fix(フィックス)の意味とは?
fix(フィックス)とは壊れた物等を修理する、物や既に決まったことを修正する、もしくは物理的に物を固定したり、もしくは予定を確定させるなど、大変多くの意味を持つ英語から来ている言葉です。
例えばビジネスシーンでは確定した事柄を表現したり、業務スケジュールや会議等での方針が最終的に確定した際に、その状態を表現する際に「fix(フィックス)」(した)という具合に使用します。つまり何かが確定して収まったという意味合いで使用されます。
その他、既に確定している予定を何かの事情で日程を変更する必要が生じた際に、再調整を行うという意味を表す際にも使われることもあります。
fix(フィックス)の由来
「フィックス」という言葉の由来ですが、上で述べた通りこの言葉は英語の「fix」という単語に由来しており、英語の「fix」が日本語として使わせるようになった際に「フィックス」とカタカナ語で表記されるようになりました。
英語の「fix」という単語が持つ「固定する、決定する。確定する」といった意味が日本語の「フィックス」という言葉にも通じるようになり、その意味を借用する形で日本でも「フィックス」がビジネスシーンでも使われるようになりました。
日本で「フィックス」という言葉が使われ始めた時期はあまりはっきりしていません。外資系の企業では以前から社内公用語として使用されていたようですが、最近ではビジネス用語として広まり、社内の会話で「フィックス」という言葉は珍しくなくなりました。
fix(フィックス)の特徴
「fix(フィックス)」は上で説明した通りもともとは英語であり、英語から使われるようになった言葉ですが、「fix(フィックス)」という言葉の特徴として挙げられるのは、(ビジネスにおいても)この言葉は複数の意味を持っており、様々な使い方が可能な点にあります。
「fix(フィックス)」は「確定、固定、決定」と「何かが固まる、固める」という意味合いを持つ点では共通していますが、実際に使用されるビジネスシーンによって、微妙なニュアンスや意味の違いは生じてきます。
ここでは「fix(フィックス)」という言葉がどのような場面でどのような意味を持たせた上で、どのような使い方をされるのかについて、ビジネス上で起こり得る具体的なシチュエーションを用いながら説明していきます。
・「最終確定」という意味
英語の「fix」は実に多彩な意味を持つ言葉ですが、ビジネスのシーンでは「fix(フィックス)」は主に「確定」や「決定」という意味で使用されます。どのようなシチュエーションで使用されるかについては、以下の通り纏めてみました。
頻繁に変更が入るスケジュールが確定する、絶えず加筆・修正が入って変更が繰り返される資料が最終版となる、また多くの意見が飛び交い、議論がされてきた組織の運営方針が最終的に一つの結論として纏まるといった状況のことを「フィックスする」と表します。
この場合の「フィックスする」という言葉は「常に変更が入ったり、状況が流動的であったものが、最終的な形態に行きつくこと」というような、「最終形態に収まっていくさま」という意味を持って使用されています。
・「調整を図る」という意味
例えば顧客からある商品の大口の受注を受けて大きな売上が期待できる状況ですが、納期もタイトな日程を希望されたため、その場で受注して契約に進むという決断を下せないといったシチュエーションがあったとします。
当然、そのような場合には顧客との間で納期交渉が必要となるでしょう。お互いが予算やスケジュール等、譲れるライン譲れないラインをはっきりさせて、契約成立に向けて調整が必要なシーンです。
このシチュエーションでは、既に「最終的な結論に落ち着いた」という意味ではなく、「最終的な結論(それもできるだけ望ましい結論)」にまとめるために、交渉をしに行く、話を纏めにいくという行為そのものという意味で「fix(フィックス)」という言葉を使用しています。
従ってこの状況で「fix(フィックス)」という言葉を使うのは、相手と調整を図るために「この商品の受注に向けて金額と納期についてfix(フィックス)しに行く」ことを意味します。「受注に向けて最終的に調整しに行く」意味を表現する使い方となるのです。
・「修正完了」の意味
ビジネスにおけるあらゆる業種の中でも、特にIT業界においてはこれまでに述べてきた「確定」の意味の他、「修正」という意味でも「fix(フィックス)」が使用されることがあります。
具体的には既存のプログラムに何らかの問題があり、アプリケーションやソフトウェアのシステム上の動作に不具合が生じた場合にその問題の解決の為にプログラムを修正を入れることを「fix(フィックス)」と呼びます。
加えて「fix(フィックス)」という言葉はプログラムに修正を入れる行動を指すだけではなく、問題を解決する為に修正を入れたプログラムそのものを指して「fix(フィックス)」と呼ぶこともあります。あるいは「バグフィックス」という表現も使われることもあります。
プログラムの修正や、あるいはシステム設計の根本的なやり直しを伴うと言ったシチュエーションにおいては、「fix(フィックス)」は「(最終的な)確定、決定」もしくは「最終的な結論に向けて動くこと、またその動き」という意味とは異なります。
何か問題が発生していたり、解決策が必要な状況下において、問題を解決するために修正を入れたり、また修正しようと試みるという意味で「fix(フィックス)」や「fix(フィックス)」するという言葉を使うことがあります。
プログラムの修正や問題解決のために使用される「fix(フィックス)」は、最終決定や確定という状況を表現する際に使用される「fix(フィックス)」とは意味の上で全く違う使われ方だと言えます。
「fix(フィックス)」と英語
これまでにも述べてきた通り、「fix(フィックス)」はもともと英語由来の言葉であり、日本語(というか外来語)として使われるようになった「fix(フィックス)」はビジネスにおいても「スケジュールを確定する」や「最終調整しに行く」という意味で通用するようになっています。
しかし、もともとの英語の「fix」という言葉を日本語と同じような感覚で英語でも用いようとすると、うまく意味が伝わらずに誤解を招く可能性もあります。それでは英語で「fix」を用いる際、使い方についてどのような点に注意する必要があるのでしょうか?
ここでは誤解を招かずうまく意味を伝えられるように、実際に使用する際に注意すべきポイントや、自分の意図する意味をうまく伝えられる、より良い表現の方法を目的別・自分が伝えたい意味の違い別に例文も交えながら紹介していきます。
例文①スケジュールを確定させる意味で使う場合
日本語での「このスケジュールでフィックスしました」という意味と同意の文章を英語で表現しようとすると、「I fixed my schedule.」となりますが、この短い文章だけで日本語の意味と全く同じ表現をさせようとすると、別の意味と取られる可能性もあります。
前に述べた通り、「fix」には「固定する」の他にも「(物を)修理する」という意味もあるため、前後の文脈なしで「I fixed my schedule」とだけ書いた場合には、スケジュールに対して「fix」させているのかがはっきりしないため、意味の上で別の解釈も可能だからです。
このような場合は、思い切って「スケジュール」を主語にした上で、自分の意図通りの意味がうまく伝わるように他の単語も用いながら補足するようにすると、正しく意味が伝わりやすくなります。
「My schedule is fixed, I can’t change it.」というような具合に「スケジュールはもう決まっているから、変更できない」という表現の方が、自分の意図した意味を具体的な状況を伴いながらわかりやすく伝えることができるので、誤解なく自分の意図した通りの意味を伝える上ではベターと言えます。
例文②確定するか、調整したいかのどちらの意味にもとれる場合
例えば取引先との契約内容について明記している契約書についての議論がなされていたとします。契約書の内容について「確定している」という意味を英語で表現する際には、以下のような表現が考えられます。例文で確認しましょう。
「契約書の内容は確定している」意味の文章を英語で表現しようとそのまま訳すと、下記のような文章で表現する人は多いのではないでしょうか。例えば、「The contents of contract is fixed.」「We fixed the contents of contract.」といった具合です。
上の例文は「契約書の内容は確定している。」、下の例文は「我々は契約書の内容を確定させた。」と解釈することが可能です。しかし、例文①でも触れた通り、「fix」は「固定する、確定する」の他にも「修理、修正する」という意味も持ち合わせています。
このため、上記の短い例文のみでは「契約書の内容は修正されている。」「我々は契約書の内容を修正した。」という意味にも取れるので、意味の解釈の上で誤解が生じてしまい、誤った意味で伝わってしまう可能性も否定できません。
従って英語で「fix」を使用した文章を作成する際には、自分の意図した意味が正しく伝わるように主語の設定に気を付けるのは勿論のこと、前後の文脈で誤った意味を連想されないように文章全体の表現にも注意を払うことが求められます。
fix(フィックス)の使い方
ここまで「fix(フィックス)」という言葉の意味や由来、英語表現についても紹介してきました。また誤解を避けて自分の意図した意味が正しく伝わるように、実際に「fix(フィックス)」を使用する際に気を付けるべき表現上のポイントも紹介してきました。
以下では実際に「fix(フィックス)」が具体的にどのような場面で、どのような意味を伝えるためにどのような使い方がされるのかについて、具体的にビジネスシーンで使用される例文を用いて説明していきます。
例文①
「A社へ新しい企画の契約の打診をしに行く前に、費用面について擦り合わせをしたいので、そろそろ打ち合わせの日程をフィックスさせたいのですが…」
ビジネスにおいてはとにかく打ち合わせや取引先に対してのアポ取りといった場面が多数発生します。参加する人の予定を調整した上でそろそろ日程を決定させたい際に、「日程決めたいです=フィックスさせたい」というような使い方をします。
上のシチュエーションでは「fix(フィックス)」という言葉は「打ち合わせの日程の確定」を意味しており、予定やアジェンダの決定や確定という意味で使用されています。ビジネスは常にスケジュールの調整、アジェンダの決定で動いていると言っても過言ではありません。
例文②
「あの契約書の内容確認した?先方に今週中に送って確認してもらう必要があるから、今日中にフィックス版を出して欲しいんだけど」
上に述べた打ち合わせやアポ取りの日程を決定する場面に加え、ビジネスでは書面のやりとりも多数発生します。ビジネスレターや契約書といった会社同士の取り決めに関する文章は非常に重要ですから、作成時には何度も遂行がなされるのが通常です。
作成に時間はかかりますが、特に取引先に提出する書類は納期がありますから、最終版にできるだけ早く仕上げる必要があります。契約書の最終版を求める際に「そろそろフィックス版が欲しい」というような使い方をします。
このシチュエーション下においては、「fix(フィックス)」という言葉は、契約書の内容の最終的な確定というミッション達成に向けて起こしている行動という意味と、契約書の最終版という「最終的な結果」という意味の両方を表す意味で使用されていると言えます。
例文③
「先週のチーム会の議事作成の際にペンディングとなっていた来年度の部の営業方針についてだけど、先ほどの社内会議で概ねフィックスしたよ。」
会社の経営方針や部署の営業方針といった全体的な業務に関わりのある重要な方向性についても、誰かの一言でスパッと決まることは極めて稀でしょう。通常は様々な議論がなされたり、課長、部長、所長、役員…というように何人もの認可が必要とされることが大半です。
容易には決定できない事柄が「やっと、とうとう決まった」というようなニュアンスの報告をする際に「方針がやっとフィックスしたよ」というような使い方がされます。
例文④
「社内協議や稟議の結果やっとフィックスさせた契約書の内容の変更を要求するとは、一体君は何を考えているんだ!」
この例文では、最終版として決定された契約書の内容の見直しを提案した社員に対する上司の叱責のコメントを取り上げています。ビジネスシーンでは「fix(フィックス)=最終決定、最終版」という意味を表し、覆すものではないというニュアンスが強いです。
一度フィックスした打ち合わせの時間や契約書等の内容や条項、その書面については尊重されるべきもので、安易に覆してはいけないものであると考えるビジネスパーソンは多いです。「fix(フィックス)」は強い決定力を意味する言葉と言えるので、軽々しく使用するのは望ましくありません。
「fix(フィックス)」されて決定されたことは、プライベートで家族や友達と交わされるような口約束やちょっとした連絡のみで決まったこととは重みが違ってきます。一度フィックスしたことは安易に覆すような言動はマナー違反とも見做されかねない行為ですので、十分に注意が必要です。
fix(フィックス)の注意点
さて、これまで「fix(フィックス)」の意味や由来に加えて英語表現や例文を用いた具体的な使い方の例について説明してきました。その中で「fix(フィックス)」は最終決定を表す表現で、特にビジネス上ではこの言葉を用いた最終決定という意味合いが強いことについても触れました。
家族や友人といったプライベートな付き合いでは用いられる機会はほとんどないと言えます。それだけに「fix(フィックス)」を使用する際には、かなり強い表現であるだけにビジネスで用いる使い方には細心の注意が求められます。
では実際にこの表現を使用する際に、使い方や表現の仕方について注意する点がどのようなことなのか、失礼な使い方にならない為に気を付けなければならない点について説明していきます。
文書では使わない
「fix」という英語由来の外来語や、「フィックス」といったカタカナ言葉は、話し言葉として用いることは許容されても、書き言葉で表現する必要がある際には、使うことは控える方が良いでしょう。これらの表現は書き言葉として使うとどうしてもフランク過ぎる印象が拭えないためです。
このような理由から、「fix」や「フィックス」を文書を作成する際やメールの文章に使用することは避けるのが無難です。とりわけ目上の方や年配の方に対して用いる際には、同じ意味となるような日本語で言い換えるのが望ましいです。
例えば「フィックス」を言い換える際の日本語表現としては、「決定」「確定」「修正完了」などがあります。自分がよく使っている、自分の中では常識だからという理由で、誰彼構わず使うのはビジネス上だけではなく、エチケットという点でも好ましくありません。
取引先に対して使うのは失礼
「fix」という言葉を身内とか、社内での使用に留める分には全く問題はありません。しかし、対外的に使用するのは避けるべきです。特に取引先に対して安易に「fix」の言葉を安易に使用するのは失礼に当たる可能性があります。
「fix」という言葉がもともと外来語ということもあり、「fix」の意味を誰でも知っているだろうし、通じるものと考えて濫用することは控える方が望ましいです。特に目上の人に対して軽々しく使うことは絶対に避けるべきです。
まして、社内の人間等身内に対しての対応と比較して、よりきちんとした対応が求められる取引先やクライアントといった社外の相手に対しては、敬語表現も用いるなど細心の注意を払い、フォーマルな日本語で伝える必要があります。
fix(フィックス)は確定する・調整するという意味
「fix(フィックス)」という言葉はもともとが英語由来ということもあり、ひと昔前までは主に外資系の企業で使われていた他は、そこまで浸透しているとは言えず、その組織や人によって使う頻度にもかなり差がありました。
しかし、現代ではグローバル化が益々進んでおり、今はそこまで耳慣れなくても将来どのような人と働くか、どのようなシチュエーションに出くわすかと言ったことは誰にもわかりません。
ビジネスシーンのどこで「fix(フィックス)」という言葉が登場してくるかは誰にもわかりません。そのような意味で、「fix(フィックス)」の意味を取りあえず頭に入れておき、言葉の意味や使い方を知っておいて損はないと言えます。
「fix(フィックス)」は英語由来の言葉であり、様々な意味を持つ言葉ですが、日本においても近年ビジネスでは日常的に使われる言葉となっており、スケジュールや会議、契約や経営方針などを「確定させる」「決定させる」言葉として使用されています。
ビジネスにおいて「決定を下す」事は、非常に大きく重い判断です。それ故、言葉の使い方や文章の作成の仕方如何で誤解を招くようなことは厳に避けなければなりません。
それゆえ、特に書き言葉で「fix(フィックス)」を使用する際には、主語の選定や前後の文脈等、構成にも細心の注意を払って文章を作成することが必要です。以上の点を踏まえてビジネスを円滑に進めていけるように、言葉の使い方を積極的に学んでいきましょう。