「推察」の意味とは?「推測」との違いや正しい使い方を分かりやすく解説!

「推察」の意味とは?「推測」との違いや正しい使い方を分かりやすく解説!

「推察」という言葉はたまに使う人は多いでしょう。しかし、似た言葉に「推測」や「考察」というのがあります。「推察」は「推測」や「考察」とどんな意味の違いがあるのでしょうか。それぞれの意味の違いを使い方を例に挙げて解説します。

記事の目次

  1. 1.「推察」の意味とは?
  2. 2.「推察」の対義語・類義語
  3. 3.「推察」の使い方・例文
  4. 4.「推察」と「推測」の違い
  5. 5.「推察」を使う際の注意点
  6. 6.「推察」の由来・歴史
  7. 7.「推察」の英語表記
  8. 8.「推察」は「相手の心中をくみ取る」という意味

「推察」の意味とは?

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「推察」の読み方は「すいさつ」です。意味は一言で言うと、「推し量ること」ですが、これだけでは意味が今ひとつわからないという人も多いはずです。

もう少しイメージが湧くようにするには、この意味の前に、「人の気持ちを」や、「事情を」、「状況を」などとつけ加えるると分かりやすくなります。

これはつまり、「推察」とという言葉は主に対象が「人」の場合に使われていることによるものです。また、対象の人に対しても状況がはっきりしている場合や感情を口に出しているなどの状況下では「推察」は使われません。あくまで内に秘めた感情などを推し量る意味に使われます。

「推察」の対義語・類義語

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「推察」の意味を正しく理解するには、対義語や類語を挙げて、それらとの意味の違いや使われ方の違いを説明するのが一番でしょう。「推察」の対義語・類語をそれぞれ挙げながら、意味の違いと使われ方の違いを説明していきます。

「推察」の対義語とその意味は?

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「推察」の対義語は「確認」です。「推察」が「推し量ること」という意味であるのに対し、対義語である「確認」の意味はその字の表す通り、「確かめて認める」という意味で、明確に結果が判明していることを表します。

対義語「確認」は確認する対象の物事について事実やデータが存在し、それが正しいと判断されれば認めるという結果に結びつくという意味を持っているので、明確に判明していない事柄に対して推し量っているという意味の「推察」とは対義語の関係となります。

ただし、「確認」はまた「推測」の対義語でもあります。「推測」とは違って「推察」のように対象が人のみという単語は他にはなく、それほど「推察」という言葉は特別なものと言えるでしょう。

「推察」の類語とその意味は?

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「推察」の意味は「推し量ること」と説明しましたが、「推察」の類語としては「推測」や「推量」、「推定」などが挙げられます。このうち「推測」についてはこのあとに「推察」と比較しながら詳細に説明します。

「推察」の類語としての「推測」以外の類語、「推量」や「推定」はいずれも人以外にも使われます。「推量」は「推し量る」という意味では「推察」と同じですが、使われる対象が「推察」の人に比べて広範囲にわたります。

「推定」も客観的事実や状況に基づいて考慮し推し量ることを指し、対象はこちらも人以外にも使われるという意味では「推測」とは同じではありません。

「推察」の使い方・例文

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日常で私たちが「推察」という言葉を使う場面はある程度限定されています。それは「推察」を使う対象となるのが「人の感情や事情」に対してであるため、頻繁に使われる機会はそうそうないからです。ビジネスにおいてはその限りではなく、使われるシーンも多いようです。

ここではそんな「推察」の使い方を例文を挙げて紹介するとともに、上で挙げた「推測」など紛らわしい言葉との区別の仕方についても説明しますので、知識としても頭の中に納めておかれると良いでしょう。

例文①

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最も多くの使い方をされる文例です。葬儀に参列した際に、ご遺族へかける言葉で、「ご遺族の心中をご推察致します」などお悔やみの言葉としての使われ方です。この言い回しは葬儀に参列するときに使うので、使い方を知識として持っておくと役立ちます。

このような状況において、亡くなった方のご遺族の気持ちが沈んでいる状況で、その方の気持ちを察して思いやるという思いでかける言葉です。

この使い方の例のように、単に「推察」ではなく、頭に「ご」をつけて「ご推察致します」というと、目上の人に対する謙譲語となります。

例文②

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例文①では「ご推察」のように「ご」をつけることで目上の人に対する謙譲語となることを説明しましたが、同じ「ご推察」についている「ご」でも、尊敬語の「ご」の意味になる例文を紹介します。

ビジネスにおいては「ご推察の通り」という使い方が一般的ですが、この場合の「ご」が尊敬語にあたります。つまり、目上の人(ビジネスの場合なので上司)に対して「推察」を使う場合です。

この例文は別の言い回しで同じ意味になる「お察しの通り」というのがあります。こちらはちょっと柔らかい言い回しになります。

なお、例文①と本項の例文における謙譲語と尊敬語の使い分けは、相手の気持ちを推し量って言う場合には「謙譲語」となり、相手が推察したと考えられる場合には尊敬語、つまりこの場合の「推察」は相手がしたことになります。

例文③

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「推察」に「される」をつけて「推察される」とすると、「~と思われる」という意味になります。これもビジネスや学校のレポートなどでは結構使われる言い回しですので、使い方を知識として身につけておいてください。

例文としては「豪雨の被害は予想以上に広範囲にわたると推察されます」や「これらの情報を総合するとこの結果は正しいと推察されます」などの表現があります。いずれの例文も同じ意味の「~と思われます」に置き換えることができます。

例文④

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「ご推察致します」という表現は一般的にお悔やみなどの場で使われると説明してきましたが、ビジネスシーンでは、「お話を伺うと、幅広い知識をお持ちとご推察致します。」のような使い方もされます。

この場合はあくまでビジネス上の会話であって、特に不幸ごとではなく、相手を持ち上げるための言い回しであり、「推察」の上手い使い方といえます。

「推察」と「推測」の違い

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「推察」の「類語とその意味」のところで紹介した「推測」は「推察」とよく意味や使い方の違いを比較しながら説明されます。

「推測」は「推し量る」という意味では「推察」と同じ類語ですが、「推測」が「推察」と一番違う点は、「推察」が人の思いや感情に対して使われるのに、「推測」は推し量るための材料が客観的な「事実」や「データ」に基づいていて、しかも対象が人以外にも用いられることです。

「推測」は「客観的事実を元に導き出した結論」という意味

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「推察」の意味が人の心の内に秘められた思いや感情を、ある意味主観的に推し量るのに対して、「推測」は客観的な事実やデータを元に物事を推し量るという意味を持っています。

つまり、「推察」が自分の主観的な思いを相手に伝える不確定な意味を持つ言葉に対して、「推測」は客観的事実に基づいた、ほぼ確定した事実を伝える意味の言葉ということになります。

「推測」の使い方の例文

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事実やデータを元にして結論が出される場合に「推測」は使われます。「科学的事実から推測される結果は」や「これまでの状況から彼が犯人と推測される」などのような表現になります。この例文のいずれも「推測」の代わりに「推察」は使われません。

「推察」を使う際の注意点

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「推察」という言葉を使う時の第一の注意点は、すでに説明した尊敬語になる場合と、謙譲語になる場合の使い方の違いです。この場合、「推察」の頭に「ご」がつきます。

尊敬語と謙譲語の使い分けの判断は、「推察」が誰に向けて行っているのかという点です。例えば「ご推察の通り」は相手が推察したことを指すので、尊敬語の「ご」をつけて相手を敬う表現にします。

自分が相手の思いを推察したことを指す「心中ご推察致します」のような言い回しは「致します」と尊敬表現なので、その前につく「ご推察」の「ご」は自分が推察した意味で謙譲語の表現になります。

なお、「推測」の場合は前に「ご」はつけません。それは「推測」の意味が客観的事実やデータに基づいて推し量られるということで、対象が人ではないからです。

「推察」の意味で「推測」は使えない

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すでに説明したように、「推察」と「推測」の対象となるのは、「推察」は人であり、「推測」は人以外にも使われます。文章の内容から「推察」と「推測」には互換性がないことも説明しました。

注意点を繰り返すと、「推察」と「推測」の2つの意味を混同していた人はこれを読んできちんと使い分けができるよう、知識として正しく理解しておいてください。ビジネスシーンで「推察」と「推測」の誤った使い方をすると、社会人としても恥ずかしい思いをすることになります。

「推察」の由来・歴史

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「推察」という言葉について、その意味や使い方を説明してきましたが、「推察」の由来や使われてきた歴史などを知ることで、この言葉の意味がより深まるでしょう。また、言葉の由来や歴史を知ることは知識の幅も広がるものです。

ここでは「推察」という言葉の由来や使われてきた歴史について、特にビジネスでは正しく使うことができることを目的に紹介していきます。

由来

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「推察」の由来は明確には分かっていません。ただ、「推察」の類語である「推測」や「推量」、「推定」などが人以外にも用いられるのに対し、「推察」は対象が人のみで、しかも相手の心中を推し量ってねぎらう、いわゆる「察」をつけた言葉として生まれたものと考えられます。

歴史

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「推察」の意味や使い方に関する歴史的な背景もよくわかっていません。「推察」の歴史について考えると、はじめは「推測」が使われていたのが、身分の格差が発生するにつれ、自分よりも目上の人に対して使うのに区別して「推察」から「推察」が生まれたのではないでしょうか。

「推察」の英語表記

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「推察」についてさまざまな角度から説明してきましたが、同じ意味の単語や文章は英語ではどのように表すのでしょうか。ここでは「推察」の英語表記について紹介します。

「推察」の英単語はいくつかあります。いろいろな辞書を見ると主に"speculation"や"conjection"などが挙げられています。ただし、これらの単語の意味は、いわゆる日本語の「推察」の意味とは完全に一致しない傾向にあります。実際、これらの単語の意味には「推測」も含まれています。

その一番の理由にはやはり対象が「人」ではない場合にも同じ英単語が使われるということが挙げられます。同じ英語表記でも文脈により「推測」の方が適当な場合もあります。

日本語の「推察」の意味に近い文章には、"enter into somebody's feelings"があります。この文章には上記の単語は使われていませんが、意味合い的には「人の気持ちを推察する」という意味を表し、この場合は「推測」は使わず「推察」がピッタリな英語です。

「推察」と「推測」は英語表記では違うのか?

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結論から言うと、「推察」と「推測」の英語表記にはあまり違いはありません。というのは「推察」の英語表記のところで説明したように、「推察」に当たる英単語"speculation"や"conjection"などの使い方が人のみを対象にしておらず、「推測」にも同じ単語が使われるのです。

「推察」は「相手の心中をくみ取る」という意味

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以上、「推察」について、意味や使い方をはじめ、「推測」との比較やさまざまな角度から紹介してきました。由来や歴史については明確な理由が不明でしたが、この言葉の知識としても得ることができたのではないでしょうか。

「推察」の対象が「推測」とは異なって「人」であり、その「人」の心の中を推し量り、それを察知することで相手への思いやりの気持ちが出来て、どのように接すれば良いかについても見えてくるのではないでしょうか。

「相手の心中をくみ取る」ということは人としての心の深さを深めることができて、日常であるいはビジネスにおいて人間関係を円滑にするために重要なため、ここで得た知識は知識としてだけでなく今後に役立てていただければ幸いです。

jack.masami
ライター

jack.masami

在宅で記事作成のお仕事を中心にしています。記事作成においてはいろいろなジャンルにチャレンジし、その都度詳しく調べながら完成させて行っています。また、調べた内容を記事にするのは、お仕事ということ以上に楽しい作業で、さらにその結果が自分の知識となっていくのは自分の知識の幅を広げるのに役に立っています。

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