが、そういった人は少ないです。
ちょうどという意味
「あたかも」の意味の二つ目は、「ちょうど」という意味です。「あたかも」の意味の「ちょうど」には「その時」という意味が含まれているため、「ちょうどその時」ということを表現する場合に「あたかも」を使うことができます。
「ちょうど」には「きっかり」「ぴったり」などの意味がありますので、「あたかも」という言葉は「時間ぴったり」ということを表現する時に良く使います。
「あたかも」には「あるものが他に似ている」という意味と「ちょうど」という意味がありますが、小説などの中ではどちらの意味でも使われています。
あたかもの由来
「あたかも」の意味についてご紹介しましたので、次は「あたかも」の由来についてご紹介します。日本語には大昔から使われていて由来や語源がある難解な言葉が沢山ありますが、「あたかも」もそんな日本語の一つです。
「あたかも」という言葉をほとんど目にしたり耳にしたりしたことがないという人には当然由来などわかりませんが、「あたかも」を小説などで良く目にしている人でも「あたかも」の由来は知らない場合が多いです。
「あたかも」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「あたかも」の由来についてもご紹介しましょう。
当たるという意味の「あた」が由来
「あたかも」の由来は、奈良時代の「当たる」を意味する「あた」という言葉です。「当たる」を意味する「あた」は動詞「当たる」の語幹です。
この「あた」に接尾語の「か」と助詞の「も」をつけることで、「ぴったり当てはまると言っていいほど」ということを表現する「あたかも」になりました。
「あたかも」は奈良時代の書物「万葉集」の中でも使われているとても古い言葉で、それがいまだに現代小説などにおいても使われていて、とても大切にされてきた日本語の一つだと言えます。
あたかもの類語
「あたかも」の由来についてご紹介しましたので、次は「あたかも」の類語についてご紹介します。「あたかも」には似ていることを表現する「あるものが他に似ている」という意味と、時間ぴったりを表現する「ちょうど」という意味があります。
「あたかも」にはこれらの二つの意味がありますので、このどちらかと似た意味を持っている言葉が「あたかも」の類語になります。
「あたかも」という言葉に似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「あたかも」の類語についてご紹介しましょう。
まるで
「あたかも」の類語の一つ目は、「まるで」です。「まるで」の意味は「すっかり」「全く」「全然」「ちょうど」など色々ありますが、「~のようだ」とセットで使う「まるで」は「あたかも」の「あるものが他に似ている」とほぼ同じ意味です。
「まるで」は「~のようだ」とセットで使うことによって「何かが何かに似ている」ということを表現しますので、使い方の点でも「あたかも」に似ています。
「まるで」という言葉は一般的な日常生活の中でも結構良く使われる言葉ですが、日常生活ではほとんど使われない「あたかも」の類語です。
いかにも
「あたかも」の類語の二つ目は、「いかにも」です。「いかにも」の意味は「まさにそうだという風に」「どのようにでも」という意味で、「まさにそうだという風に」という意味の方が「あたかも」の類語になります。
「いかにも」という言葉を「あるものが他に似ている」ということを表現するために使う場合にも、「いかにも」に「~のようだ」などという言い回しをつけてセットで使います。
「いかにも」という言葉は「あたかも」ほどではありませんがちょっと堅いイメージの言葉ですので、「まるで」より「あたかも」に近い使い方ができる類語だと言えます。
まさに
「あたかも」の類語の三つ目は、「まさに」です。「まさに」の意味は「本当に」「確かに」「ちょうど」という意味ですので、「あたかも」の意味「ちょうど」と同じ意味を持つ「あたかも」の類語になります。
「あたかも」の「ちょうど」には「ちょうどその時」という意味がありますが、「まさに」も「まさにその時」という使い方ができます。
「まさに」という言葉はそういった使い方なら「あたかも」の言い換えに使うことができると言えますので、使い方という点でも「あたかも」の類語だと言えます。
さながら
「あたかも」の類語の四つ目は、「さながら」です。「さながら」の意味は「そっくりそのまま」という意味ですので、「あたかも」の「あるものが他に似ている」に近い意味を持つ「あたかも」の類語になります。
「さながら」という言葉も「あたかも」という言葉と同じように「~のように」とセットで使われることが多く、その点でも「あたかも」の類語だと言えます。
ですが「さながら」という言葉は「絢爛絵巻さながらに」といった使い方もしますので、「あたかも」とは違う使い方もできます。
まさしく
「あたかも」の類語の五つ目は、「まさしく」です。「まさしく」の意味は「間違いなく」「確かに」という意味で、「あたかも」とは少し意味が違うようですが、「まさしく」も「あたかも」の類語の一つです。
「まさしく」という言葉は「~だ」という言い回しとセットで使われることが多く、使い方という点で「あたかも」の類語だと言えます。
ですが「まさしく」は「あたかも」とは違って「似ている」という程度ではなく「間違いなく~だ」という意味ですので、厳密に言えば「あたかも」とは少し違います。
おりしも
「あたかも」の類語の六つ目は、「おりしも」です。「おりしも」の意味は「ちょうどその時」という意味ですので、「あたかも」の二つ目の意味「ちょうど」と全く同じ意味を持つ類語になります。
「おりしも」という言葉は「あたかも」という言葉が使える場面で使うことができますので、使い方という点でも「あたかも」の類語だと言うことができます。
「あたかも」という言葉は「時あたかも」という使い方が一般的ですが、「おりしも」を「時おりしも」とは言いません。意味は全く同じでも、「おりしも」は「あたかも」とはその点では違います。
ちょうど
「あたかも」の類語の七つ目は、「ちょうど」です。「ちょうど」の意味は「きっちり」「ぴったり」「過不足ないさま」「あたかも」といった意味で、意味の中に「あたかも」があるため「あたかも」の類語になります。
ですが「ちょうど」という言葉は様々な場面で使うことができますので、「あたかも」のように使う場面が限定されていません。
そういった点では「ちょうど」は「あたかも」とは少し違いますが、「あたかも」と同じ場面で使えますので「ちょうど」も「あたかも」の類語だと言えます。
その節
「あたかも」の類語の八つ目は、「その節」です。「その節」の意味は「過去のその時」という意味がありますので、「その時」という意味を含んだ「あたかも」の意味「ちょうど」と似た意味を持つ類語になります。
「その節」という言葉は「その節はありがとうございました」などという使い方をしますので、使い方という点では「あたかも」とは異なります。
このように「あたかも」にはたくさんの類語がありますが、使い方まで「あたかも」と全く同じである類語はほぼないと言えます。
あたかもの英語表現
「あたかも」の類語についてご紹介しましたので、次は「あたかも」の英語表現についてご紹介します。日本語には英語に翻訳することが難しい複雑な意味を持つ言葉や繊細な意味を持つ言葉がたくさんあります。
「あたかも」もそういった日本語の一つですので、英語に翻訳するのは難しく、意訳が必要になってきます。
「あたかも」を英語に翻訳する場合にはどのような英語を使えば良いのか、「あたかも」の英語表現についてご紹介しましょう。
あたかもの英語表現は「as if」
「あたかも」を英語表現する際に良く使われる英語は「as if」です。「as if」は後ろに付ける文章を指して「まるで~であるかのように」という意味で使える英語です。
「あたかも」を英語表現する際には他にも「like so」という英語も使われます。「like so」も「まるで~であるかのように」という意味で使える英語で、「like so」の後ろには名詞がつくことが多いです。
「あたかも」という言葉を英語表現することはできますが、「あたかも」の直訳はできませんので「あたかも」を英語に翻訳するにはやはり意訳が必要だということです。
あたかもの使い方
「あたかも」の英語表現についてご紹介しましたので、次は「あたかも」の使い方についてご紹介します。「あたかも」という言葉は大昔から存在している言葉で現代の一般的な日常生活の中ではほとんど使われません。
「あたかも」の意味を知って「あたかも」という言葉を使ってみたいと思っても、使い方を知らなければ「あたかも」という言葉を正しく使うことはできないでしょう。
「あたかも」という言葉はいったいどのように使えば良いのか、「あたかも」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「あたかも」の使い方の例文の一つ目は、「彼女はあたかも自分が女王様ででもあるような振る舞いをする」という例文で、「彼女はまるで自分が女王様ででもあるような振る舞いをする」という意味になります。
「あたかも」という言葉は「~のようだ」といった言い回しとセットで使われますが、この例文では「~ような」とセットで使われています。
「あたかも」と「ようだ」「ように」の間に文章を挟んで使うというのが、「あたかも」の一般的な使い方です。
例文②
「あたかも」の使い方の例文の二つ目は、「時あたかも午後5時、彼は仕事を時間ぴったりに終わって帰り支度をした」という例文です。この例文では「ちょうどその時」という意味で「あたかも」が使われています。
「あたかも」を「ちょうどその時」という意味で使う使い方は「時あたかも」ですが、現代の日本ではこのような言い方はほとんどしません。
小説などの中では時折使われることのある「時あたかも」という言い方ですが、一般的な日常生活の中ではほとんど使われることはないと言えます。
例文③
「あたかも」の使い方の例文の三つ目は、「あたかも仕事をしているように、彼女は仕事をさぼってネットショッピングをしている」という例文です。この例文の「あたかも」は「まるで」に言い換えることができます。
「あたかも仕事をしているように」は「まるで仕事をしているように」と言い換えることができますが、現代の日本では「あたかも」ではなく「まるで」が使われるのが一般的です。
例文④
「あたかも」の使い方の例文の四つ目は、「あたかも日記をつけているようだが、実は彼女は小説を書いている」という例文です。この例文でも「あたかも」は「まるで」と言い換えることができます。
「あたかも」という言葉は古くから伝わる美しい日本語の一つですが、一般的な日常生活の中ではほぼ使うことはありません。ですが「まるで」を言い換える時に「あたかも」を使うことができますので、使い方は難しくありません。
あたかもはあるものが他に似ているという意味
「あたかも」という言葉の意味や使い方の例文などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「あたかも」の意味は「あるものが他に似ている」という意味ですので、正しい意味を理解して正しく使いましょう。