「補完」と「補間」の違いは？それぞれの意味や使い方も詳しく解説！

辞書によれば「補完」とは欠けているところや不十分なところを補って完全なものにすることとあります。「補完」の「補」とは欠けたところをつぎ足して埋める、足りないところを補うという意味で、「補完」の「完」は欠けたところがない、やり遂げる、全うするという意味となります。

この二つの漢字を組み合わせると、欠けたところを補って完全なものにするという意味が生まれました。足りないところを補うことで一つの完全な形を作り出すということです。「補完」とは単に補うことだけではなく、補った後に完全なものになる場合をいいます。

「補間」とは「空間を補うこと」という意味があります。また、データや数値に基づく形で、数値と数値の間にあるはずの数値を想定すること、割り出すこと」という意味もあります。

例えば、数字が1・2・3・4・5・○・7と並んでいる場合丸の中に入るのは6だと想定されます。このように前後の数値から予測することやわかっている数値の情報から予測することを「補間」といいます。

「補完」と「補間」の意味がわかったところで、今度は「補完」と「補間」の使い方の違いを説明していきます。「補完」は不十分なものを補って完全なものにするということですから物や状態などほとんどすべてのものに使えます。

しかし、「補間」は「データや数値に基づく形で、数値と数値の間にあるはずの数値を想定すること、割り出すこと」となっています。「補間」とは数値に関すること、理数系のことに対して使われる言葉であると理解できます。

「補完」はほとんどあらゆるものすべてに対して使える言葉となっています。ビジネスシーンでの会議の席上や上司に報告する場合にも「〜を補完しました」という使い方ができるのです。

また、日常生活においても、不足するものを補う場合の使い方として用いることができます。「この子は食が細いのでおやつで栄養を補完しました」というような使い方です。

「補完」は不足しているものを補って完全な形にする、非の打ち所がないものにする、という意味の使い方なので会話の中で幅広く使えるのです。

「補間」は数学的なデータやグラフなどを説明するときに使われます。数値表や観測などで得られた値に基づきその中間にある値を算出し、補う時の使い方です。「補間」はわかっている数値の情報からかけている数値を予測し、補うという意味で使われます。

「補間」は数字のデータなどに使われる限定的な使い方となっています。専門的で難しそうですが、高校や大学などの高等教育でも使われる言葉ですので覚えておくと良いでしょう。

では実際に例文によって具体的な「補完」の使い方を見ていきましょう。先ほどの「補完」と「補間」の違いでも説明したように「補完」という言葉は広い意味で使えますので、使い方を覚えておくと日常会話でも使えて便利な言葉となります。

「補完」を日常会話として使う場合の例文です。「うちの子は食が細いのでおやつで栄養を補完しています」という例文の意味は、子どもの食事量が少なくて必要量の栄養を食事で取ることができないためにおやつで補うという意味です。

「このドラマは前作で不十分だった内容を補完している」との例文は前作のドラマを見る限りでは説明不十分だったところを続編で補足の説明しているという意味の言葉です。

「文章だけでは説明できないところを写真で補完する」といった例文ではなかなか字面だけでは説明しにくいところを写真を使って説明するという意味となります。

「補完」という言葉はビジネスシーンでの使いかたが最も多いのではないでしょうか。「「新人の作成した企画書を補完して完成させました」とは新人が作成した企画書では詰めが甘いところがあるので内容を十分に盛り込み完璧な企画書として完成させたという意味です。

「文書に欠落しているデータを至急補完します」とは文書に示したもののなかに欠落したデータを発見したので至急文書に入れるという意味となります。

「新人の作った企画書だけど補完しておいて」と言われた場合はどうすれば良いのでしょうか。「補完」の意味がわからないと上司の指示が理解できません。

この場合の例文の意味は「新人の作った企画書をきちんと完璧なものにしておいて」という意味なのです。「補完」の意味を理解していないとビジネスの場で困ることもあります。

「相互補完」という熟語があります。その意味は、互いに足りないところや弱いところを補って、助け合うことと辞書には書いてあります。今度はこの四字熟語を使った例文を見ていきましょう。

「妻と自分は欠点を補い合って生きている、相互補完の関係だ」という例文の意味は夫婦でお互いに欠点を補い合って完璧な人間関係を築いているという意味の言葉となります。

「デザインと配色は切っても切れない相互補完の関係にあります」との例文の意味はデザインだけでもいけない、また、配色が良くてもデザインが悪ければ良い服は作れない、両者が相互に働きあって素敵な服が仕上がるという意味となります。

補完」という言葉は医学の世界でも使われています。例文で示すと「補完代潜医療をもっと発展させるべきだと思います」「補完治療を試してみよう」などと使うことができます。

「補完代潜治療（CAM）」とは手術や薬物療法、放射線治療を補ったり、それらに変わり行われる医療という意味があります。主に癌治療の目的で行われるものです。

「補完代潜治療」には健康食品やサプリメント、鍼、灸、マッサージ療法、音楽療法などがあります。「補完」にはこういった医学的な意味での使い方もあるのです。

このように「補完」にはいろいろな使い方がありますが、間違った使い方には注意が必要です。「補完」「補間」のように「補」もついた言葉は数多くあります。

それらの言葉と「補完」を取り違えて使うと間違った使い方となってしまいます。今度は「補完」の間違った使い方とその意味を考えてみましょう。

「補完」と似た言葉に「補充」という言葉があります。意味は「不足を補い満たすこと」となっています。定まった定量のものが不足してしまった場合に足りないものを補って元の状態に戻すことをいいます。

例えばお店の品出しの時に減ってきた商品を補う時に「少なくなってきたからあの商品を補充しておいて」という使い方をします。

意味が似ているからといって、その時に「商品を補完して」とはいいません。「補完」と「補充」の違いと意味をきちんと区別をつけて使う必要があります。

「補完」と似たような言葉がまだあります。「補填」という言葉です。「補填」は「ほてん」と読み、その意味は不足を埋め補うこと」という意味です。

「補填」は壊れてしまったり損失が出た場合に穴を埋める時に使います。「損失を補填する」「赤字を補填する」という使い方をします。この時に「損失を補完する」とはいいませんし、赤字を補完する」とはいいません。

「補完」の、不足を補うという意味は「補充」も「補填」も同じですが、使い方が微妙に違います。使う時には間違えないように注意しなければなりません。

新人の作成した企画書を先輩が「補完」するのは良いのですが、その反対はNGとなります。新人が先輩の作成した企画書を「私に補完さてください。完璧な企画書を作成してみせます」といった場合などです。

この場合、先輩にやる気を見せるのは良いのですが、先輩の作成した企画書を新人が補完するという使い方はできません。これでは先輩の作成した企画書が不十分なものだといっているようなものです。とても失礼な言い方となってしまいます。

「補完」の言葉を使う場合は以上のようなことに気をつけましょう。「補完」の間違った使い方の注意点をいくつかあげてみました。

「補完」とは不十分なところを補って完璧なものにするという意味で、日常会話やビジネスシーンなど広い意味で使えます。しかし、同音異義語の「補間」はデータや数値に関することに限定された言葉となります。

ご紹介した「補完」と「補間」は普段はあまり使わない言葉ですが、「補完」と「補間」の違いと意味をしっかり区別して使いましょう。