「ぼちぼち」の意味や使い方は?類語や関西弁での意味も分かりやすく解説!

「ぼちぼち」の意味や使い方は?類語や関西弁での意味も分かりやすく解説!

「ぼちぼち」という言葉の意味をご存知でしょうか?もはや意味すらあまり考えず日常生活に溶け込んでいるこの言葉も、実は意外な意味があります。今回はそんな「ぼちぼち」を徹底解剖。その意味・由来・特徴・類語・使い方・注意点を紹介しながらその全容に迫っていきます。

記事の目次

  1. 1.ぼちぼちの意味とは?
  2. 2.ぼちぼちの由来
  3. 3.ぼちぼちの特徴
  4. 4.ぼちぼちの類語
  5. 5.ぼちぼちの使い方
  6. 6.ぼちぼちを使う際の注意点
  7. 7.ぼちぼちはそろそろという意味

ぼちぼちの意味とは?

Photo by くーさん

「ぼちぼち」という言葉の意味をご存知ですか?「関西弁?」「擬音?」「ビジネスなどに関係する言葉?」などよく聞く言葉ではありますが、意味をしっかり知らないケースが多いです。

「ぼちぼち」は、書籍のタイトルや、企業名、関西地方のお好み焼きや居酒屋、喫茶店などの飲食店の屋号としても使われており、珍しいケースとしてはステッカーなどの商品名も存在しております。

Photo byAlexas_Fotos

「ぼちぼち」とは、「そろそろ」「ゆっくり」という意味です。ただこの「ぼちぼち」という言葉、会話などのやりとりを見聞きしていると、その意味を額面通り受け取れない深いニュアンスを含んでいるのが理解できます。

「この場合のぼちぼちってどういう意味?」など、この「ぼちぼち」という言葉に含まれる、上記の意味以外の深いニュアンスはどんなものであるのでしょうか?それは後述する地域性に一因があります。

今回はそんな「ぼちぼち」という言葉を徹底分析。「ぼちぼち」の由来から、特徴、類語、使い方、注意点について順に紹介していき、「ぼちぼち」を掘り下げていきます。

ぼちぼちの由来

Photo bygeralt

まずは「ぼちぼち」の由来から確認していきます。よく見聞きする言葉「ぼちぼち」の由来はどこにあるのでしょうか?まずはこの言葉の品詞から確認していきます。

「ぼちぼち」の品詞は副詞です。副詞とは主語・述語にはならない語で修飾語として他の品詞と一緒に活用される働きがあります。

Photo by mrvacbob

ただ過去の文献を紐解いていくと、「ぼちぼち」の意外な意味が隠されていることがわかりました。「ぼちぼち」が現在の意味として活用される前にどのような使われ方をしていたのでしょうか?

上記の使われ方を裏付ける資料として上げられる文献は、江戸時代に遡ります。戯作者の式亭三馬が発表した「浮世風呂」という作品です。江戸後期の1809年(文化6年)〜1813(文化10年)の作品で「第二編下」で下記の一説が確認できます。

「ここの所にぼちぼちぼちと斑(ふ)があるのさ」斑とは斑点のことです。つまり「ぼち」は「小さな点」のことを指しており、それを連続して「ぼちぼちぼち」と表現しています。

このことついて国文学者の白石大二が「ぼち」について触れており、「ぼちぼち」と「ぼち」が畳語として表現される場合に「点が二つ以上ある」ことを解説しています。

上記の説明をさらに裏付ける文献としては小説家の尾崎紅葉が「読売新聞」に1897年(明治30年)〜1902年(明治30年)に発表した「金色夜叉」という作品があります。下記の一説を紹介します。

「檜葉、樅の古葉貧しげなるを望むべき窓の外に、庭ともあらず打荒れたる広場は、唯麗なる日影のみぞ饒に置余して、そこらの梅の点々と咲初めたるも」

上記「点々」は「ぼちぼち」と読み仮名がふられており、ぼちぼちが小さな点として意味する言葉であることを裏付けています。

もう1つ「ぼちぼち」が点であるということを裏付ける文献としては小説家の泉鏡花が「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」に1937年(昭和12年)に発表した「薄紅梅」という作品があります。下記の一説を紹介します。

で印刷が出来ると面白い。もの言わず念願する、娘の唇のに動くように見えるから。黒ゝゝでは、睫毛える形にも見えない。見えても、ゝと短いようで悪いから、紙だけれど」という一文が確認できます。

上記「ゝゝ」は「ぼちぼち」と読み仮名がふられており、ぼちぼちが睫毛(まつげ)を小さな点として意味する言葉であることを裏付けています。

このように今から200年以上も前には「ぼちぼち」は、「点々」という意味で使われていたことがわかります。この点状が散らばっている様から、現在で知られる「ゆっくり」「そろそろ」という副詞として使われる経緯となりました。

ぼちぼちの特徴

Photo by @markheybo

「ぼちぼち」の意味、由来を理解してきましたが、「ぼちぼち」という言葉には使用するにあたってどんな特徴を持った言葉なのでしょうか?

「ぼちぼち」の意味は「そろそろ」「ゆっくり」という意味になるとと先述しましたが、「動作が遅く」「急がない」ニュアンスを感じさせる言葉ですが冒頭でも先述したように額面通りに受け取れないシーンも見受けます。

以上のようなニュアンスを持つ言葉「ぼちぼち」は現代のどのようなシーンでマッチし、使われているか?以下にその特徴をご紹介いたします。

ビジネスシーンで使われている言葉

Photo by christophe.benoit74

まず、「ぼちぼち」という言葉が使われる特徴に上げられるのは、ビジネスシーンです。詳しくは後述する「使い方」に譲りますが、「ぼちぼちでんな」「ぼちぼちかかりましょうか」など、特に関西で多く使われていることに特徴があります。

関西でも「大阪弁」と「但馬方言」とがあり、同じ「ぼちぼち」でも関西の地方地方でそれぞれ独自の使い方、イントネーションで馴染み深い言葉として浸透していった歴史があります。

あいまいな意味合いで使われる

Photo by Lori Greig

つぎに、「ぼちぼち」という言葉が使われる特徴に上げられるのは、その額面通り受け取れない「あいまいさ」です。何か濁したニュアンスが含まれていることです。それは先述した関西地方でそれぞれ浸透していった意味の多さです。

関西の「但馬方言」では、「ぼちぼち」は「そろそろ」の他、「着実に」「少しずつ」などの意味があります。一方「大阪弁」では、「ぼちぼち」は「そろそろ」の他「ゆっくり」「まあまあ」といった意味があります。

「ぼちぼち」はその言葉本来の意味の微妙さも相まって、ちょっとしたニュアンスのあいまいさ故に融通の利く言葉たり得ています。

ぼちぼちの類語

Photo byGDJ

「ぼちぼち」の意味、由来、特徴と理解できたところで、その類語にはどんな言葉が当てはまるのでしょうか?類語として当てはめる以上、似た意味を持つだけではなく、同じような畳語としての響きをもつ言葉が代用として相応しいです。

「ぼちぼち」の類語を知ることは、他の語との違いが明瞭になり「ぼちぼち」がより明確に意味付されることにもつながります。以下から、「ぼちぼち」の類語をピックアップしていきます。

類語ぼつぼつは徐々にゆっくりの意味

Photo byDorianKrauss

「ぼちぼち」の1つ目の類語として「ぽつぽつ」が挙げられます。この類語「ぼつぼつ」は「徐々にゆっくり」の意味です。同じ畳語であり、ニュアンスは「ぼちぼち」に似ています。

類語「ぼつぼつ」は「ぼちぼち」と同じ副詞ですが、あまりビジネスシーンなどで使われることはない言葉です。「志願者がぼつぼつと集まってきた」などどいう使い方ができます。

また、名詞としての用法もあり、「腕にぼつぼつがある」などが挙げられます。「小さな点や粒がたくさんある」意味で、これは先述した「ぼちぼち」の由来にも通じる使い方です。

他に類語「ぼつぼつ」には形容動詞としての働きもあり「勃勃」と漢字を当てることができます。その場合の意味は「勢いよく起こりたつ様」を表します。

類語ぽつぽつは少しずつある意味

Photo byPhotorama

「ぼちぼち」の2つ目の類語として「ぽつぽつ」が挙げられます。この類語「ぽつぽつ」は「少しずつある」という意味です。同じ畳語であり、この語のニュアンスも「ぼちぼち」に似ていますが、「ぼちぼち」でいう「ゆっくり」というニュアンスはありません。

この類語「ぽつぽつ」も「ぼちぼち」と同じ副詞です。ビジネスシーンなどでも使われている言葉で「ぽつぽつと注文が出始めている」「雨がぽつぽつ降ってきた」などどいう使い方ができ、この場合の意味は「少しづつ」という意味になります。

また、名詞としての用法もあり、「葉っぱに白いぽつぽつがある」などです。これは「ぼちぼち」「ぼつぼつ」と同じ「小さな点や粒がたくさんある」意味ですが、濁点ではないので少し抵抗感が和らいで、緩やかなニュアンスを含みます。

ぼちぼちの使い方

Photo bygeralt

「ぼちぼち」は先述した「ビジネスシーンで」「あいまいな意味で」使われていることは先述しましたが、では現在、「ぼちぼち」は実生活でどのように使うことができるのでしょうか?

「ぼちぼち」は関西を中心に使用されてきましたが、現在関西以外でも普通に使われている言葉です。汎用性の高い言葉なので、その使い方に覚えておいて損はありません。以下4つの使い方を例文を用いて紹介していきます。

例文①

「ぼちぼち」の使い方の1つの例文として、ビジネスシーンの会話が上げられます。同業他社との雑談のシーンで下記のような使い方ができます。

「儲かってまっか?」「ぼちぼちでんがな」このような会話でよく見られますが、例文のように関西弁でなくても「ぼちぼちですね」のように標準語でも普通に使われております。

この場合の「ぼちぼち」は大阪弁の方言で「まあまあ」という意味になり、但馬方言では「着実に」という意味になります。

例文②

「ぼちぼち」の使い方の2つ目の例文として、普段の日常会話が上げられます。何気ない友人との会話のシーンで下記のような使い方ができます。

「そろそろ開演かな?」「ぼちぼち行こか?」このような会話でよく見られますが、このケースも例文のように関西弁でなくても「ぼちぼち行こうか?」のように標準語でも普通に使われております。

この場合の「ぼちぼち」は大阪弁・但馬方言・標準語問わず「そろそろ」という意味になり、地域性問わずに使われる代表的な使い方です。

例文③

「ぼちぼち」の使い方の3つ目の例文としても、ビジネスシーンや日常での会話が上げられます。会社や自宅でのシーンで下記のような使い方ができます。

「時間も時間だけど、ぼちぼちやっていこう」このような話し言葉でよく見られますが、このケースも関西弁・但馬方言・標準語問わず、使える例文です。

この場合の「ぼちぼち」は大阪弁の方言と標準語では「ゆっくり」という意味になり、但馬方言では「少しずつ」という意味になります。

例文④

Photo by jlz

「ぼちぼち」の使い方の4つ目の例文として、習い事・ビジネスシーンが上げられます。上司や講師との会話のシーンで下記のような使い方ができます。

「この課題来週まできますか?」「難しいテーマですけど、ぼちぼち進めていきます」このような会話でよく見られます。このケースですと、標準語、大阪弁、但馬方言で解釈が分かれます。

この場合の「ぼちぼち」は大阪弁と標準語では「ゆっくりと」という意味になりますが、但馬方言では「ゆっくりと」の他「着実に」という意味に捉えることもできます。

このように「ぼちぼち」は先述した微妙なニュアンスを持つ意味合いの言葉なので、どちらの意味にも当てはめることができるケースも多々あります。

ぼちぼちを使う際の注意点

Photo by upyernoz

では「ぼちぼち」を使う際に気をつかうべきポイントはどこにあるのでしょうか?「ぼちぼち」はこれまで見てきたように標準語・大阪弁・但馬方言など、標準語として使用することも当然通用する言葉であると同時に、地域に根差した方言としても存在しています。

以上の点から、「ぼちぼち」を日常生活で使う際に気をつけるべきポイントを以下に紹介いたします。これまでの紹介のおさらいも兼ねてご確認ください。

地域により意味合いが異なってくる

Photo byGDJ

「ぼちぼち」は「特徴」や「使い方」で先述したように、その微妙な意味のニュアンスから汎用性の高い言葉ではありますが、地域性に左右されることもケースによってはありうることに注意が必要です。

「ぼちぼち」の意味をまとめると、標準語・大阪弁・但馬方言で共通する意味として「そろそろ」が上がられます。また、標準語・大阪弁共通する意味になると、「そろそろ」「ゆっくり」が上げられます。

フリー写真素材ぱくたそ

これに対して「特徴」や「使い方」でも先述しましたが、地域によって「ぼちぼち」がそれぞれ独立して成り立っているケースが存在しています。

意味としては、大阪弁ですと、「まあまあ」が挙げられますし、但馬方言では、「着実に」「少しずつ」があげられます。

このように、標準語と各地域の方言の意味が共通の場合もありますが、各地域にしか通用しない意味で表現する場合に、地域によっては「意味が分からず、意図が通じない」というケースも少なからず発生する可能性があるのでご留意ください。

ぼちぼちはそろそろという意味

Photo by Dai44

「ぼちぼち」の意味、由来、特徴、類語、使い方、注意点を順を追って説明してきました。「ぼちぼち」は標準語で「そろそろ」「ゆっくり」という意味ですが、その微妙な意味のニュアンスから汎用性が高く、融通の利く言葉ではあります。

ただ地域性が強い言葉であるが故に多少の注意を払うケースも考えられる言葉です。そんな「ぼちぼち」をビジネスシーンや何気ない日常会話でうまく活用いただき、よりコミュニケーションを円滑にしていただければ幸いです。

SDA
ライター

SDA

本記事をお読みいただきありがとうございます。近頃はイベント自粛で何かと我慢な日々ですね。ただ最近は、家の中でも新たな発見があるものだと気づかされました。今後はインドアならではのお役立ち情報があれば、記事の通じてどんどん発信していきたいです。明るく取り組んでいきますのでよろしくお願い申し上げます。

関連するまとめ

人気の記事